案内された部屋に海は扉を開けるなり嬉しそうに瞳を輝かせた。そこから見渡す景色も格別だが、さらに和を重んじた室内が2人には新鮮でとても魅力的に映えたから。
「わぁ〜素敵、和室だね!」
「畳に和室、畳の香りだ。まるで、アクアヴェイルみたいだな。」
「アクアヴェイル?」
「僕の世界にあった島国だ。日本と文化がよく似ていてだな。」
「そうなんだ、良いなぁ…うらやましい!エミリオの住んでた世界、もし行けるなら私も、行ってみたいなぁ…素敵なところなんだろうねっ。」
「まぁ、ひとりやかましい奴がいるがな、」
「そうなの?」
不意に口をついた言葉、自分の冷徹さを勝手に歌にして歌っていた陽気な男を思い出していた。結局あのアドバイスを最後に彼、ジョニー・シデンとはあれきりのまま永遠の別れとなってしまったが。いつまでも動こうとしない横顔を見て、海はリオンの背中に抱き付いた、そうして向き合うことが苦手な彼を気遣って問い掛けた優しさだが、残酷な真実でもあった。
「戻れるなら、エミリオは、その・・・元の世界に、帰りたい?」
「海…」
心配そうな顔立ちをした海に過ぎる別れ、勝手に自分の周りに集まってきたような仲間たちだったが、仲間らを裏切り戦ったことは苦渋の決断、そして運命の皮肉の末に選んだカード、信念なのだ。今更後悔など、何一つない。あの決断が無ければ、今の喜びも、海の優しさも得られなかった。くしゃりと海の髪を撫でエミリオは本来の優しい笑顔を浮かべる。
「馬鹿だな、お前にこうして巡り会えた、それなのに何を今更悔やむ必要があるんだ。それに、僕は、あの過去に一辺の悔いもない。」
「あの過去、どんな過去なのか分からないけど…私、理由もなくエミリオのことを悪人には出来ない。あっ!知らなくてもいいの。ただ、エミリオが選んだ道なら…私、一緒に見守ってるね…」
「海…すまない。いつか、時が来たら、必ず話す。話すべきその時が来たら…」
会話を遮るように、ふと、背中越しに聞いてきた海の素直な問いに笑みを浮かべていた。
「はいっ、暗いのおしまい…!ここは南の楽園だよ!ねぇねぇ、そろそろ早く着替えようよ、」
「ああ、そうだったな。…ありがとう、」
「えっ、なぁに…?」
「良かったな、いい天気に恵まれて。」
気恥ずかしくて感謝の言葉さえ簡単には口にできないけれど…優しさに満ちた海の言葉にリオンは確かに救われた。未だに真実を語る機会は、真実に向き合う勇気はまだ先だが、いつか、その日がくるまでは、このままで2人で幸せに浸っていたかった。海も気付いて居たのだろう、しかし、海も気付かない振りをした。かけがえのない時間、二人は笑顔を絶やさずに輝いて居たかったから。
「エミリオ、写真撮ろうよ、」
「写真?」
「うん、ほら、この景色はなかなかとれないよ〜!?」
ふたりだけの空間、見つめあうだけで満たされてゆく愛しい思い。スタッフに頼んで和室から見える景色をバックに写真を撮ってもらえた。写真は恥ずかしい気もしたが、2人で思い出や輝きを焼き付けていこう。
ー・・・二度とないこの瞬間のために。
部屋から直接プールに続く部屋を抜け、プールに出ると、ラッシュガードを羽織、サーフパンツを着たリオンが海を待っているところだった。
美麗で華やかな目を引く容姿をしているリオン。中性的な美貌に女だけでなく男達までもリオンに視線が注がれることになった。着ていたラッシュガードを脱ぎ、引き締まった体躯に中性的な甘い顔立ち。海翔から借りた膝丈のハーフパンツタイプの水着姿を遠巻きに見つめる海もリオンの見た目より逞しい背中を見つめて昨夜のひとときも手伝って、高鳴る胸を押さえきれなかった。
