Going Under | ナノ
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【─#unknown はつごころ】

 ――「リヴァイ、リヴァイ、駄目、目を閉じないで…っ、お願い…っ、……!」
「さっさと、…俺を置いて、行け、このまま俺と心中するつもりか…」
「っ! そんなこと、私がさせない! 何もないただの私には……もう、この命しかないの………私の命であなたが助かるなら、喜んで、」

 そう口にするな、何のためにここまで来た。
 てめぇはそこら辺の女とは違う。誇り高く誰にも穢されない。この街に堕ちても這い上がる力を持った命と同等の存在じゃねぇ……。
 お前こそ、俺の……。

 ***

「リヴァイ! おい、もう起き上がれるか? いや、まだ動かない方が……」
「平気だ。このくらい……昔と比べりゃどうってことねぇよ」
「本当に無茶ばっかしやがって……なぁ、俺達が来なけりゃ二人とも爆発に巻き込まれて死んでてもおかしくなかったんだからな。全く、命に関わるような余計な事はしないんじゃないのか?」
「……例外もあるだろうが、」
「はいはい、……けど、2人とも無事に帰ってきてくれたからいいけど。それよりも……海をいつまで悲しませてるつもりなんだよ、早く、言って安心させてやれよ、なぁ、」
「分かってる。だが、これは俺自身の問題だ」
「ああ関係ないさ。二人の問題だからな。ただ…俺たちの事には構わなくていいから。せっかく生きて帰って来れたんだから、もう海の事、悲しませたりしないようにな。じゃないと「ファーラン」
「何だよ、」
「海は……あいつは、俺とは、この街を生きてきた俺たちとは全く違う。俺と違ってあいつには無事を願う家族が居て、地上には、ちゃんと居住権があって……俺は、この先もこの世界でしか生きる術を知らねぇ、それでも、」
「一度寝た女とはもう寝ない主義のお前が初めて心を許せた海の事がどうしようもなく好きなんだろ?なら、ちゃんと伝えろよ」

 ファーランの言葉に背中を押され、男は静かに傷だらけの身体に巻いていた包帯を解いた。

 ***

「でも、本当に良かったよ。リヴァイがすっかり元気になって...本当に、心配したんだからね...」
「海、」
「うん? なぁに?」

 いつものアジト。しかし、今は2人きりでのささやかな快気祝いと称して海が腕によりをかけて手料理を振舞ってくれた。
 常に慢性的な食糧難のこの世界で、質素だが、巨人領域の一番突出したシガンシナ区での生活に比べれば地下街はウォール・シーナ領地の地下に広がっているので、金と力さえあればその日の飯をいつもより豪勢にすることも出来る。こっそり手に入れた滅多に食べられない肉料理はリヴァイの英気を養うために立体機動装置を駆使して海がこっそり手に入れたものだ。
 彼女もそれなりに怪我を負っていたのに、相変わらず自分より歳も下なのに、それでも健気な少女は気丈に振る舞い寝たきりの自分を懸命に看病してくれていた。

「良かった……食欲はあるんだね」
「問題ねぇよ、何週間寝込んでたと思っていやがる」
「そう、だよね……」

 流れる沈黙が重く感じたのは、いつも一緒にいる賑やかなファーランとイザベルが居ないせいなのか。それとも。ただ、お互い無言でかち合う目線。柔らかに弓のように細くなる海の愛らしい笑顔。出会った頃のあどけなかった出会いの頃よりも海はぐっと大人びて綺麗になったと、傍目に思う。

 ふと、視線が重なって、微笑む。お互いがこうして変わらずに生きていることを、その証を確かめ合う。
 お互いの存在を、無くせない者なのだと、改めて認識する。
 向かい合わせで男の快気を祝い、そしてにっこりと微笑んだ海の笑顔にどうしようもなく胸が締め付けられた。

 何時からだろう、この笑顔に心を許し始めたのは。
 ――「女だけは信用するな」
 去り行くあの男が与えた処世術のままに生きてきたのに、
 そうだ、あの時、まだ海を好きだと自覚する前の自分は人を愛することを知らなかった。
 助けた海があまりにも自分は優しいと、ただ、微笑むから、そんな海が...たまらず、そして自分はそのまま手酷く海を抱いてしまった。
 海も望んでそれを受け入れた、筈。
 いつも通り、何ら変わらない、まるで食事のように。獣のように情欲を貪り食って、他の女と同じようにただ自分の欲を散らしただけ。女と肌を重ねても、安らぐことなどない。枕を共にしたことは無い。用が済めばそれだけ。
 ただ、違ったのは……海は今までの人生で誰にも抱かれた事が無かった事。

 ――「痛い! やめて! 本当にもう、これ以上は……!」
 無垢な海を……自分は傷つけて二度と取り返しのつかないことをした。それは彼女にとって初めての交わりだった。しかし、それはとても悲しく、苦い経験となった。

 ――「夜明けと共に消えろ、二度と俺の前に姿を見せるな」
 最低な事をした。それなのに..……。翌朝、海は変わらぬ笑顔で自分に接してくれた。
 そして男は思い知って、打ちひしがれた。
 海の愛の深さ。優しさ、それは無条件で自分に向けられていた……。

 そして、それから共に過ごした。そんな穏やかな日々の中で、いつも傍に居てくれた。変わらぬ笑顔で、接してくれて、それは男の頑なだった心を溶かしていった。
 気付けば海は手放せないただ一人の心許せる存在になっていった。

 それなのに、あの時、男は海を助けられなかった。
 長い美しい髪を刈り取られ、汚れた路地の掃き溜めのように地面に打ち捨てられていた傷だらけの海を見て心底後悔した。
 そして、決めたのだ。

 もうあの時の2人では無い。出会いは本当に些細なきっかけだった。そして、今はかけがえのない存在として、気付けば傍に居る。心行き交うめぐり逢いの果てにこうして遠回りをしながらも結ばれた絆。

