2014/04/16 08:04
立ち向かう:降旗光樹
 初めての試合は、いまでも覚えてる。
 沢山の光と、人と、大きな体育館。どの人も、見ているのは俺たちの試合。強豪海常と対する誠凛のピンチに突然現れた一年生。当然俺に向くのはこのピンチを脱するパフォーマンスを求める期待。たくさんの目。それを意識して途端に身体が重たくなった。
 脚ってどうやって動かすんだっけ。腕に力を入れるにはどうしたらいい?音が聞こえない。急に視界が狭くなった。
 歩くのってどうすんだ?早く走る方法は?ボールにはどうやって触ればいい。

 息の仕方が分からなくなった。

 俺は何のためにここに。

 こうしている間にも着々と試合は進む。途中加入した俺に合わせて、ゆっくりと試合が進む。チームの仲間が、先輩が、俺を支えてくれている。
 それなら、俺はそれに応える。それしかできない。

 人の視線が怖い。まだどうしたらいいかわからない。体も動かない。
 でも、それでも俺を支えているのは、その怖いものたちだった。

 俺は、変なことしてないか?変なこと言ってないか?カントクは、いつもの俺でいいって言ったけど。
 みんなの脚ひっぱってないか。知らないうちにかんに障るようなこと、やってないよな、俺。

 ふと。
 黒子の空色が見えた。

 ……それでもいいのかも知れない。

 俺の周りにいるのは、お互いに高めあえる、そういう仲間たちなんだ。

 今だから言える。
 俺は恵まれてんだ。沢山の人に支えられている。沢山の人に頼りにされている。たくさんのひとに、愛されている。

 じゃあ、俺がやるのはひとつだけ。

 この動かない身体を動かして、この使い方が分からない手足を無茶苦茶にでも使って、ゆっくり、俺らしく。
 息はまだ、乱れたままだけど。

 俺にできるのはそれだけだったから。




こんばんは。お久しぶりです。
大分久しぶりになりました。高校卒業して以来の感情に振り回されて最近精神が安定していません。
とりあえず、吐き出したかったので、寝る前の寝ぼけた状態で書いたSSでした。
最近は、人と話すと後悔しかしていない気がします。



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