Going Under | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

【Behind the scenes26 side LION】

人は裏切る生き物であり、どんな物にも永遠なんて存在しない。この世界は尚更そう見える。虚ろで、変わりやすく、そして不安定な均衡で保たれている偽りの平和。
だから簡単にこの世界の親は平気で子供を殺す、そして子供が親を殺し、永遠の愛を誓っておきながら相手に隠れて他の恋人を作る。

海が自分を好きだと言った時、胸に渦巻いていた黒い感情から解き放たれた気がしたが、それは一瞬だった。
そして、またすぐに他人を信じられない臆病な自分に戻っていた。この世で1番信用出来ないもの。それが自分以外の人間だ。まして他人から向けられる愛なんて不確かなもの、とても信じられる訳がなかった。例えそれが、心を開いた海だとしても。

優しくて歳の割に汚れを知らない海がいつが自分の薄汚い過去を知り、軽蔑し、嫌悪して離れていくのが怖かった。
海が自分に好意を持ってくれていること、とても嬉しいと思ったが、しかし、それは永遠ではないのだと知るからこそ、心が痛かった。
そんな優しい海に拒まれたら、きっと自分はおかしくなって優しい海を失いたくなくて殺してしまうかもしれない。そうすれば海は永遠に自分だけを愛してくれるだろうか・・・。
いつかは海と離れる日が来る。戸籍も存在しない自分はいつか海と離れなければならない、海を経済的に守ることもしてやれず、むしろ養ってもらっている身で。

海に知らないからなと、しっかり警告をした。自分の過去がどんなものかさえも、知らずに自分の事を優しいとニコニコした笑顔で酒に酔って好きだという、海の瞳はあまりにも純粋で、それがリオンの怒りの引き金となる。
人の気持ちの移ろいやすさも人の心は欲深いものだと幼い頃から嫌という程思い知らされてきた。
人に裏切られ、失った時の絶望も知っている。だから他人に心を許せない、他人に心を開けない臆病な自分。

「僕が好きなら何をされてもいいんだろう?」
「エミリオ・・・」

海の事も、いつか離れる運命で、深く傷つき悲しむならば、それならば愛など初めからいらない。海だって今は自分しかいないからたまたま一緒に暮らしている自分が好きだと錯覚しているだけだと、言い聞かせて海を突き放す為に。

過去に立ち戻る。ヒューゴの傀儡としてしか動けなかった自分へ。好きだと言っておきながら酒に酔ったから忘れてという、曖昧な告白をする海の気持ちが分からないから、分からないのなら・・・余計に自分の汚らわしさが浮き彫りになるような行為を。

「んっ・・・んん・・・」

嫌ならさっさと抵抗しろ。深い深い口付けを交わして、海の上に覆いかぶさり当たり前のように今度こそ自らの意志でキスをした。
呼吸すら奪うほどの激しいキス。酷くと言うのにキスをするなんて自分でも勝手だ。それなら一思いに乱暴に無理やり犯せばいいのだろうか。
酒に酔い、熱に浮かされて海は今更自分から乱れた服を恥ずかしそうに隠そうとしていたがそれさえも許さず海の華奢な手首を掴んで。

「ん・・・っ、はぁ・・・っ、はぁっ、」

元彼と別れて以来久しぶりにキスをしたのだろう。
久々のキスに海はうまく息もできないらしい。本当に恋愛経験があるのかは知らないがあまりにも拙いキスが内心海らしくて。

口付けを交わしながらも女を抱くのは初めてだが、それを悟らせないほど、あまりにも濃厚で、飲みきれなかったどちらのでもない唾液が顎を伝った。舌と舌の間を銀糸がつたう。可愛く触れ合うものではない獣みたいな荒々しいキスをしながら冷静に海を暴いた。

