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どうやら助けに入ってくれたらしい少年は、細身で見た目だけなら決して強そうとかそんな感じはしない、髪色以外は普通の男の子。


対して相手は、小学生だって六年生が多そうだし、中学生は私よりも身長も大きい。さっき身を持って知ったが、腕っ節だって強い。野球でもやってんだろうか。


それでもどうやら戦うらしい。
オレンジ少年に仲裁する気は、ないようだ。



「おーう、また会ったな白髪」

「……………」

「え、あの短い接点の間に嫌われてんのか俺?」

「あ、あの普段からそんな感じですので…」

「お姉さん?」

「どうも、祐といいます」

「あ、こちらこそご丁寧にどうも、黒崎一護です」

「てめぇら喧嘩の途中って覚えてっか?」



深々と頭を下げあっていたら、中学生が額に青筋浮かべた。
めんどくさそうにそちらへ体を向ける黒崎少年。

殴り掛かってきた相手に応戦しようとした彼の横を、白い影が迸った。




「冬ちゃん!」




自分一人でカタを付けるつもりなのか、小さな体で猛然と中学生に掴みかかり、崩した上体にしなやかな脚で蹴りつけた。

それが十分にしならせた鞭のように振り下ろされるのを見て思わず私は目をつむったが、黒崎少年は感心したように声を漏らしていた。


一体この少年は冬ちゃんといかな関係なのだろうか。もしか、喧嘩仲間?



冬獅郎くんは先程とは一変して、獣のごとくに中学生を倒しにかかったが、周りを他の少年達に囲まれている。
彼にそれを気にする様子もなく、殴り掛かって行ったが、




「危ない!」




一人が無防備な冬獅郎くんの背に向けて、木の棒を振り下ろした。

それでも振り返ることをしなかった冬獅郎くんと木の棒の間に、黒崎少年が割り込んだ。

あっという間もなく、すぐさまそれは蹴り折られる。



「………得物使うたぁ、ちっとばかし卑怯じゃねぇか?」

「うっせぇ!」



そこからはもう、入り乱れ、殴り殴られ。いや、どう見たってマイ弟と黒崎少年が殴ってる数の方が多かったが。


もはや止めることも出来ず、ぼけっと眺めてしまっていた。



どうやら面識はあるらしい黒崎少年と冬獅郎くんは、互いに助け合うこともしないが、それぞれ同じ数だけ相手を地面に転がして、



まあ要するに、暴れるだけ暴れて、最後に立っていたのはこの二人だけだった。





「はーっ、終わったー!」

「ご、ご苦労様デス……」

「あ、お姉さん、怪我しなかったスか?」

「おかげさまで無傷で、すっ?」



まだ地面に座ったままだった私は、完全に黒崎少年を無視した状態の冬獅郎くんに腕をつかまれ、そのまま表の方へ連れて行かれそうになった。



「ふ、冬ちゃん?」

「なー、なんで俺嫌われてんだ?」

「ほら、せめてお礼くらい…」



冬獅郎くんの手を掴み返して進言すると、冬獅郎くんは私の腕を放して一人ですたすたと表へ戻り始めた。



「冷てぇなあ、冬ちゃん」



わざとらしく黒崎少年がそう呼びつけると、冬獅郎くんが立ち止まり、一護君を睨む。
思惑通りになって、ニッと笑う黒崎少年。


なんだか…おもしろい。



私の悪戯心がうずうずしはじめた時、バタバタと慌ただしい足音が聞こえてきた。



「ああ、ここにいたか、冬獅郎くん!」



三人同時に顔を上げれば、大塚先生が息を切らして駆け寄ってくるところだった。



「あっ、あいつらのこと忘れてた!」

「一護くん?」

「スンマセン、俺はこれで!」



私が呼び止めるより早く、黒崎少年は片手をあげて走り去ってしまった。

なんだか……さわやかな少年だったなあ。

一護くんの背中を見送ってるのとは逆に、大塚先生は冬獅郎くんの横まで来て、そこらへんに落ちている中学生たちを見て瞠目する。


「これは……やっぱりこうなったか」

「大塚先生?」



その呟きを疑問に思って、私は大塚先生を呼んだ。

大塚先生は神妙な顔で目を伏せ、冬獅郎くんの肩に手を置き、なぜか冬獅郎くんを宥めはじめた。



「いいんだ、君だけの責任じゃない、先生は分かっているから」



大きな手で冬獅郎くんの頭を撫でると、つかつかと中学生たちに歩み寄って、私も気付いていなかった落ちた紅白帽を拾い上げた。



「君達、隣の学区の生徒だね。こんなことをして、ただで済むと思っているのか?」



厳しい声で叱りはじめ、大塚先生の口からPTAや校長、教育委員会に家庭裁判所の名前まで飛び出すと、さすがに中学生たちの顔も青ざめた。

なんだか念を押すようにずいぶん大袈裟と言おうか、脅しのようにも聞こえる説教がやりすぎの域まで到達しはじめて、私が大塚先生の背中に声をかけると、先生はようやく地面に座り込んだままの私に気付いたように振り返った。



