Going Under | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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【真紅/under ver.】

 ※拍手お礼文の続き真紅の真夜中Ver.

 海は自分の応援していた球団の対戦相手が偶然にも最愛の彼が暮らす県の球団だった事は何となく伝えにくいものがあった。ここまで来たからきっと今年こそは。と信じたが、残念ながら彼の住んでいる県の球団には敵わず、相手の強力打線の前に敗退してしまった。
 そんな敗北と失意に暮れているだろう海を月曜日からわざわざ仕事終わりに迎えに来てくれたリヴァイに連れられ、ドームから街の中心地にバスに揺られて戻ってきた。
 遠路はるばる応援に駆けつけ3日間連続で必死に声を枯らして応援をし続けた海のもともと非力な体力はとっくに限界を迎え、今にも横になりたくてたまらないだろう。オートロック式のマンションのロックを解除して重い扉を開けて海を連れて歩く。今は世界中を飛び回る叔父とずっと幼い頃から二人暮しのマンション。
 美しい母親は長年の仕事の無理により体を壊して入院していたが、去年他界し、叔父はほとんど帰ってこない。一度興味本位で海を見に来ただけで、それ以外はリヴァイはほとんどこの広いオートロック完備のマンションに一人暮らし。だからこそ、早く海と二人で暮らしたいとずっと思い続けていた。
 いつも自分と会うときはフェミニンなファッションの海が珍しく履いていたカジュアルなブーティーを脱がせるとそっと膝裏に腕を通して軽々と抱き上げお姫様抱っこをして甲斐甲斐しく運んでやると、そのままリビングのソファに寝かせてやった。
 久方ぶりに触れた肌の質感は色白で艶めかしくて、そしてみずみずしい柔肌はいつも自分の筋肉質な身体に沈みこんで柔らかく受け止めてくれるのだ。

「うぅ……ん、」

 きっちり結んだフィッシュボーンの髪からは嗅ぎなれた香水の香りがした。甲斐甲斐しく海の身の回りの世話を焼く彼は見た目は怖そうだが、周囲からも慕われ、そして本人もなんやかんや面倒見のいい根っからの世話好きだ。
 昨晩もそのさらに前の晩も試合観戦の疲れですやすやと寝てしまっていた海。殆ど遠距離生活なのもあり、こうして2人で会えるのはとても貴重だし、だからこそ久しぶりに会えた恋人とのセックスはそれはもう最高に盛り上がるものなのだが、大人として、年上の恋人として、毎回会う度若い海と欲の赴くままに食糧を買い込んで家に引きこもってセックスに明け暮れるのは果たして如何なものか?と、思えば、欲のままに海を力任せに無理矢理抱くような真似はしたくなくて。
 後は海の都合なのだが、会えたとしてもどうしても重なってしまう事もある女性なら月に1回の憂鬱な日にも考慮しなければならない。そんな感じでお預けをくらい続けているリヴァイ。

 ***

「起きたか」
「んん……あれ、私……?」

 自分が風呂に入る間まで寝かせてやった数時間後、ひとっ風呂浴びてさっぱりしたUネックのトレーナーにラフなハーフパンツ姿でダイニングテーブルでお先に1人飲んでいたリヴァイはようやく目を覚ました海の背中に声をかけた。
 ソファから覗いた小さくてまん丸の頭がぴょこぴょこソファからちらちら見えるその姿は小動物のように見えた。

