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「#幼馴染」のBL小説を読む
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「ただ・・・会いたくて」

海…

海、

ただ、お前に逢いたい…
お前の居ない世界に、
今日も僕は…永遠にひとりぼっちだ。


12月、師走の街は賑わい色とりどりのイルミネーションの優しい光に道行く人は誰もが大切な人を思うのだろう。
もうじき恋人達のクリスマスだなんて、巷では言うが。

恋人や家族や友達、待ち合わせ場所の定番となりつつある階段を上った先の小高い広場。
その真ん中にキラキラ輝くツリーの様なイルミネーション。
其処に、1人の黒いスーツを着た美麗で洗練された顔を持つ背の高い青年がイルミネーションツリーを見上げて居た。

「お待たせ…クライス!」

そんな彼の横を1人のマフラーを巻いた少女がすり抜けた。
彼女…海と同じ位の背丈の小柄な少女が小走りで、可愛らしい幸せそうな笑顔を浮かべてイルミネーションツリーの前のフェンスに腰掛けていた男性に近づくと、男性は本日何本目かになる煙草の煙をくゆらせながら立ち上がった。

「てめぇ…何時間待たせんだよ。
ったく…寒ぃ、」

「あははっ、ごめんごめん」

「あははっ、じゃねーだろが!俺を待たせるとはイイ度胸してんなぁ?」

「もう〜痛いよ。
あっ…!
はい、マフラー、一緒に巻こう!」

「おっ、サンキュ。
あったけぇ…」

「あはははっ!!」

今までさんざん待たされ、怒りに盛大に眉を寄せていたのに…愛らしい彼女の笑顔に待ちくたびれた男性はすっかり機嫌を直し仲良く二人マフラーを巻いて手を繋いで歩き出す。
そんなカップルを青年…、エミリオは懐かしくも思い出す夢の様に満ち足りた幸せな横顔で遠巻きに、羨望の眼差しで見つめてはその二人にかつての自分たちを重ねて、もう戻らない時だけを悔やみ続けていた。

そう、もうあの幸せな日は、彼女の穏やかな笑顔は永遠に…戻らない。

確かに自分達にもあの日々は存在していたのだ。
瞳を閉じればあんなにも鮮やかに…

「はぁ、はぁ…!
エミリオ、お待たせ…っ!」

回想はいつもこの場所。
エミリオは今日もここで永遠に目覚めない身体になってしまった##NAME1##を思い、待ち続けていた。

小走りで階段を駆け上がり息を切らし慌てて待ち惚けのエミリオに向かって駆け寄る海。

「ごめんね…!」

「遅い、」

「ごめん…ね?」

「寒い、」

拗ねた様に口を尖らせかじかんだ手をポケットで暖める彼に海は何度も謝りながら次第に笑顔になったエミリオにまたにっこりと笑顔を浮かべて自分の首に巻いていた真っ白なマフラーを解いた。

「っ…、ふふっ
はいマフラー、一緒に巻こう」

少年から青年を飛び越えすっかりと立派な男性へと成長した彼に一生懸命つま先立ちで背伸びをして、ぐるぐると端から引っ張り長くて白い1人分のマフラーを2人で分け合い巻いてやればエミリオはマフラーに繋がれた先の海にまた幸せそうに笑顔を浮かべる。

「…ああ、」

頬に触れて額を重ねて見つめ合って、そっと唇を重ねてまた微笑む甘い空気に包まれ何よりも幸せで。
逆に恐ろしくさえ感じた、
それから二人、手を繋いで仲良く幸せそうに微笑みながらこの今にも凍え死にそうな寒空の下をぬくぬくと歩き出したカップルにかつての自分と海を重ねて背を向けた…

何よりも幸せだった。
だが、あの日々は…二度とは戻らない。

強く悴んだ拳を握りしめた。
目の前の彼女に何も出来なかった歯がゆさを拳にぶつければ食い込んだ爪から僅かに真っ赤な血が滲んだ。
ちらちらと降り出した雪空を見上げて、

