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【ラティンメリア】

産休で休みになった先輩の代わりにと突然この支店に舞い込んできた新人の研修。
こんな微妙な時期にこの会社に入社してきたらしい。

僕ともう1人の先輩と2人がかりでその新人に教えるらしい。
新人?3月の人事異動の前の1月と言う微妙な時期に。どうせこんな時期に仕事を辞めてとりあえず募集していた非正規の中途採用だろう。この職種はとにかく出入りが激しいからな。

「リオン、お前先輩になるんだからちゃんと教えてやれよ」

「はい、わかりました」

どんな女が来るのか。面倒な奴じゃないといいな。
そう思いながら通常業務をこなしていると本部の課長と共に現れたのは...。

「こんにちは、初めまして。古雅海です。よろしくお願いしますっ…!」

就職したばかりで漆黒の長い髪を一つに結んで、はっきり言って地味で小柄な少女だった。大きな瞳、たどたどしい話口調、女としては26歳というそれなりの年齢の割に幼い声と、はっきり言って年齢と一致していない。
下手したら僕と同じ...いや、それより下に見える。

そうして僕はその日からやってきた季節外れの新人に振り回される日々が始まった。

「いらっしゃいませ、こんにちは!」

この職業はかなり人を選ぶと思う。年齢的に社会人歴は僕よりあるだろうが、客の相手もしながら事務をこなさなければならないと言う職種をよく選んだと思う。

案の定彼女は重大なミスを何度も犯した。
幸いなことに客に迷惑を掛けるようなミスはなかったが、業務終了後に金額が合わなくなる、違う用紙に出力したりとにかくエトセトラ。
ただでさえ今まで下っ端でいて、後輩も出来たことのないと言うのに面倒を見ろと任されたのが後輩は後輩だが怒るにも怒れない年上の、しかも26歳の...童顔。

「すみません、マグナスさん...私...」

その度に彼女は涙目で真っ青な顔で僕に謝り、そして頼ってきて。それの繰り返しだった。
ここの店はそんなに忙しくはないからまだ良かったが、それでも彼女は失敗を繰り返し僕は何度もフォローをさせられて。

だが、それでも彼女は不思議な存在感があって周りの人間から愛される人気者となっていた。
上司も先輩も、みんな彼女を気にかけ、そして可愛がるものだから彼女もそんな周囲と寄り添うように波長を合わせ、この穏やかで退屈な場所から一刻も早く抜け出し出世街道を進みたい僕には理解出来なかったが、彼女が笑うだけで和むこの空気は悪くないと思った。
会話の端で聞いた、結婚を約束した恋人がいると微笑ましく話す笑顔は無意識に見ないように。

「マグナスさん、」

「急に決まりましたね」

「私...戻りたくない...行きたくないです...」

「...そうですよね」

こればかりは仕方がないのだ。いくらごねても上の命令が降りれば従うしかないのだ。それがサラリーマンの宿命だ。
振り返れば彼女と過ごしたのはたったの3週間。彼女は次の研修先である別の大型支店に来週から飛ばされることになった。その支店はかなり忙しいことで有名だが、暇なここで過ごしているもっと仕事がしたい僕にとっては正直うらやましかった。

ショックのあまり泣く姿に26歳の大人とは思えない立ち振る舞い。
バサバサに伸びた黒髪を揺らして彼女はまさに後ろ髪を引かれるように僕の前から消えた。

そして入れ替わりにやって来たのは別の産休明けのベテラン。当たり前だが仕事は出来るし古雅さんがいた時に比べたら心的な負担は減ったが、...困った時、涙目で駆け寄ってくるあの姿が見えないことに違和感を抱いた。

「歓送迎会ですか?」

「ああ、古雅さんせっかく歓迎会したから今度は送別会もな、あと、代わりに来る高橋さんの歓迎会も纏めてやろう」

そんな中、古雅さんが居なくなる送別会と共に別の産休明けの先輩の歓送迎会をするからと、僕は幹事を任された。
ついこの間古雅さんの歓迎会を開いたばかりなのにもう送別会なのか。

