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【私を抱くあなただけの本性(E)】

 王都で行われている調査兵団の活動資金繰りのパーティに呼ばれたのはリヴァイだけではなかった。そう、今回は海も私が呼んだ。調査兵団で優秀だった両親の血を引き継いだ海は生き残りの減ってきた調査兵団の中でも希少価値のある分隊長のひとりとして、死者の多いこの調査兵団には欠かせない戦力だ。

 そして、何よりもその彼女の歌だ。その歌は地下街に堕とされた時もよく親しまれていたそうだ。儚く切なさを孕んだその歌声、何年経っても出会った頃と変わらないあどけない幼い顔立ちのまま。しかし、妙齢を迎えた現在は私がかつて愛した女の面影さえも時折見せるようになった。
 会話もそこそこに「用があるから来なさい」と、そう伝えれば素直な彼女はなんの疑いも無く私の部屋にやって来た。全身黒の背中の露出が下品に感じさせない、華奢な中に女性らしいボディラインが目立つシンプルなドレス。酒を交えながら話もそこそこに、俺は当たり前のように小柄な彼女をいとも簡単に宛がわれた寝室の豪奢な天蓋付きのベッドに組み敷いた。いくら彼女が鍛えられた兵士だからと言って俺の前では所詮非力な女でしかない。

「っ…?あの、…やめてください、エルヴィン団長?何を…」
「たった一晩だけだ。リヴァイと寝るそのうちの一晩を他の男と寝るだけだ」
「やめて、やめて下さいっ…、私は…」
「リヴァイとの関係はとっくに終わったんじゃなかったのか?」
「え…!」

 海が口ごもる間に先にその言葉を、名前を告げた瞬間、海は大きな瞳をさらに見開き激しく動揺しそして俺に組み敷かれたまま硬直した。リヴァイとの関係を本人なりに隠していたつもりだったのだろうか。なんで見え透いた嘘を。見え見えな海の本心を見抜き俺は心底愉快でならなかった。

「ど、うして…それを…?」
「君がずっとリヴァイを思っているのは誰もが知っている。そして、リヴァイも君のことしか見ていない事も」
「っ…!分かってるなら、どうしてっ?」

 よく見ている。いつも見ているから分かることだ。2人は周囲が見ても明らかなほどお互いを見つめそしてお互いしか見えていないこと、お互いがお互いに溺れている事くらい知っていた。任務の最中でもそう、いつも冷静なあのリヴァイの心を動かすとしたら、この子だけだ。

「人の死に触れる度に巨人の返り血を浴びる度、生きてる実感を求め他人の人肌を求めるのは止められない。俺もそうだ、血を壁外調査で生き残る度にそう、思うことがある。…他人の肌が恋しいのなら、俺が、受け止めよう」

 彼女はリヴァイと憎みあって別れた訳では無い、互いの守りたいと、大切だと思う気持ちが大きな溝となりそして不器用な2人を引き離した事も知っている。だが、自立心の強い海はただ守られることを激しく拒む人間で、そして尚且つ自分の所為で誰かが死ぬなんて耐えられないだろう。
 人類最強と名を馳せるリヴァイと背中合わせで戦うのは…いつかそれは互いに身を滅ぼすだけ。どちらが欠けても調査兵団は今後の激化する戦いを生き残ることは出来ない。だからこそ私はこの2人を引き離し、2人を別れさせることを決めたのだから。

「海、調査兵団にいる以上もう君たちの未来などとっくに無いはずだ」
「っ…!!」

 しかし、外堀を固めて追い込んで、そうして2人を引き離して引き裂こうとしてもあの二人は勝手に再会を果たしたりする。そう、死がふたりを分かつ日までこの2人は決して離れやしない。

「人類の勝利のために私は、戦い続けます…!」
「ならば、人類の勝利の為に、その鍵を握るリヴァイの事は、」
「はい、重々理解しています。彼は強い。人類最強と呼ばれる彼がこの先居なくては今後激化する戦いも厳しいことは、ちゃんと、わかってます。だから・・・だから、離してください・・・団長!」

