025
はじめて別登校したその日。
家に帰ってから、マイ弟がちょっと優しかった。
まぁ、本人の無愛想さというか、静かさは相変わらずではあるが、冬獅郎くんから受け取った学校からの保護者向けのプリントを読んでる間や、居間でテレビ見ながら寛いでる間、どれだけ構っても逃げなかった。
いやいや、結構ビックリ。
普段から、あんまりにも構うとすり抜けて本を読みに行ってしまったりして、長いことは傍にいてくれないのだが。
今日はもう、あのサラサラふわふわの羽毛みたいな髪も、私なんかよりずっときめ細かい肌も、とにかく触り放題。
今も後ろから抱え込んでテレビ見てても、抵抗ナシ。
なっ、なんか逆に不安になってきますが……。
それでも珍しいことなので、不意に思い付いて、
「冬ちゃん、ちょっとここに寝てごらん」
冬獅郎くんの華奢な背中を解放して、自分の膝を指差した。
テレビからそこに視線を移し、それから私の右手にある物を見て事態を理解した冬獅郎くんは、
後ずさりした。
なんでですか。
耳かきを片手に、私がなおも手まねきすると、渋るように私と耳かきを交互に見る。
その様子が、私には子犬のようにしか見えませんでした。
「ハーイいらっしゃい。耳悪くなったら困るからねー」
まあ八割方私の自己満足ですけど、冬獅郎くんを引き寄せて自分の膝に頭を乗せさせた。
ティッシュを一枚手に取り、まだ怯えたような顔をしている気がする冬ちゃんの頭を撫で、耳かき開始。
ホントにこの子は、耳の形まで整ってるわ。親の顔が見てみたい。
手前から少しずつ丁寧にしていると、膝上の冬獅郎くんの強張った体から緊張が解れていくのが分かった。
要するに、信用されてなかったってことデスカ。
「はい、反対」
くるっとひっくり返して、続行。
今度は抵抗ゼロで、完全に任せてくれる気になったみたいだ。
ゆるやかに膝から冬獅郎くんの頬っぺたの柔らかさや体温が、布越しに伝わってくる。
ああ、なんか何もかもが可愛いなあ……。
「ハイ終了。冬ちゃんもういいよ」
結構あっという間だった耳かきを終え、耳かきとティッシュを置く。
それから私とは反対のテレビの方を向いていたマイ弟を覗き込むと……
「寝てる……?」
なんともまあ、平和な顔して寝こけてましたよ、天使が一匹。
片手を私の膝の上に乗せて、かわいらしい寝顔して、ホントに襲ってやろうかしら。
いつもの憂い顔もぼんやりとした空気もまるでふっとんで、普通の子供の顔で軽い寝息をたてている。
早く普段でもこんな顔してくれるようになればいいと、冬獅郎くんの髪を梳いて、
テレビから流れ始めた夜のニュースが終わるまで、ひざ枕をしてやることにした。
。.。.。.。.。.。.。.。.。
寝顔萌え……いやむしろ、寝たことに対する萌え(>艸<*)
昨日の時点で半分書き終わってたんですけど、今日になって読み返したら自分でやたら萌えて、テンションで一気に書き上げました(。-∀-)♪
その時間、約10分(*>ω<)☆
これ書いてる内に萌えワールドが広がって、耳かきネタが増えたので、近い内また書くと思われます(ノ∀<*)
08.1.20
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