Going Under | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

【ゲマトリア】

いつもなら仕事で疲れてすぐに眠りに落ちてしまうのに今夜は何故かいつもと様子が違う。

隣で眠る少年と青年の狭間にいる彼は導かれるままに意識を手放そうと長い睫毛に縁取られた紫紺の瞳をそっと伏せていたが、その隣で眠る女性はなかなか寝付けず、何度も寝返りを打ち、もぞもぞと布団の中を忙しなく動き回っていた。

「海?」

それが不意に心に引っかかり、同じベッドを二人分け合う彼、エミリオはゆっくり身を捩らせて彼女の方に身体を向けると繊細な筋くればった大きな手でそのまんまるな頭を優しく撫で、穏やかに紫紺の瞳を細めて彼女に問いかける。

「眠れないのか?」

そう訪ねれば海は恥ずかしそうに毛布に埋めていた顔をちょこんと覗かせて頷いた。

「うん・・・」

「昼間見た映画のせいかもな」

元々不眠症らしく薬を飲まないと眠れなかった海が今は薬なしでも安心しきったように自分の腕の中で寝落ちするのに。昼間見たホラー映画がよっぽど怖かったらしい。

自分よりも年上の成人した女性なのにホラー映画が怖くて眠れないの。なんて、それだけで困ったように顔を真っ赤にしてしまう海が愛しくてエミリオは優しく笑みを浮かべる。

「来い」

眠れない夜は人肌を求めたい衝動に駆られる、広げられた両手に優しい笑みを浮かべて彼女をその広い胸の内に招く。

「うん。」

いつもなら真っ赤な顔で恥ずかしがるのに・・・。
今夜は素直に大人しくエミリオの腕を枕に抱きつきそっと鎖骨辺りで小さく息をする心地にエミリオはゾクリと身を震わせた。

「今日はやけに素直だな。普段からそうだと嬉しいんだが、な。」
「ん」

未だ怯える彼女の小さくて柔らかな髪を優しく撫でながらそっと頬に触れると海は気持ちよさそうに彼の胸にすり寄り、うとうと、まどろみ始めた。

しばらく腕の中に感じる幸せを噛みしめて頭を撫でていたエミリオだったが、ふと気が付けば目の前には反らさずに自分を見つめる海の瞳が。

「ん・・・っぅ!?」

そのままぴったりとエミリオの薄くひんやりとした唇に海の柔らかそうな唇が重なり、エミリオはまさか…恥ずかしがり屋な彼女からのキスに驚きながらもその消えてしまいそうなキスを受け止めた。

「ねぇエミリオ、私のこと好き?」

あまりにも直球的、ストレートな質問にエミリオは吹き出しながらも不安そうな海の愛らしい化粧をしていない素顔の瞳を見つめる。
夜空には小さなふたつの星が今にも光に溶けて重なりそうだ。
柔らかな月の光の射し込む部屋でエミリオは眉間に盛大に皺を寄せる。
何故、そんな質問の答えなんてひとつだけじゃないか。

「愚問だな、」

ニッと口角を上げ、彼女を抱きしめていた腕にさらに力を込めて小さな身体を強く抱きしめてやれば、

再び送られる彼女からの愛と言う名のキス。
そっと入り込んできた舌に応えるようにその舌を絡め、歯列をなぞるように何度も優しいキスを送り返してやれば海の口から漏れた仄かに情事を思い起こさせる様な甘い吐息。思わずゾクリと身を震わせた。

「きゅ、急に変なこと聞いてごめんねっ、」

事の前触れのキスかと思いそのまま据え膳を頂こうと柔らかな鎖骨にエミリオが顔を埋めた瞬間、海は急に我に帰り相変わらず真っ赤な顔で布団に潜り込んでしまった。

「海?
ふっ、まさか自分からキスして、そんなに恥ずかしかったのか?」
「つっ!」

ああ、図星だ。
あまりのわかりやすさに思わず笑みさえ浮かぶ。

「海?」
「な、何でもないの、っ
ごめんね、私のことは気にしなくてもいいから、もう寝よう!」

そう言って背を向け、枕に顔を埋めてしまった海。
突然キスしたかと思えば、今度は恥ずかしがっていきなり寝てしまう…。
そんな彼女の姿を気にしないってのが無理な話だ。
男を煽るとどうなるか、思い知らせてやる。

エミリオの瞳は、酷く飢えていた。
目の前の彼女に、

「ふざけるな、あんなキスしてそのままお預けだと?」
「ひゃ・・・ぁ!」

後ろからその丸くなった身体を引き寄せ、寝間着のベビードールの裾をめくりあげ柔らかなヒップを滑り太股を撫でそっと花芯へ手を伸ばせばそこは先ほどのキスだけでもしっとりと濡れていた。

「・・・キスだけで満足なのか?」
「…!
っ、満足です満足です・・・っ!」
「据え膳食わぬは男の恥って、な。・・・キスするぞ」
「ん・・・やぁっ・・・」

背後から前へ伸ばした手が奏でる音楽に誘われ海の理性を容易く奪う。

「やぁ、やめてぇ・・・っ」
「悪いが・・・それは出来ない、
さんざん煽らせた罰だ。」

そうして彼女の尻に自分自身を押し付けてその猛ぶりを伝えると海は大げさなほど肩をはね上げた。
巧みに指先を動かす彼の手を掴んで止めさせようとするのだが、さざ波のように押し寄せる快楽に翻弄されてしまい、その抵抗さえもあしらわれてしまう。

