Going Under | ナノ
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【七番目の願い】

※閲覧注意※
※拙宅のこちらの真紅の時代が狂るのステファノ夢と比較してかなりハードです。
※リヴァイ兵長が狂っています
※人類最強と呼ばれる男はいません
※監禁・暴力・死ネタのハッピーセット
※色々注意ですしバッドエンドです。救われません。お楽しみください。











 この壁に覆われた世界で暮らす人間なら、彼の存在を知らない者はおそらくはいないだろう。
 もし知らないとすれば、それはせいぜい生まれたばかりの赤ん坊や幼い子供か、彼が調査兵団に入団してその名が知れ渡る五年 この壁に覆われた世界で暮らす人間なら、彼の存在を知らない者はおそらくはいないだろう。
 もし知らないとすれば、それはせいぜい生まれたばかりの赤ん坊や幼い子供か、彼が調査兵団に入団してその名が知れ渡る五年間で一度も家から外に出ていないか、ウォール・マリア陥落の際に不幸にも巨人に捕食され命を落としたものくらいだろう。

「今……何時……?」

 またいつもの日常がやってくる。
 四角い箱に覆われたその真ん中にこじんまりとしたベッド。そこに横たわらせた身体をゆっくりと起こし、海はまた訪れた変わらぬ日常に、げんなりし、ゆっくりと周囲を見渡した。
 いつの間にか当たり前となってしまった今の日常、それは決して自分が望んだ日常では無い。
 心臓を捧げ、誇り高き自由の翼を背にしてこれまで戦ってきたのに。それすらも奪われて。
 自分はここに閉じ込められているのだ。

 食事も排泄も、自由には許されない、人間として当たり前の日々が失われた世界、これが今の自分の日常だ。
 窓には鉄格子が嵌められ、立体機動装置も奪われ、じめついた淀んだ空気が漂う。
 逃げ出せるなら何度も試みた。だけど、その後に待ち受けるものが、どんなものか想像するだけで、恐ろしい事になるのは分かっている。彼に逆らえばどんな目に遭うか。

 彼はこの壁の世界に突如舞い降りた救世主で、特別で絶対の存在。
 この壁の英雄、変革の一翼として、誰もがその名前を知っているし、周知の上であるのだ。
 そんな彼を慕い、憧れる人間は多くいる。彼に憧れて兵士を志す者も一部居る位に彼の存在は知れ渡っている。
 自分達が背負うこの翼、調査兵団はいつどうなるかわからない明日をも知れぬこの翼は脆く儚いものである。
 そんな彼に恐ろしい裏の一面があるなんて。きっと、誰も信じないだろう。

 ***

 どこか遠くで響く雷雨に耳を澄ませて。海はゆっくりと意識を浮上させた。きょろきょろと周囲を見渡すがもちろん大声で叫んだところで、周囲から隔離されたこの場所では、偶然誰かが通りかかったり、気付く人間が居る筈などない。

「家に、かえ、りたい……」

 ぽつりと、願いを口にした海の声は誰にも届かない。
 左の足首にぐるりと巻かれて繋がれた重たい鎖が音を立ててここから逃げられない現実を突きつけて。ここから逃げ出そうとする気力さえ奪う。
 どうしてこんなことになってしまったのだろうか。ここに閉じ込められてからどうにかこの場から、あの人から逃げ出そうと考えて幾度も試みた。
 しかし、全ては無駄な行為だと、彼の手中から逃れる術など無いのだと、自分がそういった行動を見せる度に彼に何度も連れ戻され、この部屋で教え込まれた身体は次第に彼に侵食され、幾度も繰り返される苦痛に次第に考える力さえも奪われてしまった。

 自分には帰る場所がある、共に生きていくと決めた世界があるのに。
 望みを口に力なくつぶやいた海の声は誰に聞かれる事もなく、静かに沈黙の部屋に吸い込まれて消えていくのだった。

「海……、起きたか」
「ヒッ……!!」
「あぁ、ひでぇじゃねぇか。そんなに驚く事ねぇだろうが」

 ふと、沈黙の部屋に響く聞き慣れた靴音に思わず身体が緊張から跳ね上がり、思わず背後から聞こえた彼の低い声に身体よりも先に唇から発せられた音、そして海は身体に植え付けられた恐怖心からつい、小さな悲鳴をあげてしまった。