「あっ・・・だめっ、」
「黙れ。お前から誘ったんだろう?」
「っ・・・エミリオ・・・」

エミリオ。海に呼ばれると体の芯から熱くなるようだ。脱ごうとしてボタンを外したままの海のカッターシャツのボタンを全て外して頭から引き抜くように脱がせると履いていたパンツスーツも脱がせて下着が透ける生々しく素肌に張り付くストッキングも、身につけていた清楚な顔に似合わずレースの際立つ下着も脱がせようしたがホックの外し方が分かない。
察した海が背中に手を回してそれを外せば夏の外回りで汗ばんでいた海の裸の胸が露になった。
初めて見た海の裸を凝視する。互いに見つめ合うも恥ずかしそうに目をそらす海の顎を掴むとまたキスを重ねて海の露になった両胸に目線を向けた。少女みたいに小柄で細いウエストに小ぶりながらも揺れる両胸に手を伸ばせば形を変えて自分の手の中に収まった。片胸に顔を埋めて両手で包むように確かめる。

「ひゃっ、」

ダウンライトに生々しく光る色も白く柔らかい海の身体。先端の柔らかかった桜色の感触がどんどん固くなる。この身体をあの、元彼もいいようにしていたのかと思うと怒りに頭に血が上ってきそうだった。駄目だ。海に近づく男のことを考えると感情がうまくコントロール出来なくなって、自分を好きだとほざく海が他の男に優しく微笑む姿を頭に浮かべるだけでイライラして仕方なくなる。

酒を飲んだ海とのキスに自分まで酔っているのかそれとも、目の前の海に酔っているのか。施す愛撫に痛いくらいに硬くなった桜色の頂きに触れれば海は柔らかな声で甘く喘いだ。

「ん・・・やぁっ・・・」

硬い感触を試すように指で頂きを転がして刺激すればますます硬くなり痛いくらいに膨らんで。空いている方の頂きに顔を埋め、そして先端を口に含むと海は驚いたように体を跳ねあげた。

「ああっ・・・!ン〜・・・っっ!」
「わかったか?今更止めてやる気なんてないからな。」

そうだ、もう止めるなんて出来ない。映画や雑誌や動画でたまに目にしてきた。ベッドで睦み合う男女のシーン。自分が他人の人間とそうなるなんて思いもしなかった。今自分がこうしてあんなに嫌悪していた女と言う生き物を抱くことになるなんて全く想像もつかなかったが、いざ行為に夢中になれば身体は自然に動き、そして、愛しい海のフランス語で鼻のかかった甘い声にどうしようもなく欲情した。

「っ、あっ・・・、エミ、リオ・・・、」

考えられないことが今起きている。昨日までは普通に過ごしていたふたりが、並んでベッドに寝ても何も起こらなかったふたりが、今はこうしてベッドで抱き合い身体を重ねているなんて。マリアンとシャルにしか教えなかった名前を呼ぶ海。

快楽よりも羞恥が勝り恥ずかしいのと感じたことの無い刺激に目もくらむようで。震える足を抱えて、そっと海の下着に手をかけた。

「っ・・・!」

さんざん胸を愛撫した後、息が上がる海にキスをして、海もようやく慣れた頃に海の履いていた下着を遠慮なく尻から下げるように脱がせると海の膝をそっと持ち上げて開いた両足の間に触れる。
そこは自分の施した愛撫と酒に酔って感度が増したのか粘着質な音を立てて自分の手を汚した。

「濡れてる。」
「っ!い、いちいち言わなくていいの・・・」

指で広げればそれはテラテラと輝きながら糸を引き、しとどに濡れていた。恐る恐る、確かめるように自分もかつてはここから生まれてきた入口に指を差し込んでみると、海は驚いたように、腰を引き力のこもった内壁は触れた入口は自分の指さえも侵入を頑なに拒むようだった。

「っ、いたっ・・・!」
「お前・・・」
「あっ!」

そうして、知るのだった。海が、心だけでなく、身体も純粋なのだと。侵入を阻み何かに包まれた胎内はまだ海が破瓜を終えてないと知る。

「ごめんなさい、・・・私、この歳で、・・・まだ、したことないの・・・」
「な・・・」

虚勢を張っても痛みだけは誤魔化せない。恥ずかしがる海に全てを悟った。服を脱がせてしまえば今までの男性経験だったり、下着で体型を偽っていてに裸にすれば嘘も通用しない、どんな偽りも裸をさらけ出せば意味の無いものになる。

