好きじゃない

手を繋ぐのは好きじゃない。彼の手のシワを見て永遠に追いつけないことを思い知らされるから。

外でデートするのは好きじゃない。どこへ行っても娘に間違われるから。

レイリーさんは好きじゃない。こんな我儘しか言わない私を優しく包んで離してくれないから。

「少し落ち着いたかな?」
「我儘言うなって怒らないの、」
「この程度で怒らないよ。手が繋げなくなるのもデートできなくなるのも少し悲しいが、君のためなら我慢できる」

こんなに我儘言ってるのに捨ててくれないなんて私はもっとレイリーさんに甘えてしまいそうになり嫌になる。涙を拭いながらレイリーさんに凭れると手を握られた。

「私は手を繋ぐと君の手の暖かさに愛おしくなる、親子に間違われると恋人だと紹介するのが楽しみになる。君は毎日嫌いになっていくかもしれないが、私は好きが重なり合い増していく。だから、君を一生離せそうにない。」
「わがまま」
「そうだな、そうかもしれない。君への我儘は増していくばかりなんだ、だから君の我儘くらいどうってことない」

それこそ我儘だと指摘すれば目を丸くしたあと大きな声で笑われる。笑みを残したまま頬を撫でられ「好きじゃない」は撤回しないといけないなと思いながら手に擦り寄った。

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