Going Under | ナノ
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【ETERNITY】

満天の星空の下、 そっと瞳を閉じて。瞼越しに感じるサラサラの黒い髪、近づき重なる吐息、柔らかな冷たい唇、仮面越しの切れ長な瞳に私はいつも貴方の虜になる。祈る様に流れる星々に馳せた願い。貴方の待つ空に幾ら手を伸ばしてみても、この小さな身体じゃ、指先じゃ、幾ら手を伸ばしてみてもどんなに声が枯れる程恋しくて愛しい微笑みには届かない。貴方が教えてくれた幸せの意味を今も覚えて居るよ。

織り姫と彦星はどんなに遠く離れて居ても、一年に一回だけ出会うことが出来る。でも、この楽しかった旅が終われば私たちはもう永遠にさよなら、なんだね。

「ジューダス。」
「海」

振り向けば穏やかに笑うハンサムな貴方の笑顔。
エミリオのひとつひとつ交わした言葉が私の宝物なの。
私は星が瞬く空の下、今日も浅い眠りの中でただ幸せな夢を見る。寝返りを打ち、素肌を包む貴方が残したマントを手繰り寄せ、薄れつつある温もりと香りを思い出す様に握り締めた。貴方と仲間と過ごした楽しかったあの日々が確かに私の人生で何よりも輝いていた瞬間だった。

貴方の居ない今、もうあの星々の輝きは見つけることさえ、出来ない。貴方が光だった、

それは、満天の星空の夜の遠い記憶。幸せすぎたから、あの幸せな、楽しかった旅はみんな夢だったんじゃないか、って今更ながらに思うよ。

ぼんやりと浮かぶ月明かりに照らされ、揺らいでいた影が次第に濃くなった。呼吸さえままならない、長い口付けから解放され、急激に身体が深い眠りへと誘われてしまいかけた私をそっと貴方が抱き締めてくれた。貴方の漆黒のマントに包まれて、心地よい安堵に微睡んで居たいのに。
貴方はそれを許してはくれない。力強い腕に抱き締められ、呼吸すら、甘い愛撫に遮られてしまう。

「おい、寝るな。」
「ん・・・」
「ほら、空、綺麗だぞ。」

不意に背中を冷たい指先がなぞり、その官能的な動きに、氷の様な感触に意識が呼び戻される。ぺちぺちと頬を叩かれて必死に今にもくっついてしまいそうな瞼と瞼を見開いてそっと目を擦れば仮面を外した、優しい素顔のエミリオが私の顔を覗き込んでいた。

再び甘く唇を奪われて、素肌をマントに隠しただけのお互い無防備なエミリオの首に腕を回してその肩越しに見えたのは、雄大に壮大で…広がる星の世界だった。

クレスタのデュナミス孤児院。カレンダーを見れば今日は巷で言う七夕だけど、思った通り、こちらの世界に七夕という文化はないみたいで。七夕を知らないみんなに、普段はいつもみんなにこの世界のことを教えて貰ってばかりで頼りきりだから、たまには私だって。張り切って意気揚々と七夕の説明をしたら瞳を輝かせたカイルやリアラやロニやナナリーやハロちゃんたちを始め、ルーティや孤児院の子供達がみんな賛同してくれた。

もうすぐこの楽しかった旅も終わりだから。
思い出作りになるようにと、楽しくみんなで笹に飾り付けを始めて同じくこの私の世界と何一つ変わらない天の川星空を見上げている。スタンもこの美しい空のどこかにいるのかな。エミリオがジューダスとして生きているこの時間が終わると共に入れ違いの様な形でスタンは蘇る。
そう、ジューダスは生き返らなかったことになる。今度こそ永遠に消えてしまう。

私も、叶うなら貴方と同じ場所へ逝きたい、貴方の腕に包まれて果ててしまいたい。だから、せめて、願いを星に馳せることだけは許して下さい。

「うーん、うーん」
「どうした海?」
「あっ、ロニ!」

いけない、先の見えない未来に暗い事を考えるのは止めようと彼と約束したじゃない。ふと、後ろから聞こえた声に笑顔を浮かべて顔を上げれば其処にはロニが居た。最年長としていつも私たちを引っ張る優しく力強い眼差しに顔を覗き込んでくるロニの姿に何処かホッとして。