「リヴァイ……」
「お前は、俺と出会ったばかりに……散々危険な事にばかり巻き込んだ。
 もうこれ以上、お前が傷つく姿は見たくねぇのに···お前を早く地上に連れて行ってやりてぇのに。結局また、巻き込んでずっと、後悔してた」
「え……? リヴァイ……? そんな、そんなこと、ずっとひとりで抱え込んでいたの? も、もぅ、私は、気にしないよ、例えどんな目にあっても……リヴァイの傍にいるって私が勝手に決めたことだから……」
「お前は俺がお前の前から消えても、お前は探し回るんだろ?泣きわめいて、俺が居なきゃ、駄目だって……」

 こくこくと首を縦に振り頷く海。いつまでもいつまでも、あどけなくて手のかかる年の離れたまだ幼いガキだと思っていた目の前の海は誰よりも女だった。

「もし、あの夜のことを償えるのなら、一生をかけて俺はお前を守る、二度と、あんな思いをさせはしねぇと誓う。だから、海……。これからも俺の傍に居てくれ。他の誰でもねぇ、お前に、」
「リヴァイ……」
「約束しよう。必ず俺が地上にお前を連れていく。海、だから……」

 リヴァイから告げられた真っ直ぐな愛の言葉に海の瞳にたちまち盛り上がる涙の粒が次々と頬を伝っては床に落ち、今海が一生懸命に用意した料理も見えなくなってしまう。

「俺と、一緒になってくれ」

 ずっと、ずっと、それは待ち焦がれていた、大切な言葉。じわじわと潤んでゆく視界。そして、海の指先は柔らかく目の前の男へと伸びて、そして愛おしい微笑みで頷いた。

「っ……、その言葉、本当に……?」
「あぁ。嘘じゃねぇ……」

 言葉が拙い男の、不器用な愛の言葉は感受性豊かな海の心を優しく揺さぶりそして、解けてゆくようだった。
 無言は肯定だと、男はそっと椅子から立ち上がると恥ずかしさから自分に背中を向けキッチンに顔を背けた海を後ろから抱き締めていた。
 男性でも小柄な部類に入る自分よりも小柄で、こうして抱き締めてしまえば折れてしまいそうな程に華奢で、そして自分よりも小柄な身体を愛しい海を抱き締めて。

「二度と言わねぇからよく聞け、」
「うん、」
「お前が好きだ。海。お前を、誰よりも愛してる、」

 もうこれ以上は言葉に出来なかった。海は嗚咽を漏らして震えていた。行動よりも女は言葉を求めていた。絶対の言葉、そして泣き崩れた海を支えて、受け止めたその時感じた身体が柔らかくて、温かくて、今まで感じたことの無い愛をリヴァイは確かに感じた。

 今まで誰とも重ねたことの無い口付けは目の前の気が付けば誰よりも大きな存在として今男の心を占めていた海へと。何よりも大切でかけがえのないもの。

「私も……好き、……リヴァイ……」
「海」

 お互いに抱き合った時。あ、と海はいつも共にある2人の存在を思い出して慌てて離れようとするが、リヴァイの屈強な腕が逃れようとするその身体をもう離してはくれなかった。

「言ったろ、今晩はお前と俺しかいねぇよ」
「うん……」
「いいか……お前を抱いても」
「うん……っ、」
「もう、今夜は途中で泣き喚いても止めてやれねぇぞ」

 あの時とは違う。ちゃんと海の口から言わせたいと、海から、欲しいと求めて欲しかった。
 優しく愛したい、もうあの夜は二度と訪れないと証明するために男は海を抱き上げ確かめる。
 イザベルとファーランの2人はお互いを意識しているのは明らかなのにいつまでもくっつかない自分たちに気を遣って今晩別の場所で寝泊まりすると言って、今晩は本当に二人きりなのだ。邪魔するものはいない。
 海の髪ごと引き寄せるように強く強く抱き締めた。

「生きて戻れたら……ずっとお前とこうしたかった……お前に触れたかった」
「リヴァイ……」
「あの夜の埋め合わせをしてえ……」

 冷たい瞳、低い声、力強い腕、今は自分に向けられている瞳は生物学的に男なはずなのに、どこか美しさも感じた。
 愛する人に愛される喜びと、嬉しさに高鳴る胸、じんと心の底から湧き上がる愛しさ。リヴァイは目の前の少女がこんなふうに笑う事を、知らなかった。

「大切にする。誰よりもお前だけだ、だから、もう手酷くしたりしねぇよ」

 嬉しそうに愛しげに微笑む目の前の恋しい存在にリヴァイは、今までしたことも無かった、いや、他人と肌を重ねるのはあっても、それだけは許さなかった事を行使した。

「えっ! んんっ、」

 海が驚くのも無理はない。
 他人を拒み続けてきた男がこんなふうに自分の唇を他人の唇に重ねる、なんて。

 海にとっても、リヴァイにとっても身体を交わらせても、決して交わることのなかった、それが本当のお互いにとって初めてのキス、だった。

「ひゃっ!」
「初めてだから、仕方ねぇだろ..……こんな気持ちになるのも...お前のせいで、どうしたらいいか、わかんねぇんだよ」
「うん、リヴァイの心臓……ドキドキしてる...ね、」

 リヴァイの厚い胸板に耳を当て、海はその鼓動が確かに動いて、彼が目の前で生きているのだと噛み締めて、その心臓が今は自分に捧げられているのだと、ひしひしと実感していた。
 今までは分隊長として。巨人の領域へと挑み続け心臓を捧げていた自分が、戦いの中でしか生きられなかった海が今、目の前の男のために心臓を捧げる。

 言葉なく2人は見つめあい、リヴァイの首に腕を回してすがり付いてきた愛しい存在をリヴァイは難なく抱き上げていた。

「相変わらず軽いな、立体機動装置は付けてねぇよな?」
「うん、」

 ひょいっと、あの酷い拷問じみた暴行を受け続け、まだ完全に復活したわけじゃないのに。リヴァイは海をいわゆるお姫様抱っこをして。浮遊感に海は何故か幼い頃、寝入ってしまった自分を優しく抱き抱えてベッドに連れていってくれた父親の温もりを思い出していた。