涙すら落ちないグレイの空

記憶を辿る様に、暫し背を向けて

此処は思い出が強すぎる。

過ごした時間だけがまた僕を1人にさせた。

「エミリオ、」

「海。」

自分の後ろをはぐれない様に一生懸命ちょこちょこついてくる海が愛しくて今すぐ大きな声で愛してると抱き締めたくなる衝動に駆られる。
胸の内に終いさり気なく手を伸ばせば海は、ぱあっ!っと幸せそうに笑いそのままぎゅうっとエミリオの腕にしがみついた。

忘却の彼方に置き去りにされていたあの旅を思い出しながら、4年振りの再会を果たした今幸せの絶頂に包まれる二人が向かうのは不動産屋。
"新しい場所で新しい生活をまた二人で始めよう、"
結婚を約束した二人、腕を組み寒空の師走の空から降りしきる天使にまた綻ぶ笑顔。
将来を誓い合った様々な苦難や涙の別れを乗り越えやっと幸せになれた二人を待つのは幸せな未来……

では、無かった。


「海、僕此処がいいな。」

「え、此処…?」

笑顔を浮かべたエミリオが指を指した貼られた物件は可愛らしい中世の煉瓦造り屋敷の様な造りの、かつて生前エミリオが暮らしていた屋敷の風貌を残した物件だった。

「ここかぁ…う〜ん、
でもこの物件ちょっと高いねぇ…」

確かに値段は張るが、しかし値段に見合う価値はある。
広い部屋に可愛らしいとても素敵な物件だ。

「駄目か?」

「エミリオはここがいいの?」

「ああ、お願いだ。」

一瞬の間を置いて。
紫の瞳をきらきらと輝かせこくこくと何度も首を縦に振るエミリオは本当にすっかり4年の歳月を経て背丈が伸び男の体つきをして、ましてや更に自分を魅了しては惑わす精悍で美麗な顔つき、放つ妖艶な雰囲気を併せ持ちながらも、自分の前、あの日を境に無くしたいつまでも素直で無邪気な可愛らしい一面、笑顔。
そんな彼のギャップに魅了され海はうぅんと暫く考えると。

「駄目か…?」

「もう、その顔…
仕方ないなぁ。
分かった、じゃあ、見るだけだよ?」

「…ほ、本当か!?
ははっ、やったぁ!!じゃあここにしよう!!」

ふわりと、髪を靡かせ寒さに頬を赤く染めたエミリオの見せた無邪気な笑顔と少年の様にきらきらと瞳を輝かせた笑顔に根負けした海は満面の笑みで其処の物件を契約したのだった。



ひらひらと舞う粉雪。
さらに季節は変わることなく巡りに巡って、

「海、」

「うんっ、」

思い出と荷物を鞄に詰め込んで、二人は手を繋ぎ新天地に出発した。

「うわぁ〜…素敵な家だね。」

窓を開ければなかなか広い庭。ガーデニングも出来そうだと窓から見える景色を楽しそうに見つめる海にエミリオも嬉しそうに海を後ろから抱き締めてあの甘く脳髄さえ蕩かす様な声で、自分の身体に簡単にすっぽり捕まった海の耳元で囁いた。

「これから此処で暮らすのか。
楽しみだな、」

「う、うんっ…!」

「お前となら、きっと幸せな家庭を築ける。」

「…!
うん、私も…エミリオの赤ちゃん早く欲しいな」

「…!
ゴホッゴホッ!!」

そんな、何気ない日々の中で、僕はすっかりお前が隣にいるのが当たり前の様に感じていたんだ…

失ってお前の居ない世界にただ失望した。
お前の笑顔はもう二度と…見ることさえ出来ない、
もう戻らない時だけを悔やんでしまうのは何故…だ?