「あ、っ、ごっ、ごめんなさい……っ……リヴァイ……兵、……長っ……」
「どうした? お前が謝る必要は何もねぇ筈だが……何か俺に隠し事でも?」
「いっ、いえ……!! その、兵長、「リヴァイと呼べと、言ったが……もう忘れちまったのか?」
「あ、あぁ……つい、うっかり……ごめんなさい、リヴァイ……」
「それでいい、」

 自分の上官でもある彼の事を急に「名前」で呼ぶなど一生慣れる筈が無い、かつては慕っていた人間を、そんなの無理がある。
 しかし、今は彼の機嫌を損ねてしまうことだけはどうしても避けたい。彼の機嫌を損ねた先にこれまでどんな目に遭ってきたか理解している海は暑くもないのに冷汗を流しながらワナワナと唇を震わせながら言い直した。

 そこにいたのは紛れもなく自分が置かれている不自由な現状を作り出した張本人。誰よりも強く誰よりも速く誰よりも高く飛ぶ彼の事を本当に心から自分は信頼していたのに。憧れて止まない尊敬する上官だった。
 しかし、それはあの日、彼にここに連れて来られて以来全てが脆くも崩れ去ってしまった。
 彼によって自分はこれまで歩んできた兵士としての人生から、大きく変えられてしまったのだ。
 今は自分をここに閉じ込めた張本人である彼の存在は憧れの上官ではなく、不自由を強いた憎むべき対象でしかない。
 朝も昼も夜も、寝食関係ない。ずっとぎっちり指一本の隙間もなく締め付けられ、うっ血状態でかわいそうなくらいに真っ赤に染まった左足首の鎖をジャラジャラと揺らしながら、目の前の彼に許しを請うかのように願い出た。

「リヴァイ、お願いです……!! せめて……。この鎖だけは外してもらえないでしょうか? 痛くて痒くて眠れないんです!! このままでは腐ってしまうかもしれない」
「駄目だな」
「っ、」
「お前は危ねぇと言って一番安全な場所でこうやってお前を閉じ込めているのに俺の言う事もロクに聞きやしねぇ。ましてやそれどころか悪知恵の働く女だからそうやって縛り付けでもしておかないとすぐに逃げ出すからな。悪いがそれは許可出来ねぇ。諦めてくれ」
「でも、このままじゃ足が……!!」

 うっ血状態で足が腐ってこのままでは歩行さえできなくなるんじゃないかとさえ恐怖する海に対し、リヴァイは滅多に見せない虫も殺さぬような笑みでさも当然のように告げるのだった。

「お前は一生ここから出ることは許さん、まぁ、別に歩く必要もねぇんだ。いざとなりゃその足も要らねぇだろ。もし、足が腐っちまったとしてもお前の足ならちゃんと俺が綺麗に削ぎ落としてやるから余計な心配はしなくてもいい」
「あっ、……は、……え?」

 あっけらかんとそう告げ、明らかに異常な彼の発言に海は、言葉を無くして呆然とするしか無かった。
 そして、自分のベッドに腰かけて顔を近づけてきたリヴァイに海は小さく悲鳴を上げ、思わず自分の頬に触れようと伸ばしてきた彼の手を振り払ってしまったのだった。

「あ……あっ、あの……っ、その、申し訳……ありません……」

 怯える自分の姿さえも、彼を刺激する興奮材料でしかないのに。海は近づいてきた彼の鋭い双眼に射貫かれて蛇に睨まれた蛙状態のまま動けずに突如姿を見せた畏怖の対象に完全に震えあがっていた。
 ああ、そうだ。自分は彼に拘束され何度も何度も、反抗し、抵抗した。そしてこの部屋からどうにかして抜け出そうと幾度も試みたのに、彼はどんな時もどんな風に隠しても全ての醜悪を詰め込んだ掃きだめの地下を生きて来た経験もあってなのか、どんな細工も嘘もまんまと見抜き、彼からのキツイ仕打ちを受け、気付けば次第にその拘束が増えたものだ。