「すみません、私……あ! 月9は……?」
「今何時だと思ってやがる。一応録画はしてたが観る気力はあんのか」
「あ、はい……大丈夫です……」

 半分寝ぼけている自分よりも華奢で小さな身体。小さな口で大きな欠伸をすると、トロンとした瞳が振り返り自分を見つめている。本当に手のかかる子供みたいな恋人だ。彼女の父親に頼まれた通りころころ変わる愛くるしい表情は見ていて飽きない。
 長年生きてきた自分が、たった一人の目の前の海に翻弄されるなんて思わなかった。
 今期の月9は海の好きな俳優が軒並み揃って主演なのだと、ほころんだ笑顔で膝を抱え、黒革のソファに腰かけリモコンを渡されオープニングから嬉しそうに魅入っている。画面の向こうには自分とは真逆の、紳士で優しそうな穏やかな雰囲気の朝ドラでブレイクした長身の俳優。そんな海の小さな背中には彼女が好きな投手の背番号が刻まれている。そういえば彼女が好きな投手も背が高く、穏やかで優しそうな顔立ちをしている。言ってしまえば海がカッコいい!と微笑む有名人はみんな自分とは真逆の長身で優しい顔つきの男達ばかりだ。
 ハイボールの氷を転がしながらリヴァイは考えた。お世辞にも優しい顔とは無縁の、堅気に見えないお世辞にも人相の良くない自分をなぜ目の前のこの子は選んだのだろうか。と、海くらいのレベルなら望めば幾らでもよりどりみどりな筈、なのに。

「ああっ! それは幻の銘酒じゃないですか……!」
「飲むんだろ、」
「えっ! ……いい、んですか?」
「飲みてなら飲めばいいだろ。いいか、絶対に俺の聖域を汚すなよ。悪酔いしてゲロ吐かれちゃたまんねぇ。何か腹に入れてからにしろよ」
「はい。大丈夫ですよ」

 簡単に用意したカプレーゼにオリーブオイルを垂らして海に渡せば嬉しそうに箸を渡す前に勝手に手でつまんでそれを口に持って行く。
 オイオイ、行儀が悪いぞとリヴァイは躾が必要かと顔を顰めながらそのギトギトのオイルがソファやカーペットにシミにならないかひやひやしつつも冷えた目覚めの日本酒をショットグラスに注いで手渡した。
 見かけによらずザルな彼女。ゆっくり味わう日本酒もマグカップに並々注いで飲み干しかねないが今、潰れられてしまえば今晩もお預けをくらったまま、またサヨナラ。だ。
 そっちのゲームは終わったかもしれないが、まだこっちのゲームが残っている。
 口の端にトマトが着いているのも構わず今度は盛り合わせのファーストフードのチキンに手を伸ばした。

「うう〜ん、おいしいです」
「ケーキもあるが食うか?誰も食わねぇから会社から持ってきた」
「はいっ! あ、リヴァイさんは座ってて下さい。私がお皿取ってきますので。お皿はどちらです?」
「悪いな。上の棚だ」
「はい、」

 酒に甘いモノが合うのかは知らないが、海はとにかくお腹がすいているとぱたぱたと小走りでダイニングキッチンに向かって駆けだし、棚の上の方のケーキ用のお皿を取ろうと手を伸ばしたが、普段ヒールの高い靴ばかりを履いて誤魔化していた身長が今は靴を脱いだことによって小ささが明確になり、両手を伸ばして懸命に手を伸ばしてジャンプをするが、届かない。
 顔を赤くして懸命に背伸びをして両腕を突き出す海の姿がおかしくて可愛らしくて、リヴァイは思わず吹き出しそうになった。

「ひどい、わざとですね!」
「悪ぃ、怒るなよ」

 そうやってむくれる姿もかわいらしくて。ポンポンと頭を撫で、そっと海の背後から手を伸ばして柔らかな腰に腕を回すと小柄だが厚みのある胸板、そして逞しくて屈強な腕が海を軽々と抱き上げ皿のある棚へ近づけた。
 ようやくその状態で皿に手を伸ばして取ることができた海。持ち上げたことにより、その前腕に触れた柔らかな海の胸の感触がリアルに伝わる。持ち上げられたことで寄せられた谷間がユニフォームの隙間から微かに見えた。本当に無自覚なのか、誘っているのか。よくわからない海にいつも翻弄されるばかりだ。

