小説メイキング
2012/04/09 00:25 (0)

「ちょっと前に言ってた小説メイキングなんですが、誰もしてくれそうにないんでとりあえず自分でしてみます」、のコーナーをお送りします。
自分で書いてもなんも楽しくないのだけど、この記事見た方が「面白そう、やってみよう」ってなってくれたら万々歳です。


▽▲▽▲


まず、お話のキーとなるものを考えます。
・状況
・曲、映像
・セリフ
・関係性
・単語
・コスチューム
などなどが、キーとなります。
はっきり言って「考える」ことは稀で、日常生活を送っているうちにフと思いつくことが多いです。アニメや漫画の一コマだったり、自分の行動をキャラに置き換えたら萌えた、なんてこともあります(自分じゃ萌えないのにね…)
とりあえず今思い付いたキーをいくつかあげてみます。

・瓶コーラらっぱ飲み
・ハイネケン(←どっかの国のビール)
・飛行士の帽子
・ダサゴーグル常に装着
・作業靴(鉄板入り)とデカ手袋と作業着
・シケモクくわえタバコ
・「嫌悪」


次に、思い付いたキーに対して考えます。キャラ抜きでその物自体に対して考えたり、キャラ込みで考えたり。どのCPで書くかは、キーを思いつくと同時に自然と決まったり、キーについて考えるこの時点で決まったりします。今上がってるキーだとだいたいロキドかなぁ。「嫌悪」はドフ鰐でもロキドでも、クダノボでもいける。

ここで全部のキー膨らますと大変な文字数になるから、どれかに絞りますね。
えー、どれにしよ…… せっかくだから、最後の「嫌悪」以外全部まとめちまおう。だいたい一時に思いつくキーって、なんか雰囲気が似てきますしね。

シケモクくわえタバコと飛行士帽子はローの付属品として思い浮かんだキーでした。
瓶コーラとダサゴーグルと作業着はキッドの付属品として思い浮かんだキーでした。

というわけで、これらを装着してる二人を思い浮かべます。
……明らかに普通のお仕事はしてないな。舞台は現代日本かも怪しい。
となると、安直に思いつくのは「殺し屋」「掃除屋」とかの裏家業ロキド。

アイテムを装着し、立場や仕事が決まったら、ぼんやりと小説のシーンが生まれますね。以下、浮かんだシーンを雑に書き出してみます。


二人でソファー、並んで座る。適度な距離。キッド近くにローテーブル、ボウルに氷とコーラの瓶とハイネケン(←緑のビール缶)。
二人でテレビ見てる。ブラウン管テレビは四つ足で奥行きある(←サイズ小さめ)。
部屋の中なのに飛行士帽子被ってるロー、ダサゴーグルを装着(オデコじゃなくて目に)してるキッド。だらだらな感じ。
テレビの調子悪い、時々砂嵐。
コーラらっぱ飲みのキッドがテレビ画面にパンチ。割れる画面。ロー動じず。
コーラ頂戴って言ったのにハイネケン投げ渡されるロー。開けたら炭酸爆発。でもロー動じず。普通に飲みだす。
「暇」「仕事ない」「ないなら作る」「サンセイ」「我らが働きに実り多からんことを」「ラーメン」「我が友に幸多からんことを」「ソーメン」「…日曜日のお祈り行ったことある?」「お菓子くれるから好き」「おれも好き」「罪深き二人をお許しください」「「ミソラーメン」」ふぁっきんじーざす
お仕事の準備。ナイフ、銃、メリケンサック、強化ワイヤーなどなど身につける。
小銃型ライター。「ばぁん」カチッ



……ふぅ。シーンが一度流れ出すと、勝手に進んでくので、最初の方とかたまに忘れたりします(キャパ狭い)
セリフも勝手にキャラが喋り出します。使いたいセリフがあれば、そのセリフを言いそうなシーンにちょいっと誘導したりも。
私が皮肉の応酬や、嫌味の言い合い、言葉遊びが好きなせいか、よくそういうセリフが出てきます。たいていの私の小説には二人のそういった掛け合いがあると思います。

人にもよるでしょうが、私の場合、最初から最後まで話が浮かばないと文章書き出せないタイプです。最低、書き出しと最後は決まらないと書けません。でも書いてる途中で締め方が変わったりとかよくします。
このシーンの始まりから終わりまで一連の流れができたんで、もう書き出せそうです。

思い付いたシーンが気に入れば、そのシーンの前後を考えて長めの文章にし、小説行きとします。これはこのシーンで終わりにします。前後思いつかない。よってネタ帳行き。
あ、キーにあった「作業着」は、シーンにしっくりこないんでやめました。作業着にゴーグルより、普通のTシャツにゴーグルしてる方が絵的に面白い。作業着にゴーグルだとクドイかな、と。

