Going Under | ナノ
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【永結】

 ※暗転の幕間。
 冬の寒さがより一層の厳しさを増すほどに、その威力を発揮して、あっという間に人から人へ伝染し拡大するインフルエンザというウイルスに誰もが怯えて予防接種を受けるが、男がこれまで感染した経験は生きてきて今まで無かった。
 だからいきなり鼻の奥まで綿棒を突っ込まれて診断を受けた時は痛みと共に理不尽な怒りさえ沸いたし、衝撃を受けたものだ。
 海がやたらと病院へと騒ぐから仕方なく休日当番医に行ったのだ。
 離れていたこの4ヶ月間。自分も海もコイン一枚ですれ違っていた事実を知りその壁を壊した。
 せっかく結ばれたのだ。自分が帰るまでまだ時間はあるしお言葉に甘えて年末年始もここで彼女の柔らかな肢体を余すことなく堪能したいとあれこれ色んな想像を巡らませ、それはもう。楽しみにしていたのに。
 これまで人並み以上に体力には自信があった。大きな怪我もなく生きてきた。
 自分を大学まで通わせてくれた今は亡き母親や、父親の代わりに面倒を見てくれた叔父のケニーにもなるべく迷惑をかけないようにと振舞っていたのもあったせいかもしれない。
 幼少の頃から預け先の保育園でも風邪とは無縁でいつも皆勤賞だった。身体の丈夫さだけが取り柄だった。成長するにつれて多少の熱や体調不良もあったが、体力が勝れば誤魔化して、自分は健康だと。そう、言い聞かせるように今まで過ごしていた。
 そんな自分がまさか温暖な気候である地元を離れただけで、それだけで遠くの雪国の地の想像を超える日本海側の厳しい寒さにやられてインフルエンザで倒れるなど、思いもしなかった。
 魘されながら、果たして自分は何処で感染したのか、それとももともと潜伏期間があったのだろうか。今は割れそうな頭の痛みと節々の痛みと高熱で思う様に思考が回らなかった。
 財布から取り出した保険証と現金で支払いを終えたリヴァイは薬局に寄り薬を受け取って来てくれた海の運転する車の助手席に凭れ荒い息を弾ませ暖房が効いたいい香りのする清潔な車内で息をひそめていた。
 海の車内は温かい。先程まで飽きることなく堪能した海の甘い肌の匂いすらした。この車で海はいつもあちこちを走り回りときには流れる音楽に身を任せたりしたのだろうか。
 女の体臭は特別だと言うが、正直いい匂いだと鼻が利く同僚のようにそこまで匂いを気にしたことは無かったが、今ならわかる気がした。



 ふ、と目が覚めて。それから正夢が消えないようにとことん、自分の欲求が尽きるまで海を抱いた。
 幼少期に母親を亡くして仕事で多忙な父に甘えられなかった名残か、どこかあどけなくいつまでも幼げで純情な少女みたいな海。
 しかし、ひとたび身に纏った衣服を脱がせてしまえばトロトロに蕩けた甘い香りを纏い、そしてあらゆる表情で男を悦しませる才能を清楚な顔に隠していたらしい。
 しかし、身を襲うこの肌寒さが海と結ばれた喜びにらしくもなく自分はただハイになっていたから、その武者震いだと思っていた。
「リヴァイさん、」
 まだ海と結ばれた事が信じられずにいた。駅で再会した時の海はまるで別人のようにとても冷たかったのに。今は、自分の名前を何度も呼んでくれた。夜通し抱いて朝も生理現象を利用して繋がった時も抵抗もせずに。自分を受け入れて答えてくれた。裸の胸には自分が贈ったネックレスがあって。
 久方ぶりの行為の怠さでは無い高熱の中で朧気に夢を見ていた。
 優しい声で微笑むエプロン姿の相変わらずまだ幼い少女のような風貌の海がそっと自分をベッドに寝かせて、そして一生懸命作った美味しそうな卵の入ったお粥を食べさせてくれる。