その隙をねらうように、地面に転がっていた少年たちは中学生を先頭に一斉に逃げ出す。



「あっ、お前たち!」



まさに蜘蛛の子を散らしたように方々に走り去った彼らを、さすがに追うこともできず、大塚先生は憤慨したように大きく息を吐いて腰に手を当てた。



「お姉さん、大丈夫ですか。すみません教員として目が行き届かずこのようなことになってしまい……」

「いえ、まさかそんな」



さっきのことを、大塚先生に責任を問えるはずもない。


そんな意味で否定すると、神妙な顔をして大塚先生は拾った紅白帽を私に掲げて見せた。



「容姿のこともあって、冬獅郎くんはよくない噂を立てられることがあって……誰もが気付いているわけではないでしょうが、紅白帽の名前が内田ではないことも、面白半分の噂を掻き立ててしまったようで」



大塚先生の大きな手の中にある紅白帽を見れば、帽子の白い面に書かれた日番谷の文字。

それはかつての冬獅郎くんの苗字。


手本のように整ったその字は、以前いた孤児院の職員が書いたのだろうか。

小さな文字だが、一度目につけば珍しい苗字だけに目を引くだろう。ただでさえ、それをかぶっている本人が人目を引く容姿をしている。


紅白帽に書かれた名前と本名が違えば、子供でも疑問に思うのは至極当然の成り行きで。



「他校や中学生なんかと仲良くしている男子生徒が、反発していることにも薄々気付きながら……教員失格です、本当に申し訳ありません!」



がばっと頭を下げた大塚先生に、さすがに私も慌てた。

なだめたりすかしたりしてさんざん言葉をかけ、ようやく頭を上げてもらった時には、驚いたことに大塚先生は目にうすらと涙を浮かべていた。



「子供たちのことは、みんな実の子供のように可愛く思っています」
「今回のことに憤りを感じるかもしれませんが、どうにか冬獅郎くんを皆に馴染ませてあげたいと思っています」
「クラスや上級生の中にもいたずらを仕掛けるような子がいるかもしれませんが、教員として、それ以前に人として子供を諭していきたいと思っています」
「どうか、今回のことには眼をつぶってやって下さい」
「私にもう一度だけチャンスを下さい」




半人前の高校生でしかない私に、必死に説く大塚先生に拒否の言葉などかけられる訳もなかった。


もはや唯一残された対抗策として、頭を下げ合う奇妙な大人二人を、少し離れた場所で冬獅郎くんが横目で見ていた。
















.。.。.。.。.。.。.。.。.。.


………運動会は?(ぁ


一護を一護らしく書くことは諦めました管理人です。
分からない。どうしたらいいのか分からない(笑)

エセでスンマセン。もうほんっとごめんなさい。一護好きな方ホントすみません(;´・`)





複合機がノーパソに繋げなくてショックな管理人です。
ドライバの問題なんですけどね。WindowsXPの時代に買った複合機なので、Vistaでは公式サイトでドライバ落とすか何かしないといけないんですが、うちはネット繋いでないもので(;¬_¬)


前に描いた絵がスキャン出来ない。デスクトップ経由メンドクサイ…(*´・ω・)←

ついでに請求書発行だりなんだりをノーパソでしないといけないのに、それもできない。


絶望した!!




ところで最近、ティエリアはブラック・ベルベットのキリみたいなことじゃないかと頭を悩ませて、何も手に付きません(コラ

ていうかここの所ずっと、ティエリアトリップ妄想が頭から離れてくれません誰か助けて下さい(知るか


こんなに同じ妄想を続けてるって、一年半前にシロ養子妄想してた以来かもしれない。

あの時は相当長い間、義弟妄想してた(笑)


まあそれが、一年後にサイト設立と共に連載となり、今に至る訳です( ̄▽ ̄〃)

でもまあ、ティエリアトリップは小説にならないと思う。壮大すぎて手に負えません(´∀`)

08.6.2


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