キスさせて
カリファを待ってる間、隣に立った彼のスーツをきゅっと引っ張った。
「ン?」
「……キ、スした、いな」
「ん」
私が何したいか分かってるくせにわざと聞いてくる。恥ずかしがりながら言えば顔を少し傾けられた。腕は組んだままで、したいならどうぞってことらしい。傾けただけじゃ全然届かなくて腕を強めに引っ張って口付けた。
「ンマーなんとも可愛いキスだな」
「馬鹿にしてる?」
「いいや、ただ次からはこれぐらいしてくれ」
くすくすと笑うアイスバーグさんに腹を立てて睨めば後頭部に手を添え引き寄せられる。あと1cmってところで少し止まったあと深く口付けられた。舌をゆっくり絡ませ上顎をくすぐられ、すがりつくように彼のスーツを握る。
「は、こしぬけそう」
「それは困るな……カリファがもう来るぞ」
「っ、わかってる」
彼のスーツに顔を押し付ければ、顔を上げさせられ唇についてるであろう彼の口紅を拭われた。顎にかけた手をそのままに耳元で囁かれ羞恥でさらに顔が熱くなる。彼は口紅以外乱れてなくて不服だが化粧と髪の毛を直せば扉がノックする音が聞こえ、彼から少し距離をとった。
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