 しかし、今自分を抱き上げているのは紛れもなく愛しい彼の存在。軽々と抱き上げてそのまま宛てがわれた自分の部屋へと向かった。

 あの時、出会ったばかりの頃、心が通わないまま、悲しい交わりをした記憶がまだ鮮明に残っている。
 海は泣きながらベッドにしがみついてリヴァイに処女を捧げた。すぼまったそこを無理矢理、引き裂かれるような痛みに今も引き攣るように痛みを覚える。破瓜の痛みに途切れてしまいそうな記憶の中であの時が今では遠い記憶に感じるが、身体は覚えていた。そして、悲しい交わりをしたあのベッドは変わらずに存在していた。

 もうあんな悲しい夜が訪れることは二度と無いからと。確かめ合うように。リヴァイはそっと海をベッドに降ろした。そして、その上から覆い被さるように小さな身体を抱き締め、鼻腔いっぱいにその香りを刻みつけた。

「怖ぇか、」
「ううん、怖くないよ。大丈夫、」

 真っ白で清潔なシーツに映える白のレースのブラウスに紺のワンピース姿の品の良い貴族にも見える海を抱き締めまた静かに唇を重ねた。

「海……」
「つっ、」
「口を開けろ、」
「っ……んっ、」

 海をベッドに縫い止めるように上から覆いかぶさる身体の重み。彼は男で、自分は女。体を繋ぐ手段を持った2人。
 まるでそのまま彼に食べられるかのような荒々しさで唇を塞がれ、鼻から抜ける声に、息苦しさにたまらず開いた唇の隙間からぬるりと侵入してきたものは。潔癖症の彼が他人の咥内をこうして我が物顔で舌を絡めそのまま搦め取るように貪り、そのまま海の手とリヴァイの手が重なり、もう二度と離れぬようにと指と指でしっかり絡める。

 ベッドに海を縫いつけながらリヴァイの動きは次第に海を執拗に求める手つきと変わった。

「あっ、んっ、はぁっ……」

 シーツに縫い付けられるように繋いだ手が頭上に持ち上げられて、深く深く、たどたどしい口付けはやがてお互いの口腔内を満たしていく。そっと、海の小さな口の中に割入れた舌。歯列をなぞり、離れれば二人の間を銀糸が伝い、とろんとした瞳は組み敷いた真上のリヴァイを見つめている。

「あっ、……っ、」

 そのまま身体のラインを辿るように男の薄い唇が海の首筋から下へ下へと流れていくと、小さな海の手がそれを遮り、あろう事かベッドに突っ伏してしまった。

「あっ、ダメ、待って……!」
「おい、」

 ベッドサイドの片隅のランプの光の中で、ひとつひとつ、床に落ちて行く自分の衣服。爛々とした光の元に露になる素肌、立体機動装置のベルトの跡があるのは抜きにしても色が白くて透明で艶やかな肢体。これをあのクソ野郎共が見たかと思うと余計に怒りがこみ上げる。

「あ、あんまり……見ないで、恥ずかしい……」
「うるせぇ、見せろ、」
「ああっ、」

 両手首を掴んで振り向かせれば、海は恥ずかしそうに再びリヴァイの真下でその身をさらけ出していた。
 余すことなくリヴァイに注がれる視線。全身を見つめられることに激しい羞恥に身悶え、ぎゅううっと、身を縮こまらせ硬くその瞳を閉じてしまっていた。

「何だ、やっぱり怖ぇんじゃねぇのか、震えてやがる……」
「っ、だって……! 裸なんて……! リヴァイは今まで色んな女の人を抱いてきたのに……! 私、色気もないし、貧相だから……自信ない……それに、私、ばっかり……」
「比べる必要なんかねぇ、全てお前じゃなきゃ意味がねぇんだ。俺はそのままのお前自身が見てぇ、……俺も脱げば問題ねぇよな?」
「それは……」
「おい、ちゃんと俺の目を見ろ。反らすんじゃねぇ。今お前を抱いているのはお前を裸にひん剥いてボロきれみたいにしたクソ野郎共じゃねぇ。俺だ、」
「リヴァイ」
「分かったな、」

 そうして、あの日の恐怖を拭うように、そして安心させるようなリヴァイの声でふわりと脱力してようやく力の抜けた海の肢体を優しく愛撫した。

「っ、あっ、」
「相変わらず……白いな、」

 見たことは無いが、もし雪が見られるのならこのように白いのだろうか。たまらず鎖骨付近の服を着ても見えない場所に吸い付けば、そこに咲いた赤い華がくっきりと視界に映る。白い肌に咲くその色彩に魅了される。まだ不慣れながらも海は順応にその温もりを肌で受け止めて、甘く控えめな声で感じているようだった。

 ――「全部脱がせろ!」
 ――「ちっとは声出せや、つまんねぇな」
 ――「その可愛いおクチで満足させてくれたら許してやるよ」
 ――「なぁ、リヴァイにヨロシク伝えてくれよ?」
 ――「リヴァイの野郎、羨ましいな、眩しいくらい真っ白な肌だぜぇ?」
「っっ……うっ、」

 駄目だ。目を閉じると思い出す。グルグルと脳裏を駆け巡る嫌な記憶。今こうして自分に触れてくれているのは誰よりも愛しい彼なのに。
 汚い下衆な男たちの笑い声。押さえつけられた腕、泣き叫ぶイザベルの声、ガタガタと震える海を宥め、苦く辛い記憶を掻き消すかのように。そして、安心させるべく男は今まで晒したことのない素肌を海に晒した。

「海……」

 リヴァイは海に背中を向けてジャケットごとシャツも脱ぎ捨てた。
 衣服から見えたのは、小柄だが筋肉質で1人壮絶な地下街を生き延びてきた半生を物語る傷ついた広い逞しい背中。傷はあるが、そこまで目立つ傷はない。彼が如何にこの地下で生き延びてきたのかをその半生を物語っていた。
 小柄なのに背筋が盛り上がり、見事な逆三角形の身体。なのに腰周りは細い。逞しく鍛え抜かれたその肉体美に魅せられ、彫刻のような肉体美に恥ずかしげに海は目線を逸らした。

