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【叶わない恋なのに信じていた】

最後のプライドの続き

駄目だと思えば思うほど、離れたくなくて惹かれ合うように、どんどん恋に落ちで夢中だったあの頃、魂が、心が、生きているとさえ感じたあの夢中で駆け抜けた暑い暑い季節。あの日の夜は記録的な熱帯夜だった。

「ん、んんっ・・・」

潔癖症の神経質の塊のこの人と恋に落ちるなんて思いもしなかった。どちらかといえば苦手なはずだったのに、嫌いの反対は好きと言うことだろうか。他人のベッドなんてその人の汗や髪の毛やら体臭やら染み込んで、決して清潔ではないもの。そんなものに寝られないと言うかと思っていたのに、結局玄関で抱き合いながら、雪崩込むようにベッドに崩れ落ち、抱きしめられながら気にしないのかもとなんとなく頭の片隅で思っていた。

「リヴァイさん・・・」
「考え事か?こんな遅くに呼び出して。」
「あの・・・いえ、何でもないんです。」

いつも元気はつらつな海。しかし、今は目の前の男のせいで散々泣き続け、すっかり弱って憔悴している。だがそんな今の海の姿を見て普段とは違うどこか扇情的な姿にリヴァイはたまらなく興奮を覚えるのか、虚ろな目をする海の顎を掴むと深く激しくキスをした。

「うぅ・・・んっ、」
「海・・・脱がせろ。暑い。」
「はい・・・。」

どこかしおらしく、たどたどしい手つき。しかし、リヴァイの言葉を感じ取り海はそっとリヴァイの着ていたシャツに恥ずかしそうに手を伸ばす。どうしてそんなに暑いのならTシャツでなくいつもシャツなのだろう。それはきっとTシャツ1枚では彼の鍛えられた肉体に貼りついてしまい、その彫刻のような筋肉を生々しく浮かび上がらせてしまうからだ。目をそらして不慣れな手つきでリヴァイの着ていた服を脱がせ、ズボンのベルトにも手をかけると、リヴァイも海のルームウェアのワンピースに手をかけ一気に脱がせた。

「相変わらず細ぇな。メシ食ってんのか?」
「はい・・・」

たった数日なのにまた細くなったような。相変わらず自分よりも小さくて、自分なんか抱きしめたら簡単に壊れそうな儚く細い肢体。あどけなくたどたどしい海をベッドに寝かせて、リヴァイの背中に海は縋り付くように抱きついた。

あの夜を思い起こさせる温もりがまた同じように戻ってくるなんて。海は瞳の端から涙を流して覆いかぶさる肉体に、ただ夢中ですがりついた。

今だけは、この人は自分を抱きしめて優しくキスをしてくれる。もう海の頭の中にペトラと見つめ合い笑い合う二人の姿は記憶の中から消えていた。

「つっ、はぁ・・・ん、」
「何だ、痛くねぇのか?」
「っ・・・はい、痛く、ないです・・・っ、」
「ならいい。」

一気に服を脱がされ、下着もベッドの下に放って、リヴァイはダウンライトの下で身じろぎする海の細い中の柔らかな胸に顔を埋めながらこの行為に没頭していた。

「あっ、ああっ・・・!」
「しっかり感じてんじゃねぇか。硬くなってるな。」
「っ・・・だって、そんな風に・・・あっ!」
「ああ、そうだな。触りゃ濡れるし、硬くもなるだろ、」
「っ・・・どうして・・・そんなに嬉しそうなんですか?」
「決まってんだろ。」

胸の先端の淡い色に舌を伸ばして、包むように転がせば海は甘い声で、身じろぎ、素直に応じる身体は簡単にリヴァイの欲を煽る。

「お前は、本当に素直だな。」

さんざん胸を愛撫し、その両胸の頂きはリヴァイの唾液で濡れて光っていた。下腹部へ辿り、両足を開くともう既に潤うそこへ指を伸ばした。

「んっ、んんっ、やらぁっ、恥ずかしいですっ・・・」
「力を抜け、何も恥ずかしがることはねぇ。」
「っぅ・・・無理、です、」
「まだ慣れねぇか。仕方ねぇな。」

執拗な愛撫に夢中になり、そしてリヴァイは中指を海の胎内にゆっくり突き立てるとおもむろに口を開け覗かせた舌を尖らせその上にあるクリトリスを愛液で塗して転がし、中指を確かめるように胎内に埋めて、何度もぐちゃぐちゃと激しい水音を立ててかき混ぜるように海を双方から攻め立てたのだ。

「いやあっ!ああっ、・・・んぁっ、ダメ、だめぇっっ!」
「静かにしろ、隣に聞こえちまうだろうが。」
「あっ!ああっ、だめぇ!ああん・・・っ!」
「確かに、駄目だろうな。見ろよ、すげぇな。」
「あっ、いや、言わないで・・・くださ・・・っ!んんっ!」

