2013/05/03 15:19
日月
【実録】うちの両親【日月♀】

こんにちは。
僕の名前はテツヤと申します。

今日はうちの両親の話をしてみようかと思います。

僕はもうすぐ20歳を迎えようとしている今年で19歳。それ19歳じゃんとかっていう突っ込みはなしの方向で。

うちの両親は幼馴染みらしく、結構早めに結婚してます。
だから、19歳の僕に対して母、俊は現在40歳の可愛い人です。
可愛いんです。
リビングを林にする積もりなのか、よく観葉植物を買ってきては父の順平に怒られてます。そうやって拗ねた顔もまた可愛らしい人です。
かと思えば、キャリアウーマン。職場では結構頼りにされてるみたいです。たまに田舎のひいおじいちゃんの所に帰っては棚なんかを作ってくるアクティブさ。
たまにダジャレなんかを言って父に怒られますが、そこで拗ねてるのもまた可愛い。
全くもって可愛らしい人です。

そんな母を嫁に貰った父は、なんだかんだと頭が固い人です。趣味は戦国フィギュアを集めること。おかけで日本史の戦国時代は平均以上の点数はとれたけど、たまに1時間以上も語るのに付き合わされるのは勘弁してもらいたい。

僕は母が大好きです。



まずはそう。ある日のこと。
僕は何時ものように部活の後にちょっと遅くなって家に帰りました。
「ただいま」
「おかえりー。先にお風呂入っちゃって」
家に帰って声をかけると、母は夕食を作っている最中。はい、と答えてお風呂で汗を流す。
この時まで僕は、その日が特別な日だと言うことを忘れていました。

お風呂からあがって、夕食を作る母の横で、食事の準備をしていました。
母は料理が上手くて、外なんかに食べに行くよりも家に帰って食べる方が好きです。たまにお腹へったからといってバニラシェイクを飲んで帰ったりすると、夕食が終わる頃にはお腹がパンパンになってしまいます。だからと言ってバニラシェイクを譲る気はありませんがキリリッ
どちらもおいしくありがたくいただきます。

そうしているとガチャリと玄関が開く音が聞こえてきました。
父が帰って来たのでしょう。
母がおかえり、と声をかけ、僕もそれに倣います。

リビングの扉が開くと、真っ先に目に入ったのは、真っ赤な、薔薇の花束。

僕は思わずポカンとしてしまいました。

今日なにかあったか、とカレンダーを見てみると、なるほど。
結婚記念日でした。

父が、結婚記念日に19本の赤い薔薇の花束を買ってきたのです。
19本の薔薇の花束。それは、忍耐と期待って意味だったでしょうか。これからもずっと一緒にいてくださいってことですかね?
普段そんなことをしない父に、思わず笑みが。だって、車の免許を持っているとは言え、父は原付で通勤している筈です。
原付でこれをもって帰って来たのかと思うと。

母は、その薔薇の花束を受け取り、嬉しそうに笑いました。
くそう、可愛い。
笑いあう両親が可愛い。

次に目がいったのは、父が持っていた小さな袋。
それには、なにか食べ物が入っているようで。

「ねぇ、それなに??」
「え、ああ。はい。やる」
「ぅわ!やった!!これ食べたかったんだ!」

それは以前から母が食べたいと言っていた、以前テレビで特集されていた唐揚げ。
それを持って喜ぶ姿は花束を貰った時よりも嬉しそう。

その日の夕食に、唐揚げは並んでいました。
父のなんだか複雑そうな表情にザマァなんて思ってないけど思いながら、唐揚げは美味しくいただきました。

後日、薔薇の花束は花瓶に生けられ、暫く部屋を華やかに彩り、枯れてしまう前にドライフラワーにされてまた部屋に飾られていました。



またある日。
ダイニングテーブルでPCを開き、小論文の作成。自室でPCを使うことを禁じられている我が家では当たり前で日常風景。

その横、テレビの前で、母は父の膝枕で二人揃ってテレビを眺めていました。
それも日常風景であり、酷いときはこれに僕と、よく我が家に遊びに来る従兄弟なんかも混ざる。
カーペットに川の字に転がってテレビを見ることもある。
もう家を出て独り暮らしをしている弟の大我君がいる時には、4人で転がったものだ。当然狭かったが。

