*あてんしょん!!
正臣が幼女かつ臨也さんの妹というWhere is 原作?なトリプルコンボぱろ。
臨也さんとシズちゃんは多分高校生くらい。
正臣と書いてまさみと無理やり呼んでください。



















「シズちゃんが馬鹿なのは知ってるけどさぁ、もうちょっと状況をよく見てくれないかなぁ」

池袋のとある通り、鉢合わせるなり自販機を担ぎ上げた静雄を見た臨也はひどく嫌そうな顔をした。馬鹿にしたような物言いに静雄が手に持ったそれを投げつける構えになるのをストップ、と臨也は止める。

「視力まで馬鹿になっちゃったわけ?俺、今妹連れてるんだけど」

「いもうとぉ?」

その言葉に静雄ははたと視線を下げる。
すると臨也の左隣、小学生くらいの少女が猫のような瞳を大きく見開いて静雄を見つめているのに気付く。

「わかったでしょ?この子の前で暴力とか嫌だからそれ降ろしてくれない?」

渋々と静雄はその言葉に従う。臨也は嫌いだがその妹には罪はない。

「いざやさん」

少女がくい、と臨也の手を引く。臨也はちらちらと静雄を伺う少女を抱き上げると、目線を合わせてにっこりと微笑んだ。

「ああ、いいんだよこの人には挨拶とかしなくて。このお兄ちゃんは人間じゃなくて怪物だからね」

妹に言い聞かせる臨也の言葉に静雄は一瞬キレかけた。キレなかったのは大きな瞳が再び静雄を捉えたからだ。

(ちくしょう、やりにきぃ…)

余裕の笑みを浮かべる臨也は間違いなく確信犯だ。発散されない怒りがストレスとなって静雄を襲う。

「かいぶつ?」

「そうだよ。ほら、こないだ一緒に観たでしょ、『美女と野獣』。あれに出てくる野獣みたいな…」

「やじゅう!!」

少女の瞳がキラリと光る。手足をばたつかせるので臨也は慌てて抱えていた身体を降ろした。地面に足が着くや否や、少女は静雄に向かって走り出す。止めようとする臨也の声も手も間に合わない。
駆け寄った少女が静雄の手をきゅっと握った。ひぃっと臨也が声にならない悲鳴を上げたのにも気付かずにきらきらとした眼差しを静雄に向ける。

「お兄ちゃん、やじゅうなの?」

「いや、その…」

「じゃあおれ、お兄ちゃんのベルになる!」

べる?と、聞き慣れない単語に静雄は首を傾げる。
ぐいぐいと引かれる手につられてしゃがみこめば、少女の顔を正面から見つめることとなった。可愛らしいが臨也にはあまり似ていない気がする。ちらっと臨也に目をやれば苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

「あのさ!」

珍しい臨也の表情に呆けた静雄の意識は、興奮した少女の声によって引き戻された。

「おれ、今はまだかわいいだけの美少女だけどさ、おっきくなったらベルみたいなやさしくて歌のうまい美女になるんだ!そしたらお兄ちゃん、のろいがとけて王子さまにもどれるでしょ?」

『美女と野獣』を知らない静雄にとっては何の話をしているかがよく掴めなかったのだが、とりあえず曖昧に頷いておいた。少女が自分で自分のことを美少女と言ってのけたことも突っ込まずにおいた。
そんな静雄を見て少女は満足そうに微笑む。

「へへ、じゃあおれがんばるから楽しみにしててな!あ、おれ正臣っていうんだ!お兄ちゃんは?」

「…静雄だ」

「しずおさん!約束ね」

正臣が小指を出す。あまりに細いその指に静雄は恐る恐る自分のそれを絡めた。力を込めたら折れてしまいそうで静雄は気が気でない。指切りげんまん、と何時振りかも分からないような幼い約束を交わし、二つの小指が離れる。

「正臣ちゃん、そろそろ行くよ」

正臣が満足するのを見計らっていた臨也が声をかけた。声音こそ優しいものの、目付きは鋭く静雄を睨み付けている。

(ちょっとシズちゃん。正臣ちゃんに手出したら殺すからね)

(ガキに手出すわけねーだろ糞野郎)

(はぁ?なに、シズちゃんのくせに正臣ちゃんになんか不満でもあるわけ?シズちゃんのくせに?)

(〜〜ッ!手前は何が言いてぇんだこの、)

「いざやさん?行かないの?」

いつの間にか臨也の側へと戻っていた正臣が首を傾げた。臨也は静雄に向けていた目を正臣に向け、にっこりと笑う。

「ごめんごめん、行こうか。野獣は乱暴だからね、あまり近づいちゃ駄目だからね」

「うん、だから早くおれが王子さまにもどしてあげるんだー!」

「…ああ、うん、そうだね…」

無邪気な妹にこれ以上強く言うわけにもいかず、臨也は伸ばしてきた小さな手をきゅっと握った。
とりあえずすぐにこの場を去ろう。
そしてしばらくは池袋に近付けないようにしよう。
彼にしてはらしくないほどの余裕の無さで、臨也は踵を返した。
腕を引かれながら正臣は振り返る。

「しずおさん!」

まだ何か、と呼ばれた静雄は首を捻る。

「王子さまにもどったら俺をおよめさんにしてねー!」

やくそく!と拳を突き出す少女に静雄が答える間もなく、臨也が正臣を抱えて走り出した。
遠ざかる背中を呆然と見つめながら、とりあえず『美女と野獣』とやらを見てみるかと静雄はレンタルビデオ屋へ行くことを決めた。



予約済みの子さま

「正臣ちゃんが今日のことを忘れますように忘れますように記憶の中から抹消しますように」

「いざやさんそれなんの魔法?」







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