 今更羞恥心が込み上げたが、知らないフリをして恥を忍んで口に粥を含んだ。
 少し冷ましたみたいだがそれでも内心熱いと思ったがダルさの方が勝ったのでそのまま飲み込んだ。インフルエンザで弱った身体には心地のいい優しい味付けだ。
「美味ぇな……」
「あ、お口にあいましたか?? 良かった……! リヴァイさん、食欲はありそうですね。お薬も飲んでください。きっと沢山汗をかいてゆっくり休めばすぐよくりますからね」
「……悪ぃな、まさか今度お前に看病されるとは」
「いいえ。いいんです。夏の時……私も沢山ご迷惑おかけしたから。あっ、グレープフルーツも剥いたので食べて下さい。お口の中もサッパリしますよ? お父さんには前もって連絡したので。お父さん、この時期は職場で寝泊まりするから殆んど帰ってこないから。うるさい人も居ないです。気にしないで休んでくださいね」
「いい、こうなっちまったからには迷惑かけたくねぇ。俺は帰る。古雅家にも感染しちまうし、お前らの馴染みのダチやミカサ達にもな」
「それはだめですっ、心配ですし、それに、インフルの人がむやみやたらにお外を出歩いたら駄目ですよ!まして公共交通機関に乗るなんて……!ちゃんと、お熱が下がるまではここにいてください。それに、私今働いてないからずっと付きっ切りで看病しますから気にしないで……私、リヴァイさんの傍に、ずっと傍に、居ますから。だから、安心して下さい。少し前にちゃんと予防接種は受けてますしリヴァイさんのインフルなら私が引き受けます……!! お父さんはインフルの予防接種受けてないから年末休み入るまではしばらく職場で寝泊まりするそうなので、気にしないで本当に大丈夫ですから」
 にっこりと微笑みながら海はリヴァイの手を握った。
 そして病院で処方された吸引薬を飲ませようとする海を男はぼんやり見つめる。
 本人は自覚がないのだろうか。
 家にはふたりきり、肝心な時に邪魔をする(自覚無し)父親は暫く帰ってこない。
「リヴァイさん。下から氷も沢山持ってきたしどんどん冷やしましょう。太い血管の所を冷やすと気持ちいいですよ?あ、お風呂もしんどいでしょうから、タオルも持ってきたので拭いてくださいね、っ」
 パタパタと、スリッパを鳴らして忙しなく自分の周りを動き回る海。可愛らしいフリルのエプロン姿というオプション付きで自分のために甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる姿に胸を打たれながらも、海に促されグレープフルーツを口に含むとその酸味が心地よく喉を潤した。
「なぁ、熱で上手く起き上がれねぇからお前が拭いてくれよ」
「え?」
 有無を言わさず、リヴァイは戸惑う海を置き去りに着用していたトレーナーを脱ぎ、温感インナーも脱ぎ捨てると、日々ジムで鍛えている小柄な部類だがそう感じさせない並の男を跳ね除けるような逞しい上半身が露になり、海は思わず両手で顔を覆う程明るい部屋で目の当たりにする彼の上半身姿の刺激の強さにやられそうになった。
「っ……」
「何だ。今更恥ずかしがることねぇだろ」
「で、でも、明るい所で見るのと、そうじゃないのとでは意味が全然違います……っ!」
 かわいそうなくらい頬を赤らめる海の反応に満足したように、リヴァイは手首を掴んでその手に温かいタオルを握らせる。
 具合が悪いからと、普段見せない自分の弱々しい姿に逆らえずに海は言われるがままにリヴァイの逞しい背筋の盛り上がる背中に触れる。
「あ、っリヴァイさん……!」
 自分の体温が高いのか海が冷たいのか、落ち着いているのにどこかまだ不慣れでたどたどしいその声で呼ばれるとなんともクルものがある。
 惚れた恋しい女。こんなにも心乱されるのはきっとただ一人、この先海だけだ。
