□緊張 4/4 「っすいません…!!」 「いえ、気にしないでください」 嫌な態度をとってしまった賢木に、顔色ひとつ変えず手渡してくれた 今度は振り払わないように気を付けながら人形を受け取った "なんだよコイツ…!!せっかく拾ってやったのに振り払いやがった。拾うんじゃなかった…" 受け取った瞬間流れてきた思考に、賢木の顔は強張った (まぁ、そりゃそう思うよな…。せっかく拾ったのにあんな態度とられたら…) 立ち止まっているうちに追っていた男を見失ってしまった 手に握っていた携帯から着信音が流れ、画面を見ると皆本からだった 「もしもしっ…!!賢木っ今何処にいるんだ!?」 電話越しでも心配しているのは伝わった 「あー…近くにいるから、トイレの前で待っててくれるか?」 「…分かった」 電話を切った後、少し画面を見つめていた 画面に映った自分の顔を見て苦笑した (こんな顔じゃ何があったか訊かれちまうよな…。俺ってこんなにネガティブだったか?) 数回頬を叩き、強張った顔の緊張を解いた 一息ついてから、皆本が待っているトイレへと向かった ← |