「重いじゃないですか……」
「重くねぇよ、お前一人くらいなら片手で持ち上げられる」

 ジムでいつも持ち上げているダンベルよりも軽いくらいだと言えば海本人は急に抱き上げられたことが恥ずかしくて相変わらず俯きながらリヴァイが会社から持ってきたケーキを品定めするように覗き込んでいる。

「あっ、フォンダンショコラ!おいしそう…これはあっためて食べると美味しいんですよ」
「そうか、お前の好きなモツ鍋にでもブチ込むのか?」
「まさか! いいから聞いてくださいよっ、それで、このフォンダンショコラの美味しい食べ方をお父さんに教わって……」
「それで……どう食えってんだ。」
「あっ! ええと、電子レンジお借りしまね」
「好きにしろ、お前に任せる」
「リヴァイさんは食べないの?」
「俺が甘いもん食うと思うか?」
「確かに……、」
「お前が1口くれりゃあいい」 

 そうして2人で録画したドラマを見ながらああでもないこうでもないと犯人は誰が怪しいとか話しながらケーキを口に運ぶ。リヴァイは食べないので海が用意してくれたハイボールを呑みながら海がケーキをフォークで割り入れるのを見ていた。

「あっ! すごい! 見て下さい、トロトロですよ!」

 海が嬉しそうにフォークでケーキを指し示す。すると、その割り入れた部分からは内部に固まっていたチョコレートが電子レンジの熱で溶かされてトロトロと止めどなく溢れてくる。
 それはまるで…。海が聞いたらかなりとんでない下ネタがうっかり口から飛び出そうになるのを堪えながらリヴァイはジッと黙り込んでそのケーキを丸々口に運んだ海に目を向けていた。

「んん〜おいしいです……。ん? リヴァイさん?」
「お前みたいだな」
「へ?」

 ケーキに夢中のまま急に話しかけられた海の口元には食べきれずに零れたチョコレートがくっついている。

「ったく、どこに食わしてるんだ。お前は」

 本当に手のかかる恋人だな、と。リヴァイがチョコレートと比喩したのは。とんでもない下ネタだとも知らずに、こっちはずっとお預けを食らって、年甲斐もなく好いた女を明日の仕事も構わず早く抱きたいと思っているのに。
 呑気な海にリヴァイは仕方ねぇな、と、愛しさを募らせながらも海がチョコレートを垂らしてしまった口角にキスするように、そのまま頬に口づけたのだ。

「え、」

 ドラマの中のイケメン俳優に魅入ってしまっていた中でリヴァイは静かにそのチョコレートを丁寧に舐めとると、グイッと親指で口を拭い一言、「甘ぇ」とうんざりした表情で感想を告げた。
 彼の見せたその野性的な雄々しさに、直視出来ずに恥ずかしそうにちびちびと酒を呷ると今度は飲みきれなかった酒が顎を伝い首筋からそのままユニフォームのVネックにぽたりと落ち、柔らかな胸を覆っていた下着を完全に濡らした。

「あっ、やだ…冷たい……っ! サイン入りのユニフォームなのに!!」
「馬鹿野郎、早く脱げ、酒でダメになるぞ」
「でも……」

 海のユニフォームが濡れる。垂れた酒がサインに染み込む前にリヴァイは慣れた手つきでグイッとまくり上げるように海が着ていたユニフォームを腕から一瞬で抜き取った。

「お前……」
「っ……」

 大事なユニフォームを脱がせればレースのキャミソールからチラリと見えた下着は身に纏っていたユニフォームと同じ、願掛けのつもりかどうなのかは知らないが、真っ赤に燃えるクリムゾンレッドのように赤く染まっていたのだった。

「オイ、海よ。随分派手な下着じゃねぇか……」
「あ、あの、これは……その、願掛けのつもりで……ご、ごめんなさい、こんな派手な下着……リヴァイさんの好み、じゃない、ですよね……幻滅、しましたか?」
「……するわけねぇだろ」
「あっ、待って……、リヴァイさん!」
「待てるか……こんなエロい下着なんか付けやがって……お前、本当に大人しそうな顔して大胆だよな」