 名前を呼ばれた。ただ、それだけの事なのに、怖々と背中に触れ、不慣れな手つきにさえ心臓を鷲掴みされたような気になる。
 二人きり。誰もいないこの空間で。自分は病て弱っている。そしてそんな中でようやく結ばれた恋しい存在と抱き合える。
 肌と肌で触れ合う喜び、これまで抱き合ってきたが、それだけの行為に今までに感じたことのない心地良さを感じてリヴァイは背中を拭き終え、「あのっ、後はご、自分で……と」と言いかけ耳まで真っ赤な顔で自分の上半身裸をそれでも凝視している海に向き直った。
「海、まだ終わっちゃいねぇが」
「えっ!?」
「怠くて思うように……動けねぇんだ。前もついでに拭いてくれよ」
 くるりと。逞しい背中から真正面に向き直るように振り向いた彼の上半身はもちろん裸。
 小柄で無駄な肉の無い引き締まった肉体。細身に見えて意外と着痩せするタイプだったのか、浮き出た腹筋は八つに割れて胸板もしっかりとした厚みがあり、やけに心臓の音が響く。嫌でも男女の明確な肉体の違いを実感してしまう。
 昨日も見たが、明るいところでじっくり見るのと行為の時に見るのとではわけが違う。
 どこまでも続くすれ違いの果て。北と西で離れ誤解を経てようやく結ばれた男と女がふたりきりでこの空間にいたらどうなるかなど、海も子供では無いのだ。だから分かっているはずだ。
 戸惑い断ろうとする海をどうにか丸め込みリヴァイはタオルを握らせ自分の胸板にその小さな手を滑らせる。
「っ、恥ずかしいです……」
「今更恥ずかしがる仲じゃねぇだろ。あっちこっちでさんざんヤリまくって俺の裸も見ただろ、カマトトぶってんじゃねぇよ」
「で、でもっ……っ」
「汗もかいてる。ちゃあんと、丁寧に隅々まで拭いてくれよ」
 熱により火照って汗ばんだ身体があまりにも刺激的だ。海は恥ずかしそうに俯きながらも何とか筋肉で隆起した肉体を直視しないようにと清拭を終えた。
「海……」
「ひぇっ!」
「なぁ、もっとこっちに来い。そんな怯えたような顔してんじゃねぇよ、取って食いやしねぇから」
 そう言いつつ好き勝手自分を朝から襲ったのは誰なのか。我ながら説得力のないセリフだと思いつつ苦笑する。
「リヴァイさん、熱い……早く横に……っ、ならなきゃっ」
「あぁ、苦しい……熱くて、頭がおかしくなりそうだ……」
 この先仕事で関わることもないからこそ、かつて上司と部下の関係から解き放たれ、幾分年下の海にしか見せられない姿を見せ、どこか甘えたような自分が思ったよりもかなり弱々しい声が出た。
 上半身裸のまま。裸の胸板に海細い腕を掴んで、そのまま小さな身体を引き寄せていた。
 ずっと、ずっと彼女の柔らかな肌に指を沈めたくて、触れたくて仕方なくて、たまらなかった。今すぐこの隙間を埋めて欲しい。
「海」
「あっ、リヴァイ……さ、ん、ひっ、あ、だめです」
「楽にしてくれ。寒ィ。なのに熱くて頭がおかしくなって死にそうだ」
 病気で普段よりも弱気なリヴァイの声は年上の彼がいつもより弱々しく見え、護ってあげたくなるような、庇護欲を駆り立てられる。
 ドジだが根は父子家庭育ちでしっかりしている海の優しさに甘えて居たくなり、男は熱を分け合うかのように慌てふためく海を問答無用で自身の寝ていた布団へ一気に引きずり込むと寒くないように布団ごと海に覆いかぶさって、エプロン越しの柔らかな胸に顔を埋めるとそのまま形のいい鼻筋が柔らかな丘をのぼり、たどり着いた海の潤んだ唇に口付けを落とした。
「んっ、あっ、リヴァイ……っ」
「海が治してくれねぇか」
 薬を飲まなきゃ。そう、言いかけた海の言葉を唇で塞いで本心を暴くように口づけ歯列を舌でなぞった。
「は、んっ、あっ……ん」