「お前にはもっと躾が必要、らしいな海」
「ひっ……」
「誰かのものになるくらいなら……お前をこのまま」

 普段以上に低い彼の声が耳にじんわり染み入る様だ。海は恐怖してその場に氷漬けにされたかのように、例えるならばまるで非武装の状態で森の巨人に遭遇した時のように動けなくなってしまった。
 もう遅い、自分は彼に対して恐怖心しかない中で彼を拒んでしまった。彼の名前を呼べと幾度も教え込まれたのにその事を忘れてしまって――。

 ああ、もう遅い、近づく彼の顔に、海は観念したかのように瞳を閉じた。
 大人しくその唇に触れて、無理やりこじ開けられながらもうほとんど布切れ一枚の衣服を彼の馬鹿力で引き裂かれてどちらのものかわからない体液が染み込んだシーツの海にそのまま押し倒されてこれから始まる苦悶の時間に身を委ねるのだった。

 ***




「ん、ああぁっ!! ひっ……!! ……っ! ん……っ! んあぁ……ッ、いや、いやっ」

 どうして、どうして。言葉は必死に彼へ拒絶の言葉を投げかけるのに、重量のある彼の体躯がずっしりと伸しかかり、自分の力ではどうあがいてもその甘い拘束からは抜け出すことは許されない。
 こんな目に遭うのならまだ拷問された方がマシではないのかとさえ思う。甘い快楽漬けでは思考さえままならない。
 断続的に続く快楽に晒され続けて次第にここから抜け出すことは自分をこんなにも盲目的に愛してくれる彼を裏切るズルい行為なのだと植え付けられた。

「海、あぁ、もうこんなになっちまってるな」
「ひっ、ぁっ、んあっ、も、ゆるし……んぁああっ、」
「許す? 俺は別にお前に対して何も怒っちゃいねぇよ、」

 無理矢理彼の重量のある割に細い腰が海の両太ももに触れそっと割開いた下肢の間にさも当たり前のように割り込んでくる。
 抵抗する気力も奪われ気が狂いそうな愛撫を繰り返されて海はもう息も絶え絶えだ。
 襤褸切れ状態の布はいつの間にか完全に彼の腕力で引き裂かれもう身に纏う衣服は何も残されていない。そうしていつも達する寸前まで彼のギリギリの責め苦は続く。
 柔らかな海の張りのある乳房の先端が彼の熱い咥内に含まれ、そのままワザと音を立てて、ねっとりと口の中で舐めあげられる。

「んぁ、っ、ひっ、んっ」
「あぁ……良いか、良さそうだな。本当にお前は手を煩わせる割にはこういう風に少し痛くお仕置されるのが大好きな女だもんな。可愛いヤツだ」
「っ、あ、っ……うぅっ、も、ゆるし、て……ぇっ」

 先端を舐められ、そのままくりくりと空いた手で先端を摘まんで転がされ好き勝手に器用な彼の手により翻弄されて。
 ぞわりと肌を粟立たせて自分の意志と反してどんどん胸の先端が硬くなっていくのが分かる。
 上官と言う名の権力を使い、自分は決して同意などしていないのに無理やり体を割開かれあらゆる手段で快楽と言う名の沼に突き落とされて、同意のない自分は彼に対して愛情のかけらもないのに、最低な真似をされているのに感じてしまうとは。
 自分は頭がおかしくなってしまったのだ。彼に幾度も植え付けられて身体も。彼の巧みな手つきに感じてしまって屈したとは思いたくない。
 それでもこの彼の拘束から逃げきって見せる。今もその意志は変わらないのに彼の手で作り替えられたこの身体は彼が触れれば彼の望むように感じるように変えられてしまったのだ。

「あぅ……ッんんん……っ! ひっ……。!! はぁ、ッ……そこ、っやらぁ……っ!」

 うっ血して変色するまで皮膚をきつく吸われて、彼に吸いつかれた箇所は残酷なほど醜いネックレスのように。彼の独占欲を具現化したような咬み痕やうっ血痕に染まっており、自慢だった真っ白い肌は変色している。
 その痕が消えればまたすり込むようにつけられてと、キリがない。
 ふと、どっと下肢の間から熱いものが溢れるのを感じれば穴が開くほど真上から自分を支配している目の前の男は嬉しそうに滅多に見せない口元に歪んた笑みさえも浮かべて海をジロジロ見つめていた。

