042
鈍色に光る鍵を鍵穴に差し込み、いったん息をつく。時計回りに回せば、重くガチャコン、と音がして鍵は開く。
軋んだ音はほんの一瞬。開いた金属の扉の向こうは、たった今まで頭の中で描いていた通りの、真っ暗闇。
はあー、とため息をついて、広く開いた玄関にローファーを脱いで家に上がった。
数カ月前までは、当たり前に靴があることなんてなかった玄関も、あの小さな靴が一足ないだけで随分淋しく思えるものだ。
文化祭役員で遅く帰った私を、いつもは無言で待つ弟は今日も両親(主に母)に連れ出されたようで、家の中には誰の姿もありはしなかった。
期待はしていなかった。だが、期待してないからといって気落ちしないわけでもなくて。
無言でも無表情でも、私に対して無関心ではなかったマイ弟を思えば、淋しくもなろうというものだ。
どうせ今日も外で食べてくるんだろうと、むなしくも一人ぶんの食事をこしらえはじめるが、
「…お茶漬けでいいや」
手抜きにもなる。
汚れた皿数も少ない食器を洗い、風呂に入って宿題をやりはじめた頃、父上から外出先の様子についてメールがあった。
どうやら、今日も帰りは遅くなるらしい。
山のようなプリントを前にして、ため息。
そりゃね、冬ちゃんが家族団欒するのは、一人さみしく私の帰りを待ってることなんかよりいいことだと思うし……いや、いいことなんだけど。
「なんか……ね」
やっぱり淋しいみたいだ。
フィルターがかかったようなぼやけた音が、聞こえた気がした。
レム睡眠だかノンレム睡眠だか分からないが、すでに眠りについていた私は、いちいち目を覚ますまで意識を引き起こす気もなくて、それ以上音を聞くことをしなかった。
それから、意識は眠りと現実を往復するように緩やかに移動して、不意に浮き上がった時は、先程聞いた音を思い出して目を開けた。
それなりに寝た後だからか、目はだいぶん冴えていて、まだまだ起床の時間ではないものの、時はすでに朝を迎えていた。
早朝独特のこざっぱりとした空気を肌で感じながら、ゆっくり寝返りを打てば
「………」
同じ布団で寝こけていたマイ弟。
白髪が朝の光に目に眩しく、その整った顔立ちがぽかんとしたような寝顔に、夢でも見ているのかと思った。
冬獅郎くんの透けるような白い肌が、それくらい現実感を感じさせなかった。
頭を撫でつつ、冬獅郎くんの向こう側を見れば、昨夜私が確かに敷いたもう一組の布団。
体を添わせるように身を寄せて、私のパジャマの裾を小さく握っている冬獅郎くんに視線を戻し、思わずも顔が綻んでしまった。
両親が帰宅してからは、一緒に寝ていなかった割に、ずいぶん身に馴染んだように思えるその温もりを抱え直して、仕方がないから家にいる間くらい、優先的に母にマイ弟を貸し出してやることにした。
(それでも起床までは、私が独占)
.。.。.。.。.。.。.。.。.
た、楽しかった……(´д`)
びっくりしました。筆が進む進む。ろくに止まることもなく最後まで到達しました。
まあ短いですしね。
久しぶりに自由に暴走出来て楽しかったです(ノ∀<*)
久しぶりといえばというか、運動会編を乗り越えたご褒美というかで、定番の添い寝をば(´∀`)
もー、書っきやすいったらないですね!
え……飽きましたか……?(~Q~;)笑″
最近ニコ厨病が再発して手に負えないです。
ついでに石田病も再発気味です。
実況プレイ動画にハマってるんですが、ゲームやりたいのと石田さんの声が聞きたいのとがミックスして、石田さんがCVやってる乙女ゲーがやりたいです(笑)
つっても管理人、その手のゲームやったこと皆無なんですけどね(。-∀-)♪
08.6.16
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