 しかし、そうして別れた後も二人の関係は今も変わらず続いている。肉体関係が止められないのはお互いがお互いを今も求めているからだけではない、もう依存の海に溺れているのだ。壁外調査や過酷な任務で人が死ぬ度、2人はひっそりと逢瀬をし、その仲間を死なせてしまったやりきれない思いを抱えその虚しさを性行為で発散さえているのだ。だから今も互いを深く激しく求めあう。リヴァイは常にお前だけを見つめている。あの瞳はもう、お前しか映していない。純真無垢な幼い少女はリヴァイの手により、求めるがままに敏感な身体へと変えられ、そして海はリヴァイを覚え、そして簡単に股を開いては受け入れ、そして淫らに成長した。

「リヴァイなら今晩は戻らないそうだ、君ならその意味が分かるな」
「っ…やめてください。本当に。分かってます、だから、離して・・・くださ・・・いっ、」

 俺はかねてよりリヴァイを付け狙うとある令嬢を今晩けしかけてリヴァイを海から引き離すことに成功した。今頃リヴァイはその女を抱かざるを得ない状況にまで追い込むことに成功しだ。そして歌い終えて戻って来た海は独りぼっちになった。そんな彼女を周囲の男達が取り囲む、淫猥な妄想に耽る男たちの妄想の餌食になる海。例えるならばそれはまるで、今現在俺の腕の中で蜘蛛の糸にからめ捕られた蝶々のように。
 ここは蜘蛛の巣のようだ。そして海には立体機動装置がなければ、彼女は翼を持たないただのあどけない少女のまま。いつまでもいつまでもあどけない俺の中では幼い頃のままの。頭のいい彼女がそれを理解しているのは俺自身も理解している、しかし、それだけでは彼女を抱く理由だけではないことを、海は、知らない。

「しかし君は、本当に君の母親によく似ている。」
「何を…あなたは、お考えなの、ですか?」
 「エル!ほらほら、早くこっちに来なさいよ。何ボーッとしてるのよ?」

 かつて恋した女なら俺にもいた。しかし、調査兵団としての身である以上俺には形ある結婚なんてすべきではない。だからこそ、俺は団長としての立場を貫くために彼女との未来を捨て。そして、彼女は他の男と結婚をして、そして海を産んでそして調査兵団から去った。俺の選択は間違いではない、そう、全ては人類の勝利の為と言いながらも俺は今も俺の発言が招いた事で父親を殺した罪に囚われていた。いざ自分が死ぬかもしれない、そう思った時に。今はもう居ない彼女を思い出したのだ。

 初めて海を見た時、あの男の面影より、かつての愛した女を見た。

「んっ!あっ、あああっ!」
「ああ。君は、身体も素直だな」

 嫌だ嫌だと泣きながら抵抗しても所詮非力な女の力。両手を簡単に片手で束ねてしまう程華奢な手首は簡単にシーツに縫い付けられた。脱がされたドレスはベッドの下に滑り落ち下着姿の海の本性を露わにしていく。そして、子供の頃と変わらずあどけない小柄なその肢体。しかし、そこに何処か女らしさを感じたのは…そう、日々リヴァイに抱かれたことで彼の望むままに淫らな事を植え付けられ、人並み以上に快楽に敏感になってしまった所為だろう。
 ひょいひょいと難なく巨人を倒してゆく小柄な身体、しかし、今それを抱き潰す勢いで俺は海を抱く。華奢なのに、20代半ばの一番女性的に成熟する年代の柔らかな肢体に触れれば細い肢体に揺れる胸はちゃんとした女の身体だ。見た目の幼さとちぐはぐな身体に俺は酷く興奮した。まるで幼い海を犯しているようで、躊躇いがちに開かれる半開きの口からは紡がれる抵抗の言葉、大きく垂れた瞳からは大粒の涙を流しながらもそれでもリヴァイの手により敏感に感じてしまう海は酷く、滑稽に見えた。

「海・・・」
「っ…んっ…あっ、エル…ヴィン、団長…やめてください…あなたは、そんな事しない!」
「それは君の妄想の中の俺だ、俺にも人並みに欲求はある、君こそ嫌な割に濡れている」
「っ…」
「リヴァイはそんなにいいのか」
「っ…それ、は!」