「あぁ……、ヨクなってきたか、」

 彼の中指が当たり前のように下肢の間に差しこまれて海はビクビクと震えながら下肢に力を籠め、必死にこんな明るい場所で見ないでくれと抵抗を見せた。
 既に幾度も貫かれて過敏になっている為にもうこのまま挿入(い)れられても問題ないくらいに自分の意志とは裏腹に愛液が溢れて尻を伝ってシーツにまで染みを残してしまいそうだ。

 身を捩って逃げようにも、抵抗は許されない、腕は頭上で縛られたまま、ベッドの頭上のパイプ部分にそのまま繋がれて、ツツツ……と、脇腹を撫でるようにリヴァイの体格の割に男らしく大きな手が動いて――。

「あっ、んぁ、い、やだぁ…っ!」
「嫌? 本当に?」

 両手で淡い茂みを掻き分けてそのまま普段隠されている秘密の場所をリヴァイの視界一杯に広げたのだ。

「ああ……、凄ぇな。お前の嫌は嫌じゃねぇって事ならとっくにわかってる、大丈夫だ。そう簡単には終わらせねぇし、終わるつもりはねぇからな」
「あぁ……っ、や、いや……っ、あの、っ。見ない、で……ぇっ!」
「それがイイって事だ、お前を抱くのもだいぶ回数が増えてきたからな、もっと試したいことがたくさんある、時間はたっぷりある。もっと楽しんでくれよ」
「ふっン、あっ、ひぃっ……」

 濡れたソコを彼の吐息がまるでそよ風のように優しく撫で、ひんやりと冷たさを覚える。普段絶対見せない場所を、しかもしとどに濡らした状態になっているのにまじまじと見られるなんて、恥ずかしい以外の何でもない。
 こんなこと誰にもされたことはない。そもそも潔癖症の彼がこんな風に他人の、しかも女の秘められた場所を凝視して舐めるように見つめるなど思いもしないだろう。彼がこんな風に卑猥な場所を比喩して辱めてくるなど思いもしなかった。だが、リヴァイは普段の目つきとは違う、欲にも似た狂気を孕んだ目つきで顔を輝かせながら。

「こんなに濡らしてんのを見るなって言うのは、無理な相談だな。なぁ、つまんねぇじゃねぇか……。お前が夢の中でも俺を思い出せるくらいに、そんで、お前の恥ずかしい部分すら全部さらけだせ、俺に良くなってたまらねぇ顔をもっと見せてくれよ……なぁ、海」
「いやっ、あっ、ン、っううう〜〜っ!!!」

 彼の中指が浅い部分を行き来して、お腹の中がぞくぞく震える。連動して彼女の華奢な身体もガクガク揺れて、開いた喉からはしたない声が漏れた。
 好きでも無い男に好き放題されて、こんなにも興奮して、もう嫌なんて口先だけになっている。リヴァイもそれを分かっているのだ。だからわざと音が出るように人差し指を浅く抜き差しして、恥ずかしさを引き出している。

「んんん…っ! ひっ…!! ん…っ! あぅ…ッふぇ、こわい……も、助け、て……んッ…!」
「乾くどころか、どんどん溢れてくるが……奥までブチ込んでねぇのにこんな浅いところでも気持ちいいか?」
「んひ、あ、…っ…ふ、ん…っ!」

 海はそれでも快楽に呑まれなくないと必死に抵抗した。首を振るのはもう完璧に意地だった。最初に無理矢理自分の意思ではなく任務と言われてここに連れてこられて、無理矢理身体を暴かれて女にされたのだ。
 それでも最後まで抵抗した。ここで素直に認めたら、自分は目の前の男に組み敷かれて抱かれることを望んだはしたない女だとそう認めてしまう事になる。
 そんなことになったら、明日から今まで以上にもっと酷い事をされて、抵抗する気力も失われて何も言えなくなる。
 いやいやと首を振ると、まるで嘘をつくんじゃねぇと言わんばかりに不機嫌そうにリヴァイの顔が歪んだ気がした。
 中指だけでなく彼の人差し指も追加され、ゆっくり指の付け根部分が沈むまで胎内に挿入されて、ビクビクッと海の身体が甘く仰け反る。