仕方なしに引き受け店を予約して皆で仕事を終わらせ飲み屋へ向かったが、さっそく忙しい支店に古雅さんは仕事が終わらずギリギリになりそうだとのことで。

場所がわからないと言う古雅さんの為に店の入口の前で待っていると、現れたのは黒髪を後ろで一つに結んだ地味な彼女ではなかった。

「リオンくん!」

前の飲み会ですっかり打ち解けた古雅さんは仕事以外では年下である僕をそう呼ぶようにになった。
いつの間にやら髪を明るく染めて、ばっさり背中まであった髪を肩下まで切り、短い髪はいい年をした大人の女性のはずなのに、下手したら僕より年下から20代なりたてかそれくらいにしか見えない古雅さんをより幼く見せていた。
その雰囲気に似合う春色の柔らかな服装。あどけなさは残っているが、纏う雰囲気は確かに妙齢の女性だった。

「雰囲気が変わりましたね」

「そうかな?リオンくんもお変わりないですか?」

「はい、そうですね」

たわいも無いやりとりをしながら会費を徴収し、席へ案内する。もう既に人は集まっていて残るは子連れの先輩だけ。その間にほかの支店に回された古雅さんは折り合いが悪く、仕事もろくにさせてもらえない環境に愚痴をこぽし、僕達の支店に戻りたいと嘆いていた。

その分もあるのだろうか、いざ飲み会が始まるともともとの酒好きもあり古雅さんは飲み放題を生かしありったけの酒を飲み続けて、清楚な幼い見た目のまま上司の煙草をいつの間にか持って僕の隣で高揚した瞳を輝かせて久々の語らいにすっかり夢中になっている。

お陰で帰る頃にはすっかり泥酔して今にも寝てしまいそうになっている古雅さんがいる。
まさか...送っていけとかそういう話じゃないだろうな。しかし、上司が告げたのはそのまさかだった。

そうして仕方なしに250万の愛車に古雅さんや上司たちを乗せて帰ることになった。僕は酒を嗜むほど強くはない、だから飲み会の時は決まって僕が送迎係を勤めるのだ。

「おい、2人きりだからって襲うなよ?婚約してるんだからな」

「いやいや、勘弁してください」

どうせなら古雅さんは婚約者に迎えを頼めばいいのに。しかし、古雅さんの将来を約束した相手の顔なんて見なくてよかった...とも感じていた。

先に近くの上司たちから降ろしていけば必然的に古雅さんの家が最後になる。

そう言えば僕は古雅さんの家も知らない...という事は...子供のように後部座席で眠る古雅さんを起こさなければならないのか...

「古雅さん、古雅さん、大丈夫ですか?」

「ん...」

近くのコンビニにとりあえず車を停めて、項垂れる小さな頭を眺めても仕方がないのに彼女は起きる気配さえない。

「古雅さん、家まで送っていくので起きて家の場所、教えてください」

完全に困った。
どうしたらいいんだ。とりあえず車から降りてコンビニで水を買い彼女に手渡すとようやく酒で覚束無い表情が瞳が、いつもの仕事の時のようにしっかりしたような、気がした。

その時に、ようやく古雅さんを久方ぶりにまともに見た。誰もいない後部座席で支えをなくして寝転がり、春色のワンピースは捲れ上がり、柔らかそうな太股が覗いていて、ギリギリ下着が見えそうで見えない。腕の間では小柄で細身の割に柔らかそうな色白の谷間が覗いている。

そうか、普段制服だから分からないだけで、私服だから尚更その服の下がどうなっているかなんて知らなかったからこうしてまともに見て、無防備な姿で眠る古雅さんは普段のあどけない姿とはかけ離れ、見た目は幼いが、きちんとした年相応の女の姿、だった。

「っ...」

目のやり場に困る。なるべく古雅さんを見ないように、僕はまた運転席に戻り車を走らせた。
宛もなく、いやどっちにしろ古雅さんが起きなければ家に彼女を送ることも出来ないし家にも帰れないし、どうしようもないんだ。

ならばこの状態の彼女が酔いからさめて起きるまで待つ方法しか残されていない。
仕方なく川沿いの僕の自宅近くまで車を走らせ、誰もいない街灯もない河川敷でエンジンを切った。