 それでも頑なに彼との関係を否定しようとするが言葉とは裏腹だ。身体は正直にまた愛液を垂らし俺の指をスムーズに動かす。しかし、それでも海が抵抗をしないのは分かっていた。無知な彼女でもリヴァイが貴族との資金繰りのパーティで何をさせられるのか、まして「人類最強」と呼び声の高いリヴァイの強さ。顔もよく見れば綺麗で、そして強い男の子種を望む貴族の女達の羨望の眼差しの理由もきっと分かっている。しかし、当の本人であるリヴァイはあの通り、愛想を振りまく性格でもなければ会話もほとんどせずに酒を煽り、そして海の元に行っては2人してさっさとパーティ会場から消えてしまうから資金繰りのしわ寄せは他の幹部に行くのだ。
 神経質の潔癖な性格で今更海以外の女と寝るのなんてリヴァイにとっては冗談ではないと言いたいのだろう。海と別れた後も海だけを思い続け、他の女で気を紛らわす事もしなかった。

 しかし、どんどん人が死に、多くの犠牲の果てにそれでも我々人類は戦わなければならない。その為にも今調査兵団の生き残りとして資金繰りを続けなければならないのだ。だからこそ貴族に気に入られて生き残り少ない調査兵団のスポンサーとなる資源を確保する必要があるのだ。貴族への資金繰りとしての夜枷をリヴァイが拒むのならば、

「海、君しかいない、君が適任だ」
「っ…ん、っ、やだ、やだあっ…ああんっ…あっ、あっ、!」
「全ては、人類の勝利の為だ」

 泣きながらも震える海の胸を鷲掴み果実のような突起を擦り付けると海は大きな声で敏感に喘いだ。下半身の間からは止めどなく溢れる愛液がシーツを汚し、それは糸を引いてそれでも強請る様だった。ベッドの柵に拘束して動けない状態にし、強い快楽に支配され、いとも容易く絶頂を迎える身体。
 何度目かの果てに海は脱力してとろんと蕩けた瞳は俺を見ている、背後から覆いかぶさるように抱き締め、もう既にしとどに濡れたそこを探り当て幾度か往復させ、そしてー…一気に貫けば、何度もリヴァイを受け入れている割にはやはり小柄だから其処の入り口も小さいのだろう、あまりの強い締めつけに驚いた。

「随分、締め付けてくるな…」
「っ!」
「しかし、未だ半分にも満たない」
「え…っ、ああっ…!?」
「リヴァイと比べて君が満足できるかは自信が無いが…」

 しとどに潤い、そして上壁の部分がザラザラした胎内は本当にいつもリヴァイを受け入れている割にはいい締り具合をしている。女の下半身は筋肉で出来ており訓練で鍛えられているのもあるのか、
 リヴァイしか知らない無垢な身体。まるで真っ白なキャンバスのような肢体を俺と言うどす黒い色で塗りつぶしてゆく。覚えたリヴァイの形を変えるように残りの部分も無理やりねじ込み律動を開始しすれば、海は苦しいのか痛いのか、届いてはいけない奥まで届いた男根に悶絶していた。何度も何度も行き交う律動から来る刺激が堪らなく、泣きながらも律動のたびに漏れる甘い声に夢中になっていた。
 涙目でそれでも俺を受け入れるのは、俺が上官だからだろうか。それとも、俺を幼い頃から思いを寄せていた海の残像が俺を求めてくれているのだろうか。
 しかし、地下で出会い共に調査兵団に上がってきたリヴァイが居る時からずっとその目はリヴァイだけを見ていて、調査兵団の未来を背負う人類最強と呼ばれるリヴァイの行先には目障りなほど一途な彼女が、謝罪を口にしながらひっきりなしに甘い声でリヴァイへの謝罪を口にしているのに前後不覚になりながら俺の与える快楽で何度も仰け反る姿は腰に来るものがある。真下に組み敷き偶に律動のたびに揺れる控えめあ両胸を鷲掴んで揺らせば海はとうとう叫んで果てた。
 まとめ上げていた髪も乱し、あえやかな声がああ、またたまらない。リヴァイの為と言いながらも俺は俺で海を満足させることへの繰り返されるこの行為に没頭していた。

