七秒以上

 俺の可愛い可愛い恋人ちゃんは、ぶっちゃけるまでもなく、寡黙で愛想もいまひとつ。
 だけど、言葉少ない分眼差しは真っすぐ。本人の自覚があんまりないところもゴイスーキュンポイントなのよね。
 出会ってすぐの頃はほとんど視界に入れてもらえなかったし、付き合う前の色々あった頃は、その瞳に想いを込めてくれたからこそ乗り越えられたと言っていい。で、付き合ってからは見つめ合える時間がどんどん長くなっていて、その変化が嬉しい。

「………………なに?」
「え〜、見てるだけ。おっそろい♪」
「……」
「ね、知ってる?七秒以上見つめ合える人との関係性」
「さあ」
「気になんない?」
「特別じゃないの?」
「それはそうなんだけど」

 すすすと隣まで近づき、肩を抱いた。変わらず見上げる彼女に、にやりと意味深な視線を送る。

「ぜーんぶを曝け出してもいい相手ってこと」
「…うん、それが特別」
「もー、ジーマーで可愛いんだから。俺も素直になるしかないじゃん」

 肩口を滑り、腋の下へ移動して、腰へ。意味を込めて指先をばらばらに動かした。

「ね…チューしていっぱい触りたい」
「!」
「答えはもうもらってるけど…もっかい七秒見つめ合っちゃう?」

 彼女の首が可動域の限界まで動く。こうも全力で拒否され、俺は心の中で思わず吹き出していた。

「あーんドイヒー」
「する気ないくせに」
「まあね。今晩はこうやってくっついてお話しして、最後にキスしてオヤスミ」
「……それは何秒見ればいいの?」
「んあー、ドスっと来た…。そだねえ、今すぐ言葉でお返事ちょーだい?」
「…どうぞ」

 許可はもらったよ、と、一気に距離を縮め、俺は彼女の無防備な唇に吸いついた。
 思っていたのと違うと正直な眼差しが訴えてくる。しらを切る。すると、やっぱり彼女はメンタリスト形無しの、俺の心を乱して止まない斜め上の反応を見せるのだ。

「おやすみ」
「ちょちょちょ、詰みポイント的確に狙わないで!?メンゴ〜もうちょっと喋ろうよ〜」
「……」
「寝るのはあと一回してからにしよ?ねっ?」
「あっそう…」






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