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【Behind the scenes29】

引越しして落ち着く間もなくカメムシが浴室内に現れ、パニックになった海は勢いのままバスタオル姿で飛び出し、リオンにそのまま縋るように抱きつきラグの敷かれたフローリングの床に押し倒す形になってしまって。

「おい!何をしてる・・・!」
「あっ、ごめんなさい・・・!」
「全く、お前ってやつは・・・」

下から海を見上げていたエミリオは無言で起き上がると裸で巻いただけのタオルを引き剥がしたのだ。
突然の出来事に呆然とし、そして慌てて隠そうとするも腕を掴まれてそのままソファーに反転する身体。

「ま、ってエミリオ・・・っ、」
「本当に、お前は、いつも無防備に人の心をかき回す。こっちの気持ちもお構い無しに、付け入る隙を、簡単に。お前が、悪い・・・。」
「エミリオ・・・」

素肌にあたるソファの感触が冷たい。控えめな海の静止の言葉も聞くわけもなくエミリオは黙ったまま少し怒ったような顔で海に端麗な顔を近づける。本当に目の前の彼は綺麗な顔だとぼんやりと思う。そんな綺麗な顔に見つめられ、大好きな人に組み敷かれれば、抵抗なんか出来るはずがない。
駄目だとわかっている。快楽に流されるなんて、しかし、静かに情欲の灯る紫根の瞳。食い入るように裸体を眺められ、恥ずかしくて目を合わせられない。

「あっ、見ないで・・・っ」

必死に隠そうとするも両手首を掴まれ、押さえつける力の強さに彼はもう少年ではないのだと知る。海は分からなかった。こんなに綺麗な人が自分をどうしてこういう風にするのだろうか。自分は特に美人な訳でもないし、セクシーな体つきでもないのに。髪の毛で胸を隠すもその隙間から除く頂きは色づきその存在を知らしめてそれが余計に卑猥に映えた。組み敷かれた足の間にはエミリオがいて、彼の胸板を押し返そうにも鍛え抜かれた細身の身体はびくともしなくて。

奪われたバスタオルはとっくにフローリングに投げ捨てられ、燦々したダウンライトの下で海の艶やかな肢体が露になる。まじまじと見つめるリオンの目に海の裸体はどんな絵よりも美しく見えて。無言のまま海に口付け真っ白な胸を優しく揉みしだいた。

「あっ、んん・・・、恥ずかしい・・・っ、」

初めてはあんなに痛くて気持ちよさも感じられなかったのに、リオンに触られると何も抵抗出来なくなる、否、抵抗なんてせずとも、黙って身を委ねて受け入れる。好きな人に求められ愛される喜びを噛み締めたいから。

「はっ、んっ・・・エミ、リオ・・・」
「っ・・・海・・・、」

結局、お互いの思いも口にしないまま身体だけの繋がりをいつまで繰り返すのだろう。しかし、求め合う若いふたりは止まらない。海はひっきりなしに普段とは違う甘い声でリオンを淫らに誘う。その普段とのキャラの違いが尚更リオンを離れられなくさせる。

「んんっ、やぁっ・・・」

海の両胸は痛いくらいに桜色の頂を固くさせ、それを転がされれば熱が灯り疼いてしまう。下肢の間に収まるリオンの髪の毛を掴んで海は啼くことしか出来ない。下肢の間からは絶えることなく愛液が流れてそれは口淫を続けるリオンを夢中にさせるだけ。指のかわりに舌を差し込んで、引越しのダンボールの山の中、淫猥に耽る2人を知るものは誰もいない。

「やぁ・・・っ!一緒にしたら、だめっ・・・!」
「ん・・・」

リオンは海の下肢を口淫で愛撫しながら昼間海翔が求める海をこう言う風に組み敷いて抱くことが出来るのは自分だけなのだと言う暗い優越感を噛み締めていた。元彼も誰も知らない海のザラザラして、そして強く締め付ける胎内の感触を知るのは自分だけなのだと。
海がもっともっと、と。まだ控えめの甘い声が絶叫に変わるまで、理性を捨て善がるように愛液に濡れた手で敏感な海の容易に感じる突起をグリグリと刺激し、ぢゅっと、愛液を啜ればリオンの頭を太股に挟んで軽く達した。