 さざ波程度の抵抗で熱で普段より声が掠れ異様に纏う妖しげな色気に当てられる。三十路半ばの男の肉体は若さは去り成熟して、エロティックだ。
 熱を孕み、普段より明らかに異様な高温を纏うまま海の咥内へ舌をねじ込ませると、海も導かれるように舌を絡ませてきた。
「はぁ、んっ……あっ、んっ、むっ」
 子供みたいに。具合が悪くて甘えて強請るように。がむしゃらに貪欲に求めた。こんなにも海を求めて止まないのはなぜなのか。体調不良により精神的にいつもより参っている自身の危機に瀕して子孫を残そうとする男の本能が、そうさせるのか。それとも、目の前の海が自分を狂わせるのか。
 普段よりも甘く囁くようなリヴァイの声は弱々しくて、掠れ、艶やかに映る。
 彼に組み敷かれ、背丈の割に重量のある筋肉を纏った男の身体がまるで檻のように海を閉じこめる。腹部に感じるその重みに漏れる呻き声にさえ、リヴァイには興奮材料にしかならなくて。
「熱ィ」
「あっ、経口補水液、飲みますか?」
「海が飲ませてくれ」
「え?」
「お前の口から飲ませてくれ」
「お前の口から」当たり前のように言葉にすれば、海は驚いたように肩を跳ね上げた。目の前の彼らしからぬ発言に余程彼は具合が悪いのか、インフルエンザウィルスで脳味噌まで熱でやられてしまったのだと悟る。
 恥ずかしさにここからどう逃げ出せばいいのか。彼の身体を気遣い、労るのならこんな風に抱き合うのが良くないのは分かっている。
 けど、その灰色の鷹のような鋭い瞳に見つめられた時から、初めて出会った都会で抱き合った雨の日の夜からもう自分は彼の腕から逃れることは出来ない。
「そんな! 私の、口から! そんなの、っ」
「いいな、早くしろ。看病してくれるんだろ? それとも口先だけか? ん?」
 まるで夏に一緒に同じ部署で働いていた時の泣く子も黙る鬼主任時代の彼みたいな言い草だ。普段の潔癖症がそのまま歩いているような彼なら絶対死んでもそんなことお願いしない。
 やはりよっぽど体調が悪く辛いのだと海は感じていた。
 半ば急かすように、海は目の前で待つ飢えた目をした男の姿に無心で身体を差し出すしかなかった。本当に彼の温もりに、心地良さに飢えているのは彼よりも自分だと言う自覚はある。
 仕事上でもプライベートでも、見るからに潔癖症の彼がそんな他人の咥内に含んだものを欲するなんて。
「んん、っ」
 頬にそっと手を当てて、言われるがままグラスに氷と一緒に注いだ経口補水液をゴクリと小さな口いっぱいに、含んで。海は息を乱して苦しそうな男の燃えそうな咥内へそっと押し付けるように自分の唇を重ねた。
「は、ん……」
 そのまま吸い込まれて行き、その口内へ一緒に含んだ四角い氷のヒヤッとした冷たさが男の熱を多少冷やしてゆく。
「んっ……」
「っ、オイ、何だ、冷てぇじゃねぇか」
「あ、ごめんなさい……」
 口移しで飲み物を飲ませ合う。唾液。菌の交換のようなものだ。衛生的にも、それはどうなのだろう。
「あぁ、氷入りか……」
「あの……氷入りのお飲み物は嫌、でしたか?」
 紅茶を好んで飲む自分がこう言った類の甘い飲み物を飲まないとでも思ってるのだろうか。しかし、インフルエンザで弱った身体には今は薄口の甘い味はとても心地がいい。カラリと、口の中で冷たく溶けてゆく水の冷たさが高熱で燃えるように火照った肌にとても心地いい。
「いや……悪くねぇよ。冷たくて……気持ちいいな」
 そして、リヴァイはそんな氷の冷たさと見つめる海のどこかその先を期待したような、蕩けたような顔にあることを思いついて思わず悪魔も殺せそうな凶悪な微笑みを浮かべた。目の前の海に。
「海……」
「ああっ……ひっ!あ、や、ぁっ、冷たい……っ」
「ああ、冷たくて気持ちいいな……海。冷やしてくれた礼をしてやらねぇとな」
