Going Under | ナノ
【MIRROS】
普段はクールで、冷静沈着の貴方はニヒリスト。
開かれた口は皮肉混じりの言葉ばかり。
でも、2人きりになって仮面を外せば忽ち見せる穏やかな笑顔。私しか知らない、優しくて不器用で、照れ屋さんで本当は寂しがり屋な貴方。
でも、そんな仕草も貴方だから大好きなんだ。
「エミリオ!」
「どうした?」
部屋にはしっかりと鍵を掛けて。
戦いに明け暮れる日々から暫し離れた空間に訪れたのは2人だけの数週間ぶりに許された甘い甘い時間。野宿ばかりで男女バラバラで眠る日々だったのでその鬱憤をジューダスは醸し出していた。それを見かねた仲間たちも気を遣い二人の為に宿をとってくれたのだった。
海はそっとマントを外し、そして仮面を外した彼を自分が腰掛けていた真っ白なベッドまで手招きした。
「あのね、」
ポッと恥ずかしそうに頬を染めて。
もじもじと俯くとポツリポツリと自分の隣に座り、反らさず見つめてくる彼の宝石のような瞳を見つめながら海は嬉しそうに彼に呟いた。
「やっと2人きりになれたね…って思ったの」
「海」
「ふふっ」
「全く、急に黙り込むから何事かと思ったらそんなことか。」
「むっ、そんなことじゃないもん、エミリオは寂しくなかったの?」
「僕だって寂しかったさ」
安堵のため息を付いてまたふっ、と穏やかに笑う彼に海も彼の本音に嬉しそうに耳まで顔を真っ赤にしてそのまま抱きついてするりと腰に手を回したのだった。
「エミリオっ、ふふっ!」
「どうした?」
「だって、ふふっ!あははっ!だって、エミリオってばずっと仮面被ってたから髪の毛がぺったんこなんだもんっ!」
そう、常日頃から素顔を隠すために長時間仮面を被っていた所為か、彼の艶やかな黒髪はぺったんこに固まっている。
それが可笑しくて可笑しくて、くすくす笑えば彼は不機嫌そうに眉を寄せてしまった。
「・・・別に髪の毛なんか関係ないだろ。
悪かったな、猫っ毛で。」
「もう〜冗談だよ。
そんなに拗ねなくてもいいのに。」
しかし、エミリオは答えない。どうやらすっかり拗ねてしまったようだ。年相応に見えない落ち着きを見せながらやはり彼はまだあどけない16歳の少年。
「ごめんね、よしよし」
まるで小さな子供をあやすように艶やかな黒髪を優しく抱きしめればさらさらとそのまま己の肌をすり抜けて行く。
その感覚にまた嬉しそうにぺったんこの彼の黒髪を撫でればエミリオはそっと伏せていた顔を上げて真っ直ぐに海を見つめたのだった。
「エミリオ?」
「なぁ、海」
「ん?」
紡がれた言葉に耳を傾けた。
「キス、してもいいか?」
「えっ!?」
なんと、今まで黙っていた彼が静かに海にそう告げたのだ。
突然の彼からの言葉にドキリと高鳴る胸。
心拍数は急上昇し、顔はまるで熱を持ったように赤く熟れた果実のようだった。
「え、あっ・・・あの、エミリ―――んっ!」
恥ずかしそうに戸惑う海。
しかし、海の返事を待たず、もう待ちきれないと海の返事も待たずに唇を奪うようにキスをしたのだった。
「ん、んんっ」
仲間と野宿続きだった為、本当に久方ぶりのキス。となれば身体を重ねるのも本当に数週間ぶりのふたり。驚きに目を見開けば視界に飛び込んできたのは伏せられた彼のふさふさした長い睫毛。
艶やかな黒髪が海の頬を擽り、重なる久方ぶりのキスにただ胸は高鳴り、満たされるばかりだった。
離れてはまた重なって。
チュッ、チュッと重なる優しいキスを繰り返した後、もう息が切れ切れなのに再び彼の薄い唇が重なると、そのままスルリとタイミングを見計らったかのように彼の舌が海の中に入ってきたのだ。
「んんっ、っふ・・・!」
まるで唇から喰らい尽くすようなキスに海が驚きに肩を跳ね上げたのにも関わらずに彼の舌が好き勝手に彼女の咥内を味わうと、不慣れなキスに上手く呼吸が出来ず、苦しくて彼の硬い胸板をどんどんと叩き、エミリオはそっと名残惜しげに愛しい海の唇から唇を離す。互いの口を行き交う唾液が顎を伝いその余韻を知らせる。息も絶え絶えの海を抱きしめたのだった。
