014



マイ弟が意志表示をするようになった。




最初は、そうめんを湯がいた時。

成長期の少年ってどれ位食べるんだと思いつつ、束を二把取り出して見せ、



「一応一人前ってこれなんだけど、食べれる?」



夏バテしてやいないかと聞いてみれば。



こく。



冬獅郎くんは軽く頷いた。

















えぇ、結構ビビりました。

出会った最初があまりにもあんまりな状態だったからか、たったそれだけのことが嬉しくて仕方ない。


これが他所の子で、何を聞いても首を振るだけだったら、このガキンチョめ位は思っていたかもしれない。





意志の疎通がはかれるって素晴らしいと思いながら、ついつい必要以上に質問をしたくなる衝動を抑える毎日だった。




ついでに、ニュースで母のロシアからのリポートをTVで見かけた日には、一緒の布団で寝てくれるようにもなった。



なんですか、ものすごく愛しいんですけど、この弟。



最高の抱き枕を手に入れた私は、春眠暁を覚えずどころか、年柄年中夜明けを見ることはなくなりそうだ。






なんだか毎日が楽しくなって、やたらと抱きしめてスキンシップを取っていたら、外ではやめてくれというような態度(決して口では言わない)を取られた。


まぁ、外暑いしね……。これが常識を踏まえての拒否だったら、ちょっとヘコむよマイ弟。








「さぁ弟よ、この暑い中死にそうな思いをして買ってきたアイスを心して食すがいい。抹茶とバニラ、どっちがいい?」



夕食後、いつかのアイスパシリの約束を果たして、ちょっとばかり奮発したお高いアイスを二つ、目の前に差し出して見せた。



冬獅郎くんの細っこい指が持ち上がって、抹茶を指差す。
まぁなんとなく予想はついてたけれど。



「結構、冬獅郎くん基本的に渋いよね」



抹茶アイスとスプーンを居間の卓の上に置いて、自分も隣の辺にバニラアイスを持って座った。




二人でTVを見ながらアイスをいただいていると、ぴたりと冬獅郎くんの動きが止まった。


耳になじんだ声に顔を上げれば、液晶画面の向こうに、タンクトップに薄いジャケットを腕まくりした母の姿。

暑いのか寒いのかいまいち分からない恰好だが、ジャンパー着れる位にはロシアは涼しいのかと羨ましく思う。





ふと視線を感じて視界を横転じると、期せずしてかちあった翡翠の瞳。

じっと見ていたのか真っすぐな目線に、



「……今夜もよろしくお願いします」



共寝の約束を取り付けた。

















。.。.。.。.。.。.。


あらあらまぁまぁ。

なんか勝手に進展してますけどどうしましょう、といいつつちょっと嬉しい管理人。


かわいいじゃないですかシロちゃん。こんな義弟いたら愛しすぎて嫁にやりたくないっすね。


今日ははからずも聖夜です。クリスマスプレゼントなんてうちではとうの昔に廃れました。この思わぬ進展を果たした妄想……いぇ、シロ連載が私へのプレゼントだな。



07.12.24


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