□迷 
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バンッ


「さっ…賢木先生っ!!!」

ゼェゼェと肩で息をしながら診察室に飛び込んできたのは谷崎主任だった



「…どうしたんですか?」

大体の予想はついているが一応訊いてみた


「私のナオミがっ・・・!?」


「ちょっと血が出たからってそんなに騒ぐんじゃねー!!!!」


ナオミが谷崎を壁に叩きつけた

今の一撃で、ナオミより谷崎のほうが患者に見える


(この人はこれさえなけりゃ良いんだけど…)


二人のやり取りで状態を把握した賢木は、先程まで考えていた暗い感情を押し殺した


「このぐらいだったら痕は残らねえから大丈夫。ちょっとしみるかも…」


「あっ…痛っ…」



消毒液をふくませた脱脂綿をピンセットでつまみ傷を消毒していると、
谷崎主任が物凄い血相で賢木を睨んでいる


……賢木は見なかったことにした



  
   


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