052
「冬ちゃーん、じゃんけんしようか」
私がたまらず、そう言ったのが夕食後だった。
深夜に帰ってくる両親もいないリビングで、二人でそれぞれ宿題をしていたのはいいが、十一月も終盤、いかんせん寒い。
風呂に入っても湯冷めするだろうし、重ね着もしてみたが効果薄。
だが暖房…となると気が引けてくるから、マイ弟に勝負を持ち掛けた。
「私が勝ったらエアコン付ける、冬獅郎くんが勝ったら寒いの我慢する!」
呆れたような視線が投げかけられた気がしたが、この際そんなものは無視だ無視。
暑さに関してはさほどでもないのだが、寒さについては私は滅法弱い。十一月から暖房ガンガン効かせたくなる位には。
エコ精神には賛同するが、これだけはどうしようもないのだ。冷え症だし。
「というわけで、はいっ! 出さなきゃ負けよ〜じゃんけんほい!!」
押し切るように私は盛大に振りかぶって、右手を振り下ろした。
「んー、それちょっと怪しい、ここは最後はねないと、減点されると思うよ」
冬獅郎くんの漢字プリントに刻まれたてのそれを指差し、指摘。
一拍の間を置いてから、新しく漢字が書き直される。
その消しゴムのかけ方がどこか恨めしげだったが、気にしない。
私は私で、英語の文章作りに励んでいたら、仕返しとばかりに指摘された、今書き込んだばかりの苦手この上ない前置詞。
「………だって、他に適当な前置詞思いつかないんだもの」
今度は私が恨めしげに言ってみたが、聴き入れられることなく指は【to】を示し続けたまま。
冬獅郎くんって、軽くS寄りだと思う。少なくともMではない、絶対。
さっき冬獅郎くんが漢字を消すのに使ったばかりの消しゴムを拾い上げ、安物プリント用紙の表面が毛羽立つ位擦り上げた。
「はいっ」
自分でもどうかと思う位、甘ったれた声で、マイ弟に正答を書くよう促してみたら、じとっとした視線が下から向けられた。
下から。
先程のじゃんけんで私が負けてから、抱え込まれているマイ弟はすこぶる機嫌がよろしくない。
だってしょうがないじゃないか、寒いんだもの。
暖房が付けられない、となればもはや私は人肌に縋るしかないわけで。
後ろから冬獅郎くんを抱き込んで、暖を取ることにしたわけだが、これが実に暖かい。
「冬獅郎くん、これもエコのためだよ。環境破壊に立ち向かうには、人々が手を取り合っていかなければならないと思わないかい?」
白々しくもそう宣ってみたが、当然賛同なんて得られやしなかった。
「……じゃあ暖房入れていい?」
私のプリントに小さな手で手荒く書き込まれた【in】の文字が、NOと言っていた。
後日、返却されたそれぞれの漢字と英語のプリントが、歴代自己最高得点を記録したことは言うまでもない。
暖かいし宿題は高評価に繋がるし、一石二鳥だね、と言いながら間合いを詰めたら、素晴らしい俊敏性で逃げられました。
全く、なんてやつだ。今夜は寒いのを盾にして布団に潜り込んでやる。
しかし、未だにプリントで丸の付いた【in】の文章には納得がいかない。
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英語のinの使い方って、思わぬところで出て来ませんか、という管理人の個人的な話。
モチベーションのコントロールって難しいですね、プロ選手とかどうやって維持してらっしゃるか聞いてみたい。
そんな管理人は絶賛スランプ中。書きたいという気持ちが満ちみちてないと、しょーもないこと山の如しなモノしか書けないので、更新がばらっぱら。
日番谷連載に関しては、一回更新分につき最低一萌え要素が指針なので、勢いがないと書けなくて困ります。
連載ってストーリー重視だから、話の展開を優先して萌えが必ずしも全ての話に振り分けられない傾向にあると思うんですよ…
だから萌えや面白さを絶えず継続させられる書き手さん、プロアマ関係なく尊敬致します。
私も毎度一萌え要素を目標に頑張ります…!
という個人的連載夢小説談議。
一年以上も前、連載をはじめて間もない頃、まだ萌え要素なんてそんなに無かったろう頃にファンだと言って下さった方達から、今日までの色々な励ましを読み返したりして、いつもモチベーションを維持させております。
本当にありがとうございます、シロの台詞と同じ位、管理人にとっては活力源でございます(´;ω;`)
なーんて今回は真面目な話。
もうちょっとしたら、管理人もいつコタツ装備しようか悩み出します。
北海道は……来月末には初雪ですから………(´ω`)
090915
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