「・・・そう、だったのか・・・」

元彼がいたのに?頭に疑問符を浮かべながらも痛みに顔を顰めてそれでも感じる海を見て思わず行為を止めた。

「引いたでしょ・・・」
「・・・処女だからここでやめて欲しくて言ったのか?」
「え・・・」
「それなら、尚更酷くしてやる。言っただろ、僕は優しくなんかない、僕を好きだなんて言うな、お前は一時の感情で僕を好きだと言ってるだけなんだろ?僕がいつか、いなくなればどうせお前も・・・」
「違う・・・私は・・・」
「もう喋るな、」

しかし、ここまで来て今更止める気なんてない海が処女だと言うのなら、痛みを訴えるのなら嘘ではないだろう。元彼がいながらも行為に踏み切れない何かがあったのならそれ以上言及するのは野暮だ。
もう言葉は必要ないと感じて、細い太股を掴むと、指に微かに付着した愛液を口にする。シャワーも浴びていないのに真夏の行為に今更羞恥に震える海からたまらず悲鳴があがるも構わずに、もっとそれを口にしたい、本能的にそう思い海の膝を抱えると下肢の間に顔を埋め、舌を伸ばした。

「あっ・・・はぁっ・・・いやっ、そんなの・・・!」
「煩い。力を入れるなよ」
「いゃぁ・・・っ、」

足を閉じようと力を込めた海を、たしなめて。潔癖な自分が海の足の間に顔を埋めて溢れ止まない愛液を舐めている事に。しかもわざと恥ずかしい音を立てて耳からも尚更羞恥を抱かせる。海は自分から望んだくせに恥ずかしくて堪らなくて狂ったように涙を流した。

「いやぁ・・・っ、だめぇっ、エミリオ・・・」
「脚を閉じるな。やりにくいだろ、」
「そんなの・・・っ、だめ・・・恥ずかしくて死んじゃう!お願いっ、」
「うるさいな。お前からねだったんだろう、」

恥ずかしがる初な海を愛しく思う、しかし、それでも優しく抱いてやろうなんて思わせないように冷酷な眼差しで海への愛撫はやめない。本番経験はなくても前戯までの経験は元彼としてきたのだろう?

しかし、元彼みたいに自分のを愛撫しろと強要するつもりはない。海の下肢からとろとろと溢れる愛液を指に纏い、どこもかしこも甘い海の身体を貪り、経験のない女でも感じる秘所の上にある硬く腫れた花芯を愛液で垂れた指で擦り付けながらザラザラした舌で海を啼かせる。音を立てて愛液を啜れば海は腰から痺れるような強い刺激に目を見開き足の間に埋まる髪を掴んできた。柔らかな海の太股に顔を挟まれて、思わず身震いした。

「いやぁん・・・ああっ!ん、んんっ、」
「っ・・・」

やっと声を発した。弓なりに身体を反らし、肌を火照らせて感じる姿に自身の下半身が疼く。朝の自然現象ではなく海の卑猥な姿に興奮しているのだと。
ズボンを押し上げ痛いくらいに主張する熱にとっくに崩れかけていた理性はもう無い。施した愛撫と愛液で充分に濡れたそこに中指を差し込むとそこは中指でさえ侵入を拒むように強くキツく締め付け押し返す。

中指一本でキツいのにいきなり自分のを突っ込んだらどうなることか・・・しかし、このまま何も無かったことになんてしたくない。痛みでも何でもいい。海が今まで、誰にも奪われてなかった純血を、初めてだと言うのなら、自分がもし海の最後にはなれなくても、最初の男に名乗り出る。

「ん・・・えみ、りお・・・」

止める気がないと悟ったのか諦めたのか、快楽にうかされた海がするりと自分の腰に足が控えめに回る。しかし、言葉とは裏腹に身体は微かに震えている。元彼とこうして抱き合ったこともあるのだろう、しかし、きっと踏み切れなかったということは怖いのだ。貫かれる計り知れない痛みに。女は痛いとか何とかよく言うが、自分は、とにかく繋がりたくて海の純潔を奪いたい、そして快楽に溺れてそのまま・・・それを海は許してくれた。