 溜まりに溜まった欲が溢れ、そのままソファに優しく押し倒されながらリヴァイは海の柔らかく寄せられた胸の間から漂う日本酒の香りにクラクラと酔いしれていた。問答無用で海の赤いレースの下着をたくしあげるとフロントホックだったらしく、色白の柔らかなふたつの膨らみが、ふるりと揺れながらリヴァイの眼前に現れた。

「あ……っ! ダメっ、ダメです……!」
「くそエロいな、お前、こんな下着も持ってたのか?」
「こ、これは、その……っ……」
「願掛けにこんなド派手なビラビラの下着か……」

 赤い色に興奮作用があるとしたら…まるで鮮やかな赤に突撃する雄牛と闘牛士のように。恥ずかしそうに身じろぐ海に構わずに、じろりと穴があくほど真上から見下ろせば、下着のように海の顔も赤みが差していた。

「久しぶりにお前とこうして居る気がする、」
「っ……」
「この前は途中で生理来ちまったもんな…俺は構わねぇがバイキンが入っちまったらかわいそうだからな、そんで今週は急に会えない……かと思いきやまさか嘘ついてドームで俺に内緒でで野球観戦。昨晩もその前の夜もお預けで、今はテレビ画面に夢中で……」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「俺はお前の好きなピッチャーや俳優とは全くタイプが違う気がするが……」
「それは……!」
「俺は背もでかくねぇし、紳士でもねぇし、……優しくねぇからな?」
「っ、んんっ! ……ぁン……っ、紳士じゃなくても、関係ない……っ、リヴァイさんは、誰よりも優しい、もん…それに、私より背も大きいです…」
「は……、嬉しいこと、言ってくれるじゃねぇか」
「私は、リヴァイさんが、ずっと、好きなのに……」
「海……」

 目の前の恋しい海の言葉に胸の内がじんわりと温かくなる。
 こんな感情、いまだかつて味わったことが無い、大切にしたい、無遠慮に伸びた無骨な手が海の胸を掴んで包み込んでしまう。触れた部分から柔らかく沈み、あっという間に形を変えていく。

「ああっ、んゃっ……!」
「ああ、柔らけぇな……」

 急に胸を鷲掴まれて恥ずかしそうに黙り込む海に構わず芳醇な酒の香りに酔いしれてしまいそうだ。うっとりとした表情で囁き、その美声に脱力していた。親指と人差し指で見つけたほんのり赤い突起をコロコロと転がせば海は恥ずかしそうに、それでも彼女もこうして愛されることを期待し、されるがままにソファーに組み敷かれ身を委ねていた。いつもお互いに身を清めてから始まる神聖な愛の行為が、今日は煌々としたリビングの明かりの下で革張りのソファという普段とはまた違うシチュエーションに溺れていく。海の静止の言葉など聞かない。今夜は絶対に海を抱くと決めたのだから。海は汗をかいたからこのままは嫌だと言う、しかし、

「お前の匂いしかしねぇ、」
「や……っ、」

 スンスン、と同じ社内のミケみたいに。鼻を鳴らしてその甘い身体のアルコールに酔いしれそうだった。今晩も全身赤く染めて応援していたようだが、今一番赤く染まっているのが海の肌だなんて本人は知りもしないだろう。潔癖症の彼は海の前では関係ない、自分が汚いと思わなければ、それでいい
 もう理性なんてとっくに無い。週1で会えていた海に触れられなくて3週間、いや体感的にもっと触れていない気がする。触れれば触れるほど敏感な海の肌に、ただ目の前の海の身体にずっと触れていたくて、柔らかな肢体に既に飲んでいたハイボールよりも芳しく酔いしれていた。

「海……」
「っ、んんっ、あっ、」
「クソエロい声出しやがって」
「あ、っ、知らない、っ……」

 鍛え抜かれた鋼のように筋肉質で屈強な肉体が海に覆いかぶさり、両胸を優しく解いてゆく。首筋を辿り鎖骨に顔を埋めてめいいっぱい香りを堪能する。
 海の身につけている香水も混じり、クラクラと目眩がした。