「ふぅ、ふぅ、」
「すまない。いざふたりきりでお前を前にしたら抑えきれなかった。」
真っ赤な顔で呼吸を繰り返す海を抱き締め詫びるように呟く彼の瞳は見えざる何かに怯えているようにも見えたのは気のせいなんかじゃない。まだ若い十代の青少年に欲望を我慢しろという方が無理な話だ。
「いいよ。」
「海」
「っ、私も、エミリオの近くにいたいよ・・・っ」
自分を優しく包む手がこんなにも手放せなくて、こんなにも愛しく感じるだなんて…
恥ずかしくてたまらないがそれでも快楽に状順な海は自分を抱き締めてくれる唯一無二の存在を手放せないと改めてその真実を噛みしめながら
「エミリオ、大好き・・・だよ。」
そっと今度は海から愛する恋人の首の後ろへ腕を回して唇をそっと重ねた。
年上の女性らしくリードしながらも主導権を握る・・・はずもなく、海は軽々と抱き上げられ、そのままベッドに押し倒されると、その上からエミリオに覆いかぶさられた。
クールで冷静な普段の彼は形を潜め、今は欲望に忠実な肉食動物の様だ。
「あ、まって・・・!あ、明るいから見られちゃう・・・」
夕日が射し込む部屋の中で。互いに欲望のままに求め合いなし崩しに抱いてしまおうとしていたのに、本能に身を任せる前に海は急に落ち着きを取り戻すと自分のワンピースをずり下げようとしていたエミリオの手を握りしめ恥ずかしそうに身をよじらせてしまう。
「2階なんだ、別に閉めなくてもいいだろう。」
「お願い、せめてカーテンだけでも・・・」
「はぁ、仕方ないな。」
このまま続行しようとも思ったが夕陽が煌々と注ぐ部屋で愛し合うのは流石に躊躇われるのか海は理性を捨てるまで恥ずかしがるとその後も行為に踏み切れなくなる。仕方ないとエミリオは溜息をつきながらカーテンを思い切り閉めた。明るい場所で海の乱れる姿を見たいと思うし、想像するだけで興奮するのに海が恥ずかしがるものだから明るい場所で未だに繋がったことはない。
薄暗くなる室内。強く抱き合い海も恥じらいながらもエミリオがワンピースに手をかけるとそっと彼が脱がせやすいように腰を浮かせた。
久方ぶりの行為に興奮しているのはエミリオだけではない。自分だって、本当は抱いて欲しくて仕方なかった。笑顔の裏で、思考回路が停止してしまうのではないかと錯覚するくらいの快楽を、求めていたから。
身につけていた下着もホックを外して脱がせると背丈の割に大きな手が海の胸を包むと海は普段のテノールよりも甘い声で身じろいだ。
「んあっ・・・ああっ、」
そうしている間にもエミリオの唇は海の身体を辿り白い胸の中心で硬くなる突起に唇を寄せそのまま吸い付けば海は益々甘い声を発した。
「久しぶりだからか、いつも以上に敏感だな」
「あっ、ああっ・・・だめぇ」
「嘘をつくな、」
片手で胸を揉みながらもう片方を舌で転がすと海は身をよじらせて久方ぶりの快楽に身を任せる。
まだ若いずっと自分より年下の彼に翻弄されるなんて。
しかし、快楽には抗えずもどかしそうに太股を擦り合わせるしか出来ない。
それを視界の端に捉えるとリオンは海の履いていた下着を一気に引き下ろし、そのままベッドの下に落とした。
ベッドの下には二人の脱いだ服が乱雑に散らばっていて、息を乱す海の前でエミリオも着ていた服を脱ぎ捨て、客員剣士の時の鍛錬で鍛えられた見た目以上に筋肉質な身体が顕になった。
「何だ?」
分かっているくせに。やけに楽しそうな声音で海に問いかけるエミリオ。耳まで真っ赤にして鍛え抜かれた彼の身体に興奮しないわけがない。
素肌と素肌を重ね合わせるとエミリオは海の両足に触れると、隠されたそこをゆっくり露わにした。
「きゃあっ!見ないで・・・!」
「嫌とか駄目とか、うるさいぞ」