海、

叶うならばお前の笑顔に…逢いたい。
涙は、もう枯れ果てた。
まだお前を忘れられないまま…
僕の所為だ…僕の所為でお前は、
ただ、お前に逢いたい…





12月も半ば、賑わう街には色とりどりのイルミネーション、BGMは陽気なクリスマスソング。
クリスマスに向けますます寒くなる世界に寄り添い手を繋ぎ、二人でひとつのマフラーを分け合って、新しい家具に新調しようと立ち寄った雑貨屋。

雑貨屋もクリスマスシーズンに突入し可愛らしいツリーや飾り物がひしめき並ぶ。

「あっ…!」

そんな中、海は繋いでいた小さな手を離しぱたぱた走ると両手に抱えきれない可愛らしく光るスノーマンの置物を手にして、キラキラ光るスノーマンに大人びた表情から一転、幼い笑顔でエミリオを綻ばせた。

「きゃ〜!すっごいかわいい…っ!」

ぎゅううっ…とびょんぴょんはしゃぎながら真っ赤な顔でスノーマンを抱き締める海。
しかし、ぶら下がる値札には五万円の値段が…

「あ…、高い…ねっ、」

値段は可愛いくないと一気に現実に呼び戻された気がして。
海は明るい笑顔からたちまちまた大人びた冷ややかな眼差しを浮かべた。

「買わないのか?」

「…いいの。「だが、」

「いいのっ、ほら、早く行こう…!」

ぽつんと置き去りにされたスノーマン。
どうしてだろう、それが酷く幼かったあの日の自分に重なった。

海は高いから仕方ないのと代わりに小さなキャンドルを買っている。
エミリオはそんな海を横目に、男性店員になにやら耳打ちすると男性店員と二人不敵な笑みを浮かべた。

そのサプライズが
海を、取り返しのつかない事態に巻き込むことだと


知らぬ儘…
それから数日後…
白い吐息に頬を染め、海は再びあの待ち合わせ場所にいた。
いつもなら彼が先に待っていて、"遅い"と呟いてへそを曲げるのに…
待ち合わせ時間はとっくに過ぎているのに未だに姿を現さない彼に海は不安そうにあたりをうろうろ歩いていた。

次々と待ち合わせ場所に合流しては歩き出す別の幸せそうなカップル達。

一体彼は…?
もしかしたら仕事で海が居ない家で彼の身に何かあったのか?

一度抱えた不安は止めどなく溢れてくる。
彼に何かが起きていたら、心配に慌てて震える手で携帯に電話をしようとした刹那、海の携帯が鳴り出しディスプレイに出たエミリオの名前にただ安心して、すぐに出た。

「もしもし、いまどこ?」

携帯越しの彼の声は海の心配などお構いなしにとても明るかった。

「うん、え…こっち…?」

なにやら見せたいものがあると息を切らしたエミリオの優しい声に導かれ海は少しずつ中心のイルミネーションツリーから歩いてゆく…

そして、高台から見渡せる街並み…ではなく、下の景色の中で一際強い輝きを放つ何かを見つけた瞬間、海の表情は一瞬にして満面の笑顔へと姿を変えたのだった。

なんと、エミリオが海に向かって購入を諦めたがやはり諦めきれなかったあの光るスノーマンを翳してピースサインをしていたのだ。

「…わぁーい!!」

大好きな彼からのサプライズ。
たまらなく嬉しくて、海は無邪気に大きく両手でエミリオに手を振り返すと慌てて階段に向かい車の往来が少ない道路の向こう側で手を振るエミリオの元へ走る。

それにエミリオも気付くとエミリオも海迎えに反対車線の道路の、海との合流場所へ走り出す。

「エミリオ!!」

笑っていっぱい手を振ったの、
ただ嬉しくて。
だから周りなんか全く気にならなかったの。
張り切ってワンピースを着て、なのにガードレールを跨いでエミリオが待つ場所に、早くエミリオにありがとうって、伝えたくて無我夢中で走ったの。