「海、スライダーとはあれか?」
「う、うんっ、そうそう、あれあれ」
「何だ顔を赤くして。熱でもあるのか?」
リオンもリオンで、海が他の異性に身体を見せることがどうも慣れず、どうしたらいいのかわからない。
そうだ昔だったら・・・リオンの世界だったら考えられなかっただろう。肌を見せるのは将来を誓い合った相手とであり、肌を重ねる時であったから…。 海が悪い虫に絡まれないようにしっかりガードしてやらないと。せめて、海が近くに居てくれることを感じたいから…今時、こんな大型レジャー施設の中で気安く声をかけてくるナンパも廃れた気がしたが、やはり心配だ。
自分の手を離れ、いずれ未来に向かって羽ばたいてゆく海を守りたい。未来のない自分には、それしか何も海に残すことも与える事も出来なかったから。
並びながらスライダーの、順番を待っていると、ちょうど二人乗りのウォータースライダーが空いてることに気付いた。2人で密着する形のウォータースライダーに海は密かにあこがれていたので、迷わずそこに並んだ。
「お前はそっちに乗るのか?」
「え?違うよ。エミリオもこっちだよ、これは2人で乗るタイプなの、ほら、あの絵みたいな感じでねっ。」
写真でちょうど解説してあり、リオンも言われるがままに写真を見ると、2人乗り専用のボートで密着して高速で滑り落ちるのだと言う。お互い水着で肌を重ね合わせるのは如何なものか…昨夜のことを彷彿させるほどの距離に内心、照れはしたが、せっかくならば思い出を残したい。
「リオンは泳げるの?」
「いや、どうだろうな…だが、やってはみるさ。」
海底の深い暗闇は今はもう感じられなかった。今は夏の日差しに輝く太陽のような空の下で大切な人とこうして笑いあえる幸せ。そんな泉の中を今は人魚のように自由に泳いでみたい、何もかもから解き放たれたリオンの表情はもうあの頃には戻らない。お互いに明るい場所で肌を見せるのはどこかまだぎこちなさもあり、まるで付き合いたての中学生カップルよりも初々しいくらいだ。プールのデートは体型も気になるところ、お互い見慣れない水着姿を眺めながら微かに赤く染まる頬を隠し、2人は並んだ。
「なかなか進まないねぇ…」
「家族連れが目立つな。」
「そうだね、家族連れの方が多いからね。私は家族で来たこと、なかったけど…」
「海、今は、僕にはお前がいる。」
「エミリオ…、うん、ありがとう…」
家族の居ない寂しさを噛み締めたら不意に、同じく家族の存在に、親の愛を得られなかった悲しみがわかるリオンも同じように海の手を軽く包んでやっていた。言葉にしなくても確かに伝わる、お互いに語らなくても満たされない過去。
やはり、連休らしくそれなり以上に混んでいるらしい。喧騒がどこか遠くで聞こえた気がした。それから暫くしてから順番がやってきて、ウォータースライダー用のボートに乗り込もうとした。
「ねぇ、リオン、リオンは前と後ろどっちがいい?」
「……後ろがいいか?」
「前でも楽しいよ?」
「お前が万が一レーンから落ちたら拾えない、それに、お前を抱きしめて乗りたい。」
「えっ!」
小さく笑いながら黄色がまぶしいボートの後ろに乗り、そのままリオンの広げた足の間、前に座ると係員がボートの背中をいきなり押したのだ。
「きゃぁ!急に押さないで下さいっ、」
「後が控えてますので〜」
さすがに初体験のウォータースライダーに少しも覚悟やこころの準備もないまま押し出され、リオンはやや困惑したが、走り出した水の流れは誰にも止められない。係員の声を合図に、ボートは水を大きく弾きながら滑り始めた。一気に加速して滑るボート、増してゆくスピード感が堪らなく気持ち良く、スリル満点。曲がりくねるカーブに振り回され、暗闇の長いトンネルにさしかかった。
