Show must go on!


ネオンパレード
2013/12/04 12:40 (0)

サボとキッドが会話してるだけ。

サボ
夜の街の真ん中に構える薬局の店員さん。お客さんは夜のお仕事してる人ばっかり。
キッド
夜のお仕事する人。



「お兄さんコンドーム!」

店に飛び込むなり、焦った声で赤毛の男が叫んだ。

「おっすキッド。今日は早い出勤だな。デート?」

レジの後ろに並ぶ棚を整理していたサボは、振り向くこともせず、下剤の数をチェックして、ボードに数字を書き込んだ。
客がいればざわつきそうな商品を大声で求められているというのに、サボは何事もなかったように平然としている。
「仕事仕事!だから早くゴムくれ」
「はいはーい、いつものね」
「あ、あとローションも!」
「はいよ。というか、こういうのって店から支給ないの?」
キャバクラ、ホストクラブ、ソープ、ラブホテルが立ち並ぶ街のど真ん中にある薬局らしい品揃えの中で一番の売れ筋ーーー性行為の必需品たちが並ぶ右奥の棚から、迷いなく二品を手に取ると、ようやくサボはキッドを振り向いた。
'Drug Store'のロゴの入った薄ピンクのエプロンが似合う、実直で快活そうな青年だ。ニカリと笑った口元からは、歯の欠けた箇所が見え、幼さが増す。
「店のやつ安物なんだよ。すぐ破れるし、すぐ乾く」
派手な赤いファーコートのボリュームある襟に口元を埋め、キッドは苦々しげに言った。
大変ですなー、なんて軽い相槌を打ち、サボは二品をレジに通した。
「なんで今日はこんな早いんだ?いつもの通勤時間より一時間も早いぜ」
サボは、品物をすぐに使えるようにビニールを外し、紙袋に詰めてやる。
「店長が新しいオモチャ試したいから早く来いって」
「えー、それただ働きなわけ?」
「まさか!あのヒゲのためにんなことしねーよ!ポケットマネーから特別手当て出させる」
それより早く早くと、キッドはカウンターをバシバシ叩き、サボののんびりした手際を急かす。
「はいはいって。カウンター壊したら弁償しろよ?ーーー二点で2,987円になりまーす」
シールで口を止めた紙袋をキッドの前に置いた。キッドはそれを掠めるように取ると、「つけといて!」と、頭一つ低い位置にあるサボの額にキスした。
「てめ、またかよ!」
赤い口紅がくっきりとついた額に皺を寄せ、サボは店を飛び出すキッドの背中に叫んだ。
「店来たらツケで遊ばせてやるから!」
「あほー!そこはタダにしろ!」
キッドもサボも、年甲斐もなくガキのような顔で笑う。
まだ明るい夜の街に紛れるキッドの背に手を振り、サボは新たな客を快活な笑みで出迎えた。


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