捧げもの | ナノ
心配性

「ロゼッタ、いてぇ」

「ジャンが起きないのが悪いのー!」


昨日はTVに夢中になりすぎていつの間にか日付をまたいでいたのを覚えてる。
まぁ明日は学校もないからいいか、と自室に戻り漫画を読み漁って夜更かしをした。
だが眠気には逆らえずいつの間にか寝てしまっていたようだ。

せっかく休みなのだからとことん寝たい。
しかしそんなジャンの望みは一瞬にして消し去った。今目の前にいる恋人の手で。


「なんで朝からいるんだよ」

「いちゃダメなの?」

「いや、だめっつーか、連絡くらいしろよ」

「したよ。ジャンが出なかったんだもん」


確かに、寝ていたから着信音になど気づかなかった。
着信画面を見ると履歴4件。こいつ、ほんとに俺のこと大好きだな。

自分で言うのもなんだが、ロゼッタは俺と一緒にいる間、ずっと離れようとしない。
餌をねだる猫のように・・・いや、主人に忠実な犬か?どっちでもいいが。

だからといって、俺の部屋に勝手に侵入するアホはこいつ以外にはいないだろう。


「で、何か用なんだろ?」


自分の上に乗っかってたロゼッタを押しのけるといとも簡単に小柄なロゼッタはベッドに転げ落ちた。
そのまま部屋着に着替えて何も言わないロゼッタの方を見るとなぜか不機嫌なようで、リスのように頬を膨らませている。


「なんだよ。なんで怒ってんだ?」


目も合わせようとしないロゼッタにジャンはため息を漏らす。
ロゼッタの機嫌が悪いときは大抵少し放置していればまた甘えてくるに決まっている。
少なくとも、今まではそうだった。

このままでいられるのも面倒なので、何か機嫌取りにお菓子でも持ってこようかと扉の方へ歩こうとすると、裾に違和感を感じた。
違和感を目でたどってみると、予想通りふくれっ面のロゼッタが裾を握っていた。


「おい、なんだよ、っ?」


ロゼッタの手を解こうと握ると、不意に腰のあたりが暖かくなった。
その正体は当然ロゼッタで、顔をジャンの腰に埋めたまま上げようとしない。
耳が真っ赤だから、きっと顔も真っ赤なのだろう。


「あーったく。どうしたってんだよ」

「・・・心配だったの」

「あ?」

「ジャンが電話に出ないから、何かあったのかもって、心配だったの!」


いきなり大声でそんなことを言うものだからジャンも呆気にとられた。

心配だった?ただ寝過ごしていただけだというのに。
そんなことで家まで様子を見に来たって言うのか、こいつは。本物のアホか。


考えてることとは裏腹に、自然と緩む自分の口。

軽く頭をたたくと恐る恐るといった感じで自分を見上げる真っ赤な顔のロゼッタ。

ちくしょう、なんでこんなに可愛いんだ。


未だに顔を赤くしてるロゼッタの額に唇を落とす。
目を見開いたロゼッタは、ますます顔を赤く染める。

可愛すぎてにやけてしまう。
なんだかんだ言って俺もロゼッタが好きで仕方ないのだ。







天音様に捧げます。
相互記念のジャン夢です!

なんだか、現パロっていう設定をうまく活かせてない気が・・・
こんなのでよろしければ、天音様、貰ってください><

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