「きゃーっ!エミリオ!暗いよ!!」
「暗いか?」
「えっ!?なぁに!?」
しかし、先の見えない前で怖がる海に反して夜や暗闇でも不利な状況で戦ってきた彼には明るいくらいだ。怖がる海見たさにそしてどさくさに紛れて海の身体に触れるのを見越して敢えて彼が後ろに下がった様な…リオンは後ろから海の柔らかな肢体を強く抱きしめた。さらに前の海には水飛沫が顔目掛けて痛いくらいぶつかってきてたまらない。これならば朝にがんばったメイクも一発でおじゃんだ。
「きゃーっ!!!」
海は必死に振り落とされないように持ち手を掴んだまま、顔を覆えないかわりに目をギュッと閉じたまま悲鳴をあげた。リオンは掴まっていた手摺から手を離し、 海 を後ろから抱き締めた。彼の吐息が耳元をくすぐり、恐怖もあったがリオンの優しさが幸せな気持ちになる。くるくる回りながら肩越しに振り返ればリオンが優しい眼差しで楽しそうにスライダーのスピードをあげようと体制を変え、2人を乗せたボートはさらに加速度を増した。
身体がふわりと浮くような感覚に包まれたと思ったら、さらに回転速度が早くなった気がした。
「お前の運転みたいだな、速くて見えない!」
「えーっ!なぁに?」
「落ちるぞ!前を見ろ!!」
「きゃーっ!!」
海を抱き締めるリオンは楽しそうに笑っている。真っ暗だった視界が開けて、一気に視野があかるくなる。歓声を上げるとすぐにプールの中へ2人はボートから転げ落ちるように投げだされた。
頭から転げ落ちるように水に飛び込む海、綺麗に着地を決めたリオン。
対照的な2人の同時に降り注ぐ冷たい水が肌に心地良い。
「わあっ!顔が!化粧がぁ…」
今ので完全に流れ落ちたに違いない、慌てて恥ずかしそうに顔を隠す海、プールから顔を出すと、少し離れた所でリオンが濡れた黒い艶髪の頭を振っていた。目が合うとリオンは楽しそうにまた笑い、海の手を引いてエスコートした。
「どう?楽しいでしょっ?」
「ああ、こんな風に楽しめるとはな…いいな、こんな体験始めてだ。もう一度乗りたいな。」
「うんっ!」
かなり深さのあるプールから上がろうとするが、なかなか前に進めずにいる海に、リオンがその小さな手を取って歩き出したのだ。お互いの濡れた髪をかき上げて笑い合う。何の他愛もない事なのに、それが楽しくて、幸せで。2人はまた子供や家族連れの並ぶスライダーの列に並んだ。
2人で何度か滑りながら、後はひとりで巨大なスライダーを滑ったり、リオンは初めてのスライダーに背中が擦れるまで何度かスライダーで遊んで、今度は浮輪を膨らませて波の出る大きなプールへ行った。寄せては返す波のように浮輪でぷかぷか浮かび、流れに身を任せる。波打ち際を漂うようにまったりとした空気が周りのはしゃぎ声をかき消して自然と二人の世界に入っていく。
「水遊びか…お前と出会うまで、水と戯れて遊ぶことなど知らないままだったからな、こんなに気持ちいいと思わなかった。ここは穏やかで、モンスターも居ない。」
目を細めて笑うリオンの笑顔、これがきっと、今までの環境で無くしてしまった、そうしてこの平和な世界でやがて取り戻しつつある彼の姿。
そんなリオンの笑顔がひどく愛しくて、可愛くて。
「エミリオ!」
「ん…?うっ!」
手のひらで水鉄砲を作り海は器用に彼の顔にパシャリと水をかけたのだ。リオンは驚いたようにびくりと身体を跳ねさせて、そして ニヤリと笑った。
「やったな?それ相応の報いは受けてもらうからな、」
リオンは言うが早く海の顔にバシャンと思い切り水をかけたのだ!
