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今日の夕食は、奮発して久しぶりにステーキになぞしてみました。



別に肉料理を避けているわけでもないのだけど、我が家ではステーキはなかなかメニューにはならない。

たまに母に請われた時にする位なもので、純粋な日本人の私にはデカイ肉一枚をご飯のおかずにするというのに、どうも違和感を抱くのだが。


もちろん店に行って食べる分には違和感もなにもないのだけど、そんな私が本日ステーキにした理由は言うまでもない。



冬獅郎くんの成長のためです。



今朝、歯磨きしている時に思いつきで彼を体重計に乗せてみたら。
減ってたんです、ただでさえ少ない(と思う)体重が。


この歳でこの体格で、体重が減るなんてことがあっていいんですか?


そういう訳で、かなり強い危機感を抱いた私はすぐに栄養たっぷりの料理を作らせていただいたのです。



体重計った後に、そういえば転校の時に学校に提出する書類の入った封筒の中に、健康診断の通知書があったことに思いいたって見てみたのだが、思わず素っ頓狂な声を上げてしまいました。



一年半分の記録には、全く変わらない身長と、変動の激しい体重が記されていた。



うちに来てすぐに計った体重、28kgという数字はどうやらひどく優秀な値だったらしく、記録を見る限り20kgを切っていた時もあったようだ。



ちなみに今は26kg。

安直と言われても構わない。肉を食わせねば!
結構な危機感の元、そう私は思ったのだ。





私なんて、減ったことなんてないのに。

どうやら成長期を脱したらしい私の身長も既に止まっていたが、体重増えることはあっても、悲しきかな、減ることはない。


ゆえに成長する必要のない私の肉は少し小さめ。そしてかなりのウェルダン。

油を抜くためと、口の周りが引き締められることを願ってみました。





出来上がった夕食にいただきますと手を合わせ、フォークとナイフを手に取る。


ステーキにナイフを入れて、ちょっと後悔。

固すぎたかもしれない…。



自業自得とはまさにこのことと、むしろ握力辺りが鍛えられそうになりながら食べつつ、ふと冬獅郎くんを見上げると。


……どこぞの上流階級ですか。あまりに見事なナイフ捌きでございました。

別段畏まった風というわけでもないのだが、ずいぶん手慣れているというか簡単そうにさらりとやってのけるというか。



むしろ、普段の箸使いの方が危ぶまれる位だと思いいたって、謎がまたひとつ。

一体この白髪少年は何者だ。


















「ご馳走様でした」



両手を合わせ、いつもの数倍は疲れたような食事を終えた。

いやもう、手と顎が疲労困憊。
引き締まるというか、むしろついた筋肉で膨らみそうだ。



少し先に食べ終えた冬ちゃんが、食器を片付けて横を通ったのを何気なく見送りながら、



「そこを動くな少年!」



制止の声をかけた。

反射的に止まった冬獅郎くんの傍まで歩いて行き、右足の七分丈のズボンをたくし上げると、赤く擦りむいた膝が現れた。



「やっぱり」



歩いた時にズボンの裾から、少し流れて固まった血が見えたのだ。

普段は私が見下ろしいるから気付かなかったのだろう。今は椅子に座っている私は目線が低いから。


この年頃だから擦り傷の一つや二つ、珍しくもないが、ちゃんと手当てされた気配もないそれがあまりに不衛生なのは言うまでもない。




不意に見上げたカレンダーに、



「ああ、運動会の練習かなにかでこけた?」



九月も半ばになって、十月にある運動会の練習がもうはじまったのだろうか。

頷いた冬獅郎くんを居間に座らせ、救急箱を取り出した。



消毒液でこびりついた血を落とし、患部の広さを確認して折り畳んだガーゼを被せ、テープで固定。



「怪我したらすぐに言うこと。分かりましたかー」



うにー、と柔らかい頬っぺたを引っ張ってやれば、小さめの頷きが返ってきた。


見事な白髪を思いっきり撫で回してやって、救急箱片手に立ち上がろうとした時、冬ちゃんがシャツの裾を引いた。



引き止めるような動きに何気なく振り返れば。


ぽん、と当てるように合わせられた、柔らかい頬。


呆然。





あの、なんて言うんですか?ほら、よく西の方のお国では頬っぺたにキスしたり頬っぺた合わせたり、どこそでは鼻くっつけたりなんかして挨拶したりなんだりしますよね。

どうも、アレのようです。





いやいやいや、ここ日本ですけどね?


仰天行動起こしてくれたマイ弟を、滑らかに回ってくれない首を動かして見上げてみれば、普段となんら変わらないご様子でズボンの裾戻しておられました。


どうやら彼にとって、別段特別な行動ではないらしいと悟って、




(ちょっとキュンとした私はどうしたらいいんですか)




新たに増えた謎に泣いた。

















。.。.。.。.。.。.。.。.。.。

やっちゃった\(^O^)/

こんな早くにやるつもりなかったのに、妄想止めきれませんでした…。


ささやかな抵抗が、ちゅーではなく頬っぺた同士ってことですかねぇ。


この際あんまり関係ない気もしますけどねー……( ̄― ̄)



とりあえず、シロにとって頬っぺちゅーが普通のことだということがシロを帰国子女(?)にした理由の一つ(ノ∀<*)←不純



ところで、シロが孤児院にいた設定になってますけど、現実とは多分、色々間違ってると思います(-。-;)

寛大に見てやって下さいませ(´▽`*;)


08.1.26


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