企画部屋 | ナノ



「なぁ、ジャン。最近ロゼッタとはどうなんだ?」
「どうって・・・。別に、どうもねぇよ」
「嘘つくなよ、最近目に見えて一緒にいるようになったじゃないか」

そうだったか?そんなつもりは無かったが、コニ―もライナーに同意しているあたり、そうなんだろう。言われてみれば、一緒にいる時間が増えた気がしないでもない。だからと言って付き合った初期とすることは変わらない。普通に話したり、そりゃ、たまには、キス・・・とかするくらいで。

「で、実際どこまで行ったんだよ」
「・・・は、」

突然のコニ―からの質問に一瞬思考が止まる。どこまで・・・?そりゃ、恋のABCで言えばまだAだ。素直にキスならしたと言うべきか?いやでも、まだキスまでかよ!とか馬鹿にされはしないか?意地張って嘘をつくべきか・・・。待てよ、付き合ってまだ数か月の男女がキス以上の行為に及ぶことは普通なのか?いやない、よな。クソ、誰だよ俺がその場の状況を判断することに長けてるなんて言った奴は。

「ま、どうせ手を繋いだーとかそんくらいだろ?」
「は?まだ手を繋いだだけか?それなら俺だってロゼッタと手を繋いだぞ」
「ちょっとエレン、それは言わなくても・・・」
「・・・、なんだよお前ら」

いつの間にか周りにできていた集団に、顔をしかめた。アルミンはともかく、エレンが俺の話を聞くってのはどうなんだ。嫌じゃないのか?それとも嫌味を言いに来たのか。

「何だよ、いちゃ悪いのかよ」
「いや、悪いっつうか話しにくいだろ、俺が」

というか何で俺が話す流れになってるんだ。

「俺のことなら気にしないで話せよ」
「じゃあその俺を駆逐すると言わんばかりの形相をやめろ」

指摘すると、本人はそんなつも微塵にもなかったようで一生懸命表情を変えていた。意識してるせいか妙な顔になっている。それはそれでやりにくいんだが、まぁ許容範囲だ。もういい、事実を話してやろう。コイツが未だにロゼッタが好きならば、俺の話を聞いて諦めてくれるかもしれないしな。

「まぁ、確かにお前らが期待するようなことはしてないが・・・」
「ちゅーか?ちゅーはしたのか?」

突然身を乗り出してきたコニ―に少しではあるが、殺意が湧いた。なぜ俺が言おうとしたことを先に言うんだ。

「ま、まぁ、そんなとこだ」

目の前にいるコニ―の頭に思い切り拳骨を落としてやりたい気にもなったが、そこは我慢する。コイツが空気を読まないのは、いつものことだ。

「何だ、キスまで進んでたとは、意外だな」
「ライナー、その言い方やめてくれないか」

ははは、すまんすまん。と反省する気がない様子のライナーも、なんだかんだ言って面白がってるんだろう。まぁライナーは元からロゼッタのことを可愛がっていたし、妹のように見てるみたいだから単純に気になるというのもあるんだろうが。

「しかしなぁ、あのロゼッタがジャンと付き合うことになるとはな」
「どういう意味だよ」
「いや、な?最初は特に仲良くもなかっただろう」

そう言われてみれば。むしろあいつとの初対面は最悪だったとも言える。それは俺の態度のせいだから否定する気はない。

「まぁ、色々あったんだよ。色々、な」
「対人格闘技で泣かせたり、か?」

当初のことを思いだしているジャンを、エレンがジトっと睨んだ。おい、また顔戻ってんぞ。てか、対人格闘技の時見てたのかよ。コイツどんだけ前からロゼッタのこと好きだったんだ。

「あぁ?あれはだなぁ・・・。まぁ、俺が悪いんだが」
「当たり前だろ。突き飛ばしたお前が悪いに決まってるだろ」
「あぁ!?」
「ちょっと、2人とも落ちつきなって」

クソ、危ねぇ。エレンのペースに持って行かれるところだったぜ。ったく、この突っかかりよう・・・。エレンの奴、まだロゼッタを諦めてないのか。ほんと、どうしたら諦めてくれるんだよ。

