02


「なぁお前、いつもここにいるだろ」

「え、あの、うん」

「なんでいつも一人なんだ?」

「なんでって・・・。えっと、友達、いないから」

「友達?そんなの、俺がなってやるよ!」


懐かしい、夢を見た。ずっと昔の、忘れられないあの日。私の心の中に、色がついた。お婆ちゃんが死んでしまって一人だった私に、手を差し伸べてくれた彼は綺麗で。


「お前の目、変わってるな」

「うん・・・。この目のせいで、皆から気持ち悪いって言われるの」

「気持ち悪い?俺は綺麗だと思うけどな」

「、あ、ありがとう・・・!」


ひたすらに美しかったあの景色は、今もあるのだろうか。彼と歩いた、あの花の咲いている道はまだあるのだろうか。


「なまえ、今日は俺の仲間に合わせてやる!」

「え、本当に?・・・でも、」

「大丈夫だって、友達が欲しいんだろ?」

「そ、そうだけど」


あぁ、そうだ、確かここから始まったんだっけ。


「何だよコイツ、気持ちわりぃ!」

「母さんが言ってたぞ、こいつには近寄らない方がいいって!」

「一人で町のはずれに住んでるらしいぞ。きっと悪魔だ!」

「おい、待てよ!なまえはそんなんじゃねぇって、」

「ごめんなさい、」


夢にまで出てきて、苦しめるのね。だけど、一番傷ついたのはきっと彼だ。だって私は、慣れきっているから。


「うッ・・・グス・・・・」

「ジャ、ジャン・・・・、その、」

「、触んなよ、化け物!」

「ッ、」

「お前の、お前のせいで、俺は一人になったんだッ!」

「ご、ごめんなさッ」

「もう、二度と俺に近づくな!」

「・・・、ごめん、なさい」


彼に人を拒絶することを教えてしまった私は、謝ることしかできなくて。


「おい、ジャン。またいるぞ」

「・・・放っておけよ」


それでも、それでも、彼と、また、話したくて。


「俺、訓練兵に志願して、3年後には内地に行ってやるんだ!」

「無理に決まってんだろ、強くなきゃいけないって聞いたぜ」

「やってやるさ。俺は絶対内地に行ってやる」


訓練兵団、聞いたことがある。彼はそこに行くのか。何も考えず、彼の後に続いて訓練兵に志願した。もしかしたら、彼がまた私に向かって笑ってくれるかもしれないなんて期待して。


「なんでお前まで、いるんだよ」

「・・・ごめんなさい」

「謝んなよ、うぜぇな」

「、ち、近づかないようにするから、」


私が、近づくからいけないんだ。私が近づくから、彼が不幸になる。だったら、離れていれば、彼に触れなければ、いいのかな。


「ねぇ、あの子・・・」

「ジャンと同じ地区の出身じゃなかった?」


あぁ、ごめんなさい、ごめんなさい。ダメだ、駄目。どうにかしないと、また彼が傷ついてしまう。彼が一人になってしまう。


「勘違いしないで。ジャンと私は仲よくなんかない」


どこから狂ったんだろう。いつから、私は一人に・・・。いや、最初から一人だった。私は一人、私は一人、私は一人。だから、寂しくなんかないの。友達なんか、いらない。




あんなにも輝いた世界は何処に