「海、わかるか?厭らしい音だな。」
「んっ・・・やあっ、ち、ちが・・・っ!」
「お前が出してるんだ、」

ぐるっと指先をかき回す指と執拗に秘芽を擦られ弄ぶ彼の手つきに抵抗しながらも甘い吐息を漏らす。

「や、やめて・・・」

「本当にやめていいのか?なら止めるぞ。」

「つ・・・!!」

そう冷たく吐き捨てると海は急に言葉をつまらせ、海のそこを愛撫して愛液で濡れている彼の指を掴むと振り向いてその目が懇願する。
その手を止めないで。顔と同じく真っ赤に染まった耳元に頬寄せて囁く。

「じゃあ、次はお前が答える番だ。海は僕の事を好きか?」
「つっ!!んんっ」

しかし、慣れない彼の手つきと優しい声に翻弄される自分がひどく恥ずかしくて・・・ふるふると首を横に振ってしまう。

「全く、素直じゃないな。」

呆れたような、そうでもないような表情でニッと笑む。
誰よりも恥ずかしがり屋な海の為により一層、静かな部屋に態とかき乱す様な旋律を響かせてやれば。

「ああっ!や・・・やっ!」

「言えよ、海、じゃないとイかせてやらないぞ。」

ぴくぴくと身体を跳ねさせて海が震えながら甘い声を漏らしてぎゅっとエミリオの胸板にもたれ掛かった。いやらしい音を立ててクリトリスを擦り合わせるように愛液で何度も擦りつけるとその粘着質な音とリオンの甘く意地悪な囁きに被虐的な海は興奮したように太股を硬直させ下肢を愛撫し続ける彼の手を挟んだ。

「海、」
「あっ!、ん・・・きっ、好き!、エミリオっ・・・好きっ!愛してる・・・っ!あぁぁんっ!」

そのままビクンビクンと小さく身体を震わせて果てれば、その狭間で確かに聞こえた愛の言葉と海の温もりを感じ、エミリオは満足そうにくたりと己の腕の中に埋もれる海の頭を優しく撫で、項にキスを落とした。ピクピクと強い快楽に身体を震わせ、果てた衝動でトロトロと愛液が滲んできた。

「海・・・」
「やぁ!ああっ!!」

解れて蜜で濡れた花芯を優しく撫でる指先に海はまだ果てたばかりなのに強い刺激に目を見開き声を張り上げる。
これで許してくれるはずもなく、慣らしもせずにいきなり後ろから熱で猛ぶった自身を押し込んできたのだ。

「く・・・っ、流石にキツいな」

「あっ・・・無理ぃっ・・・急に入らないから・・・んんっ!」

「でもいつもより、濡れてる・・・このまま馴染ませておくか、」

「んあ・・・っ」

そのまま海を下に組み敷き、重力に従いいつもは優しく丁寧に愛撫をする彼が余裕をなくし、興奮したようにいきり立つ欲望をねじ込み欲に任せて激しく動き出すと腹の底を突き上げる衝撃に海は違和感や痛みよりも強すぎる快楽に支配され、今にも意識を持っていかれそうだ。

「んっ!ああっ!あっ!あっ!」

「静かにしろ、」

「んんっ・・・ふ・・・」

さっきから誰がこんなあられもない声を出させてるの言うのだ。壁が薄い賃貸。以前、昼間に事に及んでいた時も隣の独身の男からうるさいと言わんばかりに壁を叩かれた事があったのを気にして、ましてエミリオは海の甘い声をいやらしい目で海を見ていた隣の男に聞かれたくないと海の唇を自分の唇で塞ぎながら舌を絡め二人の顎を銀糸が伝う。

ベビードールと言う下着のようなワンピースのお陰で簡単に事に及べる。彼女はそれを望んで身につけているのだろうか。
エミリオも海も、半端に衣服を乱したまま早急に、しかし、二人のそこはしっかりつながっていて。

律動でベビードールがずり上がり、カップから零れる海の両胸を揉みあげながらエミリオは下から激しく何度も自身を突きつけ海は悲鳴のような喘ぎ声で背を反らして快楽に酔いしれていた。

「お前、っ・・・わざとなのか?」

「んあっ!ああっ・・・!」

「娼婦みたいな格好して、・・・っこんな風に犯されたかったのか?」

「んんっ!ああっ、ち、がうっ・・・私、んああっ!!」

「身体は素直なのにな」

彼女が強い快楽を、それを望むならば、それならば、応えてやるのが男だろう。繋がり合うそこの上のクリトリスを愛液で濡れた指で擦り付けると海は悲鳴のような鋭い声を発する。

「くっ・・・海、いいか?」

「んっ、ああっ・・・!エミリオの、欲しい・・・」

「お前・・・っ」

慣らしもしないで勢いと猛ぶりで避妊もせずに押し込んだのに、そこは淫らに蜜を垂らしてギュウギュウと離したくないと締め付けて。

「ひぁっ!ああっ!ああーっ!」

「くっ・・・、海・・・」

海の胎内の収縮に苦笑し、海が果てた先に気を失うように眠るまで、自分の熱をビクビクと震わせ彼女のナカに放出するまで、海の両足を肩に抱くと何度も海を犯し続け、ナカに欲をぶちまけ海はついに強制的に眠りの世界へ意識を飛ばした。

今夜は滅多に言わない恥ずかしがり屋の彼女から愛の言葉を聞けたから。

だから、また明日。

「僕も、海だけを愛してるよ、」

気を失うように眠りに落ちた海にキスをして乱れた衣服を整え自分も満足したように眠りへ落ちた。お前を思う気持ちは常にこの心に確かに消えない愛の炎として。

Fin.
【ゲマトリア】

prev |next
[back to top]