「何だ、脱げって言ったのはお前だろ、」
「そ、そうだけど……でも、恥ずかしい……っ」
「あのな……恥ずかしいのはお前だけだと思うな」

 耳まで赤く染めて両手で顔を覆う海の真っ白で清らかなその肌の美しさにただ、魅了される。しかし、海は頑なで、脱がされた振り向いたリヴァイの胸板は厚く、腹筋も綺麗に割れた彼の素肌に海は恥ずかしそうに頬を染めていた。
 今からこの体に抱かれると思うと、どうしても行為に、快感に不慣れな自分は無意識に力を込めてしまう。
 しかし、触れているリヴァイの腕は微かに震え、心臓の音も先程より強く速くその鼓動を打ち鳴らしているように感じた。

「海……」
「あ、うっ、」

 低い声に、見下ろすその眼差しに、どうしようもなく溺れた。形のいい彼の唇に今度は海から重ねていた。

 好き、
 好き、
 大好き、
 あなたが、愛しくてたまらない。

 もう先程感じた恐怖はない、思いが通い合う喜びに、感じる温もりが自分は女で、彼は男で、こうして愛し合う事が出来ることがたまらなく幸せに、満たされてたまらず涙が溢れた。

「海、泣くんじゃねぇよ...何泣いてやがんだ」
「リヴァイ……リヴァイ……、今まで、生きてくれてありがとう……っ、今まで、きっと、沢山沢山辛い思いしたのに……こんなにたくさん傷ついて……、それでも、生きててくれてたんだね」
「別に……大したことねぇって言ってんだろ、」

 その涙を拭い、男は求めてくるその温もりと、海への募る愛しさに嬉しそうに微笑み、その笑顔がより切なさを加速させた。
 この締め付けられるような感情を知らなかった。
 愛を失って、病に伏せて死に行く美しい母の姿をただ自分は眺めて、眠りに落ちても、自分には何もすることが出来なかった。

「リヴァイ……が、笑った……」
「俺が笑うのがそんなにおかしいか」
「ううん、おかしくない……リヴァイの笑顔、好き、……大好き……」
「俺も人間だ。嬉しい時は笑う、」

 何個も年上の彼に言ったら怒られるかもしれないが、リヴァイの笑顔は本当に以外で、そして、あどけなくて、可愛らしく見えた。
 互い隔てる衣服も脱ぎ去って。素肌と素肌で抱きしめ合う。硬い筋肉の身体に海の小柄で細身の身体は簡単に包み込まれてしまう。こみ上げる愛しさに支配されてリヴァイは耳元で囁いていた。

「好きだ、」
「あ……、うぅん……」
「早く挿れてぇ。もう、抑えられねぇよ……」

 身につけていた下着を外せば見た目より柔らかな双丘が揺れながらリヴァイの視界に映える。貧相だとかお粗末とか全く気にならない。自分の欲を散らすだけの行為なら穴があればそれでいいのだから。
 その先端の白い肌に映える桜色の突起に高鳴る胸、甘い声、たまらず口付ければ海は不慣れながらも静かにその温度を受け入れていく。

 両手に包んだ胸は震え、そして心臓の鼓動が激しく高鳴り?それは触れた手を通してしっかり男にも伝わっていた。恥ずかしそうに唇を噛み締め震える赤い頬に口づけながらリヴァイはそっと耳元で囁いた。

「あっ、っ〜、んん!」
「声、我慢してんじゃねぇよ……」
「でも、っ、ん……ヘン、じゃない……?」
「は、まだまだこんなもんじゃねえよ……」

 こうして恋しい女を自分の腕に閉じ込め全身を余すことなく愛する事が、こんなにも心の底から満たされるなんて今まで知らない。
 自らが望まなくても女は欲に狂って跨り、勝手に欲望に声を出していた。それをどこか別の冷めた自分が見ていた。心と体は離反していた。しかし、今は違う。そして自分を求めてきた女とは違う、自分が目の前の海を求めて欲している。控えめな甘い声は余計に下半身に熱を集めていた。

「ん……あ、あっ、」
「海、我慢するな。いいだろ。誰も居ねぇ、俺しか知らねぇ声だ、もっと、聞かせろ……」
「っ、んっ、」
「唇を噛むな、」

 性交渉をしたことがない女を今まで抱いた経験もなかった。そして。恋しい女を抱いた事も無かった。
 これが愛なら、もう二度と手放したくはない。
 男は初めて貫かれた時に痛みに泣き、シーツに顔を埋めて指先に血が滲むまで堪えていた海の背中に触れ、その手つきに海はぴくぴくと震えながら彼の手がとうとう下のショーツに伸びると戸惑ったように

「ケツ上げろ、」
「っ……こ、こう?」
「あぁ」

 お互いに気持ちを通わせて初めて身体を重ねる中で相変わらず言葉を知らない彼の口調に、それでも目の前の同じ裸の彼が愛しくて、海は戸惑いながら腰を浮かせると一気に太ももまで下着を引き下げられ恥ずかしさからリヴァイの逞しい肩にしがみついた。

 しかし、海は自覚はないのか柔らかな胸を押し付けて催促しているようにも見えることを。
 着痩せするのか、細身でありながら揺れる胸は思ったよりも男の無骨な手に収まる。

「っ、あっ!」

 口付けながら胸の頂きに手を伸ばして、初めは柔らかかったそこが、リヴァイの手の温度によって解されてそして白い肌に映える桜色の突起は硬く起立してコリコリとした感触を楽しむようにリヴァイは触れていた。

