次は

がたっと音がし目を覚ます。ゆるりと起き上がり、テラス窓を見れば逆光でよく見えないが彼らしき人が立っていた。

「おかえり」
「ああ」
「なにかたべる?れーぞうこになにかあ、」
「寝てろ」

寝惚け眼で立ち上がろうとすれば肩をおされベッドに逆戻りする。寝たら知らない内に帰るんでしょ。少しでも長く一緒にいたいの。とか文句は脳内に浮かぶのに口には出せなくて代わりに手を掴んだ。

「なんだ」
「いっしょにねよう」

あからさまに顔を歪められ手を離された。少し欲張りすぎたか。彼が任務の合間に帰ってきてくれること自体珍しいのだ。これ以上望むべきではなかった。眠気が急激に覚め、キッチンに向かう彼の背中を眺める。

「時間がないもう行く。……寝るのは今度だ」

果物をいくつか抱え窓へ向かっていく彼を信じられなくて凝視してしまう。次の約束とりつけるなんて。

「ずっとそこ、開けておくから早くきてね」

鼻で笑う音とクルッポーと聞こえ、次の瞬間にははためくカーテンしか残されてなかった。

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