□深淵 
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何もやることのない賢木は瞑想に耽る



日に日に大きくなっていく感情から、目を逸らしていたことに俺は薄々気付いていた

コメリカの頃から他の奴とは違うかった皆本

俺の中で特別な感情が芽生えたのはいつだっただろう

俺とお前の関係は、なかなか良好だったはずだ

恋人同士とはいえないが、友人以上の・・・何か言葉に出来ないような絆があったと思う

すべて俺の思い込みかもしれないが・・・

そんな関係を、俺の一言で壊してしまうには惜しかった
お前の中での俺に対する評価が一変してしまうだろう

お前には出来る限り嘘をつきたくないし、ありのままの自分を見てほしい

でも、ひたむきで輝いているお前には、悪夢のようなあの夜のことを知ってほしくない
あの夜の出来事は、俺と管理官の心の奥底にしまっておこう・・・――



賢木は首を反らして白い天井を見つめた

このまま意識を失ったら、現実に戻っているのだろうか
それとも目を覚ますことなく死へと向かうのだろうか



薄れゆく意識の中で賢木は目を閉じた



  
   


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