「ほら、イイんだろ、見ててやるから我慢しなくていい。俺が見ててやるから、ほら、イケ、」
「はぁーッ……ああぁっ……! やぁ、だめぇ……っん…なんか、来ちゃうっ! んあーッ!!!」

 嫌だ嫌だと叫んで騒いでも身体は正直に反応する。まだ「彼」を受け入れてすらいないのに、指の愛撫で軽い絶頂を迎えてしまった。

「ぁ……はあ……っ、は……っ」
「いつも嫌だとかやめろとか……クソ萎える事しか言わねぇのに今日はやたらと素直で可愛いな」
「……っ、はっ! ん、あ……ん……っ! いや、っ、あっ、いやッ……」
「俺は好きだ……」
「な……!」
「だから……たまらなくなる、啼かしたくなんだよ」
「あ……!?」

 彼の腕により無理やり足を上げられ、海の腰がシーツから浮くと、自分の股が彼からよく見えるくらいに持ち上げられ、そこにはリヴァイの顔があった。
 歪んだ笑みの先、開かれた口の中の彼の舌が、唇が。濡れた海のそこに口付けたのだ。

「ひ、ぁ……っ、ぅ、んんっ、っ……!!!」

 リヴァイの唇が開かれたそこを何度も這い回り、やがて吸うように口付け、舐め、わざと音を立てて差し込んだ指は何度も往復して愛液を掻き出してくる。
 ぬちゃぬちゃと聞こえる濁音に耳を塞ぎたくなるが、その拘束された手ではどうすることも出来ない。
 その光景を見せつけながら。目線の先では唇をいやらしく濡らし、伏せた目で秘裂を見つめるリヴァイの目線に穴が開くほど見抜かれ海は弱々しく震える声で、彼にどうかこれ以上はやめてくれと何度も繰り返し懇願したが、そんなんで止めてくれるなら今ここに自分はいないだろう。
 彼に幾度も貫かれて抱かれた身体が彼を受け入れてしまう。
 追い詰められ、息をするのも苦しい。何度もやめてと繰り返し続けるとリヴァイはいい加減にしろとだんだんその怪しい微笑みからいつもの目つきの鋭い巨人を屠るときの目つきへと変わっていく。

「てめぇ、いつまでもいつまでも……。なぁ、いい加減、受け入れろ、お前は俺無しじゃ生きていけねぇんだろ、」
「ち、ちがう、私、は……もう、あなたとは……あぁっ!?」

 リヴァイはゆっくり見つめていた秘所から顔を離すと、濡れた口元を腕で拭いながら足を下ろし、既に感じすぎて気怠い思考の中、履いていた下着を寛げ、先端からいやらしくも先走りを垂れ流している熱を宛がってきたのだ。
 海が驚きに身体を震わせると、リヴァイは口元を歪めたまま既に幾度も受け入れている彼自身が膣口に己を幾度も擦りつけて上下に動かし、そのまま当たり前のように吸い込まれていったのだった。

「……ひ、ど……い……っ! やめ……て……!」
「悪いな、思ってた以上に海が可愛かったから、我慢出来なかった」
「や、あ……あぁ……っん……」
「いい加減、認めてくれよ? 俺のことが好きなんだろうが」
「やっ、ん……ち、ちが……あっ」
「好きでもなくちゃ、こんなに感じねぇだろうが」
「違う……本当に、もう、……好きじゃ……ぁん……ひああっ!」
「オイ、これがお仕置き中だって分かってんのか?」
「ん、やああああ……ッ! んぁ……」
「お仕置きなのにイったのか」
「っぁ、ごめ、なさ… …」
「ならもう一度。――躾直しだ」
「あっ、いやッ!! アアアア許し、ひ! んあッ、んぅぅ……ッ!!」

