□爆発 2/5
「っお前は…!」
動揺のあまり、蚊のような声しか出せなかった
その顔には見覚えがあった
あの悪夢のような夜に駐車場で俺を襲った警備員だった
男が苦しそうに唸っている
賢木は男に能力を発動した
この男は狭心症のようだ
男の感情が流れ込んでくる
――お前は俺のことを、助けてくれるのか?
男は皮肉った笑みを浮かべた
「っ…!!」
賢木は唇を噛んだ
――目の前にいる男を今すぐにでも捕まえたい
だが、目の前の男は苦しんでいる
医者だから、病気で苦しんでいる人は助けてあげるのが役目だ
目の前の奴がたとえ罪人であったとしても…――
賢木は男の衣服ゆるめ、安静にさせた
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