「っ・・・ふ、うっ・・・」

さっきまであんなに濡らしていたのに・・・精神的なもので少しずつ乾き始めてきた海のナカに埋めていた中指を動かして親指で処女でも容易に感じる突起を刺激しながら裸の海に対して服を脱がないまま、チノパンと、ボクサータイプの下着を寛げ、中指を引き抜くと海の中に自分でも分からないくらいに猛った自身を埋め込んだ。しかし、それは当然貫かれることはなく内壁の膜に引っかかる。

「ん・・・んんっ!」

メリメリ・・・と推し進めてみるも裂けるのではないかと不安になるほど内壁は侵入を阻んでいるようだった。

海も想像を絶するあまりの痛みに力が入り、それが余計に自身をキツく締めつけ、温かな胎内に快楽もあるがそこを勢いで突き破るにはあまりにもキツい。

「っ・・・んんっ・・・!」
「痛むか」
「んっ・・・い、たくない・・・っへ、いき、」

しかし、海は痛くて仕方ないのにそれでも必死にこらえて自分を受け入れ背中に腕を回して裸の柔らかな胸を押し付けてきた。耳にかかる息は荒いし、呼吸も乱れている。我慢出来ず今まで受け入れたことの無いそこを無理やりこじ開け貫かれる痛みに悲痛な声がした。その痛みと海の胎内の収縮に硬くそそり立つ自身にも微かに痛みを覚え、眉を寄せる。

「どうだ・・・痛むか?お前が望んだことだろう。」
「・・・んんっ・・・あっ!」

間の抜けた海の声、ズンッとも、メリッとも言わんばかりに鈍い音と共に何かが裂けるような音がして海とふかくつながりあった。
痛くないわけがない。こんなにも震えて、涙を浮かべているくせに。それでも自分を受け入れる海が不思議でたまらない。

「エミリオが、好きだ、から・・・いたくない・・・」
「・・・っ・・・お前ってやつは、本当に・・・」

眩しすぎる。かつて旅したあいつらとの記憶を遠くへ押しやった過去から引き出されるほどに。海もあいつらと同じ人種だった。自分に無理やりほとんど犯されて言っていると過言ではないのに、それでも、必死に愛液ではないサラサラした破瓜で赤く血を流す胎内に自分を迎え入れて・・・。
痛いのは目に見えて明らかなのに、それでも自分を好きだと微笑む海の笑顔、心根の優しい海に自分みたいな犯罪者はあまりにも不釣り合いだ。それなのに、自分に愛を示すために小さな身体を痛みに震わせて受け入れて、そして首に腕を回して海から優しくキスをくれる。

「だ、いじうょぶだから・・・動いて・・・ね?」

目の前の彼女を美しいと感じた。思考はそこで停止した。嫌がる海を無理やりめちゃくちゃに犯し尽くしてそのまま海が息絶えるまで、そうするまで愛せて、それでもまだ好きだと言うのなら、しかし、そこまで非情にはなれなかった。

海の純粋な思いに胸を打たれてしまった。突如圧迫感が、痛みが消え、海から自身を引き抜いてしまったことに気付くと彼女は痛みと喪失感に不安そうに眉を八の字に寄せるも、シーツに海の血が点々と落ちて、この行為の後ろめたさを今更思い知る。
息を詰め痛がる海の姿にこれ以上は推し進めなくて・・・。海に背中を向けるとそのままバスルームへと駆け込みその場にしゃがみこんだ。

「っ・・・くそ・・・っ、」

破瓜の痛みに泣いている海を抱きしめてやることも出来ない。自分は穢い、こんな男が海を幸せになど、到底無理なのだと打ちのめされるだけだった。

それでも溢れる欲は止まなくて。海の中で感じた熱に今も震えている。
罪悪感に吐き気を催しながらも自身を上下に動かす手は止められなかった。感じたことの無い快楽に震えながら海の中で果てるように、欲望を手の中に吐き出しそして、初めて感じた欲に塗れた手と、虚脱感の中でようやく冷静さを取り戻すのだった。

震えが止まらなかった。自分が犯した事実に。口の中は未だに海の愛液の味がするし、手のひらは海の肌を覚えている。海の胎内に包まれていた自身も身体も燃えるように熱くて、浴室でしばらく動けずにいた。

fin.
2018.03.31
【Behind the scenes26 side LION】

prev |next
[back to top]