 黙らせるようにリヴァイは腰の突きを速く重いものに変えた。一突き一突きが重たく重量のあるものへと姿を変える。
 見た目より幾分重力のある肉体諸共が海に伸しかかり、胎の奥まで届く様な律動は否が応でも海の身体を快楽の果てへと誘う。
 断続的に貫き、そして快楽を植え付けてくる。リヴァイは海がそれに弱いのを分かっているのか、理解してズン、と律動を始めた。

「もぅ、許して……」

 彼女は決して甘い声で自分を求めることは無かった。強い律動に晒されて彼より非力な海の身体はまるで人形の様に好き勝手に揺さぶられて鳴き声交じりの喘ぎ声を発することしか出来ない。
 自分の真上で揺さぶり雄々しく猛ぶる自身をまるで刃のように突き立て子宮口の奥を何度も擦られればすっかり彼によって嫌で仕方ないのに、苦悶の声を漏らし、作り替えられた海の身体は幾度も絶頂の果てに叩き落とされた。

「海……俺もイキそうだ……ナカに出してもいいよな、早くお前によく似た可愛いガキがデキると、良いな、」
「っ、あっ、は……」
「俺はガキに関してはよくわからねぇんだが……、まぁお前さえいてくれればそれでいいんだがな」

 もうすっかりと息も絶え絶えの海をリヴァイは残酷なまでに肉体的に満たした。しかし、それに反して彼女の心は死んでいくようだった。
 そして、確実に自分を逃がさないつもりで最奥に彼の白濁した熱が放たれ、ズルン、唱えた彼自身が抜け落ち今の今まで彼を受け入れていた熱が寂しそうにぽっかりと空き、その空洞から受け止めきれなかった彼の欲望がトロトロとあふれ出してきた。

「海……」
「ひっ、も、ゆる、し……」

 至極満足したように。怪しい微笑みさえ浮かべて、彼のよく見れば長い睫毛、形のいい唇に欲を満たして満足したような肌の艶、耳元でいつものように囁くのだ。

「なぁ、お前は、俺だけだよな……あの男の元に行こうったってそうはいかねぇ、今、誓え」
「あっ、はぁっ、私には……、あなたが、リ、リヴァイだけです……っ、だから……っ、もう、許し、」
「だから、許すも何も俺は怒っちゃいねぇよ……。ただ、俺が居るのに他の男と結婚しようとしたことは許せねぇ、お前はお前の罪を感じて俺にちゃんと懺悔しろ」
「あっ、ごめんな、さい……っ、私が、悪かったんです、私は、あなたがいるのに、他の人と、結婚しようとした……から……っ、でも、あの人は何処に行ったんですか……ぐっ、ううっ……」

 その瞬間、海が不意に口にしたその男の名前により、リヴァイの目つきが恐ろしいものへと姿を変え、凄まれた瞬間海の腹部に綺麗に彼の蹴りが命中したのだ。
 対人格闘技の訓練で何度か彼と組んだことはあるが、演習以上の、鉄より重い蹴りが炸裂し、突然腹部を蹴っ飛ばされたあまりの痛みに苦悶の声をあげる海をリヴァイは悲し気に見つめる。
 その男の名前を、口にするな。と。

「なぁ、俺に蹴られても抵抗するなって教えたよな」
「ン……は、あ……グッ、……ん、ッ……ご、めんな、さい……」
「泣いて許してって言えば、まぁ、許してやらなくもねぇがな」
「っ、許して下さい、っ、あっ……許してっ……」
「許して欲しいか、なら、それなら言い訳のひとつでもしてみろ」
「は……それは、そのっ、……そもそも、私は、リヴァイ兵長の事は、っ……」
 ――あなたは、私の、上官だった。尊敬していたのに、かれは、突然豹変してしまったのだ。時に人の感情は制御できなくなり、暴走することがある。だけど、彼は決してどんな状況でも己の感情に呑まれるような人ではない、そう思っていたのに。目の前の彼は今完全にこの状況、感情に飲み込まれてしまっているのだ。

「海、お前は俺の女だろ、そうだろう、じゃなきゃあお前は俺の元からあっという間に飛んでいっちまう、なぁ、いつもみたいに、甘えてみてくれよ……もし、それができねぇのなら……」
「ぐっ、ううっ、んっ、うっ」