「きゃーっ!眉毛がなくなっちゃうったら!」
「もともと無いようなもんだろ?」
「もう!意地悪っ!」
顔を拭う暇もなく立て続けに水をかけられ、海も負けじと顔を背けながら、リオンに水をかけて応戦した。周りから見れば2人は無邪気に笑いあうカップル、二人とも頭の先からずぶ濡れだ。水を滴らせて、どちらからともなく笑い合って。太陽の射し込む光より輝き、一番眩しかったのはエミリオの本当の心から見せた彼の笑顔だった。
あの冷酷な眼差しはなりを潜めて、今は心から楽しそうに笑うリオン、海は顔の火照りが夏の暑さで誤魔化せなくなるくらい、2人、波の出るプールや流れるプールで遊んだ。最後はリオンに抱き抱えられて水面に投げ飛ばされた。係員に警告されたがそれでもふたりは笑い声を絶やさなかった。本当に楽しくて、時間の許す限りまで失った青春を取り戻すかのように閉館時間まで遊び尽くした。
夜になり、2人はホテルで用意された豪勢な料理を楽しむと、今までの環境からろくに食事にも関心のなかったリオンだったが、海のおかげで食事を楽しむ気持ちの余裕が出来たと、おいしい料理を食べ盛りを取り戻すかのようにたいらげていた。
「でも、エミリオ・・・あの、宿泊のお金って、どうしたの?まさか、どこかでバイトでもしてたの?」
「お前は気にしなくていい。お前と、どうしても来たかったから、だから、気にしなくていいんだ。」
「エミリオ・・・」
ふざけて笑いあう2人は、前のよそよそしさが嘘だったかのように人目を気にもしないでふざけあっていた。ホテルに備え付けられたおしゃれなルームウェアを着た2人は周りから見たらカップルに見えるだろうか?それとも夫婦に?思えば海とリオンはお互いを意識して結ばれてから初めての遠出、高鳴る気持ちを抑えられないままショーが終わるとそのまま男女に別れて温泉に向かった。
美形な顔立ちのリオンの陽気なハワイアンリゾートをモチーフにしたそのファッション姿のギャップに本人に伝えたら絶対に怒るだろうが笑みがこみ上げてくる。
「後でね、リオン!」
「ああ、」
そして、2人はギネスにも認定されている巨大な露天風呂に向かった。海は1人広い温泉に浸かり、昨夜のことを思い返していた。抱き合うだけでは足りない思いを確かめた2人だったが、気持ちだけが先走るばかりでは焦燥感は募っていくばかりで。
しかし、時間がないこともわかっていた。
遠かれ早かれふたりはいつか離れ離れになってしまう。それを受け止めた上で、ふたりは心を決めたのだ。
このまま彼と後悔を引きずり出して苦しんで離れる事なんて出来ない。痛みごとひっくるめて、リオンをこれからも愛していきたい。限られた時間が二人を苦しめているのはわかっていた。しかし、限られた時間だからこそ海もリオンも海と向かい合って対話して、最後に華々しく輝きながらこの日を懐かしめるだろう。
しかし、のんびり浸かる海にリオンはとっくに風呂から出ていた。
女の風呂は長いと聞いたがまさかこんなに長いとは…風呂など単にその日の汚れを洗い流すものではないのだろうか。
マッサージも受けれるのでもちろんそれも受け、心行くまで全身の凝り固まった身体を癒した。鼻歌交じりに部屋に向かう海、今夜のことを海なりに楽しみにしているのだろうか。
抱き締められた彼の筋肉が綺麗についた身体が恋しくて、抱き締めて貰いたくてたまらない。
今ならどんな思いも…痛みさえも怖くないとさえ感じた。
「エミリオ!」
彼が待つ部屋で、うきうき気分で扉を開けると、あたりは真っ暗で、リオンはこちらに背中を向けて既に敷かれた布団に横たわっている状態だったのだ。