道路を渡ろうと飛び出した私の目の前にはもう車が間近に迫っていて…

エミリオの私を呼ぶ声がした。
…宙を舞う身体にブレーキは、間に合わなかったんだって。
起きあがりたいのにだんだん力が入らなくなって、頭が割れそうに痛い。
雨なんて降っていないのに髪の毛がぐっしょり濡れていた。

「海、」

思い出すのはいつも、お前の笑顔だけだ。
そして…あの瞬間、

車のバンパーは海を跳ね飛ばした衝撃でぐしゃりとつぶれたパンケーキの様に変形していた。
寒空の下、ちらちらと海の好きな雪が降り出す。

救急車のサイレンが鳴り響く、猛スピードで突っ込んできた車に気付かないまま道路を渡った海は…派手にVTRのマネキン人形の様にコンクリートに投げ出された小さな身体からはたくさん真っ赤な血が溢れ出して止まらない。

「…!
海、…海…!
おい!嘘、だろ…」

ただ、血塗れの海の躯をかき抱き絶叫した。
…それからの記憶は曖昧だ。
ただ海は、
もう永遠に目が覚めない植物人間だと言われた。
延命を続けることでしか生きることが出来ない

誰の所為でもない。
僕の所為だ、僕が、
お前の笑顔を永遠に奪った…、
思い出す様に待ち合わせ場所に永遠に現れない海をひたすら待ち続け、事故現場へ歩みを進めた。

すやすやと眠る海はまるで人形の様に綺麗だった。
優しく握り返さない手を握り返し髪を梳いてやる。
眠りにつくまで海の柔らかな髪を梳くのが好きだった。
海の腕に包まれて暖かな温もりの中微睡むのが何よりも幸せだったんだよ。

「…最近、私服のパターンがなくなったんだ
参ったな、おまえにまた選んでもらわないと」

海…

「海、僕、背また伸びたんだ。
もう…こんなにお前と身長差が開いてしまったな…」

海…聞こえるか

「ずるいな、おまえは
年とらないなんてさ、」

海…

「何故…っ…返事をしてくれない…!!
起きてくれよ…
頼むから、起きてくれよ!!!
僕を、っ…またひとりぼっちにしないでくれ…!
ひとりぼっちだった僕を1人にしないと言ったのは、約束してくれたのは嘘なのか!?
違うだろ…っ!
…っ……海…っ!
頼むから……!」

しかし、海はもう僕に振り向いて笑わない、怒らない、しっかり者で少し慌てん坊で要領が悪くて短気で泣き虫なお前は、

「うぁああ…っ
嫌だよ、こんな形でお前を失いたくなかったのに…!」

海の病室のベッドの、あの例のスノーマンだけが虚しくあの幸せな時間から引き離されぽつんと置かれていた。
泣き叫ぶ彼の孤独はもう永遠にこのままだ、

「エミリオっ!
早く起きて、今日面接でしょ」

「ん……おはよう」

「おはようっ。」

「おはよう…海」

何よりも幸せだった。
永遠に戻らぬあの幸せに満ち足りた日々よどうかもう一度…
そう祈り続けることしかできなかった

「エミリオー!早く早くーっ!!」

「分かった、分かったからそう急かすな。」

「うわぁ…綺麗な教会だね…っ!」

二人で手を繋いで、やってきたのは海に面した、まるで水上に聳える美しいイルミネーションに彩られた教会だった。
式の予約も兼ねた下見、
予定は6月でまだ日にちはあるが何事も早めが肝心。

添い遂げたい願いが叶うなら、
二人の願いは今も変わらずこのバージンロードを歩くこと。
海はドレスを、エミリオはタキシードを纏って笑い会いながら、
2人で祈る約束の日を…