「は……」
「んっ、ああっ」

 互いの口にしたアルコールがほんのりと香る中で口づけを交わして。幾度も鍛えすぎたからなのか。
 小柄で、叔父の影響で口の悪さも相乗して紳士とは程遠い筈なのに、それでも目の前の愛しい恋人は自分が好きだと腕を絡めて柔らかな胸を押し付けてくる。腕を首に回して夢中で互いの唾液が行きかうような甘いキスをすれば海の咥内は蕩けそうな程に甘いチョコレート。誰よりも海がこんな言葉も拙い自分を愛してくれることが伝わってくる。

「もう消すぞ、」
「う……ん、消して、あっ、違う、電気を……っ、」
「さぁ、聞こえねぇな」

 リヴァイの手がリモコンに伸びると静止したままの録画画面を消し、互いに見つめ合うともう言葉は要らなかった。ずっとこうしたかった。その瞳で自分を見て欲しかった。飽くなき欲求は今こうして目の前の年下の恋人に向けられていた。

「んッ、ああっ、」
「痛てぇのか?」
「あっ、は、あ……っ、見ないでくださっ……! ああっ!」
「随分良さそうじゃねぇか、」

 嫌、止めて、恥ずかしがる海をソファに座らせたリヴァイは満足そうに心ゆくまで好いた女を堪能していた。

「んんっ……あぁ、っ」

 グイッと太ももを掴んで海の大きく開かせた両足の間を開けば赤くひくつくそこは、早く触ってとしとどに濡れ、はくはくと蠢いていた。美しい肉食獣のように端麗な男の顔が当たり前のように埋まっていく。海の両胸はその柔らかさのままに揺れながらその先端を硬くし、時折指先で掠めれば嬉しそうに腰を跳ね上げていた。
 華奢で、綺麗にくびれたウエストの辿る先でリヴァイはずっと海の下肢をさも当たり前のように、舌と唇で愛し始めたのだ。

「んあっ! ああっ! っ! 恥ずかしい……! そんな……ところ、ダメです……!」
「止めちまっていいのかよ、」
「っ……やめ、ないで……」
「ああ、素直になったな、」

 ほら、堕ちた。
 絶対に離すまいと戯れに培ってきたその手つきで海を戻れない深い快楽の海に陥れる。悪い顔をした大人の男は、舌と唇で膣口を浅く掻き回していた。
 聞くに耐えない、卑猥な音色が響く。
 海はまた仰け反り甘く啼いた。さらにそこに指を追加し、空気を含ませた粘着質な音に耳まで支配されるように。海は腰を浮かせながらも与えられる酒に上気した身体は思考までとろとろにされ、絶対的な快楽に抗えずにいた。
 海の顔はすっかり赤く染まり、とろけた瞳はこちらを見つめているものだからそんな海が愛しくて、思わず「可愛い」と、甘い声で囁きリヴァイは微笑んだ。

 ***

「んんっ、あっ、あっ……っひぁ、んああっ! リヴァイ、ああっ、も、だめぇっ、きちゃうっ!」

 呼び捨てでいいと言ってもやはり元おっかない上司だけあり敬語を忘れない普段貞淑な海が敬語すら忘れて乱れる姿はなかなか腰にクるものがある。
 綺麗に処理をされた、無駄な毛ひとつないから舐めやすい海のそこは甘い芳醇な香りに滴る愛液は粘度を増し排卵日が近いのか白く粘ついていた。顔はかわいらしいのに割り開いたソコはあまりにも淫らだ。
 海はこうして口と舌で愛されると余計に乱れる。尻の方まで愛液を垂らし、ソファを濡らさないようにと音を立てて啜れば海は驚いたように下腹をへこませ腰を浮かせた。目の前の恋しい女となれば話は違う、もっと……持てる手段でどんどん乱れさせて、自分だけに溺れればいい。