 突然、自分の首に回る指先は紛れもなく今も苦悶を感じさせないように絶対的な快楽を植え付け自分を肉体だけでも縛り付けようとする上官ではない、ただの男として、それも海の意志などまるで無視した一方的で過剰で危険な愛を注ぐ異常者となり果てた男のもの。
 かつて人類最強と呼ばれた男は別れた女と今も終わっていないと信じ続けそのあまりに幻想に浸り彼女が他の男とその後結ばれ兵士を辞めて普通の一般人に戻ろうとしているのを無理やり――。

「んーっ、んんっ!!! ンン―――!!!」
「俺の目の前で、ここで、今、死んでみせてくれよ……」
 
 メキメキと音を立てて彼女の細い自分の噛み痕やうっ血痕で染まる首を塞げば、呼吸する術を奪われた海の顔はかわいそうなくらいにみるみるうちに血管が集まり真っ赤に染められて伸しかかった下半身、動かせないままにつま先で必死に暴れてその公文から必死に逃れようとそれでも藻掻く。

「何で、だ? どうしてお前は泣くんだ? 俺はお前に付きまとうストーカーをこの世から排除してお前を救ってやったんじゃないか、誰にも狙われねぇようにこの部屋に隔離して、それでなのに、何がお前を悲しませる? どうしてお前は謝ってばかりなんだ?」

 締め付けていた首を解放すれば海は大きく咳き込み、腹部に伸しかかられ何度も彼の熱に貫かれて内臓を滅茶苦茶にされるような重い律動に晒されて。堪え切れずに彼の目の前で勢いよく嘔吐した。ぶるぶるとその肩を震わせながら海は子供のように大きな声でわんわん泣き出してリヴァイの目線から逃れるように。目を閉じ、永遠の解放を請うのだった。

 ――なぁ、海。俺が、間違っていたのか?
 どうして?俺はただこいつが好きで……こいつを幸せにしたかった。だが、こいつは、俺以外の男と結婚すると嘯いて、いや、待て。
 俺は何をした?

「も、もう、許してください……いっそ、このままここから、私の事、を永遠に逃がさないのなら、もう、構わないです……このまま一思いに……」

 彼女へ突きつけた7つのリヴァイの願い、彼女への願い、間違っていたのは彼女ではなく、自分だと、一的に思いを寄せ、彼女が結婚すると報告を受け、気付いた時にはリヴァイはもう戻ることの無い袋小路に立たされていた。
 一途すぎた故の愛は暴走し、悲劇を産み落とした。
 彼は己の本能に従い、彼女を拘束し、そしてここに監禁した、そして、彼女の目の前で、あの男を――。
 リヴァイの動きが止まり、沈黙が支配した空間。その時、扉の向こうから誰かの声が響き渡る。

「リヴァイ、彼女を解放しろ!」
「俺が……」
「聞こえないのか!! お前に殺人容疑と誘拐と監禁の疑いが出ている。彼女もそこに居るんだろう、大人しく出て来い!!」

 リヴァイの顔を見て、怯えていた海が急に顔色を更に青ざめながら静止の声をありったけ叫んだ瞬間、彼女の目の前、彼女に課した7つ目をリヴァイは強行していたのだ。

――「あぁ、俺が悪かったんだな、全部。そもそも、俺達は付き合ってなどいなかった――。だから、今、解放してやる、からな……」

 リヴァイは、愛した故にとうとう理性を失ってマトモな思考ではなくなっていた。繰り返した凶行の果て、彼女を愛しているのに彼女は自分を愛していないその苦しみから逃げたいが為に、彼女に課した最後の七つ目を、自らの手でとうとう遂行したのだ。

「は、あ、あっ、リヴァイ兵長……いやあああああああ――!!!」

 海の悲鳴が聞こえる。
 自らその苦しみを昇華することも出来ずに、幼き日に愛を失い、そしてようやく見つけた愛さえも全てが虚構、過ちだと知ったかつて人類最強と呼ばれた男はこの日、愛に狂わされ全てを失った。

 He performed the seventh.
 ――彼は7番目を実行した。
【七番目の願い】

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