012
朝、起きた時、いつもはない温もりが腕の中にあって、緩やかな気分で目が覚めた。
とても心地がいい。
優しく抱き込むようにその温もりを抱えなおしたときに、それが少し身じろぎしたので、温もりの正体が冬獅郎くんだと思い出した。
しかし柔らかいな……
自分の頬を包む冬獅郎くんの髪に、ほうっと息をついて、ゆっくり目を開けた。
「………おはよう」
起きぬけのかすれた声で、緩んだ私の腕の中から顔を上げた冬獅郎くんに挨拶した。
ぱっちりと開かれた翡翠の瞳がまっすぐに私を見上げていたから、もしかしたら少し前から起きていたのかもしれない。
あんまり抱き心地のいいものだからしばらく抱いたまままどろんでいたかったけど、挨拶したからか既に緩んだ腕から起きる体勢に入っていた冬獅郎くんを引き止められなかった。
「あ"ー、びっくりする位よく眠れた」
俯せに枕に抱き着きながら言えば、顔だけ振り返ったマイ弟。
「ありがとうね」
言えば、ぎこちなく顔を反らされた。
その背中に笑って、
「さぁ、朝ご飯にしようか」
極楽地から立ち上がった。
起きた時間が時間だったので、本日最初のご飯は昼飯からスタートとなり、片付けを終えると冬獅郎くんを本屋デートへと誘った。
相変わらずうんともすんとも言わなかったので、果たして行きたいのか行きたくないのかは謎だが、家にばかりいても体がなまる。
あまりの炎天下に普段ははかないスカートを選んで、二人で家を出た。
マンションの一階に降りた時、噂好きで有名なおばさんを発見し、慌てて冬獅郎くんを入口の太い柱の影に連れ込んで身をひそめた。
「やぁねーホント、今のご時世、何があるかわかったもんじゃないわねー」
苦笑する同じマンションの住人を引き連れ、おばさんはマンションへと入っていった。
それを息をひそめて見送り、姿と声が聞こえなくなったところでほっと息をついた。
「あのおばさんには気をつけるのよ」
諭すように言うと、冬獅郎くんは不思議そうな顔をした(と思う)。
「挨拶ひとつ交わしたのが発端で、とんでもない噂が飛び交うことになるから」
中学の部活の合宿で、でかいスポーツバッグを抱えて家をあけた時、出掛けにあのおばさんと遭遇して挨拶をし、数日後に帰ってきた時には、私は男の家に泊まり歩く淫乱少女になっていた。
まぁその誤解は同じ中学に通っていた違う階の長谷田君によって早々に解かれたのだが。
しみじみそんな話をしながら歩いていると、隣の冬獅郎くんは微妙な顔になっていた。
うちが孤児院から冬獅郎くんを引き取ったなんてあのおばさんが知ったら、どんな噂が立つやら想像もつかない。
というのは心中に留めて置いて、あのおばさんの噂に出て来るTOP3にランクする母(理由は主に子供をほったらかして危険地帯をとびまわっていること)は、心底おばさんを敵視しているということだけ伝えて置いた。
「わっ、ナイスタイミング」
広い敷地面積の古本も扱う大型書店に来て、私は思わず指を鳴らした。
「冬ちゃん、セールやってるよ、セール!」
ワゴンセールをやっているのを見て満面の笑みを浮かべ、自分の方が勇んで乗り込んで行った。
。.。.。.。.。.。.
シロちゃん映画公開おめでとう★
ということで。
もうあれはシロの映画ということでえぇですよね。
今昼なんで、日にちが変わるまで粘ってもうちょい頑張ってみたいですが……出来るかな(ヲィ
しかし本誌のシロのカラーは絶品だった。髪下ろしたあのカラーは萌え死にましたよ。
ということで、この連載のシロもあの髪型でいきたいと思います。(ぇ
だって立てるのに毎日セットしてる姿なんて浮かばない…妄想力の問題?
ちなみに本誌の内容は読んでません管理人です。
あらかたの内容はヲタ友に聞きましたけど……とりあえず映画も本誌もDVDと単行本出るまで我慢することになりそうです……(;___)
07.12.22
あ、ベルの誕生日だ。
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