シーンが浮かんだらもうあとは、頭の中に再生されてる映像を文字にするだけです。



平和だ。実に平和な昼下がりだ。
外は晴れやかな天気。適度な気温と湿度。風も穏やか。テレビに緊急ニュースは入らず、どろどろの経血みたいなドラマが盛り上がりをみせる。テーブルでは氷の詰まったボウルにコーラとビールが冷えている。
諸手をあげて喜び咽び享受するに値する平和さだった。

(誠にくだらない)

室内だというのに、パイロット用のゴーグル付帽子を被った男は、平和さに眉をしかめ天に唾吐き煙草を押し付けた。
くだらない、実にくだらない―――そうは思えど、何するでもなく、眠る直前のように力ない目でぼんやりとテレビを見ていた男は、突然乱れた映像に目を細めた。

ザザッ、ザザ、ザッ

この平和さに不似合いな雑音を上げ、旧式の古めかしいテレビが騒ぎだした。テレビの中の男女の逢い引きは、時折起こる砂嵐に邪魔される。

バギャ

のそり、と、男の横の影が動いたかと思うと、弾丸のような速さで白い拳がテレビ画面に叩き込まれた。

「調子わりーな」

また、のそり、とソファーに戻った影は、冷えて汗をかくコーラに真っ赤な唇を押し付けながらそう言った。
「ああ、調子悪いな。そんでもってたったいま再起不能になったな」
ぐしゃぐしゃに割れ、はしたなく中のコードを広げ、最後の喘ぎをあげるテレビにやる気ない目を向けたまま男は言う。テレビが素手で叩き壊された状況に動揺はないようだ。
「おれにもコーラ」
パイロット帽の男が言うと、横から弧を描いて緑の缶が手元に飛んできた。
「コーラもうねぇ」
室内だというのに、くすんだ金のフレームのゴーグルを掛けた男が、コーラの瓶から口を離して言った。氷の張られたボウルには、どう見てもあと2・3本コーラの瓶が刺さっている。
「……」
パイロット帽の男は、ゴーグル男の堂々とした嘘にも反応せず、黙って投げ寄越されたハイネケンのタブを開けた。

ブシュッ

空気の破裂する音とともに、泡立ったビールがボタボタと男の服とソファーを汚した。
「あー、漏らした」
「……」
ゴーグルの男が無感動にからかう。パイロット帽の男は黙って泡立つビールを飲み下した。

「なぁロー、これって暇じゃねぇ?」
「暇だな」
「仕事は?」
「入ってねぇ」
「暇い」
「この平和な余暇を享受せよ」
「くそくらえ」
「仕事ねぇんだから仕方ねぇだろ」
「ないなら作ればいいだろが」
「……盲点だ」
「こぺるにくす的はっそーのてんかんだ」
「コペルニクス的発想の転換、な」
「おんなじだろ」
「発音がアホだった」
「……で、仕事つくる?」
「………サンセイ」
「オーケィ、5分で支度だ」

のそりと立ち上がった二人は、ダルそうな態度に反し、慣れた素早さで次々に‘仕事道具’を身に付けていく。

「我らが働きに実り多からんことを」
「ラーメン」
「我らが友に幸多からんことを」
「ソーメン」
「……日曜日のお祈り行ったことある?」
「お菓子くれるから好きだぜ」
「ああ、同感」
「神よ、罪深き二人をお許しください」
「「ミソラーメン」」

ジーザスキリストふぁっきんアイラービューと歌うように呟きながら、二人は仕事の準備を終えた。
最後にごそりとポケットに金の小銃をしまうゴーグルの男に、パイロット帽の男は眉をひそめた。
「おい、ポケットにいれんな。暴発しても知らねぇぞ」
「?―――ああ」
男に言われ、ポケットから小銃を出したゴーグルの男は、帽子の男に銃を向けた。
「ばぁん」
カチッ、と乾いた音をたて、帽子の男がくわえたシケモクにジジッと火がついた。
「……くだらねぇ」
ヒヒ、とガキのようにゴーグルの男は笑い、今度は横の壁に向かって小銃の引き金を引いた。
「ばぁん」
バン、と空気が弾ける。帽子の男が目を横の壁に向けると、穴の空いた裸婦の絵画があった。
「……女の穴は二つで十分だ」

ヒヒ、とガキのように笑う男を蹴飛ばして、二人は気だるい昼間に飛び込んだ。



これで完成です。文章だけで1時間〜1時間半ってとこです。
だいたいプロットに沿ってできました。セリフがちょい増えたくらい。
あとは読み直して、繋がりがおかしいとことかあれば直します。それで全部終わりです。長々と役にもたたない文章を読んで頂きありがとうございました。


正直、このメイキングはほんの一例です。なんかの曲をテーマにしたり、なんかのパロだったりするとまた違うメイキングですねー。
いや、しかしなかなか面白かったです。普段考えながら話書いてないんで、こういう筋道で考えてたのかぁ、って自分で感心しました(笑)
この話はどうやって書いたんだ、とか気になるのあれば仰ってください。
なんとか記憶を辿りながら楽しんでメイキング書いていきますんで。
あ、今回書いたお話は後でネタ帳にぶちこみますね。


それでは!





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