「んんっ!んあああんっ!」

しかし、ここは二階建てのアパートで防音もマンションに比べたらたかが知れてる。甘い声が鋭くなり、海は耐えきれず腰を浮かすもリオンはその動きをやめたりはしない。舌は愛液が溢れるそこを何度も往復し、突起を何度も親指でグリグリと扱けば、海は狂ったように快楽に溺れて愛液は粘度を増しとめどなく溢れてリオンの指を濡らした。

「ああっ、やめてえっ!いま、あっ!ああっ!」

涙目で懇願する姿も自身を熱くさせる。自分よりも小柄で華奢なのに、年よりも、幼く見える海も、こうして暴けは柔らかな太腿や胸や臀部のラインは紛れもなく成人した女のもので。赤く染まったそこはヒクヒクと糸引き、海の尻を伝い皮のソファーに垂れる愛液は初めての時よりもずっとずっと、量を増していた。

「ふっ、んんっ、エミリオ・・・エミリオっ・・・」
「気持ちいいのか?」
「んんっ、っ、」
「そうか・・・」

涙目で素直にそう訴え口付けてくる海があまりにも愛しすぎて・・・リオンという仮面を取り、エミリオとして優しく微笑む姿、普段のぶっきらぼうで他人を拒絶する冷たい彼はどこにもいなかった。

「お前・・・いつもより、変だぞ」
「っ・・・あんっ、・・・」
「あんなに痛がってたのに、目がとろけて、感じすぎておかしくなって・・・」
「っ・・・ごめんな、さい・・・」
「いや、いい。」

当たり前だ、海は黙り込んだが、夜な夜なあのめくるめく夜の快楽が忘れられなくて、リオンを思って1人体を火照らせていたのだから、想像で夢見ていた人にリアルでとろけるくらい抱かれれば嫌でも身体は強い快楽と激しい刺激にまた濡れてしまう。
日に日に濡れて痛みよりも辛いのは感じすぎる自分。欲望に晒されているのは分かっている。けど止められない。首筋や背中にまで、余すことなく海の肌を堪能する彼も同じくらいセクシーで、海の心臓は今にも爆発するのではないかと、錯覚するほど高鳴りその心臓の音は両胸を揉みながらキスをするリオンの手にも伝わる。

リオンは無言のまま海の事を抱いた。海翔に、言われた言葉を振り切るように、奪われてたまるかと、海の心を奪えなくても身体を縛り付けて自分だけしか感じられなくさせて、雁字搦めにしてやろうと秘所の突起を、唇で愛し、入口は差し込んだ2本の指でごりごりと粘着質な愛撫を与えて。強い刺激に泣き叫ぶ海を抱きながらリオンは内心思った。

お前が好きだ、と、

今なら、言えるかもしれない。リオンはゴクリと息を呑む。しかし、快楽の中で打ち明けるなんて・・・迫る別れも、その後の海の事も過ぎると身体は繋がるのに、心だけが、結びあえないふたり。

「あっ、はあんっ・・・アアッ!」
「っ・・・!ン・・・、」

既に熱く反り返った若い自身をピタリと海のそこに押し当てれば恥ずかしい音を立ててリオン自身を愛液が潤滑油となってするりとそこへ導く。
グイグイと馴染ませるように慣らしながらもあの夜からそんなに感覚も空いていないのか、破瓜を終えたそこは痛みはないのだが、やはりまだ力が抜けきらない。

「力を抜け、・・・海・・・」
「んあっ、エミリオ・・・っ」
「っ・・・相変わらず、狭いな・・・」
「んんっ・・・!苦しい・・・っ、」
「だが、痛くはないだろう・・・っ、く、」

ズンっ!と。一気に海の胎内の奥深くまで自身を埋め込むと海は一瞬息をつまらせ仰け反った拍子に双丘がふるりと揺れて。海の粘膜は熱く絡みつき、一気に快楽を持っていかれそうになった。隔たりのない2人は深く深く繋がり、まるで初めからひとつの個体であったかのように海の胎内はリオンを求めて離したくないと淫らに濡れて、自覚もなしに強く締め付けるもんだからあっという間にイキそうになる。リオンは抗うように杭を打ち付けた。

