□願 
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皆本が病室の近くの椅子に腰掛けていると、薫がやってきた

「皆本・・・今のその表情、死んでるぞ?」

「ちょっと薫ちゃん・・・!?」

紫穂の制止も聞かず、薫は続ける

「センセイが目を覚ましたときに、そんなんで顔でいいのかよ?
笑って、お帰りって出迎えてやれよ!」

薫の言葉が皆本をはっとさせられた

「薫・・・」

「センセイのことだから、けろっと目を覚ますって!」

「そうだよな・・・。薫、ありがとう・・・」

皆本の表情が少し和らいだ

その場にいた紫穂や葵も、ホッと胸を撫で下ろした


そうだ、過ぎたことは仕方がないんだ

これから、悔やむことのないよう

今、僕に出来る精一杯を君に捧げよう


君が目を覚ましたら、

心配させないように、安心できるように、

笑って抱きしめるから


だから、早く・・・“皆本”っていつもの様に呼んでくれ




すると突如、静寂に包まれた廊下に足音が鳴り響いた



「賢木先生の容態が・・・!!」






  
   


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