□願 3/3 皆本が病室の近くの椅子に腰掛けていると、薫がやってきた 「皆本・・・今のその表情、死んでるぞ?」 「ちょっと薫ちゃん・・・!?」 紫穂の制止も聞かず、薫は続ける 「センセイが目を覚ましたときに、そんなんで顔でいいのかよ? 笑って、お帰りって出迎えてやれよ!」 薫の言葉が皆本をはっとさせられた 「薫・・・」 「センセイのことだから、けろっと目を覚ますって!」 「そうだよな・・・。薫、ありがとう・・・」 皆本の表情が少し和らいだ その場にいた紫穂や葵も、ホッと胸を撫で下ろした そうだ、過ぎたことは仕方がないんだ これから、悔やむことのないよう 今、僕に出来る精一杯を君に捧げよう 君が目を覚ましたら、 心配させないように、安心できるように、 笑って抱きしめるから だから、早く・・・“皆本”っていつもの様に呼んでくれ すると突如、静寂に包まれた廊下に足音が鳴り響いた 「賢木先生の容態が・・・!!」 ← |