「臨也さん、結婚したらどうっすか?」

「え、どうしたのいきなり」

「俺、昨日真剣に考えたんですよ。臨也さんのその歪みに歪みまくった性格を矯正するにはどうしたらいいのか…って」

「わぁ、最高にいらないおせっかいをありがとう。で、それが結婚とどうつながるわけ?」

「いや、もう臨也さんの性格の歪み具合って手遅れの域じゃないっすか。もういっぺん死んでみるとか命に関わる大革命が起こらなきゃ直すことは不可能だと思うんですよね」

「ははっ、本人を前にいい度胸だね。今日は一切優しくしないよ」

「ほんとすいませんっした。で、ですね。命に関わるって言ったって臨也さん『憎まれっ子世に憚る』を体現してるようなしぶとさじゃないっすか。殺しても死なないなら死んで直すっていうのも下手したら百年くらい待たなきゃ無理そうだし、それなら逆転の発想をしてみたわけですよ。結婚して奥さんとの間に可愛いお子さんでも生まれれば生命の神秘ってやつで臨也さんの歪んだ精神も少しは浄化されると思うんですよね。というのが結婚を勧めた真意でして数多の暴言は真面目に反省してますしなんなら今夜サービスもつけちゃいますからとりあえずその手に握ったナイフをしまって頂いてもよろしいでしょうか」

「みっちり躾し直すから覚悟しときなよ。ってかさぁ、子どもって言ったって正臣くん産めるわけ?」

「産めるわけないじゃないですか、妊娠出産は女性の特権です。臨也さんもご存知の通り俺は男ですよ?とうとう視力まで歪んでってほんとすいません!」

「手加減は無用…と。君が男なのは君のご両親よりよーくご存知だけどさ、俺の恋人は君なわけでしょ?君が産めないなら俺は子ども作れないじゃん。ってことで俺の性格はずっとこのままだ。残念だったねぇ…ん?なんで赤くなってるわけ?」

「えーと…不覚にも…」

「不覚にも?」

「『俺の恋人』ってのに引っかかったといいますか…不覚すぎて死にたいです、マジで…」

「…あぁ、うん。君は時々不意打ちで可愛いから困るなぁ…」

「俺はいつでもかっこかわいいですよ…」

「はいはい、顔を隠さない。うん、可愛かったし、俺も不覚にもキュンとしちゃったからさ、7割くらいで許してあげる」

「臨也さん…」

「ん?」

「キュンとしたとかマジキモ…」

「…ほんっとに君の口は災いしか呼ばないね。200%の本気で相手してあげるよ!」

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