二人で手を繋いで。
バージンロードを歩き、祭壇へ向かう。

「…わぁ…」

聖なる光に包まれて、きらめく祭壇のキャンドルライトや電灯は本当にこの世の物とは思えなくて…二人に現実を忘れさせて幻想的な世界へとこんなにも誘ってくれた。

「……」

ふと、左隣の海を見つめれば海はそっと胸の前で手を組むと神様に祈りを捧げていて、習う様に祈ったあの日々を思い出す様に。

エミリオは海の居ない世界を宛も無くさまよい続けていた。
海の居ない現実から逃れ思い出に縋る様にイルミネーションに煌めく海辺のチャペルに辿り着き、揃いの指輪を見つめれば植物状態で今も永遠に眠り続ける海を思い出してはどうしようもなく途方に暮れることしかできなかった。

添い遂げられない…永遠に
守ってやれなかった、
海は、もう純白のウェディングドレスを着ることさえ…あの身体じゃ永遠に、叶わない。

「うっ…ううっ、…っく…海…っ…」

お願いだから目を覚まして
僕の名前を…呼んでくれ。
何よりも大切で幸せだったあの笑顔を見せて。
ただ…愛しくて。
もうすっかり枯れ果てた涙が再びエミリオの頬を伝ってはイルミネーションに反射して輝いた。

「―…!」

海の笑顔と二人で過ごした思い出を張り巡らせ涙を流して居た矢先…
虚しく揃いの指輪が鈍色に輝き電話が不意に鳴り響いた。
色とりどりのイルミネーションが輝く幻想世界の中、ディスプレイに表示されたのは…

"病院"だった。

…あの日の海の笑顔が脳裏を過ぎる、
愛しい仕草、自分のために料理を作る海の後ろ姿、ゆらめく髪も、柔らかな肌も、大好きな映画やドラマやゲームに感動して涙を流す姿も、怒ったような拗ねた様な子供みたいに頬を膨らませる仕草も、いたずらを企む憎たらしい笑顔も。
エミリオは医者の言葉に慌てて病院に向かって無我夢中で走り出した。

海、

彼を優しく包み込む光に見守られながらエミリオはただ…海の元へと。

「海!」

息を切らし、スーツのネクタイを緩めながら海の病室へ向かった矢先…

「…!」

しかし、其処に…
もう海の姿もベッドサイドのスノーマンの姿さえ無かった。
まるで、最初から海と言う人物は居なかったと言わんばかりの真っ白な世界にエミリオは失望した。

海は、本当に永遠の眠りに…

ふと、失意にうなだれたエミリオの視界の端をカーテンの向こう側の暖かい光が遮った。
何だ、今のは…
エミリオは慌てて藁にも縋る思いでカーテンを勢いよく開け窓を持ち上げ身を乗り出した病院の庭、

思わず目を疑った。

なんと、あの光るスノーマンのライトを持ったパジャマ姿の海が満面の笑みで此方に向かってピースサインをしていたのだ…!

しかし、夢じゃない。
頬を伝う熱い涙は紛れもなく現実で…エミリオがそっと瞳を閉じた瞬間、一気にエミリオの両頬を喜びの熱い涙が伝い、そのまま降り出した雪に溶けた。

「おはよう…」

未だ寝起きの様な海のふわりと気の抜けた声がエミリオの耳に優しく溶け込んだ。

「…おはよう…っ」

スノーマンのライトの柔らかな光に包まれ海はまたにっこりとあどけない笑顔を浮かべて。

クリスマスの奇跡が
否、エミリオの祈りが海を呼び覚ましたのだった。





「エミリオ、」

雪の降りしきる幻想的な外の世界で空を見上げる彼にすっかり元気になった海が優しく後ろから彼に抱きつきぴったり寄り添いあった。

雪に煌めく二人の手には揃いの指輪。
そして、海のお腹に宿る二つの小さな命。
白銀の舞う世界で…交わした小さなキス。
もう、永遠に…切れはしないと。
二人はまた寄り添い、幸せを噛みしめた。

二人歩む未来が叶う日はもうすぐだ。
それは、クリスマスに起きた奇跡の物語

fin.

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