企画部屋 | ナノ



私用があるから、と兵長に伝えて本部に戻ってきたのはついさっきのこと。用を済ませて帰ろうかと馬をつないでいる馬小屋に向かえば、丁度休憩時間なのか、石段に腰を下ろしている新兵2人を発見。いつもながら、タイミングがいいなぁ。


「ロゼッタ、ジャン。こんな所でデート?」

「あれ、お姉ちゃん戻ってたの?」

「ペトラさん、こんにちは」


立って挨拶してくるジャンと、首をかしげて問いかけてくるロゼッタ。この2人は本当に、いつ見ても一緒にいる。


「デートというか、今日はもう訓練ないので」

「あぁそうなんだ。それでデートしてるのね」


だから、デートじゃないってば!ロゼッタが顔を少し赤らめて否定する。未だにからかっただけで赤面するって・・・。あなた達、もう何か月も付き合ってるでしょう。


「じゃあ、何なの?」

「何って・・・、聞かれても、困る・・・」


じゃあ別に、デートでもなんでもいいじゃない。そう言えば2人して照れて赤面する。あぁもう、なんだこのカップル!この2人、よくくっついたなぁ。・・・あ、そういえば。


「ねぇ、どっちから告白したの?」

「ロゼッタです」

「は?え?ちょっと、ジャン!」


あまりにも即答されて、こっちが驚いた。ロゼッタの反応は予想通りだけど、誇らしげに答えたジャンも、きっと照れて中々答えないだろうと思ってたのに。というかその答えも、意外だ。


「ロゼッタが!?あんた、意外とやるわね」

「あぁ、もう、何でもいいでしょそんなこと・・・」


妹の彼氏をとる気は更々ないけど、ジャンは中々いい男だと思う。新兵の情報によれば成績もいいみたいだし、少ししか話したことはないけど、彼がとても優しい人だというのはよく分かる。内気な部分が多いロゼッタが、よく立ち向かえたものだ。


「ジャンは、ロゼッタのどこが良かったの?」


ロゼッタがジャンに惹かれる気持ちは分かるけど、逆にジャンがロゼッタに惹かれた理由ってなんだろう。気になる、すごく気になる。そんな期待が視線から伝わったのかジャンが口元を引きつらせた。あまりのがっつき様に引いたのだろうか。私だってまだ嫁入り前で恋バナだとか、そういう話をしたい年頃なのだから勘弁してほしい。同じ班にそんな話できる人いないし。


「どこが、良かった・・・と言われても、なんで、でしょうね」

「えっ」


あれ、これも、予想外だ。私よりも驚いてる様子のロゼッタは、やはりショックを受けたようで固まっている。待て、待て、これはどういう状況だ。よく考えなさい、ペトラ。これはつまり、ジャンはロゼッタのこと、特に好きではなかったと?ないけど押されたから付き合ったと?そういうことなの?もしそういうことなら、この子の姉として放っておくわけには・・・。


「別にロゼッタのどこが好き、とかじゃなくて、何と言うか、ずっと一緒にいたくなる存在って言うんですかね」

「あ、あぁー、そういうこと、ね」


安心して、ため息をついた。ロゼッタに至ってはショックを受け多分反動も大きいのか、顔を真っ赤にさせて口をパクパクと開いている。あぁでもこれは、聞いてるこっちまで恥ずかしくなってくる。言った本人は何でもないようにそんな状態のロゼッタの顔を覗き込んでいる。やめてあげて、爆発しちゃう。


「まぁ、2人が相変わらず仲よさげでよかった」


バカップルすぎるのもどうかと思うけど。そう付け加えてやると、また2人して顔を真っ赤にさせている。ダメだ、なんだか付いていけない。適当に会話を終了させて2人きりにしてやろうと背を向けて歩き出す。でも、私もあんな恋してみたいな、だなんて悔しいから言わないけど。




長らくお待たせしました、快琉様。
特に視点の指定はないようでしたので、ペトラさん目線なんてどうかな・・・と思い切って書いてみました!如何でしょうか。
この2人のくっつき様に、呆れながらも暖かく見守るペトラさんの図って、すごく可愛いと思うんです。

素敵なリクエストをありがとうございました!




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