「ひっ、あ……んんっ、」

 漏れないようにと控えめに抑えた甘い声が逆にリヴァイの情欲を煽り下半身に熱が集まるのを感じた。いつも扱きながらそれを高めているのに既にそれは何もしなくてもバキバキに血管が浮き出た自身が下着を押し上げている。この状態で一思いに貫いてしまえたら……。
 リヴァイはごくりと生唾を飲み込んでいた。真下で乱れる愛しい少女。経験が少ない間は数を重ねるまではしばらくは痛身しか感じられないのなら…それならばもっと、もっと自分の手で彼女が痛みを感じなくなるまで抱き潰す。

「あっ、そこは……!」

 恋しい女の膝を抱えながら開けばそこは緊張のあまり固くこわばり、そしてそっと開いた足の間は確かに湿り気はあるがこの瞬間にさらさらに乾いていた。乾いていては痛みが伴う、あの時も痛みを訴えながら堪えていた彼女の胎内は狭く、リヴァイ自身にも痛みが伝わり、互いに苦痛を覚えながらの行為だった。
 海のそこから流れた血が海が清らかなままだったのだと知らせていた。
 自分だけが満足するのならそれは一方的な自慰行為をすればいい、1人だけじゃない2人で満足したい。
 ファーランのように丁寧に女を扱うなんて今まで考えたこともない。自分も初めて丁寧に優しく愛したい存在に出逢えた。
 リヴァイは海の身体に如何に負担をかけないかを思案するあまり思考をここではないどこかに飛ばしていた。

「海…」

 ――……どんな俺でも本当に受け入れてくれるのか。お前は。
 この手が幾度も暴力に晒され、そして生きていた。時にはその命を奪うこともあった。
 ふと、言いかけかけた言葉が空を舞う。そして、リヴァイは無言で海の柔らかな太ももを掴んで割開くとまだ潤いに満たされていない赤く染まった其処を見つめていた。

「あぁ……っ、んっ、!」

 だんだんと海のつややかな唇から漏れる吐息が大きくなる。恋しい女の其処は眩しいほど鮮やかに胸の突起と同じくらい赤く色づいていて自分以外を受け入れていないのだと言葉にしているようだった。淡い茂みに手を伸ばし指先でゆっくり確かめるように胎内へ差し込むと、海は明らかに快楽ではなく違和感に痛みを訴えていた。

「いてぇか」
「っ、平気……」

 痛みでも構わない、慣れなくて無意識に力がこもる太ももにその痛みがどれほどのものかを訴えていた。たった一本だけの指でさえ痛みを抱くのに普段以上にこの状況に興奮して猛ぶる自身を差し込めばこの質量に耐えきれずにそこは引き裂けるかもしれない。痛みを与え今後の交わりに支障が出るのは違う。手酷くしたくは無い、海を愛したい。そして未知なる感覚に震えるその身体を早く。
 欲に任せて抱きたくは無いのに、身体は求めていた。

 静かに埋まった中指を引き抜くとリヴァイはそのまま下肢にそのまま口元をずらした。

「え、っ……あのっ、あああっ!」

 悲鳴と共に吸い込まれていく海の戸惑う声。あろうことかそのまま誰にも見られたことの無い秘密の場所にリヴァイが顔を埋めてきたのだ。潔癖症の彼が顔を埋めた箇所は、その行為に驚き戸惑いながら太股にもリヴァイは赤い華を散らして、海は甘く吐息を漏らした。

「んんッ、ああ!? んぁ、ダメっ、あっ、見ちゃ、いやっ、」

 割り開いた唇から舌を覗かせて、ただ自分だけを感じて欲しい。痛みよりも快楽だけ感じて欲しい。下品に、啼かせたいわけじゃないのに。鋭利な指ではない柔らかなリヴァイの舌がまるで生き物のように頑なに閉ざす入口に触れ、そしてそのまま舐め上げればそれは卑猥な空気を含んで聞くに耐えない水音を響かせていた。
 たまらず目線を自分の足の間に向ければこちらを見つめる獰猛で雄々しいその目線に射抜かれたまらず震えた。
 敏感でまだ快楽より痛みの方が感じる度合いが強い。しかし、それでも海はその愛撫に感じ始めていた。

「あっ、ああっ! いやぁっ、ああ〜っ!」

 どれだけその行為に明け暮れていただろう。夢中で愛し続け、すっかり海のあえやかな声が部屋に響いていた。2人だけの2人しか居ない空間で純粋な海をこんなにも淫らに出来る自分への暗い優越感に支配されながらリヴァイは手の甲で口元を拭い、既に息も絶え絶えな海ほ頬にキスを落として中指を埋め込んだ。

「ああ、……濡れてきたな」
「っ、……あっ、んんっ、」
「さっきよりは……痛くねぇはずだか、どうだ?」
「っ……はぁっ、んんっ、」

 丁寧に口と舌でクンニリングスを続ければまだ快楽に不慣れな海でもたっぷりと唾液を含んだ粘膜で愛され固くすぼまっていた筋肉が解れ、強ばっていた身体はリヴァイの執拗な愛撫ですっかり弛緩し、自然に潤いに満ちたそこに沈む中指は先程よりもリヴァイをうねるように締め付けながら突き付け、受けいれていくと、リヴァイは初めての快楽に乱れる海の姿に酷く煽られた。
 しかし、ただ痛いだけではない、押し隠したような甘い声がもっと聞きたいとその上の突起に今度は手を伸ばした。
 女なら容易に感じることが出来るクリトリスをそのまま親指で愛液で潤う指先で優しく転がしていく。
 海の恥ずかしいが抑えきれない快楽の断片に触れて、そして、唇を噛んでも抑えられない控えめな声が余計に下半身に熱を集めていた。

 欲のままに挿入するのは獣と等しい。自分は理性がある。愛液に濡れた親指で皮ごと優しく転がせば初めはぎこちなく反応していた海が突如鋭い声を上げて先程の非ではない甘い声が自然に漏れだした。