どうしたんだと私の顔をのぞき込むロニ。
でも何だか、子供みたいに思われるんじゃないかって。

「1番高いところに短冊を吊したいんだけど届かなくて!」

は、恥ずかしい!ロニ、絶対明らかに引いてるよ!!
恥を堪えて気休めでしかない私の願いを必死に、藁にも縋る思いで高いところにその願いを託した短冊を吊そうとするけど、この体躯には限界があって。俯き加減で状況を説明する私にそれでもロニは一瞬驚いた彼女に屈託のない笑みを浮かべてくれた。

「はははっ、いや〜海は相変わらず可愛いなぁ〜どんな願い事を書いたんだ?」

「ああっ、ダ、ダメっ!見ちゃ駄目だよ!願い事はね、自分だけの秘密にしなくちゃ叶わなくなっちゃうの!」

「ははは、分かった分かった。よし、俺に任せろ、1番高いところに吊してやるからな!ほらよ肩車してやるから俺の肩に乗れよ!」
「え、わ、悪いよ!私、重いし、ロニが圧死したらみんな」
「なーに言ってんだよそんな細っこい身体して!いいからいいから遠慮するなよ!でへへ!」

そして、どんなに一生懸命背伸びをしても届かない私にロニが仕方ないな、ってしゃがみこむとお父さんがしてくれたみたいに肩車をしてくれたの。
ロニの広い肩に必死に太股で掴まり手を伸ばす。

「こっちこっち!」
「あぁ幸せ幸せ、柔らかいなぁ〜」
「ロニ、違うよ!そっちじゃなくてこっちこっち」

私の誘導とは反対方向に歩くロニの所為でなかなか思うように短冊が吊せなくてもどかしくて大変だったけどでも、何とか吊すことが出来てロニにありがとうと言ったら嬉しそうにロニも笑ってくれた。

でも、それを見ていた人がいた。急にそれは鬼の様な形相でロニのお尻を思い切り蹴り飛ばした後、ロニは情けない悲鳴をあげて地面に崩れ落ちると姿を見せたのは紛れもなくジューダスだった。

「貴様、油断も隙もないな。」
「ジューダス!急にロニのおしり蹴ったりどうしたの!」
「全くお前はどうしてそんなに無防備なんだ。」
「違うよ、ロニに肩車して貰っただけだよ」
「だからそうではなくて・・・来い!お前はいちいち他の男に無防備すぎるんだ。」
「え、えっ!?あの、ひゃあ!」

拗ねてしまったエミリオに強制的に連れられルーティの部屋を抜けおそるおそる辿り着いたのはデュナミス孤児院の大きなベランダのみんなで座れるような大きなベンチ
もともと街灯が少ないクレスタの田舎町は星がとても見渡せる、まさに天体観測に持って来いの絶景だった。
エミリオは高い場所が落ち着くみたい。
まるで猫みたいだね、って笑ったらまた拗ねるから内緒。
無言のエミリオがそっと私の肩を抱くと強く引き寄せてくるその逞しい力に安心して私は彼に全てを委ね瞳を閉じた。

「ごめんね、ロニにはただ短冊を吊してもらっただけだよ」
「お前に話しても無駄らしいな。僕が言ってるのはよりによってどうして肩車なんだ、あの馬鹿、下心が見え見えだ」

肩車と下心?よく分からない単語を口走るエミリオに首を傾げつつ拗ねるエミリオの丸い頭を優しく撫でてそっと仮面を外してあげた。仮面を外して貴方の素顔が覗くこの瞬間が1番好き。仮面を被るときの貴方は自分の罪を全て受け入れた悲しい瞳をしているから、だから、自分の罪を仮面に模すなら私がその罪を模した仮面を外すよ、私しか知らない、優しく見つめる貴方の素顔を。

空に手を伸ばせば今にも星に手が届きそうな場所で、屋根の上に座って星を見上げて寄り添い最後の瞬間を刻み込む様にいつまでもいつまでも抱き合っていた。久しぶりの2人きり、足音を立て迫る最後の時。ただこうして無言で抱き合っていつまでもいつまでも甘い雰囲気に浸っていたいのに。不意に彼の手が強請る様に自分の肌をゆっくりゆっくりと這い回る。

「っや、ジュ、ダス・・・!」
「おい、あまり可愛い声を出すな、止められなくなる」

止める気なんて、最初からないくせに。必死にエミリオの手首を掴んで制止しようとするのにエミリオはそれよりも早く私の服の中にするりと手を滑らせて背中を冷たい指先が優しく撫でた。

