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【真夜中は紳士】

「なぁどうだ、まだへばるなよ」
「っ…リヴァイ…」

行き過ぎた止めどなく溢れる快楽は果てしなく広がり蓄積されていく。次第に頭の芯から白く焼かれてのぼせ上がる思考に激しい眩暈を抱く。縋り付く様に私の腹の裏を我が物顔で突き進む彼の広くて傷ついた堅い背中に腕を回して鎖骨辺りに顔を埋めて必死に呼吸を繰り返すと、ふわりと私の頭を逞しい腕が引き寄せた。

「…あ……っ!」
「悪ぃ…もう少し…お前と繋がって居てぇ」
「っ…苦しい…だめ、もう…」
「お前が…好きだ…、もっと、もっとだ...」

片腕で簡単に私を抱きすくめ耳殻に甘く口付けられ、そうして囁かれた愛の言葉にぞわぞわと身震いする。

自分のあまりにも淫らな声が止まらない、開いた足を抱えられそのまま胸に着くくらいまで持ち上げられて真上からガツンと叩きつける様な律動に変わる。

今にも消えそうな意識の中で…彼の腰に足を絡めて自分からも腰を振りながら身を委ねれば彼は優しく笑って私の温もりをより深く感じられるようにと鎖骨から頂まで唇を滑らせると再び汗ばんだ肌を重ねてきた。潔癖症の彼が、壁外調査から戻ってくると二時間はバスルームに閉じこもりひたすら体を清め続ける彼が今は2人の体液と汗まみれになって私をこんなにも深く激しく愛するなんて私だけが知っていればいいの。だから。 

「ああっ、だめぇ、だめなのっ、ああっ…!」
「なら…もっとしてやらねぇとなぁ、お前の嫌は、イイって事、だろっ」
「んぁっ、ああっ!」

サラサラの黒い綺麗に整えられた髪も今は普段の見る影もなく乱れ、下ろされた前髪の隙間から除く高貴な獣のような鋭い瞳も、端麗で整った顔に兵団の人間らしく鍛え抜かれた逞しい彫刻のような身体を持ち、強く気高い誉れなきオーラに包み突き進む彼を出会った頃、最初は小柄なのに幾多もの死地をくぐり抜けてきたその凄まじさにただ、ただ、私は圧倒された。

粗野で不愛想で、でも本当は誰よりも失う痛みを知り、そして彼はずっと太陽の光さえも届かない閉鎖された地下の街で生き抜いてきた。
「愛し方なんか知らねぇ、だからうまく愛してやれるか俺にもわからん。
惚れた女を抱くなんて初めてだからな」と。
そんな彼にこうして気が狂うほどの愛撫を施され抱かれているのは…彼は口が悪くそんな彼の夜の姿なんて全く想像もつかなくて。乱暴に見えたけど、知れば知る程本当は誰よりも切なくて泣きたくなるくらいに愛してくれると知って、今まで彼が抱いてきた女の人が妬けると言えば彼は「こんな風に抱くのはお前だけだ」と、蕩けるくらいに甘いキスをくれた。

「んふ、ぁ…あ…っ……苦し…んっん…!」

激しくガツガツと何度も何度も突かれながらキスを交わして唇を絡めれば、不快感に顔をしかめる。先程さんざん愛撫された下肢の間の愛液がまだ残る彼の咥内は何とも言えない味がした…。

好き勝手に我が物顔で私の体内を突き抜ける愛しい彼の名を呼ぶ。そうすれば彼は、また優しく灰色の瞳を細めて私だけにしか見せない妖しい笑顔を浮かべてくれるから。

「何だ、苦しいならやめちまう…か?なぁ、どうなんだよ、止めていいのか」
「んゃ…っ!う…ん…!あっ、んあ…っ!」
「グズグズに濡らして…清楚な顔して悪い女だな、」
「っ...!だめぇ!」
「おい...っ!締めんなよ、っ、」

夜の彼は紳士だ。そしてこんな状況でも屈強な精神力で自分がもう果てそうなときにいきなり止めてしまう…彼に指摘された下肢の間から、彼の低い美声に囁かれ、卑猥な暴言にまたジワリと愛液があふれた気がした。
そんな隠された素敵な魅力を知る程に私はどんどん、まるで甘い麻薬の様に彼の齎す快楽に深く深くどこまでも沈みそして溺れていった。

「ん…っ…いや、ああっ…」
「は…ァ…いい、焦るな。お前の知ってる言葉で…言ってみろ」
「あっ、んッ…んぁああっ、ゆっくり、しないで…もっと、動いて、ああっ、いやぁ…んっ…!」

ゆるゆると緩やかな衝動に変えられて、もどかしさで甘く仰け反りながら彼をねだるのに彼は困ったように彼は私の髪をひと房取るとそのまま愛おし気に口づける。性欲とか、男の人は大変なのに…ただの強い快楽とかじゃない、温もりと愛する人とこうしてただ抱き合う熱を大切にする私の意見に優しく笑ってくれた。

