穏やかで平和で平凡な昼下がり。
誰それが殴られただとか誰と誰が不倫しただとか、深刻なのか下世話なのか分からない話題を垂れ流すワイドショーをぼんやりと見ていた臨也は、ふと視線を感じた。僅かばかり視線を落とせば恋人兼従業員な少年がじいっと見つめている。何事かと首を傾げると、瞬間、勢いよくブハッと吹き出された。

「え、何その新鮮な反応。人の顔見て吹き出すとか、なんなの?」

「すみません、臨也さんがショッキングピンクのビキニパンツ履いてるの想像したら、思わず」

「何がきっかけでそんな想像しようと思ったのかは敢えて聞かないけどね、一言だけ言わせてもらおっかな。『正臣くんのエッチー』」

「全然可愛くないっすよ」

ツッコミを入れながらも正臣は口元を押さえ肩を震わせた。どうにもツボに入ったらしい。何となく不愉快だ。臨也は眉を寄せる。

「楽しそうなとこ悪いんだけどさぁ、俺そんな派手な下着履かないから。基本的に黒のボクサーだから。君もご存知の通りねぇ?」

「でも似合うと思いますよ?今度プレゼントしましょうか?」

「知ってる?衣類を送るってのはさ、その人を脱がしたいって意味なんだって。やー正臣くんったら積極的」

「静雄さんもボクサーっぽいですよね」

「スルーしたうえにシズちゃんの話?」

「グレーとか履いてそうなイメージ」

「真っ白のブリーフとかだったら全力で笑うんだけどなぁ」

「それはないっしょ。帝人はトランクスですね、確か」

「帝人くんは本当にブリーフ似合いそうだなぁ」

「臨也さんってブリーフ好きなんですか?」

「あのね、君が唐突にパンツの話をしだしたから合わせてるだけで、俺は別に男のパンツにそこまで興味無いから。…あ、でも」

きらりと臨也の目が妖しく光る。
あ、嫌な予感。
正臣の対臨也警報は敏感だが作動するのが少し遅い。

「正臣くんのパンツは興味あるなぁー」

じり、と臨也が距離を詰める。逃げようにもソファーの縁に背が当たり、簡単に追い詰められた状況に正臣の背を嫌な汗が伝う。

「あはは、俺のパンツなんて至って普通ですよ?平凡ノーマルシンプルイズベストです。つまらないものです」

「いいのいいの、正臣くんのってことに意味があるんだから」

「わー光栄ですね、全然嬉しくない!あ、なんなら教えますよ今口頭で、今日の俺のパンツは、」

「ストップ、言わなくていいよ」

にっこり笑う臨也の右手が正臣の肩に置かれる。

「自分で確かめるからさ」

左手をしっかりベルトにかけた臨也に。
正臣は大きく身体を震わせた。

「い…臨也さんのエッチ!!」







今日は色?


「正臣くんが言うと可愛いなー」

「ちょ…っ、臨也さん、それ、もうパンツじゃな…!」






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