さて。その日も、いつもと同じように、膝枕でテレビを見ている二人を日常風景に、PCを開いて学校の課題。

沢山の文章や、単語、知識をいっぺんに頭に詰め込んで、くらくらしてきた辺りで一度顔をあげた。

そこで。
一体どんな話からそうなったのか。
膝枕をしてもらっていた母が、父の襟首を掴んで自分の方に引き寄せた。

僕は思わず思考が停止しました。
ええしましたとも。
普通なら、そこからキスしても問題ないような流れで、母は父を引き寄せたのです。

しかしそのまま唇は重ならず、母はほら、臭い!と父の服の臭いを嗅いで、何事もなかったかのように話を続けます。
僕の思考は止まったまま。
そんな想像をしてしまったことにもなんだか申し訳ない気分です。

一体全体、なにがどうしてそんな行動に出ることになったのか。
それは今でも分かりません。



例えば。我が家特有の会話があります。
大我くんがいるころは、いちいち真に受ける大我くんは天使に見えたものです。
そんな大我くんは、親戚中に愛され、たまに分かりやすい嘘に騙され、可愛がられていました。
僕の弟マジ天使。

その会話は、大抵がテレビを見ているときに繰り広げられます。

「へぇ、この俳優結婚したんだ」

例えばこんなとき。
たまに、父と同じ名字のイケメン俳優に対して私この人と結婚したかったなぁなんて溢す母である。
基本的に芸能関係が疎い我が家はこんな情報は遅い。何気に我が家で一番情報が早いのが父だ。

「そうらしいな。俺大分前から知ってたけど」

「え、なんで?連絡あった?」

「おう。あった。確か3日位前かな」

「えー、私にはなかったのに」

こうやって、有名芸能人がさも知り合いかのように話が展開されます。
さらに、結婚式よんでほしかった、など。
なんでそこでなんの疑問もなく会話続いちゃうんですかああもうほら大我くんが混乱してるじゃないですか。
でも何気にこういう息のあった会話は何だかんだで喧嘩の多い両親が仲がいい証拠みたいで好きなんです。
まぁ、多感な時期な大我くんは、一時期喧嘩するたびに不安そうな顔で僕の部屋に来てましたが。
可愛い弟マジ天使です。



さてはて。
今日も今日とて大学に行く。
昨日も喧嘩していた両親。喧嘩の次の日は機嫌が悪いからちょっと帰るのが億劫です。時間潰しにストリートバスケのコートに寄れば、久しぶりに高校時代を一緒に過ごした仲間に出会った。

どうしているのかと問うと今日は日曜だからと返事が返ってきました。
昔のように、バスケをしたいところだが、今日は大学の帰り。ちゃんと集中したいからと、近くの家に一旦帰る。
一人でバスケするのならこのままでいいけれど、みんなでするのならこのままというわけにもいかないでしょう。
日曜ということは、県内に住んでいる大我くんも帰ってきているはずですし、みんなで遊んだ方が楽しいですもんね。

すたすたと家路を急ぐ。
ただいま、と我が家の玄関を開けるが返事はない。
靴は父のぶんと母のぶん。
二人ともいるはずだけど。

訝しく思いながら、リビングに行けば、父がカーペットで毛布を抱き締めて眠っているのが見えた。
その父が眠っているのを覗き込んでみると、毛布にくるまった母が眠っていました。
父が母を毛布ごと抱き締めて眠っている、その様子は表現のしようもないくらい可愛くて。

喧嘩した昨日の今日なのに。

今日も僕の家族は平和です。


(ただいまー)
(おかえり)
(なに、母さんなち寝てンの?)
(そう。大我くん、バスケしにいきません?降旗くんたちが来てましたよ)
(マジで?行く)


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