リヴァイの中指が胎内を行き交う度に卑猥な水音とかき混ぜられる音が自分の部屋に反響し、たまらなく恥ずかしくて死にそうなのに、リヴァイは決して止めることなく海が何度も何度も涙を流して仰け反り絶頂するのを食い入るようにずっと見つめていた。

「まって・・・くださ、・・・ああっ!」
「海・・・」

もう何回も絶頂を迎えさせられて、指先から漏れる愛液が飛び散りシーツに染みを作り、こんな熱帯夜の夜に扇風機をつけただけの部屋の中でお互いに流れる汗が止まらない。

「暑いな・・・冷房ぐらいつけろ、」
「んっ、はい・・・」

シーツに仰向けの海。何度も達して汗だくに髪を振り乱し思うように動けなくて、苦しくて、息も絶え絶えなのに、リヴァイは汗を浮かべたクールな表情のままで柔らかな太腿の間を縫ってグイグイと、海の愛液でしとどに濡れた入口にぴたりと熱い杭を押し当て、如何に自分がこの状況に猛ぶっているのかを知らしめる。
小さな手を導き、海の柔らかな太ももに触れ、そのまま膝を持ち上げ両足を開いているように声調を優しく。

「抱えてろ、」
「はい・・・」
「いい子だ。」

もう挿入れる前から太ももに当たるその質量に恐怖さえ覚えるのに、それでも求めるもの、期待するときめきは押し隠せない。微かな不安と期待に揺れ動く儚い海を気持ちよくさせたくて、感じさせたくて。馴染ませるようにゆっくり、ゆっくり確かめるように挿入ってくるリヴァイ自身を強く締め付けた。

「海っ・・・」
「んっ、んんっ・・・」
「痛むか?」
「いえ・・・」

そっと、優しく髪を撫でリヴァイがゆっくり腰を推し進めていく。さんざん濡らし、この前受け入れた時に慣らした余韻もあり挿入はスムーズだが、リヴァイ自身の1番太いところが海の胎内を掠めた時微かに皮膚が引き裂くような引き攣るような痛みが蘇り、海が苦しげに瞳を震わせながらも必死にリヴァイを受け入れようと柔らかな肢体で両足をしっかり抱えて開いたまま、健気に膝を掴んでいた手に爪を立ててぎゅっと強く握った。

「んっ・・・っ、」
「は・・・キツいな、まだ半分も入っちゃいない。」
「えっ!」

濡れた音を立ててリヴァイの熱が海を貫き、それでもまだ根元まで収まりきれていないが身体で繋がった事実に今だけは、彼は自分のモノだと、実感して。2人は上も下も満遍なく繋がり合い抱きしめ合いながらキスをした。傍から見た2人は、紛れもなく本物の恋人のように見えた。

「動くぞ・・・」
「んっ、ああっ、来て・・・来てっ、」
「言われなくても、お前の傍に居る。」

労わるような優しい声。リヴァイの名前を呼ぶのがまだ慣れなくて、恥ずかしがる海を抱きよせ、リヴァイは前後運動を開始する。動きだしたリヴァイに海は質量の増した彼自身を失いたくないと強く締め付けた。

「っ・・・急に締めるな・・・」
「あっ、ごめんなさ・・・っ、」
「ほんとに狭ぇな。お前のナカは。」

キツキツ離したくないと粘膜が絡みついてリヴァイから精を搾り取ろうと収縮する海の胎内にただ黙っていたら身が持たない。リヴァイは早急に動き出し、あたりには激しい水音と肌と肌のぶつかる音が響きあった。

「ああっ!あっ、ああっ!」
「っ、クソ・・・っ、力抜け、」
「んぁっ!出来ない、できなあ・・・んっ、」
「っ・・・」

角度を変えて、海の子宮口が当たる真上からの叩きつけるような深い挿入に海はまだ慣れていないからと涙目で訴えるがリヴァイは自分が先に果ててしまいそうだと加減なく海を逝かせる為に耳から犯すように卑猥な音を奏で、動き続けた。しかし、まだ快楽に不慣れなのに苦しいだけの子宮口の辺りを突かれては気持ちよさよりも苦しみの方が勝るのに。気持ちいいのか痛いのか苦しいのかまだ良く分からない頭の中をかき混ぜられる感覚にめちゃくちゃにされそうだ。しかし、燃えるように熱い身体は確実にリヴァイから精を抜き通ろうとしている。

「あっ、ああっ、んっんんっ、」
「海・・・、」

深く深くキスをしながら上も下も繋がり合う。愛する人と繋がること、たまらなく幸せなこと。涙が溢れる行為なのに、しかし、本来ここにいるのは自分ではない。この事実を知ったペトラの優しい笑顔が悲痛に歪むのが見えた気がした。律動するリヴァイの肩越しの天井をぼんやり眺めながら海は揺れるリヴァイを抱き締めて、これきり、これを最後に、もうこの曖昧な関係は終わりにしよう。と決意した。

