あいつは狡い
つくづく、
あいつは自分の容姿を自覚するべきだと思う。
「あ゛ぢーぃ」
「…」
「あぢーい」
「……」
「あ「るっせぇな暑苦しい!」
後ろから聞こえてくる不景気な声にいい加減いらいらして俺のベッドで伸びてる伊月を振り返った。
「だって暑いんだもん、この部屋。なんで扇風機だけなわけ」
籠もった熱を逃がそうと手足をばたつかせる伊月。
動けばそこから熱が発生するが確かにそうしたい気分なことは否定できない。
「冷房着けたら体力落ちんだろ」
「そこまでするかー」
「そこまでするんデス」
ふざけて返しながら、俺は前へと向き直った。
平常心、平常心。
暑さで理性がどうにかなりそうだった。
だって伊月の馬鹿が。
いいわけのように腐る。
ベッドに乗り上げてばたばたするからシャツは危うく手を出しそうなくらいまでめくられてるし
暑いからとまくしあげられた袖からは伊月の華奢な肩が見えている。
それに加え、
暑さにあてられ逆上せたように紅潮した面だとか、
汗で首筋やら額やらにくっついた髪だとか。
仕舞いにはあの瞳だ。
暑いからなのか微かに充血し涙目になってるとことか当に。
振り返れば伊月の、そんな、情事を思い浮かべさせられるような様子を見て誰が平静でいられるというんだ。
それも、恋人という立場を得ていて。
あ゛ー…目に毒。
なんとか伊月を視界にいれないように努力をしながら机に向かう。
とかいいつつ目に入ってしまうのは男の悲しい性というかなんというか。
「ひゅーがっ」
「うわっ!?」
不意に視界が揺れた。
背中に慣れた重さが覆い被さり一気に暑さが増す。
「伊月?!」
背中に抱きついてきた伊月の腕が首に絡まる。
「構え。馬鹿ひゅーが」
顔が近い。
あれだな。
俺の理性ここどぶち切れても許されるよな。
「って、日向っ!?」
腕を引いて伊月の唇に自分のそれを重ねながらそのまま伊月をベッドに押し倒す。
ばたばたと抵抗する身体を抑えつけて口元を歪めた。
「構ってほしいんだろ?」
「ちょ、なんでクラッチ入って…っ」
いいかげん煩い伊月の口を塞いで、その瞳をのぞき込んだ。
暑さで潤んでいた瞳は、今度は期待で濡れて。
お前、もっと自分のこと知るべきだ
あとがき
相互感謝です♪(・ω・´)
ちるこ様に捧げます。
遅くなってしまって申し訳ありません(・ω・`)
こんな感じで
いかがでしょうかっ
気になる所などありましたら遠慮なくどうぞ返却も可です
(・ω・`)
相互ありがとうございました♪