 燃えるような熱い咥内に飲み込まれ溶けてゆく氷を口の中で転がしながら器用にその氷を唇で挟み込んで。海の滑らかな肌と青々とした首筋へそのままピタリと押し付けたのだ。
 突然の冷たさにビクッ!と大袈裟なくらい肩を跳ね上げた海。小動物のように愛らしい海のその純粋な反応に思わず笑みが浮かんでいた。
 何処か興奮したように、フリルのエプロンを脱がせてワンピースを1枚引っ張れば目の前には形のいい胸が黒い下着の中から揺れながら現れる。リヴァイはたまらずその手で吸い付くようにきめ細やかで、雪国育ちらしく、血管も透けて真っ白な海の両胸の感触を確かめた。
「ああっ、んんっ……急にっ」
「硬くなってきてるじゃねぇか」
「さ、寒いから……」
「室内温度25度設定なのにか?」
 両の胸をやわやわと揉みながら。リヴァイはまだ小さく主張するその先端を指先でこねくり回して軽く弾くと、海は嬉しそうに喉を反らせて喜んだ。
「んんっ〜〜〜!」
「少し痛ぇのが好きか?」
 きゅっと少しきつく摘まれるとそれに伴って膣を締め上げ感じてしまう。
「オイ、なんか言えよ」
「あっ、んっ、ふとったから……あまり、見ないで下さ、っ」
「は、気にしちゃいねぇよ。むしろ、お前、夏の時は痩せ過ぎてたんだろうが。骨盤あたって痛てぇったらねぇ。今のままでその肉を維持しろ」
「ひぁっ、んあっ、冷たいっ」
 燃えるような咥内で互いに甘く口付けあいながら溶けた氷は角取れて丸みを帯びリヴァイは器用に口に含んだまま。そして――……。
「ひあっ、やぁんんっ!ああん!やめてくださ、っ、あっ、冷た、っ、あっ!」
 あろうことか、その氷を含んだ唇で胸のまだ柔らかな淡い色の先端に吸い付いてきたのだ。
「嘘つけ、嫌がってる割にここは喜んで勃起してるじゃねぇか……」
「ンん! う、ん……あ、ッ」
「…気持ちいいのか、海」
「ンァ、ン、んんっ、はぁんっ」
「どうなんだよ、答えろよ。寂しいじゃねぇか……なぁ、」
 からころと咥内で氷を転がすように音を立てて海の下着を剥いだ丸出しの両胸の桜色の先端へ。氷を含んだ唇ではむはむと食すように愛撫をすれば、海は恥ずかしいやら冷たいやらでビクビクと順応に反応を見せる。
「あぁ……見ろ、どんどん硬くなってきた」
「ひっ、あっ、んっ、こんなの、知らないっ」
「知らなくていいんだよ、俺が一から全部お前に教えるんだ。お前が今まで感じたことがねぇような、本当のセックスってやつをお前にキチンと教えてやらねぇと、なぁ、海」
「っ、」
 赤く染まる先端が触れて欲しくて切なげに揺れていた。
 血管の浮いた無骨な腕。体格よりも大きな手が海の両胸を望むままに包んでやる。すると、大人しくしていたその先端はますます色づいて起立し、赤い果実が実るようだ。氷を押し当てられ、その赤子のようにままちゅうちゅうと音を立てて。
「んん、ッ……っ、あはぁ、う…んんん…ッッッ!!リヴァイ、さァんっ」
 熱に浮いて頑なだった海の理性も彼の口の中で遊ぶ氷のように溶かされていく。
「声はもう我慢する必要ねぇぞ」
 絡め合うお互いの舌で溶けた氷が顎をつたい、海の裸の胸のネックレスの谷間に落ちたその刺激さえ興奮材料でしかない。海はビクビクと腰をはね上げていた。
 昨晩から何度も貫かれた下肢は熱を孕んでじくじくと疼いて、履いていたタイツや下着も手品のようにあっという間に脱がせ。暴れる華奢な足を掴んで、海の普段秘められている女性の部分を二本指で開いた。
「ひっ、あっ、見ないで……見ないで……」
 膣口から肉ビラまで。海の秘所は彼に種火を投げ込まれたように燃えるように熱い。
舌も粘膜も絡ませた長く甘いキスで脳が溶けるほどとろとろにされて、唇が離れる頃には熱なんてないのにリヴァイの高熱が伝線したかのように浮かされ海の視界には恥ずかしがる自分を心底満足そうに見つめるリヴァイの顔がまるで逃げ水のように、揺らめく。