いちいち恥ずかしがるくせに、身体は正直だ。触れるのを今か今かと待ちこがれていたそこは既に海の愛液で糸引き、濡れていた。
「・・・すごいな、」
「えっ・・・?」
見た目は可愛らしくあどけなくて清楚な雰囲気を纏っているのに。やっぱり彼女は自分よりも小さくても大人で、生身の女なのだと改めて感じる。身体は自分に触れて欲しくてしとどに濡らしていて。不安そうに問いかける海の額にキスをして、柔らかな両胸を鷲掴み、寄せるとその中心に吸い付き赤い花を咲かせる。
「お前は身体も素直な奴だな。」
そっと耳元で囁く脳まで蕩けそうなエミリオの低く甘いその声だけで身震いさえも感じる。口を開けば甘い言葉と意地悪な言葉を使い分け自分を翻弄する。
久方ぶりだからしっかり慣らしておかないと。しかし、海のそこはもう面倒な前戯はいらないからと糸を引いて導く。
「ああ・・・ん!やぁっそこは・・・!」
躊躇いもなく甘い蜜を求めてたどり着いた泉に顔を埋め、ねっとりと薄い唇から覗いた舌で海のクリトリスに蜜を絡めて優しく擦り始めると海は耐えかね声を張り上げ太股で彼の頭を挟んでしまった。これには流石のリオンも驚いた。
「いきなり頭で挟んでくるとは何事だ。そんな事するやつは、こうだからな」
「きゃあっ!痛い・・・!」
下肢へ愛撫をするといつも海は快楽に耐えきれず縋るように愛撫をする自分の足の間にあるエミリオの頭を柔らかな太股で挟んでしまう。すると、お仕置きだと言わんばかりにエミリオは柔らかな内側の腿に軽く噛みつき噛み跡を残すのがお決まりになっていた。わざとではないのだが、彼に見られて足を開くのも恥ずかしいし、どうしても力が入るのを我慢できないのだ。
「んう!だって・・・んん!」
しかし、どこがアブノーマルな刺激を求めるマゾヒストな海はそれすらも快楽の材料にしてしまう。水音を発してクリトリスを唇で包むとそのまま激しく吸い付き舌で転がして海を翻弄する。
「ひぁあ!んあぁっ!」
太い指で激しく胎内を掻き乱されても正直気持ちよくないし、痛みを覚える海の繊細な粘膜も舌と唇でなら瞬く間に快楽に浸れる。
すっかり溺れ海はあまりの気持ちよさに口を開き、ひっきりなしに喘ぎ、瞳の端からは涙が頬を伝う。
「気持ちよくて仕方ないって顔だな、だが、まだこんなもので終わると思うなよ」
「あっ、はぁ・・・っ、許してぇ・・・」
「駄目だな。僕も気持ちよくしてもらおうか。」
「ん・・・はい・・・」
言われるがままに、力の入らない身体を起こしてのろのろとエミリオに近づく。
大好きな彼のために。素直な海は快楽に浮かされた瞳でエミリオのズボンのベルトに手をかけるエミリオも腰を浮かして下着を脱ぐのを手伝うと海の痴態とこの数週間ずっと欲望を溜めておりすっかり大きく熱を持ったそれを海に差し出した。
海を抱き上げ、海の下に潜り込むと腰は自分の方に向けろと促し、所謂シックスナインという体制になると互いに互いの下肢を愛撫し始めた。
年上の女として、負けず嫌いに火をつけなんとか先に彼をいかせてやろうと海は小さな口一杯にエミリオ自身を含み唾液を垂らしてキスをすると扱きながら赤い舌を覗かせた。
「っ・・・海・・・くっ」
不器用な海の小さな口が、ぎこちない口淫で自分自身を愛撫する。口ではおさまらない部分を両手で扱き刺激を与える。最初は慣れなくて下手くそだった海のぎこちない口淫もすっかり腕を上げたのかは他の女のテクニックで比較をしたことがないため、分からないが今は叫びだしたくなるほど気持ちがいい。お互いに肌を重ねる毎に気持ち良さも増して、リオンも負けじと顔の前にある淡いピンク色の秘所に顔を埋め、舌を愛液を溢れさせるそこにねじ込んで指よりも素早く動かした。
「んん!っ、ふぅ・・・っ!」
必死にエミリオの自身を愛撫する下からの強い刺激に海は思わず手を止め口から離して喘いでしまった。断続的な強い刺激に我慢出来ずエミリオの顔に秘所を押し付け胎内からどっと愛液を垂れ流し叫ぶ。
