Going Under | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

【 Psychedelic Paradise】

「クライス!」

いつもの気の抜けた返事がない。
もぅ、クライスったら…
スリッパを鳴らして部屋に向かうと案の定ソファでスーツも着たまま、巨体をおっぴろげて眠っていた。
いつもの事だけれど、毎日続くとイライラしちゃう。
伏せられた長い睫毛に朝から晩までクタクタに稼いで仕事から帰ってくるなり疲れて寝てしまった彼の寝顔が憎らしい。

今までひとりで暮らしてきて、きっとろくに食事もしていなかったんだと思う…。
彼を起こすのはいつも私しか居ないんだけれど。
優しく揺すっても起きないから最近は怒鳴るくらいに彼を呼ぶの。

私とクライスはあの街角の再会を皮切りにどちらからともなくお互いの家を行き来するうちに私がアパートを引き払う形でクライスのマンションに2人で暮らし始めたのは自然な形だった。

「もぅ、クライス…!起きて、もうすぐご飯だから先にお風呂入ってきてね。」
「う……海?」
「ひゃっ、もぅ…どうしたの?」
「ん〜…今日のメシは何だ?」
「肉団子の中華スープだよ?ほら、早く早くっ」

急に目を覚ましたクライスがいきなり私をまるで熊が襲いかかるようにおおっぴろげに後ろから抱きついてきたの。
いつも仕事で檄を飛ばしている彼がこんな風に甘えてくるなんて…すっかり肌寒くなったこの季節は嫌いじゃない…口にはしないけれど大きいクライスの身体に包まれるのは大好き…とっても安心する。

「お前のメシ食ってから便秘なおった。」
「やだっ、もう…」
「褒めてんだぜ」
「きゃあっ!」

うなじにキスをされて、何故か私はクライスに抱き抱えられる形でキッチンまで運ばれた。
クライスは私より背が高い、それは本当に今話題の身長差カップル並以上に…
だから私はクライスにいっつも丸め込まれてしまう。

「お風呂に入ってる間にお団子まるまるしちゃうからね…」
「そうか……じゃあ、俺は海の胸でもまるまるしようか。」
「えっ?ちょっと…クライス!!」
「いい、続けてろ。メシの後で一緒に風呂に入ろう。」
「や…っ!待って…、」

急にクライスが背後に立つと背の高いせいもあって両腕で挟み込まれるように抱き締められて、私は逃げれなくなってしまう。
ワンピースの裾を掴まれて、乱暴に一気に胸までたくしあげられて、大きな手が私の大きくない胸を柔らかく解すように触れてきた。

続けてろって言われても…
胸の頂を思い切り摘ままれたり、大きなクライスの手が私に触れてくれる…それが嬉しくて、お尻にあたるクライスの熱を感じてしまう。
私を求めてくれてる…クライスが…。

「あぁ…っ!」
「エロい顔…お前が美味そうだな。」

ショーツ越しに小さな水音が響く、悔しくて一生懸命お団子を丸めようとするのに顔は赤くなって止まらないしクライスの手つきが気持ちよすぎて膝が震えて立てなくなって、ついに限界…クライスの胸板に背中を預けて支えてもらう形になってしまった。
クライスも熱っぽい眼差しで私を見下ろしている。

「クライスのばかっ…」
「いい顔だな…気持ちイイのか?」
「やぁ…っ」
「生理終わったのか…?」

憎まれ口を叩きたくてもクライスは私の身体を触る手を止めない。
どんな理由もわからないままやる気スイッチが入ってしまったクライスに簡単に抱き上げられて、料理どころじゃない…

「う…ん……」
「じゃあ、遠慮しなくていいな、」

一緒に居るのが日課になると、クライスは何処でも私に触れてくるようになった。
お風呂で抱かれてのぼせても離してくれなかったこともある。
生理だと言わなくちゃクライスは諦めてくれない、でも、生理が終わったら終わったでクライスはいつもよりもしつこく私に触る。

「んん…あっ…」
「声出せよ…」
「やっ、あぁ…」

シンクに押し付けられるように、私はクライスに後ろを向いたまま太い指を受け入れていた。
身長差と私が前つきだからこの体制は辛いけれど、クライスは私を追い詰めるのを楽しんでいる。
繰り返される愛撫に過敏に反応する身体、辺りに愛液を滴らせながらクライスにキッチンで抱かれていた。

「っ…ふ、ぁ…っ…」
「いいぞ、一回イッとけ。」
「あぁ…っ!」
「俺の顔見ながら、な…」

クライスが動かしやすいように足を開くと、シンク越しにクライスがニタリと笑っていたのを確かめ、ジッパーを下げる音とふたりの肌が重なるのは同じだった。

「っ…あぁ!痛…っ」
「っ、…キツいな…」
「えっ、ひゃあっ…くら、いす?」

やっぱり顔が見えないなんて…そう思うとクライスはすぐに腰を引いて拍子抜けした私を軽々と抱き上げるとそのままクライスにだっこされたまま私が上に乗ると向かい合ったまま肌を重ねた。

「んっ…あぁつ…」
「キツイな…力抜け、」
「んっ、まだ、入ってない…のっ……」
「違う、俺のがデケェだけだ。入らねぇよ…」

フッ、と不敵に笑うクライスの顔が近づいてきて熱い吐息がかかる、向き合って、感じた熱をお腹一杯に感じる…久々の行為に許容範囲を越えた身体には痛みが走るけれどクライスを感じていたい…

「うわ...お前、ここ大洪水」
「っ……恥ずかしい…」
「また溢れてきたな…、濡らしてんのは海だろ…?」

キスをしながらグラインドする身体をクライスに預けて…私の身体はクライスの上で何度も跳ね上がった。

「…っ……く、」
「うんっ…一緒に…いこうね…」

サラサラのクライスの髪が肌をくすぐる、お互い着ていたものを脱いで、キッチンの壁に押さえつけられたまま首に腕を回してクライスの荒い呼吸を繰り返す唇や喉仏や少し生えてきたヒゲに頬を擦り寄せた。

「んっ……んんっ!あっ、ぁぁっ!」

ぎゅうっとクライスの背中に爪をたてなくちゃ支えを失った身体が崩れてしまいそうで…
クライスも熱を放ったのか黙り混んで…やがて圧迫感が無くなり果てたのを感じた。

「ハァー…」
「ん…どうしたの?」
「待ってろ、もう一度、」

ゆっくり私の中から萎えたクライスが抜けて行くと、微かな痛みと、切なさを感じた。
男の人はイッたら出せるけど、果てはあるけれど、でも…女の子は体力が続く限り終わりはない。私はただ、だるくて仕方ない。
床に座り込んで、二人で寝転ぶと聞き間違いじゃなければ確かにクライスはそう言った。

「待って、クライス…肉団子…悪くなっちゃう!」
「冗談だろ、一週間もお預け食らったんだ…まだまだ付き合ってもらう…。」

切なげに眉を寄せて脱力したクライスの表情はまたいつもの意地悪な笑顔に戻っていた。
横向きにされて、クライスが本気の眼差しで私の足を肩に抱いて、私はまたクライスにペースを持っていかれてしまう。
それでもクライスが愛おしいのは変わらない…私は流されるまままたクライスに溺れた。

fin.
【 Psychedelic Paradise】

prev |next
[back to top]