「よく濡れてるな……ケツまで濡れてシーツもシミ出来てるじゃねぇか……胸だけで濡れてるのか、それとも元から濡らしてたのか。氷が好きみてぇだな」
 胸の先端をキュッと摘み、また海の口からは甘い妄想を駆り立てられ「ん、」と甘い声が漏れた。手は下肢の間にいつの間にか伸びていて。
ゆっくり上下に擦るように突起から膣口まで撫でると、海の殆ど下着の役割を果たしていない下肢の間から溢れる愛液がスムーズにリヴァイの太い指を受け入れた。
「あっ、待ってくださ、急に……!」
「隠すんじゃねぇ。見せてみろ」
 ずるりと、ひん剥かれ明るい場所に晒された秘部も赤く染まり愛液がとろとろと溢れている。氷を使った胸への愛撫に感じているのか、恥ずかしくてたまらないと閉じかけた足をがっちり抑えて開かせたまま顔を近付ける。
 しかも、口には氷を含んだまま。あろうことかそなまま膣内へ氷で冷えた舌をねじ込んだのだ。
「ひぁっ、やぁああっ、冷たっ、あっ、んっ」
 卑猥な音を奏でながら愛撫を施して。突起に氷を絡めた舌をちらりと覗かせベロンと舐め上げ海は感じたことの無い氷と舌の感触に背筋を震わせていた。



 上下お揃いの黒のショーツはクシャクシャにされて布団の遠くの方へぶん投げられてしまい、瞬く間に全裸にされてしまった海は恥ずかしさに悶えるが自分の抵抗など軽くあしらわれてしまいジュッとリヴァイの熱に浮かされた玲瓏な顔が当たり前のように海の秘部に埋められていることに悶絶していた。
「はぁっ、やあっ、そんなとこ……いやっ、あっ、なめちゃ、やらぁっ」
「うるせぇ……」
「あ! んンンン〜っっ!」
 暖房が効いた温暖な部屋。39度の体温は尋常ではないくらい、下半身に熱は入らないし、全身は燃えるように熱を孕んで熱いのに、触れる氷の感触は冷たい。
「あっ、やめっ、つめ、たあっ」
「ン、俺は熱くてたまんねぇ……海」
「あ、ひ、ッ、んんん〜〜〜〜!!!」
 卑猥な音色を奏でながら氷を含んだ冷たい舌の口淫に押さえつけられていたつま先がピンと仰け反る。海はもんどりうちながら抵抗を見せるが屈強なその上半身に押さえつけられた下肢は言う事を聞かない。
 それどころかリヴァイは氷を使ったその愛撫に興奮していつも以上に粘着質な愛撫を惜しみなく海へ贈る。
「ひ、ん、んぅ!! や、あっ! あっ! んんっ!!」
 ずるるるる。っとワザと音を立て、激しく愛液を舌でちゅくちゅくと音を立てて吸い出し、ズブブブブ……と中指が侵入してきたのだ。
そのまま、ぐっぽぐっぽ、と泡立てるように愛液を掻き出され、適度なスピードでその感触にひっきりなしに喘いでいる。
 お互いに着ていた服を脱がせ合うように。39度の高熱を抱えた額に熱さまシートを張り、熱で目を潤ませたリヴァイは甘い蜜を求める虫のように夢中で海の下肢の間に溢れる愛液を啜り続けた。
「あっ、っ、うんん……それ、だめぇ、っ、氷、もうやめてぇ、っ」
「うるせぇな」
「ひっ、〜〜〜〜!! あああっ、んん〜〜〜!!!」
 ぐぬぬぬ……と薬指が追加されぎゅうっとリヴァイの指を彼の猛ぶった自身と錯覚した膣内はそれだけでは満たされないと粘着質な音を立てて締め付けてきた。その上の突起にしゃぶりついて、カリッと歯を立てられどろっと愛液が一気に二本の指から引き出され、海はまだ始まったばかりの行為に既に彼にこの一晩で貫かれ彼の自身の質量を求めるように思い出して甘く達してしまった。
「は、ぁっ、んっ、」
「は、上手にイケたな。偉いぞ、海」
「っ、偉くなんてっ、そんな、っ」
「ひくひくして熱そうだな、どれが氷かお前のマン汁か分からなくなっちまったな」