「んあああっ!やっ!やぁっ!そんなに・・!啜らないでぇ!」
気持ちよくておかしくなりそうだと言うのにエミリオは海がイってからも舌を震わせじゅるじゅると飲むかのように愛液を思い切り啜りとった。甘い声で叫んでしまったがここは宿屋、そんな声を出したら周りに聞こえてしまうかもしれないのに。
「静かにしろ、周りに聞こえてもいいのか?」
「ふっ、ううっ・・・だって・・・エミリオが・・・」
「お前が素直に感じて、気持ちよくて仕方ないのは、嬉しいがもう少し、静かにな、」
「んっ・・・」
先程まで海の秘所を愛撫していた唇とキスをするのは多少気まずいが行き過ぎた快楽に怯える自分にはとても安心できた。ふわふわの髪を撫でて、そっとまた海をベッドに押し倒すと太ももを抱えてそこを露わにする。
「お前が感じてる可愛い声をほかの連中に聞かれたくないんだ・・・」
「はああんっ!やっ、おねが、ゆっくり・・・いっ!」
「くっ・・・相変わらず、慣らさないとキツいな」
性交の時だけに聴ける彼女の甘い甘い声に脳髄まで溶かされそうになる、果てるなら海の中で、エミリオはそう思い既にガチガチに硬くなった自分自身を待ったナシに海の胎内に捩じ込んだのだ。
「っ・・・うっ・・・!」
相変わらずそこは別の生き物のように蠢き早急にエミリオ自身に絡みついてくる。あまりの激しい刺激に海も仰け反りエミリオもその締めつけに一気に持っていかれそうになる。何度も身体を重ねてもいつも海のそこは締りが良く、エミリオの侵入さえ拒むくらいに激しく締め付けた。攻めているのは自分なのにまるで自分が喰われているようで。
「く・・・海っ、!」
「んあっ、ああっ!エミリオぉ!ああ・・・っ!気持ちいいよぉ・・・!」
きゅっ、きゅっと離したくないと言わんばかりにエミリオ自身を締め付け淫らに喘ぐ海はもう羞恥よりも快楽が勝り否定の言葉すら言えない。
「ひぁっ!ああっ!んんっ・・・!」
「海、力を抜け・・・」
「あぁっ!いやぁっ!んんっ!」
エミリオに組み敷かれその下で赤い舌を覗かせ胸を揺らしてひっきりなしに喘ぐ。よほど気持ちがいいのか抜き差しする度に愛液がベッドのシーツまで飛び散り、二人の繋がっている脚まで垂れている。エミリオはラストスパートだと肩に軽々と海の両足を担ぐとより深く繋がった。
「ああっ・・・!やぁっ!もうだめぇ!あああんっ!」
「くっー・・・はぁ、・・・っ!」
手は海の上下に揺さぶられる胸を鷲掴みそして繋がっている上のクリトリスをキュッと擦ると海は激しくエミリオを締め付け、エミリオは素早く自身を引き抜くと海の胸元から腹部へ熱を放ったが、
「きゃあっ!」
「う・・・っ!」
久々の行為によほど興奮したのかそれは海の顔まで汚してしまった。慌ててティッシュを渡すも海は蕩けた瞳で優しく微笑むと躊躇いもなくそれを手の甲で拭っている。
「すまない・・・」
「エミリオ、ずっと我慢してたんだね」
「いちいち言うな・・」
激しすぎた行為にすっかり足腰が立たなくなった海。しかし、その傍からエミリオの自身はすぐまた次の欲を吐き出そうとしている。
「もう1回・・・だめかな・・・?」
「・・・海、」
自分に気をつかって我慢されるくらいなら、海からそっとエミリオに腕を伸ばすとエミリオも自分に気遣ってくれる海へキスを落とし、動けない彼女を横抱きにして再び自身を沈めてゆくとゆっくりゆっくり律動を始めて愛欲に溺れた。
締め切った部屋、夕日に照らされていた外はすっかり遠き山に日も落ち、深いブルーの空に明るい星達が輝き出していた。
そう、夜はこれから。求め合う若い二人のひとときはまだ、終わらない。
fin.
【MIRROS】
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