「古雅さん...」

婚約者がいる身分で職場の年下の男の車でぐっすり熟睡して...これで、万が一僕が良からぬことを考える輩ならどうするつもりなんだ。

「...」

しかし、もやもやと頭に張り巡らせたその不快感が最高潮に達した時、運転席のシートをもたれさせ後部座席に移動していた自分がいた。
変わらず眠り続ける古雅さん、ぼんやり口を開けて、熟睡しているのか、それとも、

「ん...」

わざと、誘っているのか、
試すような古雅さん、そこには職場でいつもミスばかりの泣いて落ち込んでばかりいる海は居なかった。





「んっ...んんっ...ああっ」

組み敷いて着ていた服は半端に乱し、普段お調子者な明るい笑顔の彼女は暗闇になるとどうやら人格が変わるらしい。
僕の下で甘い声でひっきりなしに喘ぐのはまさか1ヶ月前に知り合った海だなんて。

どこをどう触れば海が感じるのか、手探りする必要も無いほど彼女は寝ると、とんでもないほど扇情的だなんて、職場の端末には載っていない。

どこを触っても甘い声で啼いて、そしてもっととねだる。
僕を婚約者だと思ってるのか、それともしっかり僕だと認識しているのか。
幼い顔に似つかわしくない黒いレースの下着。手のひらに収まる柔らかなふたつの胸を包みその先端を指先で遊ばせ、下肢に手を伸ばし蜜で濡れるそこを車のシートが汚れないように舌で掬いとった。

「あっ...!いやぁっ...だ、だめ...」

静止の言葉は本当に嫌なのか。胸を揺らし、もっとしてと言うようにしか聞こえないのだが、柔らかな肢体は簡単に開いて思うように動く。
両膝に手をかけると簡単に露になるそこに顔を埋めて愛撫を続けた。

しかし、彼女から溢れる蜜がシートに垂れないように舐めているのに舐めても舐めてもキリがない。暗闇の中でもわかるほど彼女は感じていた。
何度もひくひくと身体を痙攣させ、年下の男の下で淫猥に耽る古雅はもうただの女だ。

「古雅さん...僕だって分かってますか?」

「あっ...ああっ...」

柔らかな身体の胎内に中指を埋め込み何度も抜き差しを行うと辺りには耳を塞ぐに耐えない卑猥な音。胎内の埋め込んだ指を引く度に愛液が糸を引き甘く喘ぎ、身をよじらせもっともっとと強請る姿があんまりにも淫らで。

抜き差しを止めず、締め付ける胎内にまたさらに指を増やし、そして、先程から主張する花芯に吸い付けば海は大げさなほど身体を引きつけ、悲鳴のような声で、狭い車内の中で海は足で前の座席を蹴りながら達した。

「あっ...はぁっ...いやぁ...」

それと共にドロリとした愛液が溢れて結局シートを濡らして水溜りを作り、脱力した。両足をめいいっぱい車の中で広げ、なんて霰もない姿だと、職場の広報課にこんな状態の彼女の写真を送ったら周りはどんな反応を示すのだろう。
清楚で明るい彼女は、組み敷けばこんなに淫猥なのだと。

「...古雅さん、いいんですか?」

「ん...あ...」

スラックスを寛げ、ネクタイを引きぬく。疼くそこから溢れる蜜に栓をするように突っ込んでいた指を引き抜いて。
もちろん、こんな所で終わらせるつもりは無い。なんせ、彼女はもう待ちきれないと言わんばかりに甘い声でねだるのだ。

「ん、もっと、して...リオン...く、ん...」

どうやら、彼女の酔いはすっかり醒めていたらしい。しっかり僕の名前まで呼んで、自ら足を広げて、ドロドロに蜜をたらして、イヤラシイ顔で...しかも、はっきりと僕の名前を呼んだのだ。

今ならまだ戻れる。シートを戻して知らないふりをして。しらばくれることもできる...しかし、自分自身も彼女とこのまま進めていいものかと理性が揺らぐ。しかし、もう...