 リヴァイが夢中になるのも分かる気がする。一見平凡で幼子みたいにあどけない妙齢なのにいつまでも少女みたいな風貌の海。しかし、団服を脱がしてドレスを与えれば色白の肌と柔らかな肢体を揺らしながら普段の甘くない声が情事になればこんなにも甘くとろけるような声に変わるなんて。
 喘ぐ声、淫らな愛液が迸る度、普段とのギャップがあまりにもありすぎるのだ。そのギャップがたまらなくてー…男の欲望を加速させる。

「海、」
「あっ、あっ、だめぇ、ダメですっ!んあああっ!!」

 両ひざを肩に担ぎあげて、そのまま折り曲げれば海のもともと柔軟で柔らかな肢体は簡単にその体制の変化を受け入れた。繋がり合う部分を見せつけながらの体位は確かにこれは視覚的にもあまりにも刺激が強すぎて駄目だ。
 真上からズンズンと叩きつけるように律動をすればお互いの肌と肌がぶつかり合い音を鳴らした。無理やり膝を割り、そして長大な自身を引き抜き、そしてまた海の胎内の奥までゴツンとぶつければ海は涙を流してビクンビクンと震えながら達し、その強い強い締めつけに俺も瞳を閉じて射精感に震えながらもギリギリで引き抜き、中には出さずに海の胸から腹部にかけて白濁を注いでやがて脱力した。

「あ、ああっ…は、」
「海…」

 かなり久しぶりに女を抱いだが、こんなに感じたのは何時ぶりだろうか。
 解放した欲望、どこかすっきり満足したように海をベッドに寝かせたまましばりつけていた拘束を外せばそこは擦れたように赤くなって白い肌に映えていた。静かに見つめると海は俺の精液が付いた身体を震わせながら涙混じりの瞳に、それでもリヴァイ以外の人間に抱かれてしまったことで見るからに潔癖で清廉潔白なリヴァイが許すはずもないこと、そして、裏切った事への罪悪感に震えていた。まぁ、潔癖性な男がこうして行為に没頭するのかは別として。

「海…泣くな」
「あ、は…だん、ちょう…わ、たし…っ、調査兵団の為ならどんな事も決断できる、強いあなたを尊敬していました…だ、けど、けど、それでもわたし、あなた自身を、軽蔑、いたし…ます」

 その幼い顔は涙に震え、そうして海はくるりとうつぶせになるとシーツに顔を埋めて震えていた。そう、彼女は泣いている。ああ、本当に可哀想なことをした。だが、その泣き顔さえも欲情してしまう。

「嫌いでも構わない。だが、俺は君のことが…」
「やめて、やめてください…っ、聞きたくない…!
 っ、でも、リヴァイだけしか愛せないと言っておきながら、あなたを受け入れた私も…!私、です、」
「大丈夫だ、君の罪なら…俺が、全てを受け止めよう」
「…ごめんなさい…」

 涙に震える海を抱き締めながら俺は結局またこの子を抱いてしまった。最期に果てる間際、拒絶と恍惚に震える肢体が何度も仰け反る度にその瞳はリヴァイしか見ていないのだと心底理解した。
 だが、わかって欲しい。君にはリヴァイしかいないように、俺も、死ぬまでこの子しかもういないのだ。愛する女は死んだ。そして今俺の心を満たせる天使はこの世界には君しか居ないのだから。かつて幼い頃交わした約束、大きくなったら俺のお嫁さんになる、そう微笑んでいた少女。彼女をどうしても渡したくないと思うのはこれは俺の子供じみたエゴなのだろうか。
 行き過ぎた快楽で気を失うように眠りについた海の小さな頭を撫でながら俺はそっとその唇に唇を重ねるのだった。

 例えるならまるで君は蜘蛛の巣に絡めとられた蝶。

 
To be continue…

2019.09.29
2020.03.05加筆修正
【私を抱くあなただけの本性(E)】

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