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【真夜中の蜜事】

「なぁなぁ、聞いたかよ。男子の宿舎の噂。」
「なんだよ、それ。」
「出るらしいぜ、無念にも巨人に喰われてさ迷う女の幽霊が・・・!!」
「ほんとかよ!」
「今も聞こえるだろ、すすり泣くような女の声が・・・」
「ひいっ!おどかすなってぇ!!」

ぼんやりとした意識の中で、海はドアを背にもたれ掛かり、向こうのドア越しの会話に耳を澄ませ、必死に声が漏れぬように唇を噛み締め、両手を口に抑え、必死に堪えていた。

しかし、声を我慢してもギッ、ギッ、と不規則に鳴るドアの軋みは止まらず、そしてその度に散る愛液。その淫猥な音は確実に向こう側に伝わっている。まだそこで兵士たちが雑談をしているのに・・・しかし、目の前の視界に映るこの男は鋭い瞳を快楽に細め、熱い吐息を漏らし強く抱き締め揺さぶる腕は決してこの行為を止めてはくれない。

「くそっ、リヴァイの奴またいねぇぞ!」
「どうせまた海ちゃんの所でも行ってんじゃねぇの?」
「ああ、分隊長の娘さんだろ?いい子だよなぁ。父親と違って優しくて、小さくて・・・けどなぁ、」
「まさかここに来る前からずっと、リヴァイと夫婦みたいに付き合ってたなんて・・・聞いてねぇよ。あいつに勝てるわけねぇだろ・・・」



「はぁ、んんっ・・・」
「どうした?お前の声、聞かせてやらなくていいのか?」
「んっ!ふう・・・んっーっ!!」
「誰も思わねぇよな。お前がこんな風に乱れてる姿なんてよ、俺しか知らねぇもんな。」

ゆさゆさと揺さぶられながら愛し合うのは誰も使っていない空き部屋の倉庫。だが、リヴァイが徹底的に掃除をしたのでそこは塵一つなく、宿舎よりも、綺麗。そのドア越しに海を押し付け座ることさえも許さないで立ったまま海と何度も深く繋がりあっていた。
リヴァイは人当たりのいい海が他の男の兵士達と仲良さそうに話す度に激しい嫉妬に駆られ、いつもこの部屋に連れ込み自分の物だと知らしめそして噛み締めていた。

足音が去るのを耳にし、安堵した海の瞳の端から生理的な涙が零れ、引っかかっていただけのブーツがゴトリと床に落ちた。

「残念だったな、行っちまって、」
「ばかぁ・・・っ!き、らい・・・っ!んんっ!」
「なぁ、俺に隠してることあるよな?」

しかし、リヴァイは無慈悲に海を責め立て、何度も仰け反る海の柔らかな太ももに沈む指。そして優しく抱き抱えると首をかしげてとぼける顔を快楽に歪めようとクラバットから覗く鎖骨から胸板の筋肉、お互い衣服を半端に乱し、海の胸を潰していたサラシを奪い、下から激しく逞しくそそり立った自身で海の胎内を乱暴に突き上げた。

「んんっ!?あっ!・・・ーんっ!」
「あくまでとぼける気か?なら・・・思い出すまで、頑張ろうか。」

優しい声調しかし、絶えず動き続ける無慈悲な快楽の波に翻弄され続けそうして、海が気を失っても尚も男は訓練でクタクタの海を執拗に犯し続けた。

愛し合う2人の繋がり合うそこは海の愛液とリヴァイの精液でドロドロに蕩け、ひくひく震える身体を抱きしめながら、リヴァイが何度も吐き出した白い欲に塗れている。

「んっ、・・・んんっ、あっ、あっ・・・、」

声がもれないようにと、静かに甘い吐息を漏らす海の初めて抱いた日から変わらずそしてどこかたどたどしい癖のある初な嬌声が好きだった。

今のリヴァイに必要なのは穢い野郎共と眠る宿舎ではなく、海と愛し合うための愛おしい部屋。そして空間。それを手に入れるためにはより多く巨人を削いで削ぎまくり実績を残して分隊長となり、個室を手に入れるしかない。

「貴族のバカ女共は俺の遺伝子が狂おしいほど欲しいらしい。意味、わかるよな。」
「そんな・・・のっ、だめ、いやっ・・・いかないで・・・」

「馬鹿。お前以外にはやらねぇよ。俺はお前を孕ませるので精一杯だからな、資金繰りの為に俺もいずれは社交界に招かれるようになる。それが嫌なら・・・とっとと俺の子を孕んじまえよ。」
「っ・・・うん・・・っ、んん、っ、」
「マーキング、消えたら言えよ、後、胸もしっかり潰しておけ。俺以外の穢ぇ野郎共が知らなくていいように。」

素直に頷かないともっとこの行為は続くのではないかと海は恐怖し静かに彼の言葉に従った。

きっともうすぐだろう。きっと彼の子供を懐妊する日はそう遠くない未来に。否、もしかしたら来月かもしれない。指折り数えて計算も狂いがない事、間違いない。海は力なく項垂れそのまま床に崩れ落ちた。嫉妬深い彼の執拗な行為は昼も夜もお構い無しに行われて。訓練で疲れた身体に容赦なく。けど、繋がっていないと、離れていて不安なのは自分も同じ。

「早く、分隊長になって、そして、お前は永遠に俺から離れられなくしてやる。」

彼は人類最強と謳われ、そして、顔も綺麗な彼は道をゆけば男からは尊敬の眼差しで見つめられ、女性達からの羨望の眼差しを浴び、子供からの人気も高い。そう、不安なのは自分も同じ。

いつか彼と離れる未来なんて今は考えたくない。
海は二人きりの空間となったこの倉庫でいつまでも変わらぬ愛を、永遠に続く愛を願った。
しかし、分隊長を目指すリヴァイだが、彼は分隊長どころか兵士達を纏める兵士長への異例の抜擢を受け、兵長の肩書きを背負うなんて、今の2人はまだ知らない。


Fin.
【真夜中の蜜事】

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