「あ...っ...おねが...いっ...ゆ、ゆっくり...」

まるで処女かと疑うほどに受け入れていたそこは思った以上に狭く、シートに垂れるほどたっぷり濡れているはずなのに思うように進まない。まるで受け入れを拒むように...しかし、彼女が腰を引いた反動で無理やり突き進めばすっぽりと僕自身の形にあわせて海の胎内が蠢いた。

腰を引き腰を進めて初めは彼女の要望通りゆっくり慣らすようにしていたが、もう自分自身が限界だ。正直いって締め付けよりも彼女の胎内はなんとも言えない感触で僕を締め付けて追い詰めてくるのだ。

「んぁぁぁっ‥あっ、ああっ!」

「く‥っ!」

このままでは中途半端。唇をかみしめ、車の揺れなど構わず思い切り彼女を上から突きまくると海は胸を揺らしてますます喘ぎ始めた。

「あっ!はぁっ‥やぁぁんっ‥」

甘い声がこの静かな河川敷に響き渡っているんじゃないかと思うくらいの声質に思わず初めて唇を重ねた。いつも常に唇にリップを塗ってつやつやしていた柔らかな唇は思った以上に柔らかで。

「どこもかしこも柔らかいな...」

「んっ、...あっ、ふぁっ、ああんっ!」

車内中に響き渡る彼女の声を塞ぐため重ねた唇と唇の間から漏れる吐息に胎内をかき回す律動に車はますます激しく揺れた。
お互いに限界が近い、彼女の内部に締め付けられて、あまりの締め付けにもう今にも果ててしまいそうだ。

「ああっ!も、もう...っ..ああっ….」

「つっ...く...!」

準備などしていない、しかし、彼女の足が逃がすもんかと腰をホールドして離さない、律動が増し、激しさをまして車を揺らしながら僕は下で喘ぐ彼女の中にすべてを注いで果ててしまった…。

僕は彼女のことが好きだったのだろうか?
それさえも曖昧なまま欲望のままに婚約していた彼女を抱いて、まして...。
卑怯な男とわかっていながら僕は酔いが冷めた彼女を家まで送り、そして、あの夜のことには、素知らぬ振りをしたんだ。

それは未だ寒い2月のこと。
それなのに暖房の効いた車内は二人の体温と吐息で窓は曇り彼女が快楽の果てにすがるように付けた手形がくっきり残っていた。


3月になった。
あの寒い夜のことはもう彼女にとって忘却に置き去りにしたのだろうか。

彼女とはあの夜きり顔を合わせていない。
連絡先も知らないまま彼女を家まで送り届けて帰ったからだ。

お互いに今は違う支店で働いているし、顔を合わせることもないのだから、このまま交わることもなくこのまま潰えるものだと、そう思っていた。

業務をこなしながら日々を送る中で、初めて抱いた彼女の悲痛な声と、燃えるような激しい快楽がふと過ぎる時もある、自分にも確かにあった欲望に内心驚き、心のどこかで戸惑いを感じていた。

3月になり、毎年恒例の内示が出た。

それから季節はさらにめぐり、毎月広報が凝りもせずに書き続ける社内報に掲載されていた今月の退職者のリストに目をやれば、見知った彼女の名前。
どうやら職場から去ることになり、結婚、そして妊娠したらしい。
気づくが僕はその記事に無視して携帯に手を伸ばす。

「ああ。僕だ。今から帰るからな。」

電話の相手は言われるまでもなく。
あの夜を機に僕らの関係は終わることなく、続いていた。

「つわりは?そうか、なら良かった。無理するなよ。お前はゆっくり寝てろ。」

仮初の関係ではなく恋人として、正式に交際を申し込み、とんとん拍子で事は運んだ。
そして、彼女の手に同じように僕にも同じ指輪が左手の薬指にある。

暇さえあれば車内でホテルで何度も体を重ね、彼女が僕の子供を妊娠したのは自然ななりゆきだった。
やがて彼女は婚約者と別れ、僕等は夫婦となり、同じ職場で働くのはあまりいい気分はしないからと僕は妊娠を機に彼女を退職させたのだった。

はじめに、こんな噂が独り歩きするような職場では絶対に恋人は作らないと決めていたのに。
ほのぼのした笑顔の海の笑っている姿が思い浮かぶようだと、電話越しに感じていた。

Fin.
【ラティンメリア】

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