Going Under | ナノ
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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
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【Behind the scenes33 side heroin】

どうしてこんなにも幸せなのに切ないの。
好きな人と結ばれる幸せはこの人生の中で、そう何度も味わえるものじゃないから。けど、何よりも特別なこの恋はきっと、彼がこの世界の人ではないこと、そして半年以上にも渡る濃密な出来事達。

彼と抱き合いこの上ない至上の喜びに満たされる胸。未成年の彼とこんな風に身体を繋げるなんて、子供を作る目的以外だけで抱き合うなんて本当は良くないって分かってる。年下の彼にこんなふうに快楽だけを覚えさせるなんて、私は年上のくせに、コントロールも出来なくて、ダメなのはわかってる。でも、もう止まらないの。
妊娠する確率が低くても子供ができる行為はずっと避けてきてた。けど、初めて全てを捧げたいって、そう思った。儚く華奢な外見なのに、私を守る力強い腕も、豹みたいに気高い瞳も、サラサラの黒髪も全部、全部を欲しいと強く思ってしまった。そうして、エミリオに抱かれてから焦がれて夜な夜な1人で熱を抑えられなくて、慰める中虚しく感じる強い快感に、その果てた脳裏に描いたのは紛れもなくエミリオで。

恋焦がれて、ずっとその背中を見つめていた。もっと私に触って欲しくて駆け寄って抱きしめてその瞳に私を映して欲しい、見つめあいたいって願っていたの。

大人とか子供とかでなく、私とエミリオ、2人だけの世界で。何処に行くにも何をするにもふたりだけでいいの。愛し合う場所に他は誰もいらない、この世界に二人きりでもいい。

「あっ・・・まっ、て・・・エミリオっ、んんっ」
「海・・・海・・・っ、」

待てない。さっきの車の中でそう言い放ちアパートに帰ってくるなり待っていたのは深いキスと熱い抱擁。簡単に抱き締められる私の身体はもう理性なんて無い。

車を拒んだ私になら家のベッドならいいだろと早急に腕を引かれて、リビングを通り抜けて2人のベッドにそのまま運ばれると私を優しく押し倒すエミリオ。見上げれば私の知らない男の人の顔をしていたから私は金縛りみたいにそのまま動けなくなってしまう。

何時までもその表情を見つめていたい、触れていたい。その瞳が、その低くて甘い声が本当にだめなの。頭からつま先まで痺れたように言うことを聞かなって。嫌って、駄目だよって、抵抗なんてもう出来なくさせる。

昨夜も、今朝も、さんざん抱き合って余すことなく繋がって。今までのすれ違っていた思いも埋め尽くすように取り戻すように抱き合ったはずなのにどうして?どうして止まらないの?どうして満たされないと、足りないと思ってしまうのだろう。

ううん、きっと満たされることは一生、無いのだと思う。
だって、簡単に満たされるくらいなら最初から選んだりしない。あの時海で彼を見つけたのは、きっと運命で、きっと神様は私たちがこんなふうに抱き合うことを知っていたのかもしれない。

「駄目なんて言わせない。望んだのは海も同じだろう?お前に、拒む権利なんてない。」
「ん、わかってる・・・」
「お前が欲しい・・・もう、お前を抱いていないと、お前がどこかに居なくなりそうで、失いそうでおかしくなりそうだ、」

この先が分かるから、考えたくない。今はただ、目の前の彼のことだけ見つめていたいの。まるでお互い欠けていた半身を探すように巡り会えたそんな中途半端な私達はお互いの欠けていたピースの半分なんだ。それを繋ぎ合わせてやっと私たちは本当に満たされる。お互い冷えきった家庭環境の中で孤独に心を閉ざして殺して生きてきたから。孤独が満たされる瞬間がちゃんと存在するなんて、知らなかったから。

エミリオに触れられた所から熱くなって、お互いを隔てるものは何も無い。私は自ら結婚式のワンピースを脱いで下着姿になりエミリオの前に座ると、エミリオもネクタイを外しシャツに手をかけ、華奢に見える見かけに反して鍛えられた身体が露になる。綺麗な鎖骨、硬い胸板、割れた腹筋、腕の太さ、何もかもが私と違って、そしてその美麗な顔と身体のギャップにやられてしまいそう。薄暗いダウンライトだけを灯して2人でまた求めあって、繋がりあって。けど、タオルを引いていないことに気づいて慌てて起き上がろうとするとすかさず待ったがかかった。