「と、止めて!!」
「止めたら、僕はお前を手放せるのか」

拒んだつもりじゃないのに。拒まれたとエミリオに思わせてしまった。今にも泣き出してしまいそうなエミリオに私はどうしたらいいのか分からなくて、ただ拒む意志はないと、恥を忍んでウッドデッキから落ちてしまわない様にエミリオの首にただ腕を回した。

「恥ずかしい、」
「何を今更・・・」
「でも、私、エミリオを幸せにしてあげたい、私が出来ることなら全部エミリオにしたい。」

素直に首を縦に振ったら、次に私の顎を無理矢理掴んで流れ星と天の川を背景にそれは今にも泣いてしまいそうな切ない笑顔で微笑むエミリオの膝の上に後ろ向きに抱っこされて座らされる形になってしまった。

「これ以上は言うな。」

エミリオの声が、私を抱き締める力強い腕が震えている。

「幸せ過ぎて、お前がどんな時もそばにいていつも優しい言葉くれるから、愛しすぎてどうにかなりそうだ」

そう呟いたエミリオに顔から火が出たように真っ赤に染まって恥ずかしい、きっと今の私の顔は本当に赤い。あまりのかっこよさに鼻血が出そうになる。

「あ、流れ星!」
「はぐらかすな。」
「や、やぁ、っ!」
「どうして、どうしてお前はいつも僕にそんなに優しく触れてくれるんだ。神を生かしてでも、お前を無理矢理縛ってでも誰にも渡したくなくなる。」

ただ星を見上げるだけで済む筈もなく、エミリオはゾッとする程の笑顔で私の顎を掴むと美麗な顔を近づけて、そのまま深く、私の呼吸さえ奪う様な激しい口付けに理性は呆気なく均衡を失った。
唇を優しく食み酸素を求めて拙い呼吸を懸命に繰り返す私に囁き見つめるエミリオの優しい瞳に本当の、貴方を見つけた。

「海、僅かで良い、お前をこの身体に焼き付けたい」
「やだ、そんな顔されたら、私・・・」

何て歯の浮くような台詞をこの人はぬけぬけと。月明かりの下で笑う彼のあまりの美しさに酔いしれてしまいそうになる。ひとしきり屋根から落ちそうで落ちないギリギリの状態でしがみつく私に彼は満足したのか平然と脱ぎ捨てたマントを広げて私を硬く張りのある胸に強く抱き締めたのだった。早く、この指に触れられたい
その願いは星ではなく貴方が叶えてくれた。もつれ合うように抱き合って何度もキスを交わして、お互いの温もりを愛を確かめ合った。そう、夢じゃない、貴方が失意に暮れた私の悲しみに、気付いてくれた。

愛しくて張り裂けそうな胸、貴方が、ずっと愛しくて愛しくて。エミリオが好きで好きで仕方ないよ。だからお願い、もっと近くに、私の傍で。

「絶対に、一生に一度しか言わない。愛してる、世の中で、誰よりも1番お前が好きだ。」
「う、うん、私も、だから、もっと抱き締めて。エミリオの香りも肌の温もりも目を閉じれば思い出せるように。」
「ああ、幾らでもやる。お前だけだ、お前しかいらない、お前の全てをいつも、ここに刻む。」

そっとエミリオの左胸に手を当てれば確かに聞こえた貴方の胸の高鳴りを刻み込んだ。

「んんっ、ジューダス・・・、だ、だめっ、ルーティがそこにいるんだよ?」
「誰も来やしないさ、ルーティも酒を飲んで酔っ払って眠っている、」
「けど・・・あっ、」

星だけが瞬く普段は洗濯物を干しているウッドデッキで2人で星を眺めて見つめ合い自然と求め合う。私の両胸をそっと持ち上げ揉みあげる手のひらに戸惑うも拒むことなんてできない。

「こうすれば見えないだろう?」

そうして、エミリオが私を膝の上に抱くと背後から包み込むようにすっぽりと私の身体はエミリオの腕の中に収まり、エミリオの手が慣れた手つきで私の身体を這い回る。


「んっ、んんっ、あ・・・っ!エミリオ、」
「気持ちいいか?」

こくこくと頷きながら着ていたワンピースを肩からずり下げて、露になる上半身にキャミソールを下着ごと持ち上げ
突き出た突起を指先で弄ぶ。

「あっ、んんっ、だめぇ・・・っ、」

胸だけの愛撫に全身がピクピクと震えて止まらない。愛しくてきりがない。触れられた箇所から熱が広がり私の腰あたりに感じるそれは私の痴態を見て感じるエミリオの熱。もう、前戯なんて要らないくらいに早く繋がりたい。じくじくと私の下腹部は熱を高ぶらせていた。