 武骨な拳が口元に付着した愛液を拭い取り、溶けかけの氷が浮かんだ経口補水液で流し込むと、すっかり溶けてしまった氷の代わりに補充され、その氷を彼はあろうことか。
「ひっ、んあぁ、ああうっ」
「太い血管を冷やせばいいんだろ、お前の身体もクールダウンしねぇとな」
「リヴァイさん、無理しないで……あっ……ひゃっ!?」
 つぷ、と割れ目に宛てがうと、そのまま海の燃えるように熱い胎内へ押し入れできたのだ。
これには目を見開いた海が入ってきた明らかに異物であるその冷たい感触に身悶えた。
「ああっ、冷たいっ、ひあっ、やん」
 経口補水液にプカプカと浮かんでいた氷を入れると、海は腰をくねらせて逃げようとするが、リヴァイの屈強な腕から逃れられるはずもなく、それを押さえつけて、奥まで突っ込んだ。一個では飽き足らず、続け様に2個目、そして3個目を入れたのだ。
「やっ、あっ、んんっ」
 溶けたことで氷の角が取れ、丸みを帯びた球体が冷たい水に変化しつつ燃えるように熱い胎内にそのまま放り込まれ、味を占めたリヴァイは熱に浮かされ理性のタガも外れたのか鼻息を荒くし次々と海の胎内へ氷を突っ込み、ダイレクトに感じる冷たい感触と、溶けた氷から伝う愛液ではない雫さえも心地よい刺激となる。
「ひいっん、いあっ、冷たっ、んっ、リヴァいさん、っ」
「大丈夫だ、怖がるな……直ぐに熱くなる」
 氷でみっちり埋まった胎内。異物が入っているのも構わずに高熱ですっかり赤く腫れてだらんとしていた自身を扱いてい一気に氷を突き破るように海の胎内へ突き入れた瞬間、海はその冷たさと熱さに翻弄され甘い声で仰け反った。
「ひ、あっ、ああ〜っ!! は、いや、っ、あっ、らめ、ああっ、そんな、おく、にっ、ああ〜っ!!」
 収縮する中がまるで生き物のように。海の身体がガクガクと震え、予告無く貫かれた衝撃で達したのだと、リヴァイの自身を締め付けてきた。
「っ、く、……はぁ……もうイッたのか?でも、まだこれからだ……今日はなかなかイカねぇかもしれねぇが、まぁ、頑張れよ。気絶したら氷追加するからな」
「ひぁ、んく、あっ!あっ!んあっ」
 虚ろな目で達した余韻に浸る海を揺さぶりながらリヴァイに、耳元で囁かれ海はカタカタと肩を震わせていた。
 ミチミチと狭い胎内に締めつけられて。その間を置かずにぱんぱんと激しく突いて、突いて、突いた。海も冷たい氷とリヴァイの高熱で余計に暑さを感じる隔たりのない生の彼との交互の律動にたまらないとひっきりなしに本気で感じているようだった。
 海の体内に残る氷がリヴァイの亀頭にちょうど当たって高熱を纏う身体には心地良さと気持良さが伝わる。
 海の胎内に氷という異物を挿入したのに、感じて見悶える海の姿に律動の度に揺れる胸に正直、病みつきになりそうだった。
 あんあん叫びながら行き過ぎた快楽に泣き出しながら真っ赤な顔で弱々しくリヴァイにもっと、とねだりながら自ら上半身を起こして彼の胸板に自分の胸を押し付け首の後ろに腕を回してキスを求めてきたのだ。
「あっ、リヴァイ、さ、ああ、っ、ん、きもちい、きもちい、っ、」
「…ッ……お前……あぁ、本当に、可愛いなっ!」
 堪えきれず、ずるるるるん!!と勢いよくリヴァイの熱さを纏った屹立が引き抜かれ、海は「ひぃんっ、」と、息を飲んだ。
 しかし、一度抜いたから彼が終わりではない事はわかる。そのままリヴァイは海を乱暴にうつ伏せにひっくり返し、四つん這いの体勢でシーツに押し付けると、猫が伸びをするように。
リヴァイに臀部を向けたまま引き抜かれた彼女のそこは、栓をなくしてタラタラと氷水と愛液が溢れていた。
 中指でぽっかり自分のカタチになりつつある膣口探り当て、そのまま四つん這いの体勢から引き起こすと再び後背位でずぶん!と予告無く一気に熱でさっきまで元気のなかった愚息は氷で冷やされ生き返った筈なのに、氷で敏感に反応し、愛液を垂らす海に導かれるまま奥まで打ち込んだ。