「あっ! んんッ!」
「そんな声も出せるなんて……なぁ、もっと聞かせてくれよ……なぁ、海、」
「んっ、いやっ、あっ、な、何?」
「大丈夫だ、今はまだ痛ぇかもしれねぇが、すぐにヨくなるからな、」
「あっ、んんっ、だめぇ、っおかしくなっちゃいそう……」
「それでいい、もっとだ、もっと、狂え...お前が素直にそうやって感じてる顔を俺によく見せろ」
「んっ、んー! っ! あっ、んああっ、」

 淡い茂みに包まれたそこから芽を出したクリトリスをぐにぐにと愛液を絡めて擦れば海は驚いたように声を、華奢なクビレから腰の艶かしいラインまでもはね上げそして身悶えていた。今まで感じたことの無い強い快楽に脳天を貫かれるようだ。しかし、まだ痛みが勝り気持ち良さよりもただ強い刺激が全身を甘く痺れさせてきて。
 不慣れな自分はこの先をどうしたらいいのか分からない。

 幼い頃の自分は母親の愛を永遠に失ってしまい、そして少し暮らした男は去っていった。
 それからはたった1人、ファーランやイザベルや海に出会うまで単身この地下街を生き抜いてきた。相棒は拳とたった一つのナイフだけ。
 愛されることも愛することも知らない男は海を一度抱き締め思案した。

「海……」
「は、ぁっ、リヴァイ……リヴァイ……っ、」

 どうしてだろう。
 愛すれば愛するほどに、こんなにも心細いのは。
 これが愛なら、どうしてこんなにも切ないのだろう。だからこうして求め合うのかもしれない。
 他人だと互いに違う存在だから離れていると不安に苛まれるから、こうして肌と肌を重ねて愛を確かめ合うのかもしれない。

「海……っ、もう、いいか?」

 一旦与えていた刺激を止められて、戸惑ったような海を見てリヴァイは今自分がどんな顔をしているのか、たまらなく恥ずかしくなった。
 こうして、恋しいと思う女を抱くなんて経験生まれて初めてだから上手くスマートに立ち振る舞えない。ファーランはどんな女にも甘く優しく囁いて蕩けさせていたのに、自分はただ、股がってきた女に自由にさせて触れることも無く、ただ欲を散らしてきた。
 今更後悔するが、だが、こうやって心を許した初めての女である唯一の海に。愛を持って触れるのは今までもこの先も、海だけにしかしたくないと、そう思った。

「愛してる……」
「つっ、……リヴァイ……」

 それは本心だった。
 無意識に口から溢れた言葉に海は涙を流してリヴァイをその胸に抱き締めていた。
 女に抱き締められるなんて...今まで無かった。しかし、海の柔らかな胸に顔を埋めその香りを鼻腔いっぱいに吸い込めばそのまま安らかにこのまま逝かせてくれる気がした。

「もし、いつか死ぬならお前の腕の中で逝きてぇ...」
「いや……いやだ、……っ、死なないで、リヴァイ...死んじゃいや……」
「馬鹿野郎、ただの願望だ。死なねぇよ。お前と巡り合えたのに...お前を置いて行ったりしねぇよ。海……」

 天国だろうが地獄だろうがどこまでも一緒だと。
 二人ならどこでも構いやしない。

「あっ、んんっ……い……っ!」

 リヴァイは自分が今酷い顔をしていることに今更羞恥心が込み上げてきた。見るなと、サイドのランプを消せば薄暗い太陽の光さえも閉ざされた世界は暗闇に包まれて。
 開かせた海の足の間に、赤くひくつくそこにぐぬりと、既に完勃ちして今までにないくらいにガチガチに興奮している、愚息を何度が往復させる。

「……っ、は、……海……」
「あ...やぁ、っ、」

 あまりにも卑猥な音色にそれが自分の身体と彼のすり当てる熱い猛ぶった自身から奏で発せられていると思うと下腹部がジュンと疼いて何かが自らの意思とは真逆に溢れているような気がした。
 暗闇の中でリヴァイの表情は窺えないが、自分の太ももを抱え、そこに自身を宛がって何度も擦り付ける彼の熱に浮かされて切なげに瞳を細める愛おしい男の情欲に染まった姿があった。

 艶やかな表情はどんな美しい娼婦よりもあまりにも色っぽくて、心臓を鷲掴みにされそうだ。

 ***

「っ……んっ、」
「ハァ……っ、ん、……海、っ、挿れるぞ……」
「あっ! んんーっ!!」

 メリメリと、膜は引き裂けたはずなのにまだ残っているのか、ピンと張り詰めた膜を、無理矢理刃物で引き裂けるような痛みが海の心と体をバラバラにしていく。

「海、」
「あっ、っ、んっ……!い……っ、ああっ、待って...い、いっ、つっ……や!」
「悪い……もう、止められねぇ……」
「っ……あっ、……!」
「あぁ、もう、……無理だ……夜な夜な他の女とこうしてても、お前の事しか考えられなかった……気付いちまった……本当はお前をずっと、こうしたかった……って……やっとお前を抱ける……もう、抑えきれねぇ、

 ごめん……海……」

 ごめん、だなんて。どうしたの?あなたらしくもない言葉を。
 しかし、リヴァイらしさなんて自分はまだ知らない。
 どうして痛いのも傷つくのも海が1人抱えなければならないのだと。矛盾しながらも自分は締めつけるその膣口に激しく締め付けられて正直痛みもあるが、その締め付けが堪らなく...気持ちよくて、今まで感じたことのない熱に打ち震えていた。
 どうしたら海が痛がらずに快楽を受け止められるのか、男は痛みの中に他に気を紛らわせるように、快楽を与えようとちょうど収まるサイズの柔らかな両胸を持ち上げるように掴みあげ、くりくりとその胸の頂を転がしていた。

