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※恋人設定



「ねぇジャン、今日何の日か知ってる?」
「ハロウィンだろ」
「あ、意外。知ってたんだね」
「お前の格好見りゃそら分かるわ」

帽子からドレス、靴まで黒で統一されたロゼッタは、所謂魔女の格好である。ついでに駄目押しとばかりにジャック・オ・ランタンを象った籠を手に持っているのだ、気付かない訳がない。

「にしても……結構似合ってんな」
「ほんと? ありがと!」

気合いの入ったロゼッタの全身を凝視し、ジャンはこれまでの認識を改めることにした。今までジャンにとってそこまで重要視するイベントでは無かったが、普段と違うロゼッタの格好を見れるなら、ハロウィンも悪くない。

と、ロゼッタの目が何かを求めているようだったので、口を開く。

「あー、こういう時は確か、トリックオアトリート? だったか?」
「うん。ハッピーハロウィン!」

にぱっ、と笑って突き出されたロゼッタの手には、ラッピングされたクッキー。どうやらハロウィンに因んで南瓜味らしい。
ロゼッタはどうやら、手作りの菓子等を食べた時のジャンの反応が好きらしく、何かに付けてこうして菓子を作ってくる。反応と言っても、精々『美味い』とかそれくらいなのだが。
美味いことは事実なので、有り難く貰っておく。

「私からも、トリックオアトリート」

ロゼッタの言葉に意表を突かれ、ジャンは目を瞬いた。

「悪ィ、何もねぇわ」

がっかりするかな、という予想とは違い、ロゼッタは微笑んだ。悪戯っぽい無邪気さの中に、ほんのりと色気を感じさせる笑みだ。

「そういうと思ってた。じゃあ、悪戯ね」

言うなり、ロゼッタはジャンの首に腕を絡めた。突然のことに動揺したジャンは、そのまま下に引っ張られるがままに体勢を低くする。

ちゅっ、と可愛らしいリップ音と共に、鼻先に柔らかい感触がした。
我に返ったジャンがなまえを見遣ると、すぐに腕が解かれてしまう。勿体ない、という言葉が頭を過ぎった。

「……びっくりした?」
「ああ、」

上目遣いに笑った顔とか、自分から仕掛けたくせにうっすらと色付く頬とか。ついさっき、鼻先に触れた唇だとか。
全部引っくるめて、

……畜生、可愛い。

「なあ、ロゼッタ」
「んー?」
「……トリックオアトリート」

悪戯心を擽られ、耳元で呟く。くすぐったかったのか「ひゃっ」と肩を竦めたロゼッタは、呟かれた言葉の意味を嚥下して目を見開いた。

「えぇ!? 二回目は無しだよ、無し!」
「知らねぇよ、んなこと」
「なっ……!!」

文句を言いかけた唇を問答無用で塞いでやれば、ロゼッタの頬に紅が散った。


悪戯を所望致します。

(たまにはされるのも悪くない)




天音様のサイトのハロウィン企画でフリー配布だということで頂いてきました!
ジャンカッコいい!夢主可愛い!
天音様のジャン夢とか、私得すぎてどうしようもないです。
私にできることはニヤけることだけです。

素敵な作品をありがとうございました^^

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