お前と出会って、

お前を好きになって、

お前と恋人になって、

それ以上、どんな幸せを望むって言うんだ。




毎日の日課のように、お風呂上がりに携帯を開く。
当然のように入ってるメール、明日の連絡。
画面をスクロールしてみるけどその先はない。

相変わらずドライな奴だな、

と思った直後、
携帯が鳴った。

さっきみたばかりの名前に
思わず口元がゆるむ。
すぐに通話ボタンを押して電話に出た。

「もしもし日向?」
『おう、伊月』
「どうしたんだ?」

嬉しさを噛みしめながら、日向に話を促すと、電話の向こうで日向が唸る気配がした。

『…別に、声聞きたくなっただけだよ。お前こそ、どうした。声弾んでるな。いいことでもあったか?』

ふてくされたような声音の後、やり返しとばかりに楽しそうな声が聞こえる。
馬鹿。俺が返事に詰まるわけないだろ。

「うん。あった。日向の声が聞きたいタイミングで日向から電話があった」
『ばーか』

しれっとした調子で返すと、存外まんざらじゃないらしい日向の声。

くだらない。
くだらない会話だ。

でも、
普通の恋人同士みたいだった。

俺はベッドに足を投げ出して、壁を背もたれに座った。
完全に長電話の姿勢だ。
頭の上の窓から月の光が入ってくる。

「日向、明日朝練どうする?」
『あー…明日の朝は集会があるのか』

電話ごしに、日向の声が聞こえる。
俺よりちょっと低くて、太い。
響く。
俺の中にじんわり響く。
日向の声も、結構好きなんだ。

声もっていうか、全部。

だからかな。
声を聞いてたら無性に会いたくなってきた。
もう11時を回ってる。
もうすぐ明日になる。
明日も平日だから、朝から日向に会える。
だけど、なんだか今、無性に会いたくなった。

月灯りが窓から入り込んでいる。

『――で、』
「日向」

つい伝えたくなった言葉。
きっと日向は知らない。

『あ?』
「月が綺麗ですね」
『ああ…まぁ、そりゃ晴れてたからな』

やっぱりね。
伝えたら、続いてカーテンを引く音がした。きっと空を見上げたんだ。

「日向」
『なんだ?』

「好きだよ」


もうこの数時間がまるで10年にも20年にも感じる位、

君に会いたい。





あとがき


読んでいただきありがとうございました!
リク主風狸様のみお持ち帰り可です!
申し訳ありません風狸様m(_ _)m
お互いの家で、
メールのやり取りしてて、たいしたことない話なのに、
とても待ち遠しく思ってる二人

というリクだったにも関わらず、電話にまで発展してしまいましたっホント申し訳ありませんっお待たせしました

また来ていただけると幸いです(´ω`*)






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