今日はたくさん遊び回ったから疲れたのだろう。眠ってしまったのは残念だが、仕方ない。そう言えば彼の寝顔を観るのはこれで何度目だろうか。
「かわいい寝顔だなぁ…」
自分に用意された布団ではない、リオンの眠る布団にするりと潜り込んだ海。
足と足を絡め、微かに聴いた冷房が心地よい部屋で海はリオンの穏やかな寝顔を見つめていた。明日も思い切り遊ぶ予定だ、今日も泳ぎ疲れて眠いのも否めない、温泉の後のあの特有の倦怠感も手伝って海も眠りに落ちていった。
「ん…エミリオ?」
ふと、どれだけの時間が流れたのだろうか、まどろみながら目を覚ますと確かにリオンが動く気配を感じた。気配に敏感な彼だ、もしかしたら起こしてしまったかもしれない…寝ぼけ眼の海にリオンは穏やかに瞳を細めていた。
「何だ、眠れないのか…?」
「あ、ごめんなさい…起こしちゃった…?」
「いや、おまえのおかげでよく眠れてるよ。」
「ほんと?」
「ああ、」
ふわふわと流れる海の髪が好きだった、撫でるよりも絡めてくる指先が何よりも愛されていると感じさせてくれた。手をつないで見つめ合う、暗がりの中でかすかに彼の目立つ大きな瞳が幾度も瞬いた。
「エミリオ…」
「ん?」
「明日も、いっぱい遊んでね…っ」
恥ずかしそうにそう告げ、向き合っていた体制を変えて向こうを向いてしまった海、そんな海を簡単に引き寄せて、後ろから彼女を抱き締めてリオンはまたこちらに振り向かせ、ふたりは言葉もなく見つめ合った。
「エミリオ、明日は水族館も行きたいね、」
「ああ、お前が行きたいなら何処でも行こう。」
「うん、」
言葉もなく見つめ合って、その沈黙さえ慈しむようにふたりは唇を重ねた。軽く重ねていた唇が次第に熱を持ち甘く溶けて深く深く、重なり合っていく。リオンはキスをするのは海が初めてな筈なのに、海には甘く満たされる麻薬のように染み渡っていた。
「海・・・」
「えっ、」
「いや…風呂上がりだからか…肌がいつもより気持ちいい…」
「そうかな…?多分、マッサージしてもらったからだよ、ふふ、くすぐったい…!」
着ていたワンピースタイプのルームウェアの裾から忍んできたリオンの手に海の手が重なっていた。恥ずかしさもあったが、海は火照った身体をリオンに委ね、横を向いて流れた胸元に触れた。
海はどうしたらいいのか分からないが取り敢えず彼の手にドキドキと高まる鼓動を抑えきれずに次第に手のひらに収まり柔らかくなる胸をどんな表情で触れているのか分からないが、そんな彼の仕草にまた頬を赤らめた。
「エミリオ…やっ、」
「明日もあの格好をするのか?」
「うん、そうだけど…」
内股に触れる手に慌てて、反応するが、リオンは当たり前のように昨夜あまり触れなかった気がしたそこを慣らすように優しく触れていた。
「おまえの肌が白くて綺麗だからあまり人目に触れて欲しくない…こんなに綺麗なのに…」
「もう、そんなこと言ったらエミリオもだよ…エミリオの身体ね…筋肉も…すごく綺麗で、上手く顔見れなかったよ」
「海…あまり煽るな…お前に触れたくなる…だが、お前につらい思いはさせたくない、」
「うん、でも、私…エミリオとずっと、こうしてたいな…エミリオが居てくれるなら、私、何もいらない…」
「海…お前に出会えて、僕は幸せだ…本当にありがとう」
2人は離れないように強く抱き合い、お互いを求め合い、そうして夢の中へ落ちていく手前まで海の身体を優しく溶けるまで愛撫し、2人は絶えず離れることなく激しく温もりを分かちあった。
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