「ああ、1回、イケよ」
「んんっ、んぁ――……っ!」

 リヴァイの絶技によってより敏感になり、たまらず腰が浮いてリヴァイの頭を柔らかな太股で挟んでしまう。するとリヴァイは痛いとお仕置だと言わんばかりに内腿の柔らかいところを執拗に噛むのだ。

「ひっ! んあっ! いたぃっ、んぁっ」
「俺も痛ぇんだよ、チクショウ。窒息させる気か」

 内出血と言うよりはほぼ紫色に変色している。しかし、海はその与えられる痛みにさえ激しく感じてまた甘く啼く。

「んあっ! ああっ、」

 皮をむいて剥き出しの粒をグリッと抓るように。膣口も同時に抜き差ししながら卑猥な水音をぬちゃぬちゃ響かせ、海はまた激しく甘い声で達してしまった。

「んぁっ! あアッ! リヴァイ、あっ、ああっ、ダメぇ、んああ〜っ!!」

 二度目の絶頂に海は仰け反りそのままソファに横倒れに倒れ込んでしまった。力を込めていた太腿から力が抜けて、開かれた海の間からトロトロと溢れるそれはさっき海が食べていたガトーショコラのようで、あまりにも卑猥だった。

「っ、あっ、んんっ、」
「海……」
「ひっ、あんっ、耳元で、囁かないでえっ……」

 うつ伏せにソファに倒れ込んだ海に覆いかぶさりながらリヴァイも海の淫らに乱れる扇情的な姿に誘われ耳元で囁く声は荒く、切れ長の瞳は潤んでおり、そこら辺の女性よりも色っぽくて、直視出来ない。

「俺の声がそんなにいいのか?」
「はぁっ、あっ、んぁう……」

 彼の掠れたような低音に腰が抜けるようで、愛液を流し込むようにすっかり氷の溶けたハイボールを口に含んで愛液を流して飲み干すと、そのまま海の唇を探し求めて2人は抱き合いながら夢中で口付けていた。度数の高いアルコールに浮かされ貪るように口付けを交わして、明るい光の下で剥き出しにする本能。

「んあっ、はっ、んんっ……」
「海、っ……ああ、たまらねぇな、」
「っ、んっ、」
「なぁ?止めるか?イキすぎて苦しいんだろ?」
「っ……いじわる……っ!!」

 リヴァイの声が腰にクるのか、囁けば囁くほど海は身悶え激しく感じた。
 今まで声を褒められたことは記憶に無かった。他人が聞くのと自分が発するのとでは異なる自分の声などいちいち気にしたこともなかった。
 しかし、自分に組み敷かれて行き過ぎた快楽に涙目で見つめる海にあなたの声が駄目なのと、褒められるのは悪くない。

「んあ……っ」
「分かるか、」

 年甲斐も無く興奮しているのが自分でも分かる。抑えきれずに恋しい海の甘く疼くそこはまるで別の生き物のように蠢いて誘う。わざと焦らしながらハーフパンツ越しにグイグイと硬くビキビキに起立した自身を剥き出しの柔らかな臀部に押し付けると、
 小柄なリヴァイよりも小柄な海は一糸まとわぬ姿で、身に着けていた赤い下着はずり下げられ、ソファの下に追いやられていた。
 服を着たままのリヴァイに簡単に包み込まれ、臀部に当たるその熱に今から貫かれると思うと堪らずに期待に震え、腰を浮かせてしまう。横向きのまま左足を抱えられた慣れない姿勢。いつの間にかスムーズにスキンを着けた彼の自身がグググ…と、ゆっくりと久方ぶりの彼を受け入れるグズグズに潤う粘膜内を確かめるように侵入してきた。