「そういえば僕、思うんだけど。ジャンと付き合い始めたおかげか、ロゼッタが何だか以前より女の子らしくなった気がするんだ」

なん・・・だと?思わぬアルミンの意見に、ライナーやコニ―でさえそういえばそうだ、と同意した。正直あまり気づいていなかったが、これはチャンスだ。

「ま・・・まぁな、そうだろ。お前らは知らないだろうが、ロゼッタはあれでも案外、我儘なんだぜ」

事実だ。嘘は、ついてない。コイツ等が普段見ているロゼッタにそんなイメージは微塵も付かないだろう。ロゼッタ自身がそう思われるのを嫌に思っている傾向があるからまず間違いない。

「そうなのかー?意外だな。あ、でも好き嫌いは多いよな」
「確かにそうだな。この間キノコ残してた」

なんだと、アイツ、俺が見てないところでまた残してやがったのか・・・。いや違う、今はそんなこと考えてる場合じゃない。

「まぁ、俺が食わせてやれば絶対食うがな」

自慢げに言ってみれば、エレンの視線が鋭くなる。んだよ、文句あんのか。

「ジャンはロゼッタの保護者みたいだな」
「ほご・・・しゃ、」
「あー確かに、言われてみればそうかもな」

ライナーの一言に思わず過敏反応してしまった。いやだって、俺は、ロゼッタの保護者じゃなくて、恋人であって。しかしジャン以外にライナーの言葉に異見があるような奴はいないようだ。おい待て、この流れは・・・。

「ロゼッタは座学が苦手だから、よくジャンが面倒みてるしな」
「座学の時間、よく寝てねぇ?」
「意外とそういう所不真面目なんだよね、ロゼッタ」
「まぁアイツも、わざと寝てるわけじゃないんだろうがなぁ」
「・・・」

よく考えてみれば、最近よく一緒にいるっつっても、ハンナやフランツみたいに恋人らしいことをするわけではないような気がする。いや、気がするんじゃない、事実だ。

「寝るたびにジャンが起こしてるよな。教官にバレる前に」

エレンが嬉々として言う。コイツ・・・。

「いや、俺だって、そんな保護者みたいなことだけしてるわけじゃ・・・」
「まぁ、詳しい所は知らんが、ジャンとロゼッタは相性がいいと思うぞ」
「そうだな。保護者的な意味、でな」

エレンがニヤリと笑う。やっぱりコイツ、確信犯だ。クソ、クソ、これじゃ俺の保護者っぷりをコイツらに教えただけやねぇか。こんなつもりじゃなかったのに、クソ。「そろそろ寝るぞー」なんていうライナーの声に周りの奴らが解散していく。エレンなんか薄ら笑いを浮かべている。

「ジャン、ロゼッタは君のこと、本当に好きなんだと思うよ。その、色んな意味で」

アルミン、それはフォローのつもりか?色んな意味で。つまり保護者的な意味でと言いたいんだろ?いいさ、俺は所詮アイツにとって世話役みたいなもんさ。それでもロゼッタが必要とする限りはいてやろうじゃねぇか。とことん保護者を貫き通してやる。なんて俺の決意は、翌日ロゼッタの笑顔を見た途端、崩れ去った。あぁ、やっぱ恋人のがいいわ。保護者じゃキスもできねぇだろ。


「ロゼッタ、ニンジン食え」
「えー・・・」
「食え」
「・・・はい」



長編番外104期男子でわちゃわちゃ!でした。もう少しわちゃわちゃさせた方がいいのかなぁ・・・と試行錯誤しながら書きましたが、如何でしょうか(;´Д`)

内容はお任せと言うことでしたので、以前から書いてみたかった『夢主をひたすら自慢するジャン』にしてみました。でも書いてみたらあんまり自慢してないような・・・。でも本編ではジャンとエレンが絡むことはあまりないので、番外編として書けてとても楽しかったですー!

パンプキン様、素敵なリクエストをありがとうございました^^




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