普段の粗暴な激しさをそのままに夜も、獣の様に食い尽くされ貫かれるばかりだと思っていたのに彼より一回りも小さい私にリヴァイは溶ける様に低く優しい不器用な言葉と繊細な指先で、広く逞しい体で壊れてしまわない様にと優しく優しく私を受け止めてくれた。

「もっと…ん…深く、私の奥まで…っ…来て…気持ちいいとかじゃなくて、ただ…貴方を感じたい…」
「お前な…とんだ殺し文句だな」

私の愛液を伝う太股をゆるりと撫でながらリヴァイは拙い私の本当の気持ちに優しく笑って私の腰を浮かせて両足を頼りない照明に照らして繋がっている部分を広げた。

「あ、あ…っ…恥ずかしい…いい…」
「恥ずかしがる必要なんかねぇ…望み通りにしてやるよ、」

傍らのランプを消すと辺りは漆黒に包まれ、私の上でリヴァイの影が私を強く抱き締め。縋り付きながら荒い吐息混じりに律動をやめて腰を引き寄せ、強く強く抱き合った。

「んぁっ、んんっ!リヴァイ、あっ、リヴァイ!気持ちいい…ああ、ああっ!もっと強く抱きしめて…っ」
「…ああ、俺も…お前の奥まで…もっと、酔わせてくれよ、」

私を壊してしまうからというけれど。私はそんな簡単には壊れたりなんかしない。さらさらと流れた髪がまるで蜘蛛の巣の様に私を捕らえて離さない。筋の通った鼻が、薄い唇が近づけば甘いキスを交わし微かに香る紅茶の苦い香りに酔いしれた。

「あぁっ…!」
「っ…」

腰を引きつければ奥に感じた熱が行き過ぎた強い快楽となって全身を突き抜け脳天を貫く。ホワイトアウトする世界、私は耐えきれずに仰け反り淫らに何度も何度も達して彼に注がれる熱にはしたなく虚ろな瞳でまた果ててしまった。

「んぁ…っ…はぁ、はぁ…」
「………大丈夫か、」

それでも其処はまだ熱くて…繋がり合った其処がまた疼き出す。膝を擦り合わせた私に優しく髪を梳く彼の手つきが心地よい。

「…疲れただろ、悪ぃ、手加減出来なかった、」
「へ、いき…それに、まだ…リヴァイは…その、気持ちよかった…?」
「馬鹿野郎が…いちいち俺に気を遣う必要なんかねぇ。俺は満足している、お前が日に日にエロくなっていくのを見るのはたまんねぇな」
「リヴァイ、あの、なんか発言がおじさんくさいよ…」
「てめぇ、」

愛し合う夜が愛しくて焦がれてやまない。リヴァイが優しく何度も私の身体を気にかけてくれる。うれしかった、幸せだった…こんなにも私を優しく愛してくれる誰よりも不器用な貴方と繋がり合ったまま甘いキスをした。




「ん…」

いつのまにか寝てしまっていた。まただ。彼は未だシャワーを浴びる音がする。顔を上げれば少し開かれた扉越しに髪を流す彼の無防備な後ろ姿が見えた。明りに照らされ光る完璧に鍛え抜かれた身体を流れてゆく泡を纏った水滴に、あまりにも無防備な逞しい背中、素肌に絡みつく黒い髪。

さっきまで、意識が飛んでしまいそうな程あの身体に、唇に指先に抱かれていたのかと想像すればたまらなく愛しく感じた。ああ、広い背中だなぁ、肩幅も、腕の筋肉も綺麗…でも腰は割と細い…「てめぇ、何見てやがる」

「…へ!」

ふと気づけばいつの間にか私の視線に気付いたのか目の前には腰にタオルを巻いただけという無防備なリヴァイがベッドで枕にもたれ俯せになっていた私の顔をそれはそれは意地悪な顔で覗き込んでいるのだから…!ああ。そうだ、忘れていた…彼は先程のベッドの中では確かに甘くて優しい言葉をくれた紳士だった。でも、今は…

「どうやら…一緒に入りてぇみてぇだなぁ…あ?」
「…ち、違うの…きゃっ!」

身体に巻いていただけのシーツを無理矢理引き剥がされ、慌てて両腕で身体を隠してもその隙に彼のガタイの良い腕にそのまま抱きかかえられバスルームに強制連行されてしまった。

「出会った頃は恥ずかしがってまともに目も合わせなかったお前が…強請る様な目で煽られる身にもなったらどうだ。しかし寒いな…、」
「っ…え…!?」
「温めてくれよ…なぁ?物欲しそうな目しやがって…覚悟しろよ」

時刻は体感的にまだ夜中だと思う。まだまだ、夜は始まったばかりです。

「あっ…や、…あぁっ」
「逃げるなよ…もっと楽しもうぜ、なぁ?」

Fin.
【真夜中は紳士】

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