「あんん……っ!」

 ズブズブと、それは温かくヌルついていた腟内を埋め尽くすように埋め込まれる自身の雁首、そして1番太い部分がそのまま膣内に入り込むと、小柄な身体の割には太さも長さも基準以上の部類に入るリヴァイの逞しく猛ぶった自身に身体の中心をめり込むように貫かれ海は少し痛みを覚えながらも、完全に挿入すると、リヴァイ自身もこの状況を楽しんでいるのか着ていた服を取っ払い筋肉で覆われたリヴァイの逞しい肉体が明るいライトの下に照らされる。
 凸凹が生々し浮き出たリヴァイの彫刻のような肉体が自分の身体を包むのがたまらなく好きで、互いの男女の違いをいやでも思い知る。そのまま海はリヴァイが脱ぎ捨てたインナーに縋り付き、めいっぱい清潔な香りを鼻腔に閉じ込めていた。

「んんっ、あっ! リヴァイ、はっ、」
「服じゃなくて……俺に捕まってろ」
「ンアッ! ンンーッ!」
「あぁ、相変わらず、締まる……」

 しばらく動かさずにそのまま馴染ませると、痛みを覚えて腟内が乾く前に容赦なくズン!と、律動を始めていた。
 臍の裏まで届く勢いで収められた彼はいつもよりも大きく感じた。自分に興奮してくれているのだろうか、そうならばたまらなく嬉しいと素直に感じた。
 幾度、身体を重ねても。遠距離恋愛の為に膣内は彼を覚えきる前にまた離れてしまうから、挿入時はどうしても苦しさの方が勝る。

「っ……海、」
「んっ、ああっ! ひっぁ、」

 ジュップ、ジュップ、と、リズミカルに、相変わらずいつまでも狭い海の腟内はうねるように締め付けてくるから思わず持って行かれそうになる。海も痛いが、自身も痛いほど締め付けられそのまま精魂絞り取られそうだ。思わず苦悶の荒い吐息が漏れ、耳元で漏らした吐息にすら海は甘く感じた。

「は、っ、……っ」
「やっ、んっ、はぁっ、」

 ズルルルルルン……と抜けそうになる寸前まで臨戦態勢の自身を引き抜き、再びズンッ!と胎内に押し込めば海は甘くのけ反り、一突き一突きがずっしりと重い凶暴な律動に小さな身体を震わせた。
 横向きの不慣れな体位に最初は慣らすように、気遣うようにゆっくり貫いていたが、横向きで繋がれば体格的にも華奢な中に柔らかく揺れる胸に触れるし、こうしてキスをしながら交わることが出来る。

「はっ、海、」
「んァ、はアッ、んんっ、」

 開いた口が塞がらない。甘い声と卑猥な音がひっきりなしに響くリビングで互いの温もりを確かめ合うセックスは今までに感じたことの無い至高を齎した。
 遠距離恋愛で、なかなか会えない中で海に嘘をつかれてもしあの時自分もその試合を見にいかなかったら海とこうして居られなかったと思うと余計に抑えなんかきかない。

「もう、くだらねぇことで嘘つくんじゃねぇぞ……いいな、」
「はいっ、ごめんなさい……っ、んああああっ!」

 それでも許してしまうのは可愛い彼女に惚れた弱みか、それとも。散々誤解させ傷つけたかつての自分への海に対する贖罪か。もう二度と悲しませないと決めた。
 持てる自分の全てを尽くして海を愛したい。

「ひっ、んあ、っ」
「……海、」

 ――……お前が好きだ。
 確かに聞こえた、その愛の言葉。低いのにどこか少し高くて甘い掠れたような声に海は快楽と熱と涙の膜で覆われた瞳を細めて順応に受け入れ軽く達してしまったようだ。

「ひっ、ああっ、んああっ……」

 経口避妊薬を常用しているからそんな隔たりなんて要らないのに、今はこうしてお互い両家公認の中となり、真面目に交際する中で彼はそれでも誠実で、万が一に備えて避妊を欠かしたことはない。しかし、あまりの激しさにいつかスキンごと破れてしまうのではないかと危惧してしまう程に再び始まる激しい律動に脳の髄まで揺さぶられながら横向きから海の後ろ手に束ねるように両腕を掴んで、四つん這いになりながらリヴァイは後ろから何度も叩きつけるように海の胎内の奥深くまで、子宮の入り口の指では届かない部分を激しくノックした。