「んんっ、あっ、あっ、やぁっ!」
「く・・・っ、海・・・っ、」

エミリオが快楽に耐え苦しげに息を漏らす低い声があまりにもセクシーすぎて海は耳まで赤く染めてひっきりなしに、喘いだ。

「あっ、やあっ・・・あっ、あっ、」

おかしい、自分の身体はどうなってしまうのか。こんなに感じたことなんてないくらいに気持ち良すぎて意識をつなぎとめるだけでもいっぱいいっぱいだ。

「んあっ、あっ、あっ、あっ、」

ゆっくり自身の形を焼き付けるような律動はかえって海を、よりやるせなくさせる。リオンが低い声で呻きながら前後に動く度海は甘い声を漏らして啼いた。ゆっくりだったそれが速さを増して、リオンが絶頂に向かうのは分かるほど。

離したくない、離れたくない、海はソファの上で離れたくないと自らの上に跨り前後に律動を続けるリオンの首に腕を回して抱き着いた。

「んっ、んんっ、・・・」

どちらからともなくキスをして、舌を絡めあって。上も下も粘膜で繋がって。交わすキスは余りにも卑猥で、下半身からは繋がり合う卑猥な水音が止まらない。

言葉にすれば簡単なのに、それでも言えないのは臆病だから。奥深く繋がり、リオンは暑さに耐えきれず着ていたTシャツを脱ぎ捨て上半身裸になると海の両足を軽々と肩に担ぎその律動を尚更激しいものにしたのだ。

「ひっ・・・ああっ!深いのぉ・・・っ!」
「っ・・・くっ・・・」

リオンも気持ちいいのか奥までごりごりと擦るように自身を深く深く胎内の子宮口まで貫く。激しい律動に海は目を見開き、体内の奥深くまで届く衝動はまだ快楽よりも、痛みの方が敏感に感じやすい不慣れな身体は翻弄され、声の限り強い快楽に気持ちよさよりも苦しさで、叫んだ。

「いやあんっ、ああっ!だめえっ!ああんっ!」
「っ・・・海・・・」
「あっ、あっ、あんっ、んぁああっ!やめてぇっ、ああんっ!おねがい、っあああっ、」

快楽よりも息苦しさしかない。まだ慣れないのにいきなり激しくされれば辛いのは目に見えるのにリオンは止めてくれない。繋がりながら突起をぎゅっとすり潰し、海は白目を剥く程の快楽に涙を流して胸を揺らしながら果ててしまった。

「っー・・・くっ、海っ、」

その強い締めつけはリオン自身を圧迫し、同じく快楽に不慣れなリオンは眉を寄せ限界を感じた。汗は伝うのにリオンの瞳はまるで深い海の底のようだ。

2人は強い快楽に息も絶え絶えで、リオンは耐えきれずそれでも海が経口避妊薬を飲んでいるのも知らず、彼は静かに自身を胎内から抜き去ると、扱きながら海の腹部に白濁を放って果てたのだった。

「あっ、はぁっ・・・ああっ、」

絶頂の余韻に震えが止まらず全身汗だくのまま海に倒れ込むと、彼女は朧気に黒髪を胸に抱いた。その時吸いつかれてチクリとした微かな痛みさえも快楽になってしまうほど海は虚ろな瞳で受け入れる。真っ白な肌に無意識に吸い付いてつけていた赤い華を、所有印であるキスマークと言うのだと知らずにリオンはまた刻みつけた。

あまりの気持ちよさに、達したばかりで動くことが出来ぬままリオンは噛み締めた。誰かと裸になって、汗だくで交じり合うなんて・・・自分にも性欲が備わっているなんて知らなかった。全て教えてくれたのは目の前の儚い存在。断続的な強い快楽に海も苦しげに息を漏らし、潤んだ瞳から流れる涙すらも愛しい。

「エミリオ・・・ああっ、はぁっ、あっ、」
「痛くないのか・・・?」
「っ・・・痛くない・・・ああっ!いたく、ないのっ・・・もっと、してえっ、ああんっ」
「お前が望むならいくらでも抱いてやる・・・」

先程白濁を放ったばかりなのに再び反り返る自身。見つめ合う若い2人は熱に浮かされまた無心で求め合った。今度はゆっくりとソファを揺らし、汗だくになりながら抱き合い律動を深めてゆく。

こんなにも愛しくて愛しくて、キリがない。それなのに愛しい思いを言葉に出来ない不器用なふたりは動物のように求め合った。寂しさを埋めるように。現実から耳を塞ぐように。この領域は誰も触れてはいけない神聖な領域だと、二人の愛は確かだと、認め合うように。

Fin.
2018.06.09
【Behind the scenes29】

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