「ん・・・だめぇ、シーツが!」
「僕が洗濯している。汚そうが汚さまいが、洗うのは僕なんだからお前は何も気にするな。」

全身をくまなく唇が、舌が、触れて。その感触があまりにも気持ちよくて私はただ震えて啼いた。エミリオはいつからこういう事を覚えたのかわからなくて、だって、男女の付き合いなんてまして他人に興味が無いと思っていたから。いつの間にかこんなにも・・・その舌は私の下腹部を辿り両足をなぞり、そしてエミリオの腕がそっと開くから慌てて閉じようとしても、もう遅い。私の恥ずかしいところに簡単にエミリオの舌が埋まって私はあられもない声を出してしまった。

静かな部屋に響く音、それは紛れもなくエミリオが出させている音。丹念に愛撫され、ゆっくりゆっくり確かめるようになぞる指。探られて、それがたまらなくて。お尻まで伝うそれは紛れもなく私ので。けど、自分の意思では止められない。

「んっ、あっ、だめぇ・・・一緒にしないでっ・・・」
「すぐ駄目になるからか?中途半端にやめられる方が辛いんじゃないのか?」
「んん・・・止めないで・・・」

舌が何度も何度も私の胎内を行き交う度、熱い吐息が漏れる度、私ははしたなく淫らに声を上げて脱力すると、溢れた愛液を残さずエミリオは舐めとり、その感触を忘れるなと太ももに指先ですくった愛液を擦り付けてきて。自分が出したのに。その粘度の高さと温かさに狂いそうになる。

「やっ、だめえっ、おかしくなっちゃう!」
「とっくにおかしくなってる・・・」
「あっ、ううっ、んんっ、」
「1回・・・達していいぞ。」
「んやっ、だめぇ、だめえっ、見ないで、っ、ああっ!あーっ!!」

下の突起を唇で舌で舐められながら胎内を押し入ってきた中指。空気を含んで往復する指の刺激に腰が浮き愛液を飛ばしながら私は感じたことのない快楽に鋭い声を発して簡単に果ててしまった。
引き抜かれた中指から一気にドッと溢れる愛液がシーツを濡らしてしまう。息も絶え絶えで、荒々しい呼吸が止まらない。自分の身体、初めての時はあんなに痛くてたまらなかったけどそれまでの瞬間どうしても開いた足に力が入ってしまう。抱えるように両膝を持って何とか受け入れればあとはエミリオの思うままに私は翻弄されるだけ。

「っ、んっ!」
「く・・・っ、」

キツキツと締め付ける内部に呻くエミリオのセクシーな声、これだけでも感じてしまいそうになる。もうダメ、気持ちいい、早く、かき乱して、もっと、もっと・・・

「大丈夫か?」
「ん・・・へ、いき・・・」

自分も早く動きたくてたまらないのに欲に任せて動いたりはしないエミリオ。つながりあったまま優しく抱き締めてくれて、頬や耳や、そして唇に甘いキス。深く抱き合い慣れた頃、エミリオは動き出した。

「あっ!あっ!あんっ!」
「っ、海、・・・」

待ったナシの深く早い律動にひっきりなしに漏れる声とベッドの軋む音とお互いの肌と肌が何度もぶつかり弾けて、そしてエミリオが何度も律動する度に溢れる愛液の水音も響く。すべて隣の家にまで聞こえるんじゃないかと錯覚するほど、アパートに反響して、あまりの激しさに壊れてしまいそう。
けど、そう簡単に私は壊れたりなんかしない、余すことなく彼を受け入れ彼が私の中で果てるまで私は彼を強く締め付け離したくないと願うだけ。

「んっ、んんっ、エミリオは・・・っ、気持ちいい?」
「っ・・・いちいち聞かなくてもわかるだろ・・・っ、お前の中・・・離したくないと締め付けるからおかしくなりそうなんだ、」
「んっ!ああっ!あっ、あっ、んっ、」