こんなに甘く優しく抱いてくれた彼にこんなに骨の髄まで激しく愛されて今なら吹っ切れそうな気がした。海はそう決めて、リヴァイの温もりを刻み込むように何度も何度もリヴァイの熱に揺さぶられ、貫かれ、シーツに身を沈めた。

「っ・・・くっ、」
「あっ、あっ、ああっ!?だ、だめです・・・お願い・・・強くしないで・・・!無理、無理ですっ・・・んんっ!」
「俺も、無理だ・・・っ、」

リヴァイも限界だといきなり律動を深く早く激しいものにするとちょうど海の繋がり合う上のクリトリスが律動の度に擦れ、より一層挿入が深まりリヴァイの胸板に潰れる自分の柔らかな胸も両手に掴みあげられ頂きを転がされ悶絶した。

「んあっ!ああっ!」

海はその双方の刺激に仰け反りながら達するとぎゅううっと強くリヴァイを締め付けた瞬間、リヴァイの苦しげな声が響いた。

「ひゃ、あっ!だめぇ、ああっ!んああーっ!」
「ん、くっ・・・海・・・、」

ドクン、と弾けた熱が海の身体の中を満たしてゆく・・・一応生理不順のための経口避妊薬を飲んでいる事は伝えてある。そして、彼が避妊をしようがしまいが、妊娠の心配はない。

遠巻きに感じる。この熱はペトラを同じく貫いているのだろうか。吐き出しているのだろうか、と。いや、吐き気がする。そんな事、考えたくもない。

それでも、いつもクールな男が自分を抱く時はこんなふうに優しく慈しむようにけれど、強く激しく抱いてくれるのだと思うと、涙が溢れた。

「うっ、・・・んんっ、リヴァイ、あっ!リヴァイ・・・!」

そのまま変わる視界。海を抱き起こし、繋がりあったまま口付けながらリヴァイは小さな身体の海を抱き抱えたままそっとキスをする。瞳の端からなぞるように、耳元まで、甘い吐息、低い声、全てが海の性感帯となって。

「あっ、ああ・・・」
「はぁ、・・・海・・・」

ゆっくり、ゆっくり、引き抜かれたリヴァイの自身を離してしまえば、もう二度と抱き会えない。
胎内から溢れた飲み込みきれなかったリヴァイの愛した男の体液さえも愛しいと、ぎゅっと締め付けた。いつも清潔な汗の香りも2人の肌に落ちるが、決して汚いと思わなかった。ペトラに触れているその手が、その指が、自分を抱くと思えば確かにこの今の時間は決して許せる事ではない。けど、もう、終わりにしよう。海は瞳を閉じてその身を今だけは委ねた。

「疲れたか。」
「平気・・・です。」
「じゃあもう一回するか?」
「えっ!?」

さっきの憔悴しきっていた海だったのに、今は元の海に戻ったかのようにとぼけた顔をする無防備な姿を晒し、リヴァイは華奢な手首を掴んでシーツに押し付ける。

「冗談だ。悪いが何発も出来るほどもう若くねぇよ。」
「も、もぅ・・・」

嘘をついて。常に体力が有り余っていそうなくせに。自分を気遣う姿、達した余力にリヴァイもベッドに寝転がると裸同士の素肌の触れ合う感覚に海は酔いしれた。人の肌の温度がこんなにも安らぎ、落ち着くなんて知らなかった。

「あの・・・主任。もう、帰らなくていいんですか?明日、出かけるんじゃないんですか・・・?」
「あ?何俺のスケジュールを勝手に決めつけてる。明日は何処にも行かねぇよ。」
「だ、だって・・・」

タバコを手にリヴァイは海の胸に顔を埋めながらそう口にする。しかし、聞き間違いでも、妄想でもなく確かに昨日の夕方のあの時はペトラをどこにでも連れてってやるって、言っていたのに・・・
と海は脳内で思った。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ。明日、いや、もはや今日で休みも終わりだ。仕事の前の日くらいゆっくりさせろ。」
「えっ、今日って日曜じゃ・・・?」
「お前どんだけ寝てたんだよ。もう今日は月曜だ。明日からまた仕事だぞ。」

そう言われて海は愕然とした。どうやらあの件から丸一日塞ぎ込んでいて、そしていつの間にかあっという間に日曜になっていたらしい。
となれば今日で休みは終わる。しかも今の時刻は深夜の3時になっていて。こんな自分のために夜遅くに来てくれる人なんて、浮気相手に対し、果たして居るのだろうか。

「お願い・・・どこにも行かないで・・・」

素直に言えなくて、抱き合い深い眠りへ落ちる寸前、心の中で海は逞しい腕に抱き締められながらそう、寝言のように呟き強く願った。返事は聞こえない、聞かないようにした。またこうして眠ったらきっと彼は朝には幻になりまた居なくなってしまう。ならばせめて、今だけは。

Fin.
2018.08.10
【叶わない恋なのに信じていた】

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