特になにか考えてた訳ではない。
ただ、そこにあった。それだけだった。




「…」
「……」

無言のまま見つめ合う。
少し高めの日向の目線に合わせているから、見上げている形になっている。
対する日向は、虚を突かれたような、驚いた顔。

「…」
「……伊月、」

たっぷり時間を置いて、彼は口を開いた。

「…何、してんだ?」
「………はんほはふ」

訳はなんとなく、だ。
くわえたままの口じゃまともに言葉を紡ぐこともできない。

「…とりあえず、離そうか」
「ん」

頭に手を乗せられて、俺は保持していた日向の手を離した。

今日は寝不足だった。
それが祟ったのか、二人揃って机に向かい、次の対戦相手の話をしている途中で眠気に襲われた。
そこで目に入ったのが日向の手で、
何か考える暇もなく、俺のそれよりいくらかでかい、その手を取って指をくわえていた。

日向が驚くのも無理はない。
というか、率直に言って当たり前。

くわえてから、我に返った。

目をそらしながら、ちょっとずつ後ずさると、する、と腰に腕を回された。

「誘ってる、って取ってもいいんだよな?」

にっこりとクラッチタイムばりの笑顔で身体を引き寄せられる。
なんとか逃げだそうと腰に添えられた腕に手を乗せて力を込めるけど、俺より体格がいい日向に勝てる筈がない。

「な、なんとなくって言っただろ?!」
「つまり、自分の行動が抑制できない程欲求不満ってことだよな」
「そんなこと言ってない!」
「言ってるよ」
「〜〜〜〜ッ」

言い募ろうにも、言うこと全てが日向の都合のいいように解釈される。

なんでこういうことにばっか頭回るんだよバカじゃないのか!?

「…っ、ひゅうっ」
「黙れよ」

煩いとばかりに唇を唇で塞がれた。

小さくリップ音を起てて唇が放れる。恐る恐る顔を上げると、

獣のように光る瞳と目が合った。

「―――…ッ、」



なんとなく、だったのに。

日向に捕まるとにげられない。





あとがき



相互感謝です\(^O^)/
どちらかの家でイチャつく日月
というリクでしたが、
いちゃっていうか、
見事に日向クラッチタイム
入っちゃったのですが…
こ、
これでよかったのでしょうか
リク主の祭様のみ
お持ち帰り自由ですW
気になるところとかありましたら遠慮なく言っちゃってくださいww
相互ありがとうございました♪





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