ベッドに押さえつけられ、声をこらえようと唇を噛み締めてもエミリオはその唇を塞ぐようにキスをして甘く舌を絡めてきて。

「んんっ、ふぅっ、」

2人の口内を行き交う舌のイヤラシイ音、肌と肌のぶつかる音がして、あまりの気持ちよさに仰け反る私の両胸をエミリオは優しく包んでその先端を指で何度も弄る。それさえも刺激になって私は何度も何度も声がかれるまで抱かれ続けた。

本当は未成年だからダメなんじゃなくて、これは私のエゴ。本当は怖いの。あんなに痛かったのに今は何をしても痛みよりも甘い刺激に見悶えるだけ。毎晩こんなに抱かれ続けたら癖になってしまう。常に繋がっていなくちゃダメな女に成るんじゃないか、って。

だって、抱かれていない夜は1人で隣で眠るエミリオに内緒でこうして1人で悶々と脳裏に描いているの。
そんな私を知られてしまったら、もう、恥ずかしくて生きていけない。けど、もう止められない。また今夜も熱を持て余して1人夜な夜な慰める私をどうか見つめないで。

「んっ・・・エミリオ・・・っ、んんっ!!」
「海・・・?」
「え・・・っ!?」

小さな声、けど、気づいた時にはもう遅くて。沈黙の中、私の声を聞いたのは、紛れもなくエミリオで、私はエミリオが如何に人の気配や物音に敏感か、なんて本当にうっかりしていた。

「海・・・?何をしていた?」
「っ・・・あ、あの・・・」
「まさか、1人で・・・?」
「違うの!違うの、寝、寝言だよ・・・」

そう告げた瞬間、私は終わったと思った。昨夜のことが忘れられなくて1人で思い出して慰めてたなんて・・・そんな事、決して知られたくないのに。

「お前・・・随分大きな寝言だな。それに、そんなはしたない声で・・・どんな夢でも見ていたんだ?」

でも、もう止まらない。エミリオは私の濡れた手を掴むとそのまま私の履いていた下着の中に手を突っ込み、そこがどうなっているかなんてもう明らかで。

「あっ、だめぇ・・・ごめんなさっ、ごめんなさい・・・!」
「まさか、本当に・・・ひとりで、」
「違うの、違うのっ・・・夢、夢で、だよ!」
「僕じゃ嫌か?」
「っ・・・違うの・・・」
「夢の中までお前はそんなことで、頭がいっぱいなのか、恥ずかしがり屋のくせに。なぁ、どんな夢だ?夢の中の僕はどんな風になっていた?」
「ひああっ!あっ、んんっ!」
「なぁ、教えてくれ、海。」
「んっ、ああっ!ゆめ、のなかで・・・エミリ、オにっ・・・乱暴にされて・・・っ、嬉しかったの・・・!」
「そうか。」

願望を口にしてあまりの恥ずかしさに涙さえ出てきて。けど、エミリオはその涙を優しく拭うと恥ずかしさも余韻も残る私の指をぺろりと舐めて、そのまま履いていたスエットを脱ぐと私の上にのしかかり、その重みとそして太ももにぴたりと当たったそれ。紛れもなく今の私を求めて高鳴らせて・・・

「慣らさなくても、いいか?」
「っ・・・」
「正夢にしてやるからな?海、」
「っ、はい・・・来てエミリオ・・・っ、」

グンッと一気に押し入ってきたエミリオの熱に貫かれ私はただ、ただ、翻弄されるだけ。

「っ・・・きつい・・・な、」
「あっ、ああ・・・っ!!」
「動いていないと駄目になりそうだ、」

夢の中ではない、これは現実だ。強い力で横抱きにされて激しく貫く熱に1度果てた身体にはなかなかきついものがある。けど、止められないし、止めないでと願ってしまう。激しい水音はシーツにまで飛沫をあげてこのまま狂ってしまいそうになるくらい激しくて、きっともう離れられない。心も体も、満たされて幸せで。きっと失ったら生きていけない。私の半身はあなた、だから。
強くなる律動に突き動かされ、エミリオが中で果てた時、受け止めきれなかったそれを思わず強く締め付けるとエミリオの甘い声。

「もっと、して・・・」
「ああ。」

それはふたりだけの秘密。向かい合って抱き合うようにエミリオが深く私を貫いて。どうか今夜のことは忘れてと願うけれど、けど、きっとまた疼く熱を抑えられずに私は見出した快楽に感じて見悶えるのだろう。

Fin.
2018.07.02
【Behind the scenes33 side heroin】

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