「海、まだへばるなよ……っ、」
「んんっ、ひあッ? んッッッ! ァッ、ひィっ、」
 両足を担がれ見えない誰かに結合部分を見せつけるような体位へ移行し、奥深くへリヴァイが容赦なく侵入してくる。クリトリスをギュッと摘まれ、海は背を反らせてぴくぴくと腰をヒクつかせて軽く甘イキしてしまった。
「いやああっ、ああ〜んっ、リヴぁいさ、ん、あっ、止めて、あっ、ぅんッ、まだ、イってるのっ、あっ、んああああああ!!」
「氷で、冷たくて、気持ちいいな……」
「んあっ、んッ、リヴァイのからだ、熱いよ……」
「運動して汗かかねぇと……お前がそう言ったじゃねぇか。お前の親父が帰ってこねぇなら、いいよな。このとおり、熱でなかなか俺はイケそうにねぇし、時間ならたっぷりありそうだ」
「んんん〜!!」
「俺がイクまで、頑張って癒してくれよ」
「あっ、んっ、わた、し、ん、あっ、リヴァイさんを、いやし、てあげますっ……あん、あっ、はぁっ、ああん!!ああ〜〜〜!!」
「お前の、せい、だからな……海……こんな気持ち、生まれて初めてだ…お前と居ると冷静じゃなくなる、お前に触りたくて、たまらねぇよ…」
「はっ、あぅっ、ま、って、いま」
 みっちり埋まっている下腹部をなぞり、リヴァイの熱を帯びた唇が辿るように触れて。
 リヴァイの屈強で血管の浮き出た太く逞しい腕に抱き抱えられ、そのたくましさに甘くイキながらも膣口は彼をまたギュッと離したくないと言わんばかりに締め付けた。
「んは、うんっ、あぅ〜〜〜ッ、あぅ、んッ」
 ずぷぷぷぷ……っとゆっくり奥まで挿入され。完全に呑まれたこの淫らな空気に、窓ガラスが曇る。リヴァイは口の中にまだ残っていた氷を海の顎を掴んで振り向かせ、舌っ足らずに自分の名前を呼ぶ、唇へそっと氷を口移しで与えだ。
「はっ……あっ、んっ」
顎を伝う雫にさえ、感じている有様。ごぢゅごちゅと氷と愛液と先走りが、混ざりあい海とリヴァイの足の間を幾重も伝いシーツはもう悲惨な有様だ。
「っひ…!?あっ、やっ、リヴァイさ、ッ!そこだめっ、そこ、ッ、だめです…ッ!はぁっ、奥に、あたって…!あんっ、そこ、だめえっ、あ、そこぉっッ来ちゃだめです…っ!」
「は……ン、っ、さっきからそこっでどこだよ……具合が悪くて聞こえねぇな」
「やん……、あっ、や、ふうぅんっ」
「海っ、」
「〜〜っ、あっ、またいっちゃう、あん、あっ」
 脳神経と直接繋がっているとされるポルチオの刺激は未開発では痛いが、そのうち容易に感じられるようになればイキっぱなしになる。気絶してしまう快楽を与えられる。
 自分の愛を重く受け止めて、そのまま自分の愛に果ててそのまま元に戻って来れなくなればいい。
「なぁ、海、次は俺の前でいつもどんな風にオナニーしてんのか教えてくれよ。時間はたっぷりある訳だからな。俺が帰るまで……お互いの事、もっと知る必要があるよな、もっと、ちゃんと身体にもワカらせてやらねぇとな」
「んっ、……」
 海は不慣れな体位、姿のまま、後ろ手に彼を抱きしめた。氷の冷たさはもう何も感じなくなるほど、2人は暖房の効いた部屋で欲望が尽きるまでまた求めあった。
 リヴァイから流れ落ちた汗が頬を伝い、海に落ちる。このまま一緒に同じ病で抱き合うのも悪くは無い。
「教えて、下さい……」
「いいぞ」
 自分達を邪魔したり、立ち塞がる障害はもう、ここには存在しないのだと。確かめるように。

Fin.
 2021.01.07
 (永結は管理人の造語です。)
【永結】

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