1.


春うらら。

日本にしては珍しく、緩やかな起伏が連なるこの土地は、色んなものが無理矢理詰め込まれたような都会と違って、何もかもがのびのびとしたような印象を受ける。


小高い場所には別荘群もあるほど緑にも恵まれたこの街で、一番目立つ建物が病院だった。

都会じゃとても実現出来ない広い敷地と、最近改装、増築された横に広い白亜の城は、遠目にもよく目に付いた。



名医も集う、リハビリセンターや老人ホームまで併合されたこの病院へ、この日私は歯痛という情けない理由でやってきていた。





初診を終え、煉瓦の道が見える庭を横目に見ながら、奥まった場所に位置する歯科から院内を渡り歩くようにして戻る。



薬と領収書をジャージのポケットに突っ込み、外科の建物まで来て、制服の入ったスポーツバックとテニスラケットを背中に回した時だった。



「キャアッ!!」



女性の叫び声と共に、ガシャーンという派手な音が聞こえた。

驚いて顔を上げた先、吹き抜けのホールの廊下との曲がり角で、ストレッチャーと車椅子が衝突している。


壁に寄り掛かるようにして傾いたストレッチャーは、幸いにして無人だったが、完全に横転してしまった車椅子に乗っていたらしい人が、床に投げ出されていた。



「すみません!!」



ストレッチャーを押していた若い看護婦が、床の患者に飛び付くようにして駆け寄った。

ナースステーションや待合室からも離れた、渡り廊下前のこの小さなホールに、他に彼らを助けられそうな人もない。


足元に飛んできた、車椅子の患者さんの物と思われる眼鏡を拾い上げて、私は二人に声を掛けた。



「大丈夫ですか!?」



こちらを見上げた看護婦は、今にも泣きそうな顔をしていた。無理もない。


患者さんは下を向いていて紫の髪に顔が隠れていたが、私の声に重そうに顔を上げた。


ガラス張りのホールの天井から差し込む陽射しに今にも溶けさってしまいそうな仄白い肌の上を、さらさらと髪が流れていった。



現れた、嘘みたいに綺麗な赤い瞳が、どこか虚ろに私を捉えた。





どっかの安い小説みたいに、時間が止まった気がした。

















。.。.。.。.。.。.。.


やっちゃったんだZE\(^O^)/


管理人の趣味全開連載。
原作沿いにしないのは、原作の鬱展開に心が折れるからです。ええ、そりゃあもう簡単に折れます。



原作がどうなろうと、KYになろうと、ハッピーエンド目指して突き進みます。猪突猛進です。止めないで下さい。



一瞬、連載対象をティエリアじゃなくてリジェネにしようとか思ってたのは、秘密です(ゼロス的意味で


夢対象キャラが病み気味ばっかりやな、とか言 わ な い の V(某アゲ嬢芸人的意味で



すみません、変な管理人で。
連載も多分こんな感じで進むと思いますので(ぇ


090130


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