「海・・・」
「んんっ、」

エミリオも感じてくれているの?自分のお尻でその熱を擦りつけるように腰を揺らせばエミリオは熱い吐息を漏らしてたまらず私のワンピースのインナーのレギンスを膝より下に降ろすと下着の隙間からそっと指を割り込ませて直に入口のあたりをなぞると、そこがもうどうなっているかなんて見なくてもわかる。

「お前も期待していたんだな、」
「っ・・・もう、言わなくていいから・・・!」
「たまには、お前からしてくれ。」
「えっ!」
「駄目か?」

そうして、既に硬くなったそれを私のお尻に押し当てて穏やかに微笑むエミリオの甘い声と困ったような表情に逆らえるはずもない。向かい合うように抱き合うと、私は高鳴る胸を抑えながらエミリオに跨り、ルーティが目を覚まさないことを願いながらエミリオのベルトに手をかけた。

「ん・・・はっ、ああ・・・っ、」

ワンピースの下に履いていた下着もレギンスもみんな脱ぎ捨てて熱を持ち硬くなったそれをゆっくり、ゆっくり胎内に入れてゆく。

「っ、焦らすな・・・早くしろ、」
「だって・・・ああっ!」

満天の星空の下、繋がり合い求め合う私たちを見ている人は星だちだけ。ゆっくり確かめるように入れていた私に焦れてエミリオは目の前のずり上がった下着から見える胸に吸い付きそのままお尻を掴むと一気に下から突き上げてきて私は一瞬、思考が飛んでしまった。

「あっ、アッ!私が、動くから、って・・・!ああっ!はぁんっ、ゆっくり、ああっ!」
「これ以上待てるか・・・!」

寸分の狂いもなくエミリオしか知らない私のそこは彼の形を覚えてピタリと嵌り、ガツンと子宮の奥をノックされ見悶えて。あまりの気持ちよさに口からひっきりなしに声が出てしまう。ズンズンと下から突き上げられ、気持ちよすぎて悲鳴をあげているとエミリオの両手があやしく伸び、私のお尻に触りそのままお尻を広げるように指で割開き、その刺激さえも私にはたまらなくて。思わず大きな声を上げてしまった。

普段抱き合うベッドではない屋外という開放された空間に不慣れな体位にずぶずぶと抜き差しする度愛液が粘度を増し音を立てて深く交わる。

「あっ、はっ、ああん、んっ、んっ、」
「っ・・・海・・・っ、」

エミリオも気持ちいいのか夢中でガツガツと下から突き上げてくる。恥ずかしいくらい私は太股まで濡らして声も我慢出来ない。その声を漏らさないようエミリオが舌を絡めてきた。

「あっ、んっ、」
「っ・・・海、海・・・」

いつもよりも早く限界に近づきあまりの気持ちよさにぎゅううっとエミリオを締め付けるとエミリオは汗を浮かべながら欲を吐き出すためにますます私の腰を掴んでかき回すように深く貫く。

「んああんっ!だめぇ!ああっ!んんっ!」
「っ、海・・・っ!」

その細腰からはにわかに信じ難く激しい律動にベンチを軋ませながらお互い一緒に達してしまった。ビクンビクンと震えながら私の中に弾けたエミリオの熱。ため息をつき、お互い野外なのに汗ばんで重ねる唇も深くて。

久方ぶりの行為に、グラグラする思考。強い快楽にしばらく二人つながりあったまま動けずにいた。


「ねぇ、・・・エミリオの願いは?」
「僕か・・・?・・・いや、願いなどない、幸せだ、僕にはお前が居る。」

それだけで十分だ、お前に出会えた幸せ以上の幸せがあるなら必要ない。今更何を望む。
そう、低く呟いて私にまた甘いキスをくれた貴方の声が震えているのは知らないフリをした。

私の願いは今も変わらずに、ただひとつ。
貴方と過ごした家、思い出を忘却の彼方に奪われてしまわないように私たちは強く抱き合った。

Fin.
【ETERNITY】

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