「あっ、んんっ!」

 鋭い声に、そして海は縋り付くように逞しい肩にしがみつきながら苦痛に声を漏らしながらもその痛みを紛らわすようなリヴァイの手つきに次第に
 溺れていった。

「海……力を抜いて俺に掴まっていろ」
「っ……あっ! んんっ、」

 破瓜を1度終えただけのまだ不慣れな窄みに今までにないくらいに締め付けられてリヴァイの心は揺り動かされた。女達が狂って求めた逞しいそれはまだリヴァイしか知らない窄みには規格外だったから余計に痛いのもある。
 涙を流して躊躇う海を気遣い引き抜こうとしたが、引き抜けば抜くで余計に筋肉で出来ている膣口は引き攣れるように痛みを抱く。このままでは押し問答だ。
 進むことも戻ることも出来ないのならー...。

「いいよ、リヴァイ……っ、止めないで、一気に……一思いに……」
「海……」
 ――今の私は、公に心臓を捧げた兵士ではなく、あなたのための私で、居たい。

 正直自分も拷問じみた苦悶に支配されていた。愛する女の胎内に自身を押し込みその締め付けに今にも思うがままに腰を突き動かし快楽を貪りたい。愛する女を抱きたい男としての本能と、まだ不慣れなこんなにも痛がっている海を傷つけたくない理性の間に立たされ揺り動かされ、苦しい。
 力が篭もる海の膝を抱えてならばと海の両足を逞しい肩に担ぎ上げ、そのままゆっくり、ゆっくりと自身を埋めていく。

「……っ、あぁっ! ふっ、んんっ、っ」
「海……っ、ン……」

 低い声が耳元で甘い吐息を漏らし、その声の艶やかさは、彼は紛れもなく男なのに、色っぽくて男のその色香にあてられてしまいそうになる。
 海は背筋を震わせ両脚を開かれてそのまま肩に担がれ、不慣れながらも身体の柔らかい海は難なくその体勢を受け入れていた。
 お互いに夢中で唇を重ね、そして内側から引き裂けるような強い痛みにゆっくりゆっくり確かめるように侵入してくる自身にようやく先端が埋め込まれ、そして彼自身の1番太い部分が膣口を通り抜けた時、海はその痛みに腰を引くが、リヴァイは海の唇を塞ぎ、そして繋がり合う上の部分を何度も何度も擦り付けまだ痛みは残るが処女でも容易に感じれるソコの刺激に力が抜けたのを見越しえそのまま一気に突き進んだ。まだ根元まで入っていないが、ひとまず様子を伺っていた。

「んっ……!」
「海……どうだ?」
「っ、大、丈夫……つっ!」
「悪い、まだだ……」
「うそっ……」

 ようやく繋がれた。嬉しそうにキスを求めてくる愛しい少女と繋がりながら求めるキスにリヴァイも応えながらもまだ最後まで入っていない事を知らせるようにグッ、と腰を推し進めた。

 痛みに時間をかけていたので乾き始めていた海の下肢の間を潤すようにグリグリと指先でなぞると肩に背負ったままの海の肩が震えている。また潤いに満ちてきたソコは完全にリヴァイ自身でみっちりと埋まっていた。

 本当の意味でひとつになれた喜びと至福の中で2人は抱きしめ合いながらリヴァイは海の身体を折りたたむようにして真上からゆっくりゆっくりと動き出した。

「っ、んっ、」
「は、……あ……海、……っ、」

 駄目だ。持たない。
 締め付ける胎内が気持ちよくて、海だからなのか、それとも経験が少ないそこの締りがいいからなのか。最初は何だと異物を感知して押し出そうとしていた海の胎内もゆっくり確かめるような動きに段々と彼の形を覚えていく。
 海も痛みの中で微かな違和感を抱き始めていた。
 本当にそのうち気持ちよくなるのだろうか?今はまだ痛みの方が強いが、これが本当に快楽だけを感じるようになってしまったら...自分は本当に彼無しでは生きていくことは出来なくなる...。

「ひぁっ! あっ!」
「海……」
「ううんっ、」
「痛てぇのか?」
「ううんっ、痛くない、痛くないよっ……」
「海……」
「お願い……このまま、ああっ!」

 何度も、何度も啄むように口付け、舌を絡める中で海は痛みにたまらず歯を食いしばりリヴァイの唇を噛んでしまった。

「っ、はっ……」
「あっ、ごめん、なさい……! あっ、ううっ!」
「いい、構いやしねぇ...お前の痛みより...それくらい受け止めてやる、」
「ああっ、んんっ!」
「っ、……あぁ、海……」

 ゾクゾクと背筋を震わせながら海はようやく暗闇に慣れて来た視界の向こうのリヴァイを見上げた。両目を閉じ、無心で快楽に浸っていて、その姿に向き合いまた唇を重ねながらリヴァイが離れようとしている事に彼が果てそうなのだと感じていた。

「海っ……、は、……このまま……出しても、いいか、」
「っ、うん、いい、……よ」

 それは、その意味は。
 リヴァイもその意味を込めて海に聞いた。このタイミングでも、危機的状況に陥ったから本能が遺伝子を残そうとしているのかも分からないが、それでも...

「責任は、必ず取る……約束だ、海、」
「あああっ! んん〜っ!」

 果てが近いと悟りながら、リヴァイは優しく確かめるようだった律動から次第に激しさを増して勢いよく海を揺さぶり始めたのだ。
 ギシギシと互いの重みを受けてベッドが軋む。
 パンパンパンと、肌と肌がぶつかり合う音も止まらず
 リヴァイ自身が擦れる度にじわじわと愛液が滲みながら潤滑油となり痛みの中に快楽を見出し始めていた。

「あっ、ああっ、リヴァイ、リヴァイ……ん、むっ、ううっ」
「海、っ、……ああ、っ、イク……っ、はぁっ...!」

 ビクン、ビクン、とリヴァイの肩が跳ね、彼が自分の中で果てたのだと知るとその意味を理解して海はぎゅっと彼を締め付けるように今までまるで死んでしまいそうな擦り切れそうな痛みから
 解き放たれ、静かに息をついた。

「海……大丈夫か……」
「んぁ、……は、い……」
「ああ、抜くぞ……」

 さっきまで自分の胎内を、腹の裏側までみっちり埋まっていた彼自身がズルリと引き抜かれ、栓を失ったそこはぽっかりと開いて、2人がつながりあったそこからトロリと彼が自分の中で果てた欲が溢れてシーツに落ちそうになる。もしこのまま子供が出来ても、構わない。責任を取るそのつもりで中に出した。