「あっ! ダメっ、奥っ、ああっ……ぁ、ぁああ……」
「はっ、そうか、その割には……随分締め付けてくるが……」
「ひん、はぁっ! やっ、言わないでっ! ああっ! んぁ〜っ!! リ、ヴァイ、リヴァ……、イっああん! おかしくなるぅっ!」
「おかしくなっちまえ……、なぁ、海っ……」

 そのまま横向きから四つん這いの体制でバツンと突かれ、海は弓なりに背を反らし、結んでいた髪は解かれ、黒革のソファに散った。クビレにがっちり見た目より大きくてゴツゴツした筋張った手が腰を持ち上げ、繋がり合う部分を指で開かれればそこからトロトロと愛液が零れ出す。
 溢れてきたそれに栓をするかのようにすぐさままた太い杭で突き入れられて、両手を掴まれそのまま後ろに引っぱられて上半身が浮く。寝バックの体位になり、上から腰を叩きつけるように揺すられて、胸がゆさゆさ揺れ、それさえも刺激になる。

「あっ、ああっ! やぁっ! それぇ、だめっ、だめえっ!」
「っ、ああ……すげぇな……お前の、ナカ、生きてるみてぇだな」

 背後からズンズンと貫きながら海の両腕を掴んだまま上半身を起こせば海は甘い声でのけ反り、いつもと違う体位に戸惑いながら順応に感じて甘く悲鳴をあげた。

「……ん、あぁあ、ッ!!! いっ、ちゃう……ぅっ!」
「くっ……っ、ン、まだだ……っ、」

 まだ果てては駄目だと。急に突いていた腰の動きを止めたり、後ろから伸ばした手が両胸を荒々しく揉みしだく。波が去ればまた動いたり、ガッチリ覆い被さるように鋼のような身体が休んではまた忙しなく。
 深く激しく求め合いながらとギシギシと激しく革張りのソファを軋ませ、2人は息を乱しながら臥せたままの状態から海を四つん這いにし、深く。隣の部屋の住人にまで聞こえそうな勢いで叩きつける律動にもんどりうち、抱き合い求めあった。

「っ、俺も……いいか、」
「あっ、っ、来て、きてぇっ……い、ぁっ、ぁ〜!!」

 リヴァイが震えながら荒っぽい息を吐き捨て、精根尽きて満足する頃には海はほとんど意識を失いかけていた。テーブル上に置いたリヴァイの用意してくれた料理が冷めてせっかく温めていたガトーショコラがまた固まるのも構わずに爛々と照らされた照明の下で久方ぶりに確かめ合うように抱き合い温もりを分かち合った。

「はぁ……んぁっ……きもちいっ…おかしくなる……っ」
「ああ、もう、とっくになってる……」

 もう秋も半ばなのに、未だ温暖な地域に流れる汗が頬をツーと、伝い落ち、海の背中にぱたりと落ちた。
 まるで思春期のセックスを覚えたばかりの子供(ガキ)のように海の真っ白い背中に吸い付くとそのまま幾つかの赤い華を散らした。

「ん……なぁに……?」
「いや……何でもねぇよ」

 リヴァイの腕に縋り付き、甘えるようにネダる海に促されるまま、またナマで致してしまった。
 リヴァイはその後も海の赤く染まる肌や下着にまで溜まりに溜まった真っ白い欲望を出し続けたのだった。
 その後、海が応援していた球団を下したチームは再びリヴァイの暮らす本拠地に戻ってきた。
 今度は日本一を決める、そして令和初の優勝を決める戦いに挑むことになる。

Fin.
2019.10.21
2021.04.13加筆修正
【真紅/under ver.】

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