「この先、地上に出られたら真っ先にお前の親に挨拶に行く」
「リヴァイ……」
「もしガキがデキたなんて知ったらお前の親に殺されるかもな」
「だめ……だめっ……いや……そんな事、絶対させないから大丈夫」
「地上に住む権利を必ず手に入れる。そうしたら...お前となら」
「リヴァイ」
「海、約束だ。ここ(左手の薬指)は必ず空けておけよ」

 心を通わせた初めての交わり。精魂尽きた海に覆いかぶさったままリヴァイはぐったりと海の胸に顔を埋めていた。繋がった証の破瓜の残りがリヴァイの吐き出したそれに微かに混じり、淡く疼いた。
 お互いに抱きしめ合いながらようやく重なりあえたのだとヒシヒシと噛み締めていた時、海は緊張で縮こまっていた身体の下半身の力を抜いた時、足の間から溢れるそれにビクリと反応して身を起こした。

「あっ、リヴァイの……出ちゃう……!」

 潔癖の彼のシーツが汚れてしまうからと思わず手でそこを抑えようとした海の姿に、リヴァイは思わず手で口元を覆っていた。
 海は決してそんなつもりで言ったわけじゃないのに……。
 何気ない仕草、まるで一滴も彼に愛された証を失いたくないとしての行動なのに。

「お前の、せいだからな」
「えっ!?」
「...せっかく俺の形を覚えたばかりで...さすがにあいつらの寝てる手前でまたこうしていられる機会なんてねぇからな」
「リヴァイ……、」
「海……」

 もう腰に力が入らないと言うのにグイグイと太腿に押し当てられる熱は紛れもなくこの状況に感じでいるリヴァイの熱い熱だった。
 1度だけで満たされるはずはない、そのまま先程何度も何度も貫いた海の足を開かせたまま柔らかな肢体は胸の方まで押し上げられ、震えるそこを指先で開かれればトロトロと自身が、吐き出した精液がドプリと溢れてきていて。あまりにも卑猥なその光景にさっき出したばかりの自身がまた雄々しく起ち上がっていく。

「は……海、」
「んあっ、待って、あっ、っ〜!!!」

 先程の自身を受け入れたそこはさっきよりも柔らかくそしてトロトロと溢れる白濁に混じり海の愛液も滲み出ていた。ズリ、ズリ、と確かめるように。そして一気に亀頭を押し付けるとそのままズブズブと胎内に吸い込まれていくようにまた逞しい自身が埋まったのだ。

「海、っ、海……」

 まだ足りない。強請るような声で今にも掻き消えてしまいそうな儚い眼差しで懇願されて断れるわけがない。自分は彼に繋がれたのだ。ずっと、ずっと自分を助け守り導いてくれた彼に。
 自分には彼しかいない、彼のために、これからもこの命を捧げていきたい。

「あっ、んっ、」
「痛くねぇか?」
「っ、さっきよりは……痛くない、でも、変な声が...っ、」
「それがイイって……事だ、もっとヨクしてやるからな、痛くなくなるまで……何度でも抱いてやる...だから、受け入れてくれ、海……っ、」
「んああっ、あっ、ふぁっ、んん、ああっ、」

 タン、タン、とリズミカルに、先程出した白濁の余韻に浸りながら...今まで感じたことないくらいにあんなに痛くてたまらなかったのに、今はもうその片鱗さえ奪い去るような強い快楽に支配されていた。

「やっ、やだっ、こんなの……!」
「ああ、よく見える……」

 真下から見下ろしながら2人の繋がり合うそこを眺めてリヴァイは余計に視覚で満たされ堪らずに荒い息を吐きながら何度も何度も、海を貫いた。
 初めはゆっくりと海のまだ開通したばかりの膣口を確かめるような動きだったのに。
 今は違う、ゴリゴリと、海の一番奥の部分を的確に突きながらリヴァイ自身も自分の気持ちのいい海の胎内の上にあるザラザラした部分に擦り付けるとより射精感が強まっていくようだった。
 戸惑いがちに漏れる甘い声も、恥ずかしいと言いながら自分を執拗に求めるその腕も愛しくて、堪らなくて、甘い声をその腕に閉じ込めながら2人は朝が開けるまで、イザベルとファーランが帰ってくるまで無事にまたここに戻ってくることが出来たこと、結ばれたことを求め生を貪っていた。

 心も身体も、とても満たされているのに、どうして思考はここでは無い別のことを、思うのだろう。
 海を貫きながら、海を幸せにしたいと思うのに、果たして地下で生きてきた自分が地上に出て真っ当な父親になんかなれるのだろうか。本当の親父の顔も知らないというのに。だけど、それでも、目線の先で自分を見つめる海が離したくないと締め付け甘く口付けを求めてきた。

「あっ、あぁぁんっ、やっ、ああっ」
「はっ、んっ……」
「嬉しっ、……私、夢みたい、リヴァイに、だいすきな人にこうして抱き締めて貰えること、ずっと、夢見てたの……こんなに幸せなんだね 」
「海……」

 それはこっちのセリフなのに。触れた先から湧き上がる愛しさに膨れてどうしようもない。知らなかった、こんなにも愛しくて心震える瞬間がこの人生にこの身に降り注ぐことなど。
 魂が、心が、こんなにも震えるようだ。
 触れれば触れるほど触れたそこから沸き上がる感情。

「海、」
「っ、あっ……リヴァイ、リヴァイ……っ」
「こんなもんじゃねぇ……、もっと、お前に本当の気持ちいいってやつを教えてやる」
「うん……」

 地上に出て、そうしたら一緒になろう。
 交わしたちいさな2人だけの約束。
 無事に生還を果たした2人はようやくお互いの愛を確かめ合うのだった。

 
fin?


 The two still don't know what to wait for.

【─#unknown はつごころ】

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